ピュアカタストロフとの最終決戦が、始まった。
「ファイアボール!」
マリオは手から火炎弾を放ち、ピュアカタストロフを攻撃した。
しかし、ピュアカタストロフは受けたダメージを瞬時に回復する。
「なっ!?」
―マリオさま、マリオさま!
驚愕するマリオに、突然アスティマのテレパシーが聞こえてきた。
「戦闘中なのに、どうしていきなりテレパシーを送るんだよ!」
―申し訳ありません。ピュアカタストロフは人の邪心を吸収して再生するのです。
「何!? 俺達にそんな心はないはずだ!」
―いえ、闘争心なども「邪心」に含まれるのです。
つまり、マリオ達がピュアカタストロフを倒したい、
という心をピュアカタストロフが吸収して回復したという。
「だったら、どうすればいいんだ!」
―単純ですが、再生が追い付かないほどのダメージを与えてください。
「分かった!」
マリオはアスティマのテレパシーを切ると、リンク達に威力重視の攻撃をするように言った。
リンク達は頷くと、戦闘態勢を取り直し、リンクはピュアカタストロフに突っ込んで剣で切り裂いた。
ソニックは丸くなって音速で体当たりをした。
「凶斬り!」
クラウドはバスターソードで凶の字状にピュアカタストロフを斬る。
「いっくよー! ハンマー!」
「10まんボルト!」
「「サンダープレス!!」」
ピカチュウがカービィのハンマーに電撃を放ち、雷を纏ったハンマーにする。
そして、ハンマーがピュアカタストロフに命中すると同時に、ピュアカタストロフを痺れさせた。
ピュアカタストロフは身体を変形して巨大な槍を生成し、広範囲を薙ぎ払った。
「ぐおっ!」
「うわっ!」
マリオ、リンク、ソニックは薙ぎ払い攻撃をかわすが、
ピカチュウとクラウドは反応が遅れダメージを受ける。
その直後に頭上からの唐竹割がピカチュウとクラウドを襲った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「く……っ!」
クラウドは何とかバスターソードで防御して耐えたものの、
防御力が低いピカチュウは重傷を負ってしまった。
「ピカチュウ!」
「くそ、凄い威力だったな……だが、立ち上がる!」
ピカチュウは何とか、四つん這いになって立ち上がった。
「あんまり無茶はするなよっ!」
ソニックはピカチュウを心配しながら体当たりしつつ回し蹴りを繰り出す。
マリオはファイアボールで攻撃し、リンクはブーメランで相手の動きを一瞬止める。
そこに、クラウドの一撃が入ってピュアカタストロフの体力を大きく削った。
「よし、これで結構いっただろう」
クラウドがそう言うと、ピュアカタストロフは邪心を吸収し、
巨大な黒い槍に変えてマリオ達に突き出した。
その巨体と相まって、攻撃のリーチは凄まじい。
「危ない!」
マリオはピュアカタストロフの黒い槍をスーパーマントで跳ね返し、ピュアカタストロフにぶつけた。
すると、今度は大量の槍をマリオ目掛けて飛ばしてきた。
マリオはスーパーマントで跳ね返し続けるが、一本だけ跳ね返せずカービィに流れた。
「カービィ!」
「僕に任せて!」
カービィが槍を吸い込んで飲み込むと、スピアをコピーした。
「スピアカービィだよ!」
「よし来た!」
「月落とし!」
カービィは槍を構え、落下しながらピュアカタストロフを突き刺した。
「ハァッ!」
続けてソニックは球体になると音速で突っ込んでいきピュアカタストロフを攻撃する。
マリオはソニックが攻撃をしている間に手に炎の力を溜めていた。
「食らえっ! ファイア掌底!」
マリオの炎を纏った掌底がピュアカタストロフにクリーンヒットした。
ピュアカタストロフは大きく悶え、そして歪んだ。
「やったぜ!」
マリオが喜んでいると、ピュアカタストロフに邪悪な心が集まった。
「まずい! みんな、心をしっかり保て!」
「うん!」
「かみなり!」
「破晄撃!」
「スピアスロー!」
クラウドの剣閃とピカチュウの雷、
そしてカービィの投げた槍がピュアカタストロフに命中しダメージを与える。
すると、ピュアカタストロフの周囲から邪心が放たれ、マリオ達を襲った。
「く……」
「苦し……ダメ……」
ピュアカタストロフの邪心は、マリオ達の心に破壊衝動を植え付けていく。
心が破壊衝動で満たされれば己を壊してしまう。
マリオ達は心をしっかりと保っていたが、それでも限界は訪れようとしていた。
「負ける……ものかぁ!!」
マリオは強い心でピュアカタストロフの攻撃を跳ね返した。
「こんなところでやられてたまるかよ!」
「そうだよ! アス姉の願いを叶えなきゃ!」
「勝って、この悲しい宿命を止める!」
ソニックは超音速で体当たりを繰り出す。
リンクはソニックの攻撃でピュアカタストロフが怯んだ隙を見計らい、スマッシュ斬りを繰り出す。
「クライムハザード!」
クラウドは飛び上がって大剣を振り上げ、振り下ろしてピュアカタストロフを切り裂く。
「アイアンテール!」
「マリオトルネード!」
ピカチュウは硬くした尻尾を思いきり叩きつける。
マリオは身体を回転させてピュアカタストロフに突っ込み、ダメージを与えた。
『うわぁぁぁぁぁっ!』
ピュアカタストロフから無数の氷の刃が発生し、マリオ達を切り刻む。
さらにピュアカタストロフが身体を振るわせるとそこから漆黒の波動が迸った。
「うぅ……力が、出ない……」
「きっと、これは俺達の悪い心だと思う……」
「自分に負けちゃダメ、負けちゃダメ……!」
六人は必死で、ピュアカタストロフの波動を耐えていた。
タブーのOFF波動と比べ直接的な威力は低いが、六人の心を徐々に削っていた。
シールドも徐々に小さくなっていき、やがてシールドは砕け散った。
「ぐぅぅ……!」
「つ、強い……!」
ピュアカタストロフは、人々の心にある醜い部分から生まれた存在。
だからこそ、ピュアカタストロフは強いのだ。
しかし、これに立ち向かえるものは、強い心だ。
折れてしまえば、その時点で敗北は確定すると言っても過言ではない。
「いいか……絶対に折れるなよ、絶対だからな」
「うん……!」
「いくぞっ、ファイア掌底!」
「凶斬り!」
マリオの炎を纏った掌底とクラウドの斬撃がピュアカタストロフに命中する。
「アイアンテール!」
ピカチュウも、尻尾を振るってピュアカタストロフを攻撃する。
そこに、ソニックの体当たりとカービィのハンマーが入り、ピュアカタストロフに大ダメージを与えた。
「スマッシュ斬り!」
そして、リンクの斬撃がクリーンヒットし、ピュアカタストロフの身体を引き裂いた。
すると、ピュアカタストロフの身体を闇が多い、防御力を絶望的なまでに引き上げた。
ただ普通に攻撃するだけでは、あの闇の衣を打ち破る事はできない。
闇の防壁を打ち破るのは、光の力のみ。
―皆さん!
「その声は……アスティマ!?」
再びアスティマのテレパシーが聞こえてきた。
―私の力です、受け取ってください!
アスティマがそう言うと、突然、マリオの身体が虹色に光り出した。
「こ、これは!?」
「俺達の身体も光り出してるぜ……!」
リンク、カービィ、ピカチュウ、ソニック、クラウドの身体も虹色に光り出す。
―あなた達に真実の心を与えました。
これはスマッシュボールと同じ力……つまり、最後の切り札が使えるのです。
「そうか……ありがとう!」
マリオが頷くとテレパシーは切れた。
「……みんな、力を合わせてくれ!」
マリオの心が呼応すると、同時にリンク、カービィ、ピカチュウ、ソニック、クラウドの心も呼応する。
「アスティマが力を授けてくれたんだ。こんな嘘は、真実の心が打ち破ってやる!」
「行くぜ! ボルテッカー!」
ピカチュウは強烈な電撃を身体に纏うと、ピュアカタストロフに凄まじい突進を仕掛けた。
「決めてやる!」
ソニックの身体は金色に輝き、
スーパーソニックになると光速の体当たりをピュアカタストロフにかました。
「トライフォースラッシュ!」
「ウルトラソード!」
「超究武神覇斬!」
さらにリンク、カービィ、クラウドの剣撃がピュアカタストロフを切り裂いた。
そして、両手に炎を纏ったマリオがピュアカタストロフに突っ込んでいく。
「これでとどめだ! マリオファイナル!!!」
マリオは両手から灼熱の業火を放ち、ピュアカタストロフを飲み込んだ。
そして、辺りは白い光に包まれた。
「やった……か!?」
白い光が消えると、そこにはボロボロになったピュアカタストロフがいた。
そう……ピュアカタストロフは、六人の最後の切り札を受けたが、
重傷を負いながらもまだ消えていないのだ。
ピュアカタストロフは最後っ屁と言わんばかりに世界の終末を唱え始めた。
「終わらせるものか……! 俺達はこれから、新しい世界を始めるんだ……!」
マリオが最後の力を振り絞り攻撃しようとすると、リンク達の身体が光に変わり始めた。
「リンク!?」
「俺の思いを、マリオに託す!」
光となったリンクは、マリオと一体化していった。
「マリおじちゃん、僕の力を使って!」
「これで負けたら、承知しないからな!」
「俺達の思いや絆は、決して断たれる事はない!」
リンクに続き、カービィ、ピカチュウ、ソニックも光となってマリオと一体化していく。
「これが、本当の一つになる、か」
クラウドも光になるとマリオの中に入っていく。
この現象は外で戦っていた者達にも発生していた。
「あ、あら!?」
「どうしたんです、パルテナさ……うわぁ!」
ピットとパルテナの身体が光になると、マリオのところに飛んでいった。
「どうか、この世界を救ってください……!」
他のスマブラメンバーを光に変えていたのは、アスティマだった。
アスティマは事前に全スマブラメンバーにテレパシーを送り、協力する事を頼んだ。
一部のメンバーは乗り気ではなかったが、この世界のためならと今回は協力をする事にした。
「大丈夫。僕達を信じてね」
「一人一人の力は弱いけど……みんながいれば、大丈夫!」
「勝利の未来は、行動する事で掴んでいくんだ」
「この力を、君に捧げるよ」
「だから、頑張って!」
「俺の力を、受け取ってくれ」
「君なら必ず、あいつを止められるよ」
「マリオ、負けたらぜ~ったい承知しないからね!」
「私達の力を……」
「是非、受け取ってほしい」
「必ず生きて、元の世界に帰りましょう」
「チコ、マリオと一つになるんだ」
「ぴぃぴぃ!」
「俺達の力で、必ずあいつを倒してくれ!」
「とっとと勝って帰れよ!」
「大丈夫ですよ~。私、怖くありませんから~」
「この戦いは、勝てないものではない」
「頑張ってね!」
「兄さん、僕達が力をあげるから」
「破滅を阻止するんだよ」
「仕方ない、今回だけは協力の立場に回るのだ!」
「いいか! 負けるんじゃないぞ!」
「ゼニィ!」
「フシィ!」
「リザァ!」
「トルトゥ、フィオーレ、ブレイズ……よし、俺も力を与えてやるぞ!」
「頑張ってね」
「負けたらダメよ!」
「油断は禁物だぞ」
「必ず勝て……世界はお前にかかっている」
「マリオ! オレの力をやるから絶対勝てよ!」
「オイラも応援してるよー!」
「大丈夫! キミなら必ず世界を救えるよ!」
「だから、不安にならないでね!」
「安心しろ、私達がついている」
「傭兵は、最後の最後まで裏切るべからず。俺も最後までお前に付き合ってやろう」
「大切な仲間達のために、ボクも協力するよ!」
「ボク達の力、ちゃんと受け取ってネ!」
「プリンはかよわいけどがんばるでしゅ!」
「ぴちゅもがんばりまちゅ!」
「……今回はお前の力になってやる」
「だから、絶対に負けるなよ!」
「一人一人の力は小さくても、こうやって集まれば大きくなるんだ!」
「終わったら一緒にエクササイズしましょうね」
「戦いが終わったら、一緒に筋肉を鍛えましょう」
「この悲しい未来を終わらせてください」
「終わったらまたみんなで大乱闘しような!」
「油断大敵だ」
「ワシの力をやるから感謝するんだゾイ!」
「ワタシモアナタニキョウリョクシマス!」
「ボクモアナタノタメニチカラヲカシマス!」
「ばう、ばうばう!」
「今回だけは協力してやるよ」
「これが……一つになる、という感覚でしょうか」
「ふふっ、最後まで活躍できそうね!」
この世界に呼び出されたスマブラメンバー全員が光となってマリオの中に入っていく。
「久々の俺様の出番だな!」
そして、マリオの目の前に、ウルフの声を出す光が現れた。
「ウルフ……! お前、死んだはずじゃ……!」
「お前らがハオスを倒したから俺様は復活できるようになったんだ。
今はまだ魂だけだが、しっかり力、受け取れよ!」
どうやら、ウルフはフォックス達と戦って消滅したものの、ハオスが倒された影響で復活したらしい。
そして、光となったウルフがマリオの中に入ると、マリオが負っていた傷が全快した。
「行くぞ、ピュアカタストロフ!
これが、俺……いや、『俺達』スマッシュブラザーズの、絆の力だ!!」
ピュアカタストロフは全世界を終末に導いた。
それに対し、マリオはスマブラメンバーの絆の力をもってピュアカタストロフに対峙する。
ピュアカタストロフの攻撃と、スマブラメンバーの攻撃が押し合いになった。
「はぁああああああああああ!!」
最初はピュアカタストロフがスマブラメンバーを押していた。
だが、次第にスマブラメンバーの方がピュアカタストロフの方を押していった。
「これで……とどめだ!!!」
そして、マリオと彼と一つになったスマブラメンバーの攻撃が、ピュアカタストロフを飲み込んだ――
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ラスボス・ピュアカタストロフ戦。
次回でスマブラ Abandon Worldは最終回です。