No.972529 英雄伝説~灰と菫の軌跡~ 試作版その2soranoさん 2018-11-03 10:34:42 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:4318 閲覧ユーザー数:3600 |
~エリンの里・ロゼのアトリエ~
「ぁ…………」
「ハアッ!?」
「おいおい、マジかよ………」
「”巨イナル黄昏”を未然に防いだ並行世界から来た”新Ⅶ組”の中にリィンだけいなかった事は不思議に思ってはおったが………」
「リィン…………!それにレンも………!」
「し、しかも”私”とセリーヌまで………!?」
並行世界のリィン達の登場に仲間達と共に驚いたアリサは呆けた声を出し、サラとランディ、ローゼリアとラウラ、そしてエマはそれぞれ信じられない表情でリィン達を見つめた。
「うふふ、並行世界のみんなは一人残らず驚いているから、最高の”サプライズ”を届ける事ができたようね♪」
「むしろ、驚かない方がありえないわよ………」
「ア、アハハ………予めわかってはいても”自分”と対面するなんて、不思議な出来事ですね。」
「ハハ、そうだな。―――――こちらの世界のみんなにとっては”初めまして”だな。トールズ第Ⅱ分校、特務科”Ⅶ組”の担任教官にして”シュバルツァー公爵家”の跡継ぎだ。以後よろしく頼む。」
驚いているアリサ達の様子を見て小悪魔な笑みを浮かべているレンの言葉にセリーヌは呆れた表情で答え、並行世界のエマと共に苦笑したリィンは軽く自己紹介をした。その後リィン達がそれぞれ席につくと、レン達が自己紹介を始めた。
「――――メンフィル前皇帝リウイ・マーシルンとその側妃ペテレーネ・セラ神官長の養女、レン・H・マーシルン皇女よ。ちなみに現在はとある理由で、トールズ第Ⅱ分校の主計科”Ⅸ組”の担任教官を務めているわ。よろしくね、並行世界の皆さん♪」
「ええっ!?レ、レンがお姫様!?」
「しかも小嬢が”Ⅸ組”の担任教官って………おいおい、それじゃあそっちの世界のトワちゃんはどうなってんだ?」
レンの自己紹介を聞いたアリサ達が驚いている中エリオットは驚きの声を上げ、ランディは困惑の表情でレンに訊ねた。
「トワお姉さんはⅨ組の”副担任”よ。ちなみにレンの世界のランディお兄さんはⅧ組の副担任で、Ⅷ組、Ⅸ組にもⅦ組同様それぞれ副担任が二人いて、それぞれのもう一人の副担任はⅧ組がアイネスお姉さんで、Ⅸ組がエンネアお姉さんよ♪」
「ア、”アイネス”に”エンネア”って確か”鉄機隊”の………」
「ええ………あなた達の予想通り、私以外の”鉄機隊”の二人の事ですわ。ちなみにマスター―――――リアンヌ様は第Ⅱ分校の”分校長”ですわ。」
レンの話の中に出てきたある名前が気になったマキアスに視線を向けられたデュバリィは静かな表情で答え、デュバリィの答えを聞いたアリサ達はそれぞれ血相を変えた。
「ハアッ!?”鉄機隊”どころか”鋼の聖女”が第Ⅱ分校の教官や分校長って、一体そっちの世界はどんな超展開があってそんな事になったのよ!?」
驚きのあまり声を上げたサラは困惑の表情で疑問を口にし
「レンちゃんの事を含めた並行世界の事も気になりますが、どうして旧Ⅶ組の中で”私”だけ、リィンさん達と一緒にこちらの世界に来たのでしょうか………?」
「え、えっと………これには色々と複雑な事情がありまして………」
「―――ま、簡単に説明するとあたし達の世界のエマがリィンの”使い魔”になったから、他の旧Ⅶ組のメンツと違って、こっちの世界に来られたのよ。」
「なんだと!?それは一体どういうことじゃ!?」
エマに訊ねられた並行世界のエマが答えを濁していると、並行世界のエマの代わりに答えたセリーヌの話を聞いたローゼリアは驚きの声を上げて事情を訊ねた。そしてリィン達はエマがリィンの使い魔になった経緯を含めた事情を説明した。
「なるほどの………確かに同一の存在が世界に存在していれば、そちらの世界の”空の女神(エイドス)”が危惧していたように、”世界の強制力”によってどちらかの存在が消えていた可能性があったからこそ、”リィンの使い魔”というこちらの世界のエマとは全く異なる因果を加えた事によって、リィン達と違い、こちらの世界のエマ達とほとんど同じ存在でありながら旧Ⅶ組の中で唯一エマと、その使い魔であるセリーヌだけがこの世界に来られたのか………」
「ま、アタシは”リィンの使い魔の使い魔”みたいなものだから、ほとんど”オマケ”扱いで来られたようななものだけどね。」
「その………どのような方法でリィンさんの使い魔になったのでしょうか?”人間が人間を使い魔にする”という秘術は少なくてもこのエリンの里には存在していませんが………」
「そ、それは…………」
「……………………」
エマに訊ねられた並行世界のエマは頬を赤らめて答えを濁し、リィンが表情を引き攣らせたその時
「うふふ、そんなの当然”性魔術”に決まっているじゃない♪」
「レ、レンちゃん!?」
「全くこの娘は………」
からかいの表情で答えたレンがリィン達の代わりに答え、レンの答えを聞いたミントは顔を赤らめて驚き、サフィナは呆れた表情で頭を抱えた。
「”性魔術”、ですか?」
「フム、初めて聞く名の魔術じゃが………もしや、異世界に存在する魔術か?」
「ええ、まあ”性魔術”は私達の世界に存在する魔術ではあるのですが………」
初めて聞く言葉にエマが首を傾げている中推測を問いかけたローゼリアの言葉にセシリアは困った表情で答えを濁し
「”性魔術”とは、儀式系の魔術の一つなのですが………その方法が口にし辛い内容なんですよね………」
「………?リタ………どうして困っている………?」
「口にし辛いとは一体どういう意味で口にし辛いなのだろうか?」
苦笑しながら答えたリタの様子にナベリウスが首を傾げている中リ説明の内容が気になったガイウスは不思議そうな表情で訊ねた。
「………――――”性魔術”とは”性交渉”により強制・契約・精気吸収等複合的な効果な力を得る魔術だ。この魔術は種族問わず”生殖能力を有する対象全てに有効な事”で有名で、俺達の世界で一般的に知られている魔術だ。何せ生殖能力があれば天使や魔族も当然だが、神すらにも効果があるのだからな。………ここまで言えば”性魔術”の”内容”がどういうものなのか”察する”事ができるだろう?」
「セリカ………”性魔術”の事はもう少し遠回しな言い方で言うべきだと思うのだけど………」
するとセリカがリタの代わりに性魔術についての詳しい説明をし、セリカの説明の仕方にロカは冷や汗をかいて苦笑しながらセリカに指摘し
「………これでも遠回しな言い方で答えた方だ。」
(クク、まあ間違ってはいないだの。”性魔術”をもっと直接的な言い方で言えば、並行世界の者達は今以上に混乱するだの。)
指摘されて静かな表情で答えたセリカの答えを聞いたハイシェラは”性魔術”の事を知って驚いたり混乱している様子のアリサ達を面白そうに見守っていた。
「せ、”性交渉”って、もしかして………!?」
「今の説明からして、どう考えても”そういう事”でしょうね………」
「ん。要するに並行世界のエマはリィンに抱かれたって事だね。」
「な、なななななななっ!?そんな破廉恥過ぎる魔術が異世界に存在するなんて………!?」
「クソ~、何なんだよ、そのうらやまけしからん魔術は!?こっのリア充野郎が!」
「……………………」
「あう………」
顔を赤らめて信じられない表情をしているエリオットの言葉に続くようにサラは呆れた表情で答え、フィーは静かな表情で呟いた後ジト目でリィンを見つめ、マキアスは顔を真っ赤にして混乱し、ランディは悔しそうな表情でリィンを睨み、エマは顔を真っ赤にして石化したかのように固まって並行世界の自分を見つめ、見つめられた並行世界のエマは顔を赤らめて恥ずかしそうな表情でうつむいていた。
「原理は理解できるが、まさか異世界にはそのような魔術まで存在しているとはの………ん?並行世界のエマがそのような事をしてまでリィンの使い魔になってリィン達についてきてこの世界に来たという事は、当然リィンに抱かれる事に拒否感を持っていない――――つまり、リィンに対して”女”として想っている事にもなるから、ひょっとしたらこっちのエマもリィンの事を――――――――」
そして疲れた表情で呟いたローゼリアがある事実に気づいてそれを口にしかけたその時
「「お・ば・あ・ちゃ・ん?」」
「ひぃっ!?一人でも十分恐ろしいのに、それがダブルになるとか勘弁してくれ~!」
「やれやれ………世界は違ってもロゼはロゼね………」
(アハハ………”性魔術”と言えばあたし達の世界のロイドさんもそうだよね?)
(そ、そうですね。ルファディエルさんが昇格した件とその前の出来事を考えると………)
(そしてそれをこちらの世界のランディさんが知れば、今のような反応をするでしょうね………)
それぞれ膨大な威圧を纏って笑顔を浮かべた二人のエマに見つめられると悲鳴を上げて表情を青褪めさせて身体を震わせ、その様子を見た多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、セリーヌは呆れた表情で溜息を吐き、シャマーラとエリナ、セティは苦笑しながら小声で会話をしていた。
「全く………No.Ⅸの件も含めてこちらの世界のシュバルツァーは節操が無さすぎですわ。」
「う”っ………」
呆れた表情をしたデュバリィに視線を向けられたリィンが唸り声を上げたその時
「な、”No.Ⅸ”って事はシャロンさんまで………!」
「リ・ィ・ン~~~?どうしてシャロンにまで手を出したのかしら~~~!?」
「それ以前にあのメイドは”星杯”の時は敵対していたのに、一体いつの間に、そしてどうやって手を出したんだ、お前は………」
仲間達と共に血相を変えたエリオットは信じられない表情でアリサに視線を向け、アリサは膨大な威圧を纏った笑顔を浮かべてリィンを見つめ、ユーシスは呆れた表情でリィンに問いかけた。
「そ、その件は色々と深い事情があって………――――というか俺達の世界のシャロンさんの件はこちらの世界にとっては関係ないから、こちらの世界のアリサがその件について俺を責めるのは何か違う気がするんだが………」
「関係あるわよ!例え世界は違っても、シャロンは私の”家族”なんだから!というか並行世界の他の人達の話だと、そっちの”私”は貴方と付き合っている所か婚約までしているらしいけど、シャロンにまで手を出した件について”私”は何も言わなかったのかしら!?」
疲れた表情で言い訳をするリィンに反論したアリサはリィンをジト目で睨んで問いかけ
「え、え~と………お兄様たちから後で聞いたのですがシャロンさんの件についてはアリサさんも認めた上で、お兄様がシャロンさんに”性魔術”をして使い魔にしたそうなのですわ………」
「へ………わ、”私”が………?」
「というか本当にあのメイドとまで”そういう関係”を結んでいたのね………」
「そっちの世界のリィン、節操が無さすぎだね。」
「クク、なんせ自分のハーレムにする”女”を結婚するまでに一人残さず食いまくった上教え子の一人のエセふわまで食ったからな。」
「ふふ、教官は在学中はあの1回限りのみと仰っていますが、私としては教官には在学中でも他の方達のようにもっと私の事を味わって食べて欲しいのですが♪」
苦笑しながら答えたセレーネの説明にアリサが呆けている中、サラは呆れた表情でジト目のフィーと共にリィンを見つめ、不敵な笑みを浮かべたヨハンの言葉にミューズは小悪魔な笑みを浮かべてリィンを見つめてウインクをし、ヨハンとミューズのとんでもない発言にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「ミューズ、あんたね………それよりも教官?まさかとは思いますけど、あたし達の事まで狙っていませんよね?」
「まあ、その件については後でゲルドさんに訊ねればわかるかと。」
「えっと………」
「君も律義に教官の未来を”視る”必要はないと思うぞ………」
「狙っていないから!それとゲルドもアルティナ――――じゃなくて、ルディの言葉を本気に捉えなくていいから!」
サフィーとルディはそれぞれジト目でリィンを見つめ、困った表情でリィンに視線を向けて集中を始めるゲルドの様子を見たザムザは呆れた表情で指摘し、リィンは疲れた表情で反論した。
「フム………リィンの節操のなさについては後で詳しく追及するとして、それよりも先程の自己紹介の時に気になる事を言っていたが………まさかそちらの世界のミュゼと婚約関係を結んだ上アルフィン殿下まで娶っている事と何か関係があるのか?」
「先程の自己紹介の時の気になる事………?」
「そういえば自己紹介の時に”シュバルツァー公爵家”と言っていたな。シュバルツァー家の貴族位は”男爵”のはずだが………」
ラウラのリィンへの問いかけが気になったガイウスが不思議そうな表情をしていると、ガイウスの疑問に答えたユーシスは静かな表情でリィンを見つめた。
「あ…………」
「……………」
「………シュバルツァー家が公爵家になった”理由”は並行世界の君達にとっては関係がない話とはいえ、正直気分が良い話じゃないから聞かない方がいいと思うんだが………」
「リィンさん………」
ユーシスの問いかけを聞いてある事を思い出したアルフィンは辛そうな表情をし、エリゼは静かな表情で黙り込み、リィンは静かな表情で指摘し、並行世界のエマは心配そうな表情でリィンを見つめた。
「き、”気分が良い話じゃない”って………」
「………さっき並行世界のリィンは”軍人”で戦争にも参加した事があるって言っていたわね。もしかしてそれが関係しているのかしら?」
リィンの説明の中から不穏な内容である事を悟ったエリオットが不安そうな表情をしている中ある事に気づいたサラはリィンに確認した。
「はい。」
「ま、リィンお兄さんはエレボニアとの戦争による功績で大出世したようなものだから、さすがに並行世界とはいえ、ほとんどがエレボニア出身のⅦ組には聞かせ辛い話よねぇ。」
「レンさん………リィンさんが躊躇っていた説明の一部を思いっきり答えているじゃないですか………」
若干呆れ気味の様子で答えるレンの説明にツーヤは疲れた表情で指摘し
「なっ!?」
「エ、”エレボニアとの戦争にリィンが参加した”って………!」
「そう言えば並行世界のリィンさんはメンフィル帝国という貴族のようですけど………もしかして、並行世界ではそのメンフィル帝国という国とエレボニア帝国との間で戦争が起こったのですか………?」
レンとツーヤの会話を聞いて仲間達と共に血相を変えたマキアスは声を上げ、アリサは信じられない表情をし、エマは不安そうな表情で並行世界の自分に訊ねた。
「………はい………」
「―――それも2年前の内戦の最中にね。」
「何っ!?」
「2年前の内戦の最中に………」
「一体何があって、そのような事になったのか………どうか我等にも聞かせて欲しい。世界は違えど、そなた達も我等にとっての同士・同輩なのだから。」
並行世界のエマは悲しそうな表情で頷き、セリーヌの答えを聞いて再び仲間達と共に血相を変えたユーシスは驚きの声を上げ、ガイウスは真剣な表情で呟き、ラウラは決意の表情でリィン達を見つめて続きを促した。
「………わかりました。事の発端は前アルバレア公爵が雇った”北の猟兵”による”ユミル襲撃”から始まったのですが―――――――」
そしてプリネが2年前のエレボニア帝国の内戦の最中に勃発したメンフィル・エレボニア戦争――――通称”七日戦役”や”七日戦役”後の内戦の結末について説明した。
「ええっ!?そ、それじゃあそっちの世界のリィンはアルバレア公爵―――――ユーシスのお父さんを………!?」
「しかもルーファス卿や前カイエン公まで討っている上、我等Ⅶ組とも刃を交えた事があるとは………」
「………そしてその戦争によっての活躍を評され、シュバルツァー家が公爵に陞爵並びに戦後エレボニアから贈与された凡そ8割のクロイツェン州の統括領主に内定、か。という事はそちらの世界の兄上はエレボニアを衰退させた愚か者の一人としての最後を遂げたのか。そちらの世界の兄上にとっては屈辱かつ無念な最後だっただろうな。”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の”筆頭”として”鉄血宰相”の役に立つこともできず、討ち取られたのだからな。――――いや、むしろ鉄血宰相と共にリィンを利用しようとしていた兄上にとっては分相応の末路と言うべきか。」
「ユーシス………」
事情を聞き終えたエリオットとラウラは信じられない表情でリィンを見つめ、重々しい様子を纏って呟いたユーシスの様子をマキアスは心配そうな表情で見つめた。
「更に内戦はメンフィルが選抜したリィンを含めた”特務部隊”、だっけ。その人達とわたし達旧Ⅶ組が内戦を終結に導いたとはね。」
「内戦の大まかな流れは大体同じとはいえ、その流れを描いたのがレンとはね。という事はあたし達の世界のレンもその気になれば、内戦をもっと早く終結させる流れへと導くことができたかもしれないわね………」
「そもそも小嬢はあの時点で既に”暁の翼”なんていうとんでもない”軍隊”を持っているからな。連中を投入すれば、間違いなく内戦の状況は変わっていたと思うぜ?」
「うふふ、そちらの”レン”についてはそちらの世界のユウナ達から聞いていたけど、中々興味深い存在になっているようね。世界は違えど、さすがは”レン”と言った所かしら♪」
「まあ、カシウスさんの子供の一人になっている所か”剣聖”になっている上、世界一の大富豪になって、その立場を利用して遊撃士協会の”軍隊”のような組織を結成した件も含めて”色々な意味”でゼムリア大陸の有名人の一人になっているものね………」
フィーの後に呟いたサラの推測にランディは苦笑しながら同意し、小悪魔な笑みを浮かべて呟いたレンの言葉にアリサ達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中エオリアは苦笑していた。
「その自画自賛な性格の所とかまさにこっちのレンと瓜二つね………」
「アハハ………並行世界とは言えど、ある程度は同じなのですから”性格”もこちらの世界のレンちゃんと同じである事はそれ程おかしくはありませんし。」
呆れた表情で呟いたアリサにエマは苦笑しながら指摘した。
「そして内戦終結後、”七日戦役”の和解条約によってアルフィン殿下がリィンに降嫁されたという訳ですか………」
「はい………政略結婚という形でリィンさんに嫁ぎましたが、わたくしもわたくし達の世界のアリサさんやエマさんのようにリィンさんに”心を奪われちゃいました”から、結果的には好きな男性に嫁げて幸せですわ♪ふふっ、そちらの世界の”わたくし”がわたくしがリィンさんの”妻”の一人になっていることを知った時の反応が今から楽しみですわね♪なんせそちらの世界のユウナさん達の話ですと、そちらの世界のわたくしもリィンさんの事が好きなようですし♪」
重々しい様子を纏って呟いたラウラの言葉に静かな表情で頷いたアルフィンはウインクをし、アルフィンの答えや様子を見たその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「フウ………こちらの世界のエリゼもそうだが、”俺”も”俺達”の中でもアルフィンの件については一番驚くだろうな………」
「当たり前ですよ………こちらの世界の私達にとってのアルフィンは祖国の皇族で、しかも”私”に関しては御付きの侍女のような役割も兼ねているとの事なのですから。」
疲れた表情で溜息を吐いたリィンの言葉にエリゼが同意している中、二人がアルフィンに対して気安い呼び方をしていることを耳にしたアリサ達はそれぞれ驚きの表情で二人を見つめ
「リ、リィンとエリゼさんがアルフィン皇女殿下の事をよ、呼び捨てに………!」
「並行世界の二人は既に”夫婦の関係”との事だからリィンが皇女殿下に対して気安く接する事はおかしくはないが、まさかエリゼまで殿下に対して気安く接しているとは………」
マキアスが信じられない表情でリィンとエリゼを見つめている中、ラウラは驚きの表情でエリゼを見つめた。
「フフ、エリゼとは内戦の最中に”親友”の関係になりましたので。それにエリゼは旦那様の”正妻”として旦那様と婚約しているのですから、例え婚約していても”7番目の妻”のわたくしよりも立場が上のエリゼがわたくしに対して気安く接する事はそれ程おかしくない事ですわよ♪」
「エ、エリゼちゃんが先にリィンと結婚しているアルフィン殿下よりも立場が上の”正妻”って………!」
「エリゼの立場アルフィン殿下よりも上なのは、まさか”七日戦役”が関係しているのか?」
アルフィンの説明を聞いて仲間達と共に驚いたエリオットは驚きの声を上げ、ある事に察しがついていたユーシスは複雑そうな表情でリィン達に訊ねた。
「そうね。ハッキリ言ってしまえば、メンフィルにとってはアルフィン夫人は”七日戦役”の”元凶”の一人なんだから、リフィアお姉様―――――メンフィルの次代の女帝の専属侍女長であることからリフィアお姉様を含めたメンフィルの皇族、貴族からの絶大な信頼が寄せられているエリゼお姉さんとは比べるまでもないでしょう?」
「それとアルフィン夫人の婚約の件が決まる前にリィン・シュバルツァーはエリゼを含めて既に6人の婚約者が存在したからな。エリゼを除いた他の5人もメンフィルにとっては客将である上”七日戦役”でもリィン達と共に活躍した”戦友”でもあるのだから、メンフィルからすればエリゼ同様どちらを優先すべきは言うまでもないだろう。」
「それは…………」
「フフ………わたくしの事を気遣う必要はありませんわ。わたくしとしては皇族に課せられた”義務”を今後永遠に果たす必要はなくなった上権謀渦巻く社交界にも出る必要もなく、一人の女として心から愛する殿方を支え続ける事ができるのですから、わたくしにとっては”今”は心から幸せな状況ですわ。そしてそれはきっと、こちらの世界のわたくしもそのような事になる事を、頭の中では無理と理解していても心の中では望んでいると思いますし………」
「殿下………」
レンとレーヴェの説明を聞いたラウラが複雑そうな表情を浮かべている中、苦笑した後静かな笑みを浮かべて答えたアルフィンの様子をユーシスは辛そうな表情で見つめた。
「なるほどの………そなた達の話から推測するにメンフィルという国は血統を重視するエレボニアとは正反対の国―――――”実力主義”の国のようじゃな。」
するとその時ある事に察しがついたローゼリアは静かな表情で呟いた。
「そうですね。私達の国―――――メンフィルが”実力主義”の国であるのは間違いないですね。」
「実際、俺達もそのお陰で貴族になれたようなものだからな。………そういえば実力主義で思い出したが、そっちのリィンは”騎神”を含めて実力がありながら随分と苦労させられたもんだねぇ。こっちのリィンが受けている例の”要請(オーダー)”も天と地の差だぜ?」
「”要請(オーダー)”も天と地の差って、どういうことですか?」
ステラと共にローゼリアの推測に同意した後に答えたフォルデの説明が気になったエリオットは戸惑いの表情で訊ね
「私達の世界のリィンさんが受けている”要請(オーダー)”は”対価”として、メンフィル皇家がシュバルツァー公爵家を庇護しているのです。」
「ま、シュバルツァー家は”男爵”からいきなり”公爵”になった上広大なクロイツェン統括領主に内定しちゃっているからね。将来的にはゼムリア大陸側のメンフィル領――――それも広大な領土の管理を任せる側としては、領土の管理に失敗したり他の貴族達の横槍で衰退や混乱させられたりする訳にはいかないから、レン達マーシルン皇家が新興の大貴族である”シュバルツァー公爵家”を守る”大義名分”として、騎神(ヴァリマール)を所有している上”七日戦役”やエレボニアの内戦による名声があるリィンお兄さんにしかできない”要請(オーダー)”を受けてもらっていたのよ。」
「勿論、”要請(オーダー)”の際は毎回こちらからも”要請(オーダー)”の成功の為にサポートする人員も派遣していました。」
「………なるほどね。確かにこっちのリィンとは”要請(オーダー)”の件も含めて国からの待遇は天と地の差ね。」
プリネとレン、サフィナの話を聞いたサラは静かな表情で呟き、アリサ達はそれぞれ複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「フム………――――それはそうと、リィンよ。並行世界のヌシはアルフィン皇女を妻にし、更に12人の婚約者がいるとの事だが、当然その12人の婚約者の中にはエマも入っているのであろうな?なんせ”どんな理由があろう”と、エマの操を奪ったのだからな?ん?」
「おばあちゃん!?」
するとその時考え込んでいたローゼリアはその場の空気を変えるためにからかいの表情を浮かべてリィンに問いかけ、ローゼリアの問いかけにその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中エマは驚き
「――――ええ。正直俺がエマの将来の相手だなんて相応しくないと自分でも思っていますが、それでもエマは俺にとって大切な女性の一人ですから、いつかエマを含めた俺と共に将来を行くことを決めた女性達が誇れる男性になれるように、精進し続けています。」
「リ、リィンさん…………」
「よくもまあ、そんなセリフをこんな大勢の前で言えるわね………」
「………まあ、”無自覚”だった最初の頃よりはマシだと思います。」
「ア、アハハ………」
「ヒュー、ヒュー。」
「フィーちゃん、今のリィンさんの言葉は並行世界の私に向けられた言葉なのですから、からかうのでしたら並行世界の私をからかってください………」
決意の表情で答えたリィンの答えにその場にいる多くの者達が驚いている中並行世界のエマは頬を赤らめて嬉しそうな表情をし、呆れた表情で溜息を吐いたセリーヌにジト目でリィンを見つめながら指摘したエリゼの言葉を聞いたセレーネは苦笑し、自分に視線を向けてからかってくるフィーにエマは疲れた表情で並行世界の自分へと視線を向けて指摘し
「うふふ、別に今の時点でも十分多くのレディ達を娶る”資格”を持っている男性だとレンは思うけどねぇ?なんせ将来大貴族の当主になる事が内定している上、リィンお兄さんはメンフィルどころか、エレボニアでも”英雄”として称えられているもの♪」
「フフ、それにリィンは”剣聖”の一人でもありますから、剣士としても既に一人前ですしね。」
「ハアッ!?”剣聖”ですって!?」
「という事は並行世界のリィンは”八葉一刀流”の奥義伝承を………!」
レンとセシリアの指摘に仲間達と共に驚いたサラは驚きの声を上げ、ラウラは目を見開いてリィンを見つめ
「ああ、こちらの世界に来る少し前にカシウス師兄を通してユン老師から”奥伝”を授けられているし、弟子を取る事も許されている。………とは言っても、正直”剣聖”は俺にはまだ過ぎた称号だと思っているが………」
「フッ、あまり謙遜しすぎる事は一種の嫌味にも聞こえるぞ。」
「全くですわ。この私よりも早く”理”の一端に触れているのですから、もっと胸を張りなさい。」
ラウラの言葉に頷いた後謙遜している様子のリィンにレーヴェは静かな笑みを浮かべて指摘し、レーヴェの指摘に続くようにデュバリィは真剣な表情で指摘した。
「おいおい………”理”にまで触れているとか、マジでアリオスのオッサンと同じレベルなんじゃねぇのか?」
「う、う~ん………あたし達も教官の奥義伝承の所を立ち会わせてもらいましたけど、正直何が何だかって感じでしたけど、とにかく凄かったです。」
「流れるようで綺麗でそれでいて力強い太刀………わたしはそう感じられました。」
「フフ、まさに目を奪われてしまいましたわね♪」
「ああ…………貴重な場面に立ち会わせてもらったな、あの時は。」
「クク、だが集中していたあまり、俺達に気づかなかったがな。」
「それは仕方ないと思うわ………教官は”自分自身”と向き合っていたとの事だもの。」
苦笑しているランディに並行世界の新Ⅶ組がそれぞれの感想を伝えている中口元に笑みを浮かべたヨハンの言葉にゲルドは苦笑しながら指摘した。
「ハハ、本当に彼らはとんでもない援軍を連れてきてくれたものだな………」
「ん。戦力が倍増どころの話じゃない。………それに、そのお陰でこっちのリィンを救出したいモチベーションが上がったね。」
「フッ、並行世界の自分が”剣聖”になっている上アルフィン皇女殿下を娶っている事を知った時のリィンがどのような顔や反応をするのか、今から楽しみだな。」
「フフ、そうだな。」
「それに世界は違ってもレンに加えて鉄機隊の”神速”まで協力してくれるのだから、本当に心強い話だな。」
「はい。それに私にとっては”私”とセリーヌがそれぞれ一人ずつ増えた事によって、できる事も増えますからとてもありがたい状況です。」
「わらわにとってはエマがもう一人増える事はある意味、勘弁して欲しい状況でもあるのじゃがな………――――まあ、それはともかく並行世界側の戦力を正確に把握するためにも、まずはまだ紹介してもらっていないメンツの事を紹介してもらわないとな。」
並行世界のリィン達の加勢を旧Ⅶ組のメンバーが改めて心強く思っている中、疲れた表情で並行世界のエマを見つめていたローゼリアだったがすぐに気を取り直してリィン達を見回して自己紹介を促した。
その後リィン達はそれぞれ改めて自己紹介をし、アリサ達を驚かせるのであった――――――
今回の話で灰の軌跡(つまり閃Ⅲの時点)でのシャロンの説得の仕方がほとんどネタバレしちゃったと思います(冷や汗)なお、予め言っておきますがシャロンはもう一人の”主”の為にリィン達と共に来ていないことにしています。それと実はリィンの人間の使い魔はもう一人いて、しかもリィン達と共に焔と菫側の世界に来ています。それが誰なのかは次回、ベルフェゴール達の紹介の際に判明すると思います(ぇ)
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なんで、続きを書いちゃったんだろう………なお、試作版ですから書いてもプロローグの部分だけにするつもりです。なので、次か次の次で終わりだと思います。