No.968733

スマブラ Abandon World 31「拳や槌を振るう者」

Nobuさん

ファルコン、デデデ、リュウのターン。
この物語では妥当な組み合わせがいなかったので、適当に組み合わせました(

2018-09-29 13:13:03 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:644   閲覧ユーザー数:644

 この世界では今、三人の人物が荒野を歩いていた。

 F-ZEROレーサー兼バウンティハンターのキャプテン・ファルコン、

 真の強さを求める格闘家のリュウ、プププランドの(自称)大王のデデデだ。

「一体どこまで続くんだ……この荒野は」

「それはワシも知らんゾイ。いきなり飛ばされたのだから知らないのも当然だゾイ!」

 かっかと腹を立てるデデデ。

 彼は統治者としてはそこそこだが、短気なところもあるのだ。

 まぁ、そこがデデデらしいといえばらしいのだが。

「この世界で最も重要なのは、己の心だ。

 既に闇に堕ちた世界で、生き残るためには心を強く保たなければならない」

 リュウが、この世界の空気を感じ取りながら静かに言う。

 彼は波動という力を持っているためか、ルカリオには及ばないものの感覚が鋭敏だ。

 これにより目的地が分かる……

 そんな淡い期待を抱きながらファルコンとデデデはリュウについていった。

 

「むっ、囲まれたか!」

 が、ついていった先はゾンビの大群がいる場所だった。

 三人はすぐに退却しようとするが、ゾンビの群れに阻まれてしまう。

「ここは、こいつらを倒すしかないみたいゾイ。さぁ、やっつけるんだゾイ!」

 デデデがハンマーを構え、ファルコンとリュウが戦闘態勢を取ると、

 ゾンビ達は三人に襲い掛かってきた。

 

「ファルコンキック!」

「竜巻旋風脚!」

 ファルコンとリュウの蹴りがゾンビ達を一網打尽にする。

 デデデも、ハンマーを振り下ろしてゾンビを押し潰した。

「邪魔するなゾイ!」

 ゾンビが襲ってくるがデデデはゴルドーを投げてゾンビを吹っ飛ばし、

 そこにリュウの波動拳が命中しゾンビは弾け飛んだ。

「うっ、気持ち悪いゾイ……。だが、ワシらはそれで屈しないゾイ!」

「そうだ、俺達は必ず生きて、帰るんだ」

「だから、こんなゾンビくらいに負けるわけにはいかない!」

「昇龍拳!」

 リュウの昇龍拳がゾンビを捉えて上に吹っ飛ばすと、

 ファルコンが飛び蹴りでゾンビを地面に叩き落とす。

 ゾンビが地面に落ちる直前にデデデがハンマーを野球のバットのようにスイングし、

 ゾンビは空の彼方に飛んでいった。

 だが、ゾンビは次から次へと現れ、数が減る気配はない。

「ええい、どこから湧き出てくるんだゾイ!」

「倒しても倒しても出てくるぞ」

「これではきりがない!」

 このままでは、ゾンビの群れが全滅する前にこちら側が疲労で倒れてしまう。

 どうすればいいかと困っていたその時、デデデが二人の前に立ち、大きく口を開けた。

「な、何をするつもりだ?」

「こうすればいいゾイ! ずぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 すると、デデデがゾンビの群れを全て吸い込み、星型弾に変えて吐き出した。

 これにより、ゾンビ達は全滅したのだった。

 

「……まさかお前、敵を吸い込めるのか?」

「当たり前だゾイ! ワシを誰だと思っているんだゾイ? ワシはデデデ大王なんだゾイ!」

 えっへんと胸を張るデデデ。

 実は彼はとある風使いと契約しており、吸い込み、吐き出し、ホバリングができる。

 そのため、いざという時はこれらを使って敵と戦う事ができるのだ。

「は、ははは……そうだな。まぁ、こいつらを全滅できてよかったな」

「ちょっと大変だったがな」

「ともかく、これで危機は脱出できた。急いで安全な場所に向かうぞ!」

 そう言って、リュウ、ファルコン、デデデは目的地を探して走り出した。

 そんな彼らを追いかけるのは、ブロブやゾンビ犬などの異形の生物だ。

「こんな化け物まで、この世界にいるのか」

「ワシらの世界にはいなかったゾイ。こいつらも闇のせいでこうなったんだゾイ?」

「ああ……恐らくは、な」

「こんな世界など地獄でしかないゾイ! 脱出手段を探して元の世界に帰りたいゾイ!」

「そうは言っても、それが見つかっていない以上、ここで過ごしていくしかないようだ」

 リュウの言う通り、今はこの世界から脱出する事ができない。

 異世界を自由に行き来できる者もおらず、もしいたとしても力を封じられて使えないだろう。

 だが、こんな世界に安全地帯はあるのか、とファルコンは不満を漏らした。

「あると信じなければ、俺達の心は壊れてしまう。ここは、そんな過酷な世界だ」

「……まったく、ワシらをここに飛ばしたのはどこのどいつだゾイ」

「デデデ?」

「ファルコン! リュウ!

 安全地帯を見つけたら、まずは勝手にここに飛ばした奴にガツンと言ってやるゾイ!」

 デデデはそう言って先に行こうとするが、ファルコンがデデデの服の袖を掴む。

「何するんだゾイ!」

「お前の気持ちは分かるが、先走ったら大変な事になるぞ」

「むぅ、分かったゾイ」

 デデデは落ち着きを取り戻し、リュウ、ファルコンと共にこの世界の安全地帯を探した。

 10分後。

 

「……まだ見つからないぞ。一体、安全地帯はどこにあるんだ」

「目印がないから、見つけるのに時間がかかっているだけだ」

「こんなだだっ広い世界に目印なんてあるわけないゾイ。もうワシ、腹が減ったゾイ」

 何度も歩いているのか、デデデは空腹で苛々してきており、顔色もかなり悪くなってきていた。

 これに流石の二人も危機感を感じたのか、

 目印を探しているが見つかるはずもなく、ただ時間だけが過ぎていった。

 そして5分後、ついにデデデは大きく息を吸い込み……。

 

「腹減ったゾーーーーーーーーーーーーイ!!!」

 その場にいた人(デデデ以外)が気絶しそうなほどの大声を上げた。

 

「! 今、声が聞こえなかったか!?」

 仲間を探していたスマブラ四天王の一匹、ピカチュウが耳をぴんと立てた。

「ピカチュウ……どこから声が聞こえてきたんだ?」

「八時の方向だ! 皆、走れ!」

「うん!」

 ピカチュウを先頭に、マリオ、リンク、カービィは八時の方向へ走り出した。

 

「ふぅ、すっきりしたゾイ……って、あれ?」

 デデデが辺りを見渡すと、ファルコンとリュウが倒れていた。

「……い、今のは……」

「……とてつもなく、五月蠅かった……」

「あ~、それはすまなかったゾイ。でも、本当に腹が減ったんだゾイ」

「だが、今は食べ物がないんだ」

「だからデデデ、今は我慢してくれ」

 ゆっくりと起き上がった後にファルコンとリュウが言う。

「我慢できないゾイ……誰か食べ物を持ってきてほしいゾイ!」

「それなら、俺達が今から持ってきてやるぜ」

「何?」

 デデデが声のした方を向くと、そこにいたのはマリオ、リンク、カービィ、ピカチュウだった。

「カービィ!」

「デデデ~! 会いたかったよ~!」

 カービィはぎゅっとデデデに抱きついた。

「カ、カービィ……どうしてワシらがここにいたか分かったゾイ?」

「それはね~、アス姉から聞いたからなんだ!」

「アス姉? 誰だゾイ?」

 首を傾げるデデデに、マリオはアスティマについて彼に説明した。

「なるほど、そいつがいれば食べ物だって出せるゾイね」

「それはよかった、ちょうど俺達も安全地帯も探していたところだったんだ」

「この闇の世界にあるのか?」

 ファルコンとリュウが自分達の目的をマリオ達に言うと、マリオは頷いて彼らに背を向けた。

「詳しくは、俺達についていけば分かるぜ」

「本当か?」

「大丈夫だ、問題ない」

 どこか懐かしいセリフを言いながら、

 マリオ達はファルコン、リュウ、デデデをラストホープに案内した。

「着いたぜ、ここがラストホープだ」

「おおっ!」

 三人の目の前に広がっていたのは、温かい光に無邪気にはしゃぐスマブラメンバー、

 そして杖を持った女性の姿だった。

 滅びた世界に似合わない、平和そのものの風景だった。

「腹減ったゾ~~~~イ!」

 デデデはすぐさま、箱がたくさん積まれている場所へ向かった。

「食べ物はどこだゾイ、食べ物はどこだゾイ、食べ物はどこにあるんだゾイ!」

「ちょっとちょっと!」

 デデデが食べ物を探していると、コンコンと誰かが頭を叩いていた。

 彼が音のした方を振り向くと、そこにはアスティマが立っていた。

「なんだゾイ」

「それは、皆さんに集めてもらった水と食糧です。食べ物は今から用意しますから、慌てないでください」

 アスティマが杖を振ると、デデデの掌に食べ物が現れた。

「おおお! これはまさしく食べ物だゾイ!!」

 デデデは食べ物を見るや否や、すぐにむしゃむしゃと食べ始めた。

 さっきまで思っていた「ガツンと何か言いたい」という気持ちは吹っ飛んでいったようだ。

「あははは……カービィさまもそこにいるペンギンもとっても食いしん坊なんですね」

「アス姉! ペンギンじゃなくて、デデデっていうちゃんとした名前があるんだよ!」

「あら……そうでしたか。それで? リンクさま、次に何か用でもありますか?」

「う~ん……」

 リンクが辺りをきょろきょろと見渡すと、

 もう散らばっているメンバーは少なくなっている事が分かった。

「仲間も十分集まってきてるし、次は仲間探しを休んで物資調達に行こうぜ」

「仲間を探してばかりではへとへとになるからな」

「そうですね。生命線が尽きてしまえばゲームオーバーになりますからね。

 いいですよ、誰が行きますか?」

「僕が行こう」

 最初に立候補したのは、シークだった。

「はい、シークさまですね。次は誰が行きます?」

「俺だ」

「僕も!」

「ネス君が行くならボクも一緒に行こうかな」

 次に手を挙げたのは、ゲッコウガ、ネス、リュカだった。

「これで全員でしょうかね」

「あらアスティマ、私も忘れてないわよね?」

「わっ、ピーチさま!」

 アスティマが彼らを行かせようとした時、彼女の後ろからピーチが声をかけてきた。

 どうやら、彼女もシーク達に同行するようだ。

「最近、マリオが頑張ってばかりだから、私も頑張ろうかなって思っちゃって♪」

「ピーチ、外は危険だけど大丈夫?」

「あら、私結構腕には自信があるのよ? お姫様は守られるだけじゃないんだから」

 そう言って、ピーチはフライパンを構えた。

 その割には攫われ率が異様に高いだろ……とマリオが心の中で突っ込んだ。

「だから、安心してね♪」

「う、うん……」

 ピーチがウィンクすると、シーク、ゲッコウガ、ネス、リュカはこくっと頷いた。

 

「では、行ってくる」

「気を付けろよ~!」

「は~い! ちゃんとお土産持ってくるから待っててね~!」

 シーク、ゲッコウガ、ネス、リュカ、ピーチは、物資を探しにラストホープを出ていった。

「さて、私は少し休……ぐっ!」

 アスティマが休もうとしたその時、彼女が突然、頭を抱えて膝をついた。

「は……う……うぅ……あ……っ! み……んな、シーク、さま……!

 そっち、じゃ、ありま、せん……!」

「どうした、アスティマ!?」

「うぅ……シークさま達が行った先に、強い闇の力があるんです……! 救援に向かえますか……?」

「いや、シーク達を信じて俺達は待つ。それよりもお前の方が心配だ、無理しないでくれ」

「う……うぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 アスティマの苦しみが、何を表しているのか。

 それはまだ、誰も分かっていない。


 
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