No.974665

紫閃の軌跡

kelvinさん

第152話 リベール-エレボニア講和交渉④

2018-11-24 12:00:08 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2094   閲覧ユーザー数:1966

~クロスベル帝国クロスベル市 オルキスタワー~

 

「―――結論から言えば、現状のエレボニア帝国の内戦の状況は混迷を極めていると言ってもいい。貴族連合は未だ健在で、正規軍にしても決め手を欠いている情勢なのは言うまでもないだろう。当初はどうしたものか考えていて、マリクルシス陛下にも相談した上で第八条の項目を決めさせてもらった」

「その事実は本当なのですか?」

「ああ。先ほどの繰り返しにもなるが、エレボニアの混乱はクロスベルも他人事ではないからな。とりわけ旧クロスベル自治州―――現帝国クロスベル州はその最前線に位置する。その意味で安全を担保するためにこちらで解決の手伝いをすることに異存はない」

 

 シュトレオン王太子の言葉を聞いてダヴィル大使が尋ねると、マリクルシス皇帝が肯定しつつ、クロスベルの置かれた状況からすれば住民の不安を取り除く意味でエレボニアの内戦終結に手を貸すのは当然の流れである、とハッキリ述べた。

 

「だが、大規模に軍を動かすことはしない。それだと講和条約を結んだ意味がなくなるからな。あくまでも主体はエレボニア帝国に属する人間―――その意味で鍵となるのはトールズ士官学院特科クラス“Ⅶ組”と皇族の方々となる」

「えっと、つまりどういうことなのでしょうか?」

「彼らは結果的にエレボニアだけでなく、リベールとクロスベルにも関わりがある人間が所属している。リベール側でいうならリィン・シュバルツァー、ラウラ・S・アルゼイド、そしてアスベル・フォストレイトの3名だ」

「クロスベル側ではフィー・クラウゼル、ルドガー・ローゼスレイヴ、リーゼロッテ・ハーティリーの3名だ。彼らが士官候補生として学籍を置いている以上、彼らの伝手での協力なら問題はないと考えている」

 

 奇しくも協力できるための伝手がⅦ組に揃っているので、彼等への助力という形なら問題ないとシュトレオン王太子とマリクルシス皇帝は一致して項目を盛り込んだ。すると、そこでアルバート大公が尋ねた。

 

「それで、皇族の方々というのは具体的にどういう……」

「『カレイジャス』はエレボニア皇族所有の艦艇。言うなれば『旗頭』にもなりうる存在です。で、その方法というのは……どうせ隣で聞いているのだから、姿を見せたらいかがですか?」

 

 シュトレオン王太子の言葉を聞き、姿を見せたのはオリヴァルト皇子であった。何故かその手にはリュートがあり、演奏しながら会議場に入ってきた。会議の参加者一同は冷や汗を流していて、彼の背後にはハリセンをスタンバイしているシュトレオン王太子とアルフィン皇女がいた。

 

「「せいっ!」」

「あたっ!!」

 

 そして、ハリセンの清々しいまでの乾いた音が会議場に響き渡るのであった。それを見て深い溜息を吐くミュラー少佐の姿があったことも付け加えておく。

 

「いやぁー、本当に息ピッタリだね。これならアルフィンも安心して嫁げそうだよ」

「もう、お兄様? せめて場の空気を読んで登場してくださいな」

「まったくだ。ここが会議の場でなかったら簀巻きにして屋上から吊り下げていたからな」

「ハッハッハ、オルキスタワー屋上からのリサイタルもそれはそれで悪くなさそうだ」

 

 何もかもを自分のペースに持っていってしまう。この規格外の皇族にシュトレオン王太子は頭を抱えたくなったぐらいだが、それを堪えた上でオリヴァルト皇子に話し始める。

 

「別にお前のボケに対応するためにツッコミを覚えたつもりもないんだが……コホン。オリヴァルト殿下、貴方の考えているプラン―――エルウィン・ライゼ・アルノール第一皇女を旗頭とし、トールズ士官学院特科クラス“Ⅶ組”が中心となって内戦終結の道筋を付ける……この手順に違いはありませんね?」

「ああ。僕の考えを簡単に読めてしまうあたり、少し衰えてしまったかな?」

「その推測に至ったのは我が国屈指の人間、とだけ言っておこう。流石に私だけだとその考えには至らなかったからな」

 

 その考えに至った人間こそ王国では指折りの実力者。だが、大っぴらにするつもりもないのでシュトレオン王太子は言葉を濁した。一方、オリヴァルト皇子の考えを聞いたダヴィル大使が若干焦燥しつつも問いかけた。

 

「オリヴァルト殿下、まさかそのような手段を実行なされるおつもりだったのですか?」

「そうせざるを得ない、とでも言っておこう。貴族連合がルーファス君というある意味ストッパーを失った形……このままでは双方共に倒れるまで戦い続けることとなるだろう。その意味で帝国に存在する『壁』を乗り越えてきた彼等なら、この現状を何とかしたいと思っているだろう。無論、若者達に全て任せるほど無責任なこともできない。彼らに帝国東側の事態収拾をお願いし、僕は協力者と共に帝国西側へ向かうつもりだ。既に『カレイジャス』をノルド高原経由でⅦ組がいるユミルに向けさせた。陛下と殿下には昨日の事前会談で許可はもらっている」

「い、いつの間にそこまで……」

「ダヴィル大使。リベールとエレボニアの国家間交渉がこの先に控えている以上、貴方の役目も大きくなるだろう。内戦の実務的なことは国を与る立場の皇族―――即ちアルノール家が先頭に立ってこの問題を解決しなければならない。エルウィンも無事救い出してくれた以上、リベールの恩義に報いるためにもリベールとクロスベルの助力を受け入れるつもりだ」

「他の皇族救出にはクロスベルも精鋭を送り出す。<猟兵王>と謳われたうちの総司令が太鼓判を押す面々だから、遠慮せず使ってくれ」

「その意味ではリベールも精鋭を送る。既に連絡はつけてあるから安心してくれ」

 

 第八条については大筋での合意が成された。そして、改めてリベール・クロスベル・エレボニアの合同特務部隊が結成される形となった。その構成は以下の通りとなる。

 

総主宰 エルウィン・ライゼ・アルノール第一皇女

    (『カレイジャス』所有責任者、エレボニア皇族)

総大将 アスベル・フォストレイト特務大将

    (リベール王国軍中将、Ⅶ組所属)

艦長 トワ・ハーシェル

   (リベール王国推薦、『カレイジャス』艦長、士官学院生徒会長)

副将 リィン・シュバルツァー

   (リベール王国推薦、Ⅶ組所属)

副将 ルドガー・ローゼスレイヴ

   (クロスベル帝国軍少将に任官、なお本人へは事後許可、Ⅶ組所属)

副将補佐 ラグナ・シルベスティーレ

     (クロスベル帝国軍大将、帝国軍総司令名代、Ⅶ組副担任)

副将補佐 エリゼ・シュバルツァー 

     (リベール王家推薦)

参謀 リーゼロッテ・ハーティリー

   (クロスベル帝国軍中将に任官、Ⅶ組所属)

参謀補佐 リノア・リーヴェルト

     (クロスベル帝国軍大将)

参謀補佐 アラン・リシャール

     (リベール王国軍大佐)

船員 ソフィア・シュバルツァー

   (エルウィン皇女付き臨時専属侍女)

   シルフィア・セルナート

   (リベール王国軍少将)

   レイア・オルランド

   (リベール王国軍准将)

   カリン・アストレイ・ブライト

   (リベール王国軍中佐)

   レオンハルト・メルティヴェルス・ブライト

   (リベール王国軍少佐)

客将 ヴィクター・S・アルゼイド侯爵

   クルーディル・フィラ・クロスディール第二皇妃

   カシウス・ブライト中将

 

「あの、客将の中にカシウス中将が入っているのですが……参謀ではないのですか?」

「ああ、本人たっての希望となる。曰く『参謀として出しゃばって後進の成長が望めなくなるのは本末転倒』とな。これを機にこれからのリベールやクロスベルを担う連中を育て上げる魂胆なのだろう。内戦とはいえ、戦争という極限状態に身を置くことで研鑽する……かなり大変なことだがな」

「流石に“大変”で片づけられる話ではないのだが……彼らの本気はどれぐらいなのでしょう?」

「総大将のアスベル・フォストレイトは単独で結社最強格の<鋼の聖女>の神技を打ち破った。しかも、本人は2年前のギルド支部襲撃事件において大多数の敵相手に無傷で戦い切った。数万の敵相手に数人で打ち破るという戦略兵器並の強さを確かに持っている」

「えと、それって本当なのですか?」

「なら、その証拠映像を見せよう」

 

 マリクルシス皇帝が手元のモニターをキーボード状態に切り替えて操作すると、窓ガラスの部分が暗くなって参加者の目の前にあるモニターにその映像が表示される。それは2年前のギルド支部襲撃事件における功労者たちの闘いぶりであった。作戦に参加していたアスベル、シルフィア、マリクルシス皇帝、クルーディル皇妃、レヴァイス総司令、それとカシウス中将らの戦闘の様子に、もはや同じ人間がやっているとは思えないほどの状況がありのまま映されていた。

 映像が終わって会議場が元の明るさに戻ったが、会議場の参加者のほとんどは何も言葉を発せずにいた。その静寂を打ち破ったのはオリヴァルト皇子であった。

 

「はは……ここまでの埒外とは驚きという他ないね。せめてもの救いはⅦ組の関係者が多いということかな……シュトレオン殿下、そしてマリクルシス陛下。改めてよろしくお願いする」

「で、殿下!? 何故頭を下げられるのですか!?」

「それは無論必要だからだよ、ダヴィル大使。皇族というだけでなく、トールズ士官学院の理事長として……そして、エレボニア帝国で生まれ育った一人の人間として礼を尽くしただけのことだ」

「お兄様……」

 

 この期に及んでという気持ちがあったのは確かかもしれない。だが、それでもオリヴァルト皇子は礼を尽くすことを選択した。本来ならエレボニア帝国内のことを自分たちで解決しなければならなかった。だが、それが頓挫した以上外からの力を借りる必要があった。その意味でリベールに行った意味はあったとそう納得した。

 

 第八条の『内戦終結の方法』については大筋での合意に至った。ただ、他のⅦ組メンバーが参加するか否かについては、この先実戦―――即ち人を殺める可能性もあることを考え、既に名前が記載されているリィンを含めた参加については拒否権も一応認めるという形とし、その場合のペナルティなども発生しないという形となった。

 そして、ユミルへ向かっていた『カレイジャス』がその日の夕方にクロスベル国際空港へ到着する。エルウィン皇女やカシウス中将、そしてリィン達Ⅶ組メンバーだけでなく助っ人の面々も揃っていた。駅前には既に数台のリムジンが止まっていて、リィン達はそれに乗って一路オルキスタワーを目指すこととなった。

 リィンはエルウィン皇女やカシウス中将と一緒のリムジンに乗ることとなった。

 

「これがクロスベルですか……カシウスさんは来たことがあるんですよね?」

「ああ。遊撃士時代の時に何度か。それと通商会議の時だな」

「その宿業の地は今やクロスベル帝国、ですか……私たちをお呼びになったのは、その皇帝とお聞きしましたが」

「マリクルシス・フィラ・クロスディール皇帝。エレボニア帝国の<四大名門>となったアルバレア公爵家の次男にあたる方だ」

「成程……(ユーシスとしては複雑なんだろうな…)」

 

 彼の実家であるアルバレア公爵家が戦争の原因を作り、その一方で実家を飛び出した現当主の弟君が隣国の国家元首である皇帝に即位して国を興した。こうなると本家よりもある意味分家筋ともいえるクロスベル皇家のクロスディール家はアルバレア公爵家よりも家格が大きくなる。そのことを父が利用しないか心配でもあったユーシスのことを思い出した。

 

「何より凄いのは、共和国大統領だったサミュエル・ロックスミス元大統領を帝国の初代宰相に任命したことだ。クロスベル解放作戦の時に一度お会いしたが、通商会議の時の面影が全くなかったのでな。よもや影武者ではと勘繰ってしまったほどだ」

「ど、どれだけ変わったんですか……」

(カシウスさんが言うからには相当な変わりようなんだろうな……)

 

 リィンも<百日事変>絡みで一度面識はあるのだが、その面影が無くなっていたとするなら相当のものだろう、とリィンは冷や汗を流していた。そんな他愛もない話をしていると、リムジンはオルキスタワーに到着した。本来なら“鉄血宰相”に近しい立場であるミリアムやクレア大尉にも特別な対応をすることもなく、一行は37Fにある皇帝執務室に通された。そこでエルウィン皇女やリィン達を待っていたのはこの国の皇帝であるマリクルシス皇帝その人だった。

 

「久しぶりだな、リィン。エルウィン皇女殿下に置かれましてはご無事で何よりです」

「お久しぶりです」

「はい、その節はリィンさんに助けていただきました」

「それはそれは……中将閣下もお疲れ様です」

「なに、この程度のことなど2年前に比べれば楽なものです」

 

 マリクルシス皇帝がリィン、エルウィン皇女、カシウス中将と言葉を交わす一方、他の面々はいつになく緊張な面持ちを浮かべているのが殆どであった。それを察してか、マリクルシス皇帝は笑みを零した。

 

「さて、改めて自己紹介と行こう。クロスベル帝国初代皇帝、マリクルシス・フィラ・クロスディールという。以後お見知りおきを願おうか、トールズ士官学院“Ⅶ組”の諸君にその関係各位の方々。まずは食事としよう。下のフロアに用意させてあるから、思う存分食べてくれ。英気を養うのも大切なことだからな」

「ホント!? わーい、やったー!」

「ちょ、ちょっとミリアムちゃん!!」

「全く、君をいうやつは……その、すみません」

「なに、公的な場で弁えてくれれば問題ないし、子どもは賑やかなぐらいが丁度よい」

 

 ミリアムが声を上げたことにエマとマキアスが窘め、それを見たマリクルシス皇帝がその程度のことなら予想の範疇だと言い切ったことにこの皇帝の器の大きさの一端を垣間見た。そうして急きょ準備された夕食で空腹を満たした後、35Fの会議室にてエルウィン皇女とリィン達“Ⅶ組”の面々が顔を合わせる形で座った。

 

「さて、まずは君達がどこまで聞き及んでいるかだが……中将閣下、彼らにはどこまで?」

「リベールとエレボニアが戦端を開いた話は聞き及んでいて、そこから先は全くの白紙ですな」

「成程な。それも話したいと思うが……そこの大尉殿は何やら聞きたそうな顔をしているので、話を聞こうか」

「感謝します。マリクルシス陛下、恐れながらクロスベルはエレボニアとカルバードが宗主国である自治州です。それをなんら根拠もなく占領されて『クロスベル帝国』を名乗るのは両国に対する敵対行為ではないかと思われますが」

「確かに、クロスベル自治州……クロスベル独立国を滅ぼして乗っ取った、という解釈を一方的にされるかもしれませんね」

 

 マリクルシス皇帝は一応の事情説明の前に、クレア大尉からの疑問に答える形で話を振った。そして大尉の言葉に続く形でシャロンも懸念事項について述べた。だが、この程度の質問など既定路線であったかのようにマリクルシス皇帝は真剣な表情を見せつつ答えた。

 

「根拠ならある。俺は元々この地の安寧を作るために当時のクロスベル警察に正規の手順で就職し、数々の功績で警察署長に任ぜられた。そこにあのディーター・クロイス元大統領が独立宣言という混乱を招きかねない発言をした。治安を担う者として、更にはクロスベルの一市民として誹りも覚悟の上で立ち上がることを決意し、その力を得るためにカルバード共和国を滅ぼし、返す刃を以てディーター・クロイスを討った。それに、俺は元貴族―――アルバレア公爵家の人間だからな。徒に闘争を引き起こすような連中など百害あって一利なしだ」

「つまり、貴方はかつての名残から“貴族の義務”を果たした、というわけですか」

「その通りだ、ユーシス・アルバレア。そうそう、既に袂を分かったとはいえ、俺からすれば甥だからな。遠慮なく『叔父上』でも構わないが」

「……一応、考えておきます」

「あ、そっか。陛下がアルバレア公爵家の生まれってことは、ユーシスも無関係じゃないのか」

 

 真剣な話をしつつも冗談めいた言葉を交えるマリクルシス皇帝に、ユーシスは実家のことを思い出しつつ言葉を濁し、エリオットが驚きつつもその血縁関係に驚きを隠せなかった。

 

「話を戻そう。で、大尉殿が懸念されている両国の持つ宗主国としての権限だが、既にエレボニア帝国とカルバード共和国の双方で完全破棄されることに合意した。カルバード共和国側は既に国そのものがないため自然消滅となり、エレボニア帝国側は先のリベールとエレボニアの講和条件として権限の破棄と領有権の放棄も決定した。つい数時間前のことになる」

「数時間前って、リベールとエレボニアの講和が成立したって……」

「いや、それも気になりますが、カルバード共和国が既にないというのはどういうことなのでしょうか?」

 

 疑問に答える形でマリクルシス皇帝はカルバード共和国の全面降伏という形で国を興し、クロスベル独立国を滅亡させてクロスベル帝国を正式に興した。この国の成立にはアルテリア法国、レミフェリア公国、そしてリベール王国による承認を取り付けており、西ゼムリアにおける東の大国として成立した。

 その直後あたりにリベール王国がエレボニア帝国からの宣戦布告を受理する形で戦線が開かれ、<不戦条約>共同提唱国であるレミフェリア公国からの依頼という形でクロスベル帝国がその仲裁という形で講和交渉のテーブルを用意したところまで語られた。

 

「ノルド高原の一件のことは聞き及んでいるが、あの一帯はエレボニア帝国の実効的支配が及んでいる地域ではない。どの国も領有していない空白地帯だ。そのことを盾に主張したところで講和交渉の正当性は揺らがない……理解してもらえるかな、リーヴェルト大尉?」

「っ!?……」

「まあ、確かにその通りよね。でも、エレボニア側の誰がその講和に同意したのかしら?」

「確かに。皇帝陛下は貴族連合に幽閉されていますし……」

「無論、皇位継承権を持つ皇族の方―――エレボニア帝国第二皇女アルフィン・ライゼ・アルノールだ。そして、それだけだと署名を強要したと受け取る輩もいるため、常識的な判断を下せる方々にも署名していただいた。これは講和条約の写しとなる」

 

 そう言ってマリクルシス皇帝は講和条約のコピーを全員に渡す。

 

―――――

『リベール・エレボニア戦争の講和案』

 

1.以下の人物を最重要人物として引き渡しを要求する。その処遇についてはリベールにおける国内法に基づいての処罰とし、如何なる決定に対してもエレボニア帝国は異論を挟まないこと。また、彼らの“報復”を大義名分とした戦争行為を我が国に対して行った場合、その規模を問わずエレボニア帝国が全てリベール王国に補償すること。

 ○カイエン公爵家当主 クロワール・ド・カイエン公爵

 ○アルバレア公爵家当主 ヘルムート・アルバレア公爵

 ○貴族連合協力者 ヴィータ・クロチルダ

 

2.ザクセン鉄鉱山を含むノルティア州全域、ガレリア要塞を含む帝国直轄領、ラマール州北東部の一部にある所有権・統治権ならびに領有権の完全放棄を宣言し、リベール王国に贈与する。なお、これらの領地に住む貴族は特段の事由がない限り爵位を剥奪して“平民”の扱いとする。これを不服として爵位を維持したい場合はエレボニア帝国が引き取り、一つの例外もなくエレボニア帝国内に住まわせること。

 

3.アルトハイム自治州・レグラム自治州・センティラール自治州における旧<四大名門>の領地に関する領有権の完全放棄を宣言し、以後これを大義名分とすることを永久に禁じる。また、その領内出身の住民の安全を脅かす行動を取った際、国内法に基づいて厳正に対処するものとし、この処罰を大義名分とすることも認めない。

 

4.アルフィン・ライゼ・アルノール皇女ならびにエルウィン・ライゼ・アルノール皇女はリベール王国内に住まわせ、その処遇についてはリベール王国で判断して実行する。その際エレボニア帝国が異論を挟むことを禁ずる。

 

5.エレボニア帝国からリベール王国に流入した全難民のうち、エレボニア帝国への帰還希望者全員をエレボニア帝国が引き取り、その際に生じる運搬費用のみならず、彼らの生活にかかわる諸般の費用全てを支払うこと。リベール王国への帰属希望についてはエレボニア帝国が反論することを禁じ、暗殺や誘拐などの非人道的手段による行為を取った場合、国内法による判断で処罰する。

 

6.1204年11月上旬の王国領侵攻ならびにセンティラール自治州の州都ユミルへの襲撃に対し、エレボニア帝国国家元首あるいは国家元首より名代の附託を受けたエレボニア帝国第一皇子が直接リベール王国に出向いて謝罪すること。更に、領民の被害全ての補償を帝国政府が全責任を負う形で実施すること。

 

7.旧クロスベル自治州における宗主国権限の完全放棄、ならびに同地域とノルド高原の領有権を完全放棄すること。以後これを大義名分とすることを永久に禁じる。なお、リベール王国はこれらの地域に対する領有権を持たないものとする。

 

8.エレボニア帝国の内戦における終結方法をリベール王国ならびにクロスベル帝国に一任する。なお、リィン・シュバルツァーが所有する<騎神>についてはリベール王国に寄贈するものとする。更に、リィン・シュバルツァーは現状トールズ士官学院の学生であるが、彼と彼の操る騎神に対してエレボニア帝国・帝国政府・帝国軍をはじめとした各種組織による命令など一切の強制執行を禁止とする。

 

9.エレボニア帝国内において、遊撃士協会に所属する全遊撃士のいかなる行動制限を一切禁ずる。現在入国規制がかかっている遊撃士についても即時解除を求める。帝国政府で発令している行動規制については条約締結後あるいは内戦終結後に即時破棄すること。閉鎖した各支部については閉鎖前と同等の規模で1年半以内の活動再開を実行する。

 

10.<百日戦役>において発端となった“ハーメルの悲劇”の全面公表。

 

署名者

 

リベール王国宰相 シュトレオン・フォン・アウスレーゼ王太子

 

リベール王国女王名代 クローディア・フォン・アウスレーゼ王女

 

エレボニア帝国皇帝名代 アルフィン・ライゼ・アルノール皇女

 

エレボニア帝国皇族 オリヴァルト・ライゼ・アルノール第一皇子

 

エレボニア帝国駐リベール大使 ダヴィル・クライナッハ男爵

 

クロスベル帝国国家元首 マリクルシス・フィラ・クロスディール皇帝

 

クロスベル帝国議会 フィリップ・マクダエル議長

 

レミフェリア公国国家元首 アルバート・フォン・バルトロメウス大公

 

遊撃士協会総本部名代 クロスベル支部受付 ミシェル・カイトロンド

 

アルテリア法国法王・七耀教会教皇名代 エラルダ大司教

 

―――――

 

 

一応補足説明ですが、Ⅱの原作と変わっている部分として

 

・<碧の大樹>が短期間で消滅したため、とあるものの出現方法が変更

・双龍橋に第四機甲師団がいるため、とあるイベントも変更

・<西風の旅団>団長が健在のため、あるイベントも変更

・ルドガー関連で、とある人物のフラグ云々が変更

 

ネタバレ回避しようとするとこんな書き方になるのはご容赦ください。

というか、サラッと書いていたせいで負け癖というかポンコツに拍車がかかったデュバリィェ……


 
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