アークとゲイザーは言い争いを続けています。
「アーク殿も今はマルヴェール国民なので、アラヴェスタの幹部になるのは反対されるかもしれませんよ」
「私が議員に当選した暁にはアラヴェスタに移住する事が決まっていて、ナターシャ様は妻に迎えて連れて行きます」
「ナターシャにその話はしたのですか?」
「まだプロポーズはしていませんが、議員に当選したら話すつもりでした」
「ナターシャはまだ十六の子供ですよ?それにアラヴェスタは物価が高い」
「議員になればまとまった収入がありますし、ナターシャ様を養う事は可能だと思われます」
「ううっ…。私がフラウを妻にもらうと言った時のフォン様の気持ちが、今ならわかる」
「許可しないとは言えませんよね?私はナターシャ様を賭けた試合に勝利していますので…」
「まだ先の事だと思っていたのに、ナターシャを嫁にやらなくてはならない日が来たのか…」
その晩、ゲイザーが酷く落ち込んでいたので、フラウが励ましていました。
「どうかなさいましたか?ゲイザー様…」
「アーク殿がナターシャを連れて、この家を出て行くと言うのです…」
「ミカエル様はゲイザー様にルシファーを倒して欲しいと仰ってましたが、私にはアークが魔王には見えないのです」
「私にもアーク殿が魔王になるとは思えない」
「魔王にならなければ倒す必要はないと思いますが…」
「ただミカエル様は思慮深くて、先見の明があります。何の理由もなく、ルシファーを倒せなどと言うわけがありません」
「ゲイザー様は…ミカエル様のようなお方がお好きなのでしょうか?」
「質問の意図がわかりませんが…?」
「あんな綺麗なお方、今まで見た事がありません」
「ミカエル様は女性ではないのです。私にも女性にしか見えませんが」
「えっ、あんなお綺麗なのに男性なのですか?私はてっきりミカエル様はゲイザー様の事をお好きなのではないかと思っておりました」
「ミカエル様が私を?それこそあり得ない!」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第88話です。