No.968878

スマブラ Abandon World 32「悲しき再会」

Nobuさん

ゼルダ姫との再会。しかし……。

2018-09-30 17:38:50 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1153   閲覧ユーザー数:1153

 シーク、ゲッコウガ、ネス、リュカ、ピーチは、ラストホープに物資を運ぶため冒険に出た。

「できる事なら、ハオスに奪われた物資も取り戻したいところだ」

 以前、シーク達はハオスに物資を奪われてしまった事がある。

 それを取り戻したいとシークが思っているのは、それと共に大切なゼルダを失ったためだ。

「君が身を挺して仲間を守った、その行動と気持ちは分かった。それでも……僕は、君を取り戻したい」

「シーク……」

「よく分かんないけど、いなくなった仲間を連れ戻したいんだね?」

「ああ」

 リュカの言葉に、シークは静かに頷いた。

「じゃあ、僕達も手伝ってあげるよ」

「仲間を失う事は誰でも辛い事だからな」

 この目的は、一人で達成する事は魔物や環境のせいもあって極めて難しい。

 ネス達はシークの背負う荷物を軽くするために、シークの力になろうとしている。

「みんな、僕のために?」

「そうよ、シークはゼルダが大切なんでしょ? その気持ちは同じ姫の私も分かるわ」

「ピーチ……」

「大丈夫よ、信じていれば願いは絶対に叶うわ! だから、一人で落ち込んだりしないで。ね?」

 今のピーチの表情と声は、落ち込むシークを元気づけるのに十分だった。

「……ありがとう」

 彼女に元気づけられたシークは、覆面で隠れて見えないが、少し微笑んでいた。

「さ、物資を探すわよ!」

「ああ!」

 スマブラメンバーが飛ばされたこの世界は荒廃していて、まともな物資の数は非常に少ない。

 この状況を打開するためには、未知の領域「アンノウンリージョン」に行かなければならない。

 アンノウンリージョンはまだ調査が進んでおらず、貴重な物資が残っている可能性が高く、

 ここを調査する事が生き残る確率を上げられる。

 だが、当然未調査故に何が起こるか分からず、さらに強力な魔物などと遭遇する可能性も高く、

 慎重に調査する必要があるのだ。

 

「水は、どこにあるのだ……」

 みずタイプを持つゲッコウガが、アンノウンリージョンのどこに水があるかを探し出す。

 時間はかかるが、彼なら他のメンバーよりも早めに見つけられるだろう。

(見つかるのか?)

 シークが見守っていると、

「見つけたぞ!」

「ホント!?」

 ゲッコウガはまだ飲めそうな水を発見した。

 量は微々たるものだったが、それでも水を発見できたのは大きかった。

「この水は、瓶の中に入れておこう」

 そう言って、ゲッコウガはシークが持ってきた瓶の中に水を入れた。

「よし、幸先の良いスタートだね」

 リュカが喜んでいると、ゾンビ犬が四体現れた。

「グルルルル……」

「わ、ゾンビ犬!?」

「双蛇!」

「かげうち!」

 ネスに襲い掛かるゾンビ犬を、シークは二度蹴り、ゲッコウガはかげうちで攻撃する。

「PKフラッシュ!」

 ネスも、光を放ってゾンビ犬を攻撃した。

「ボクだって! PKファイアー!」

 リュカがネスに続くように、手から炎を放ってゾンビ犬を焼き払う。

 獣は火に弱く、その上ゾンビなので火がよく効き、結果的に大ダメージを与えられた。

「みんな、こんな奴に負けるんじゃないわよ!」

「ああ!」

 

「いたっ!」

「きゃぁぁぁ!」

 ゾンビ犬は一斉に群がり、ピーチ達に噛みついてきた。

 ピーチはあの時のようにドレスが食いちぎられるのを防ぐため、巧みに噛みつき攻撃をかわしていった。

 それでも攻撃が来る時は、キノピオを盾にして攻撃を防いだ。

「なんか、キノピオが可哀想……」

「何か言ったかしら? ネス」

「な、な~んにも?」

「ふっ!」

 ゲッコウガがみずしゅりけんを放ってゾンビ犬を撃破する。

「それっ! PKフリーズ!」

「双蛇!」

 リュカがゾンビ犬をPKフリーズで凍らせた後、シークが二度蹴りでゾンビ犬を氷ごと粉砕した。

「たたみがえし」

 ゾンビ犬が襲ってくるが、ゲッコウガは畳を返して攻撃を防ぎ、ハイドロポンプでゾンビ犬を一掃する。

 だが、ゾンビ犬は倒れずにシーク達を襲い続ける。

「くっ、しぶといな!」

「不死系の敵はしぶといのが取り柄だからな」

「ったく、あなた達は諦めが悪いのね!」

 ピーチの発言に、この場にいた誰もが「お前が言うな」と思ったが、

 口に出すとボコられるため何も言わなかった。

「これでも……食らいなさい!」

 ピーチはゴルフクラブを取り出し、ゾンビ犬をボールのように飛ばした。

「跳魚!」

 シークは宙に浮いたゾンビ犬に飛び蹴りを食らわせ、大ダメージを与える。

「ネス君、今だよ!」

「うん!」

「「ダブルPKフラッシュ!!」」

 そして、ネスとリュカが激しい光を手から出し、ゾンビ犬に向けて放つと大爆発を起こした。

 その大爆発が治まると、ゾンビ犬は全て跡形もなく消え去っていた。

 

「やったね!」

「うん!」

 ネスとリュカは連携PSIが決まってハイタッチする。

 シーク、ゲッコウガ、ピーチも、いい連携技だったと頷いた。

「じゃ、調査再開ね!」

 こうして、ゾンビ犬を撃破した一行は、アンノウンリージョンの調査を再開した。

 

「これは……食糧か?」

 ゲッコウガが廃墟の中を調査していると、いくつか干し肉を発見した。

 品質は悪かったものの、無いよりはマシだ。

「こっちには毛布があったよ」

「なんか、変なのが出てきた……」

 ネスとリュカは、毛布と、袋に包まれたゼリー状の物体を発見した。

「あら、まだ飲めそうな水みたいね」

 ピーチは、少し濁っているがまだ飲めそうな水を発見した。

「これは……缶詰だ!」

 シークは、コンビーフの缶詰を発見した。

 この世界で缶詰は貴重であるため、大きな発見と言える。

 

 廃墟の調査が終わり、五人は手に入れた物資を見せ合う。

「今日、ここで見つかったのはこれだけか」

「この廃墟で見つかった中ではね」

「初めてにしては、結構見つかったね」

 この世界においては貴重な物資を見つける事ができた五人。

 数は少なかったが、見つかっただけでこの世界で生存する確率が上がった。

「後は、これを持ち帰るだけだな。みんな、なくすんじゃな……!?」

 シークが物資をラストホープに持ち帰ろうとした瞬間、光の矢が物資目掛けて飛んできた。

「サイマグネット!」

 光の矢は物資に命中する直前でネスがサイマグネットで吸収した。

 その光の矢を飛ばした先には、女性が立っていた。

「ゼルダ!」

「えっ、ゼルダ!?」

「本物の!?」

 茶髪に薄紫と白を基調としたドレス……そこにいたのは、間違いなくゼルダだった。

 しかし、彼女は様々な種類の魔物を従えるようにして立っていた。

 ゼルダはこんな醜悪な魔物を使役するとは思えない……そう思ったシークが様子を見ると、

 彼女が何者かに操られている事に気付いた。

「ハオス様にたてつく者には死を与えよう」

「……!」

 ゼルダの口から「ハオス」という言葉が出たため、シークの表情が変わった。

「ゼルダ! 僕の事が分からないのか!?」

「貴様もハオス様に逆らうつもりか? ならば、今すぐここで死ぬがよい!」

「やめろ、ゼルダ!」

 シークは、ゼルダがけしかけてきた魔物を体術や暗器で次々と撃破した。

「ねぇ、シーク……どうして、ゼルダがいきなり僕達を攻撃したの?

 ゼルダはそんな事しないはずなのに……」

「ゼルダは今……ハオスに操られているんだ」

「ええーーーーーっ!?」

 ゼルダの現状を知ったネスは驚き、大声を上げた。

「シーク……どうすれば、ゼルダを正気に戻せると思うの?」

「普通に操られているだけなら、戦って勝てばいいと思うが……術者はハオス、

 そう単純な事が通用するわけがないだろう。

 それでも、僅かな可能性に賭けるしかない。……そうするしか、僕達にできる事はないんだ」

 無駄だと思うが、ゼルダをハオスから解放したい。

 シークはそのために、ゼルダと戦う事にした。

「……シーク、俺達は手伝ってはいけないか?」

「これは僕の戦いだからな。他の人が邪魔をしてはいけない」

「それでも、魔物と戦うくらいならいいよね?」

 ネスの言葉に、ああ、と頷くシーク。

 元は自分と同じだったゼルダは、「自分」自身が解放するべきだと思っているからだ。

「ゲッコウガ、ネス、リュカ、ピーチはゼルダが使役する魔物と戦え。

 操られているゼルダの相手は僕がしよう」

「「「「了解!」」」」

「さあ、死を恐れないのならかかってくるがいい!」

 操られたゼルダと、彼女が使役する魔物、グールとの戦いが始まった。


 
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