その頃……。
「向こうの敵は私が倒してあげるから、お嬢ちゃんはそっちを相手にしなさい」
「分かりました、ベヨネッタさん」
眼鏡をかけたスタイルの良い黒髪の女性が、銀髪と赤い目の少女剣士と共に魔物と戦っていた。
女性はアンブラの魔女ベヨネッタ、少女は白夜王国の王女カムイだ。
「はぁっ!」
ベヨネッタは四丁一組の銃を巧みに操り、周囲の魔物を次々に倒していった。
カムイも夜刀神・終夜でゾンビを切り裂いていく。
「ベヨネッタさんは、こんな魔物が相手でも平気ですか?」
「ええ、異形との戦いは慣れているからね」
「なんでこんな魔物ばかりこの世界にいるんでしょうか……」
「さあね、私達は飛ばされた身だから分からないわ。それよりも、倒すのを優先しなさい!」
「ええ!」
カムイは腕を変形させて雷の弾丸を飛ばし、魔物を薙ぎ払った。
「ウィッチツイスト!」
ベヨネッタは荒れ狂う女の懐に潜り込んでアッパーを繰り出して吹っ飛ばす。
「もう、この方達は救えないのですね……跳槍突!」
「スカボロウフェア!」
カムイとベヨネッタの一撃が、荒れ狂う男を貫く。
ベヨネッタは荒れ狂う男の攻撃をかわし、スライドからスカボロウフェアを叩き込む。
「これで終わりです! 夜刀神・終夜!」
そして、カムイが混ざった人を夜刀神・終夜で切り裂くと、混ざった人は消滅した。
敵を全滅させ、休憩するカムイとベヨネッタ。
「……いつになったら、皆さんが助けに来るのでしょうか」
「さぁね、分からないわ」
現在、カムイとベヨネッタは11日もこの地にいる。
飢えや渇きは落ちていた水や食糧で何とか凌いでいたが、事実、二人は限界ギリギリであった。
「このまま誰も来ないかもしれないし、誰かの助けが来るかもしれない。
でも、前者の可能性が高いわね」
「そんな……ベヨネッタさん……」
希望はまだ、完全には失われていない。
しかし、それ以上に絶望の方が強く、彼女達から生きる力を奪っていた。
「……」
カムイは、ベヨネッタが男の死体を見ていたのを見逃さなかった。
「まさか、それを食べるのですか?」
「冗談よ」
「ベヨネッタさんが言うと冗談に聞こえませんが」
「とはいえ、物資は残り僅か。このままじゃ飢え死にするわね」
そう言って、ベヨネッタは立ち上がった。
「私達で何とか飢えを凌ぎましょう。お嬢ちゃん、物資を探しに行くわよ」
「ええっ? こんな余裕がないのに、ですか?」
「余裕がないから、よ。このまま黙って死ぬよりは、動いて死んだ方がマシでしょう?
それに、少しでも可能性があるならば、それに賭けてみましょう」
「……分かりました。でも、無理はしないでくださいね」
そう言って、カムイはベヨネッタについていき、物資を探しに行く事にした。
その頃、スマブラ四天王、フォックス、ブラックピットは、
いなくなった残りのスマブラメンバーを探していた。
「しかし、いつになったら目的地に着くのだろうか」
「結構遠いからな……少なくとも、3日はかかりそうだぜ」
「3日!?」
リンクから日数を聞かれてカービィは驚いた。
「それまでにお腹、空かないかなぁ……」
「大丈夫だ、物資は十分持ってきてある」
スマブラ四天王は最後の仲間という事で、十分に準備をしてから来ていた。
水と食糧も多めに持ち、盗難防止用にパルテナが袋に魔法をかけているため問題ない。
「後は、ゾンビとかの魔物に気を付ければ、無事に助ける事ができるだろう」
「待っててね、クラっち、カムカム、ベヨ姉!」
マリオは前方に敵がいないかを確認した。
敵がいないのを確認したマリオは真っ直ぐ前に進んでいく。
「マリオ、次はこっちに行ってみようぜ」
「ああ」
リンクの方についていくと、そこは行き止まりだった。
しかも多数のブロブと蛆の塊が待ち構えていた。
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
「げ! 逃げるぞ!」
リンクは逃げようとするが、敵の物量に阻まれ逃げ切れなかった。
「ちっ、やるしかねぇか!」
ピカチュウは舌打ちし、魔物の群れに突っ込んで10まんボルトを放った。
魔物の群れは半分程度減ったが、蛆の塊は気にせず蠢き、カービィにまとわりついた。
「助けてぇぇぇ!」
カービィは必死で蛆の塊を振りほどこうとするが、蛆の塊はどんどんまとわりつく。
「カービィ! 俺の電撃を吸い込め!」
「う、うん!」
ピカチュウが電撃を放つとカービィはそれを吸い込み、スパークをコピーした。
「スパークアタック!」
カービィは電撃を放ってまとわりついていた蛆の塊を全て落とす。
マリオはファイアボールを放ち、蛆の塊を全て焼き払った。
「そらよ!」
ブラックピットは遠距離からブラピの狙杖でブロブをまとめて撃ち抜く。
「はぁぁぁああ!」
「食らえ!」
その後、リンクの剣とフォックスのブラスターが、ブロブを全て貫き、ブロブは弾け飛んだ。
「ったく、ちょっと時間を食ってしまったぜ」
「あいつらは無事だろうか……」
「死んでなきゃいいんだがな……!」
カムイとベヨネッタは、生きるために必要な物資を探していた。
数は少なかったが、干し肉やまだ飲めそうな水は見つかった。
「はぁ……無事に生き残れるんでしょうかね、ベヨネッタさん」
「一応、この量なら2日は持つわね」
「元の世界が恋しいです……。昼は皆さんと乱闘や食事をして、夜は暖かい布団でぐっすり寝る。
こんな事が、この世界にはないんですよ」
闇に沈み、食べ物はほとんどなく、おぞましい魔物がたくさん生息し、生と死が存在する世界。
こんな世界にずっと住んでいると、体だけでなく、心も傷ついてしまう。
「お嬢ちゃん、こんな時だからこそ、生きる希望を持たなくちゃ。
何が起こるか分からないこの世界。帰れる可能性はゼロじゃないわよ?
それに、バラバラになっていたとしても、スマブラメンバーの絆は決して断たれる事はない。
大切なのは、みんなを信じる事よ」
「ありがとうございます……ベヨネッタさん……」
ベヨネッタは暗くなっているカムイを励ました。
彼女は気休め程度としか思っていなかったが、
カムイには効果があったようで、ゆっくりとベヨネッタに寄り添う。
「まったく、お嬢ちゃんったら……」
自分に甘えてくるカムイを見てベヨネッタは苦笑したが、
見捨てる事ができず、そのまま彼女をゆっくりと撫でた。
……しかし、カムイは気が付いていなかった。
足元から、ゆっくりと大きな穴が現れている事を。
「お嬢ちゃん! 足元、足元!」
「え!?」
ベヨネッタが急いでカムイに知らせるが、時既に遅し。
「「きゃああああああああああああああ!!」」
カムイとベヨネッタは、現れた穴に飲み込まれてしまった。
それから2日後。
スマブラ四天王達は野宿を終え、仲間の捜索を再開した。
「流石はあの女神のテントだな、魔物に襲われずに済んだぜ」
そう、彼らが持ってきたテントは、パルテナが奇跡をかけたテントなのだ。
これにより魔物は近付かなくなり、結果安全に野宿ができた。
「みんな、もうひと踏ん張りだ」
「うん!」
マリオの一声で、皆は前へ進んでいった。
魔物を倒し、時に避けつつも、順調に一行は目的地へ近づいていた。
「本当にこっちで合ってるのか? フォックス」
「誰かが争った形跡がこの辺に残っているからな」
フォックスの周りには赤いものが飛び散っている。
地面も大きく抉れていて、肉片も落ちていた。
「ここを通っていけば、多分みんなに会えるぞ。だけど、気は抜くんじゃないぞ。特に……カービィ!」
「わっ! ちゃ、ちゃんと気を付けるってば~!」
3時間後、ようやく一行は目的地に辿り着いた。
しかし、いるはずだった仲間の姿は無く、代わりに大きな黒い穴があった。
「あれ? おかしいな……この辺にクラウド、カムイ、ベヨネッタがいるはずなんだが?」
「どこにもいないぜ。ったく、探しに来たのにまた逃げたのかよ」
「まずはもうちょっと辺りを探すぞ」
「で、見つからなかったらあの穴に飛び込むの?」
「いや、飛び込む事を前提にしてないぜ。とにかく、三人を見つけるぞ」
そう言ってピカチュウは先頭に立ち辺りを探索したが、いくら探しても見つからなかった。
他の五人も彼と同じように探索したが、どこにも見当たらなかった。
となると、まだ調べていない場所は……。
「……あの穴……か」
もしかしたらハオスの罠かもしれない。
しかし、この辺に誰もいなかった以上、ここに入らなければ誰も見つけられないだろう。
「入るしか……ないのかな?」
「もう、ここには誰もいないからな。罠だとは思うが、こうしなければ仲間は見つけられない。
……みんな、準備はいいか?」
「ああ。覚悟は決めてあるぜ」
「みんなは絶対に、僕達で助けるよ!」
「仲間を見つけて、無事に帰ってこようぜ!」
「まさかこの俺がお前らの仲間探しに協力する事になるとはな。だが、悪くはないぜ!」
「ファルコ、そしてウルフ。俺はもう迷わない。悲劇を繰り返さないためにも、俺はこの穴に飛び込む!」
リンク、カービィ、ピカチュウ、フォックス、ブラックピットは頷いた。
特に、フォックスは五人の中で最も真剣な表情をしていた。
「みんな賛成だな。じゃあ、行くぞ!」
そして、マリオが穴に飛び込むと、他の五人も穴に飛び込んだ。
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今回はスマブラ後期DLC組の二人、カムイとベヨネッタが登場します。