「まさかこんな世界に来て、こんな化け物と戦うなんてな……」
「ちぃっ……俺達は二人だけなのに、うじゃうじゃいやがるぜ」
フォックスとファルコは、巨大な蜘蛛や鴉と戦っていた。
だが、数は多く、とても二人では捌き切れない量だ。
ブラスターなどで何とか撃ち抜いてはいるものの、数はまだ減っていないようだ。
「そういえば、ウルフともはぐれてしまったようだ」
「ウルフ? あぁ、あいつなら一人で何とかやってるだろ。俺達は俺達でできる事をやろうぜ」
「そうだな、ファルコ。行くぞ」
フォックスのブラスターが鴉を撃ち抜き、墜落した後にファルコがウイングエッジで攻撃する。
すると二体の巨大蜘蛛がフォックスに糸を吐いて彼の動きを制限した。
「うわっ!」
「大丈夫か、フォックス!」
「くそっ、なかなか動けない!」
蜘蛛の大きさのせいか、吐いた糸も大きく、振りほどこうにもなかなか振りほどけなかった。
その間に他の巨大蜘蛛や鴉がフォックスを襲うが、フォックスは全ての攻撃を何とか回避した。
フォックスとファルコはこの状況を打開するべくファイアフォックスとファイアバードを使い、
巨大蜘蛛を一体撃破する。
「ようやく一体減らせたか」
「ったく、手間がかかるぜ。とっととくたばれ!」
そう言ってファルコは鴉をブラスターで撃つ。
怯んだ鴉に対しフォックスはファイアフォックスで攻撃して倒し、
続けてファルコも巨大蜘蛛をファイアバードで焼き尽くした。
「はぁっ……この世界でダメージを受けたら、『本当に』傷がついてしまうようだな」
フォックスの言う通り、この世界では争いの世界にはない「生死」が存在するようで、
文字通りやらなければやられる世界である。
二人は争いの世界でいくら乱闘が行われても大怪我を負わない事のありがたみを思い知らされていた。
「それに、腹も減ってきたぜ……」
「なら、そこに焼き鴉と焼き蜘蛛が」
「誰が食うかよ」
もしもこのまま食事を採れなければ、フォックスとファルコは空腹によって餓死してしまう。
そうなるのを避けるために、早くこの魔物を倒さなければならない。
だが、多くの敵を相手にすれば、消耗が激しくなってしまうため、時には逃げる事も必要なのだ。
そう判断したフォックスとファルコは、この魔物から逃げ出そうとした。
「追ってきたぞ!」
「しまった、逃げ道を塞がれた!」
しかし、魔物から逃げようにも逃がしてくれるはずがなかった。
巨大蜘蛛と鴉は素早い動きで逃げ道を塞ぎ、フォックスとファルコの逃走を阻止する。
「くそっ、どうすればいい……」
「……こうなったら」
ファルコは、フォックスを庇うかのように彼の目の前に立った。
「どうした?」
「ここは俺が引き受ける! お前は先に逃げろ!」
「ファルコ!?」
普段は乱暴で口が悪いファルコだが、実は仲間意識と自己犠牲心が非常に強いのだ。
「今は一人でも生き残るのが先だ! だから、お前だけでも生き残れ!」
「だがファルコ、お前がいなくなれば……」
「いいから逃げろ!! このまま二人ともくたばったら元も子もない!!」
ファルコの必死な様子を見たフォックスは頷き、「分かった」と言ってその場を後にした。
「フォックス……お前は絶対に生き残らせてやる。何故なら……俺の『仲間』だからな!!」
「……!!」
突然、アスティマは何かを感じ取ったようで、むくりと起き上がる。
そして何も言わず、ラストホープを立ち去ろうとした時だった。
「……どうしたの、アスティマ?」
サムスも起きたようでアスティマのところに行く。
「あ、サムスさま……何か、嫌な予感がしたので、外に出ようと思いましたが……」
「貴方はラストホープを守る立場なんでしょ? ここは、私が行ってくるわ」
アスティマがラストホープからいなくなるのは非常に危険な状況になると判断したサムスは、
自分が代わりに行く事にした。
「あら、そうでしたね。早とちりしそうでした。……では、いってらっしゃい」
「大丈夫よ、必ず生きて帰ってくる」
そう言い、サムスはラストホープを立ち去った。
「……しかし、嫌な予感と言っても、東西南北がないし、探すのには骨が折れそうだわ」
サムスが辺りを見渡していると、どこからか足音が聞こえてきた。
「この足音は……何?」
彼女がその足音の方に向かって走ると、フォックスに出会った。
「フォックスじゃない! どうしたの?」
「ああ、実はかくかくしかじかでな……」
フォックスがサムスに事情を話すと、サムスはうーんと頭を捻ってこう言った。
「ファルコ、自己犠牲はいいんだけどこっちの事も考えなさいよね……」
「俺を守るためとはいえ、もしも死んだら二度と俺を守れなくなるんだぞ?」
「だから、私達でファルコを助けなきゃいけない」
「そうと考えたら、すぐに行くぞ!」
「ええ!」
そう言って、サムスとフォックスはファルコを助けるために走り出した。
その頃、ファルコは……。
「はぁ、はぁ、はぁっ……」
巨大蜘蛛や鴉と戦い続けていたが、数は一向に減らず、傷ついてばかりいた。
このまま戦闘を続けていけば、いずれファルコは力尽きてしまうだろうが、それでも彼は退かなかった。
「俺はフォックスさえ守れれば、この命が尽きても……」
そう言い、ファルコがブラスターの引き金を引こうとした、その時だった。
「「ファルコ!!」」
突然、向こうから男女の声が聞こえてきた。
誰だ、とファルコが身構えると、フォックスとサムスがやって来た。
「今、助けに来たぞ!」
「フォックス! それにサムスまで! 何故、ここが分かったんだ!」
「アスティマって人に教えてもらったのよ、何か嫌な予感がするって」
「それに、お前が死んだら、俺も死んだも同然の状態になる! お前は本当に、死んでもいいのか!?」
フォックスはいつもよりきつい言葉を吐くが、それはファルコのためを思っての言葉である。
自分とファルコ、そして多くの仲間がいてこそのスターフォックス、
そしてスマブラメンバーだとフォックスは思っているのだから。
「フン、俺はそんなに軟じゃねぇんだけどな。だが、それもまた悪くない道だな!
……手伝えよ、フォックス!」
「まったく、ファルコは素直じゃないな!」
「……行くわよ!」
フォックス、ファルコ、サムスはそれぞれの武器を構え、戦闘に臨んだ。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
スターフォックス組、登場です。