ルシフェルは天界に戻るとミカエルの執務室へと向かいました。途中でアダムに呼び止められます。振り向きざまにルシフェルはアダムの顔を思いっきり殴りました。アダムは頰をさすりながら尋ねます。
「ル、ルシフェル様…。リリスは見つかりましたか?」
「お前は知っていたのか?リリスが罰を受けた事を…」
「何の話です?先程、新しい妻と言う女性が連れてこられて、まだリリスの行方がわからないのに結婚しろと言われて…」
「知らなかったのか?しかしリリスが罰を受けたのはお前にも責任がある」
「私の責任…。一体、何の事でしょう?」
「お前がリリスを大事にしていなかったから悪いんだ!ちゃんと幸せにしてやっていたら、僕だって手を出さなかったんだ…」
その時、執務室からミカエルが出て来ました。
「ルシフェル…。今までどこに行っていたのです?外出届けを出さずに勝手に出かけないでください」
「ミカエル!お前は知っていたのか?リリスが処罰された事を」
「ええ、先日密告がありましたので、処罰されたのは聞いています」
「ミカエル様…、リリスはなぜ処罰されたのですか?」
「アダム…、あなたには言えません」
「急にいなくなって心配で心配で…」
「何と言う密告があった?答えろ!ミカエル」
「ここでは話せません。ルシフェルだけ中に入りなさい。アダムはここで待っているように」
ミカエルは引き出しの中にあった書類を持って来てルシフェルに手渡しました。
「なぜリリスが僕を誘惑したことになっているんだ?リリスを誘惑したのが僕だ!僕を罰すれば良いだろう?」
「リリスがあなたに言い寄っていたと言う証言が複数あったからです」
「一体、誰が証言したんだ?そいつの名前を教えろ!」
「下級天使たちですよ?ですから証言者の名はありません」
「もしその証言が本当だとしても、なぜリリスだけが処罰されて僕は処罰しなかった?おかしいだろう!」
「今、あなたがいなくなると困るからでしょうね。あなたの代わりになれる者は他にいませんから…」
「僕がいないと困るだと?だったらもう天使なんかやめてやる!もう天界で働くのは嫌だ…」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第31話です。