その頃、ピットとパルテナは……。
「パルテナ様! 何ですか、この魔物は?」
「私でも分かりませんわ。冥府軍にも自然軍にもこんな魔物はいませんでしたもの」
不気味な動く死体、ゾンビと戦っていた。
この魔物は皆、生ある者に対する憎悪のみで動いているようで知性は全く感じられない。
「ですがピット、この魔物に知性は無いと見ました。ピット、彼らを上手く誘導しなさい」
「はい!」
ピットは全てのゾンビを一つの場所に誘導した。
「爆炎!」
パルテナはその隙に杖を振り、ゾンビがいる場所に爆発を起こす。
攻撃系の奇跡「爆炎」だ。
爆炎に巻き込まれたゾンビは四散して消滅する。
「やりました、パルテナ様!」
「ピット、油断は禁物です」
「えっ!?」
パルテナの言葉と同時に、大量のゾンビがピットとパルテナを取り囲んだ。
「わわわわ、こんなに敵が!」
「貴方も戦うのよ」
「分かってます!」
ピットは神器、パルテナは奇跡を使ってゾンビを次々と倒しているが、
いくら倒してもゾンビが減る気配はない。
むしろ、どんどんと数が増えているようだ。
「あぁぁ、もう、こんな時に都合よく援軍が来るわけが……」
ピットがそう言って頭を抱えていると、
「あるんだよな」
「その声は……マリオ!?」
ピット達の背後から、マリオの声が聞こえてきた。
「今、助けに来たぜ!」
「僕達がいれば百人馬力だよ!」
「……随分と中途半端な言い間違いだな」
同時に、スマブラ四天王の残りメンバー、リンク、カービィ、ピカチュウも現れた。
「どうしてすぐ、私達がこんな敵と戦っているのか分かったのですか?」
「話は後だ、来るぞ!」
パルテナに理由を話すより、まずはこのゾンビを一掃しなければならない。
マリオ達は戦闘態勢を取った。
「ファイアボール!」
マリオはまず、ゾンビにファイアボールを放って燃やすと、
リンクがゾンビの群れに飛び込んで回転斬りを行う。
その隙にパルテナが瀕死のゾンビをオート照準で仕留めた。
ゾンビはマリオに噛みつこうとしたが、リンクが盾で防いでダメージを最小限に抑える。
別のゾンビがピカチュウを噛みついて攻撃したが、ゾンビ側が与えたダメージはこれだけだった。
「伊達に親衛隊長をやってませんよ!」
ピットはパルテナの神弓を構え、ゾンビの一体を貫く。
ゾンビは絶叫しながら悶える。
どうやら、この一撃がかなり効いたようだ。
「僕だって! ストーン!」
カービィがホバリングをした後、石に変身してゾンビを押し潰し戦闘不能にする。
「いくぜ、かみなり!!」
さらに、ピカチュウのかみなりがゾンビ達に命中し、ゾンビの人数を半分に減らした。
だがゾンビ側もやられてばかりではないようで、
一体のゾンビが変身を解除したカービィを掴んで絞り上げる。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「まるでリーデットみたいだぜ」
「そんな事はいいから早く助けてよ!」
「はいはい」
ゾンビに掴まれているカービィを助けるため、
リンクは疾風のブーメランでゾンビを気絶させた後に素早くカービィを助ける。
しかしゾンビは容赦なくマリオに襲い掛かり、噛みつこうとする。
「危ねぇ!」
ゾンビの噛みつき攻撃がマリオに当たる直前でリンクが彼を庇い代わりにダメージを受ける。
「リンク、大忙しだな……」
「あ、ああ……」
「大忙し? それは僕に言うセリフなのでは?」
そう言ってピットはパルテナの神弓を双剣にしてゾンビに突っ込んで連続で切り裂く。
ゾンビに致命傷を与える事はできたものの、戦闘不能にするまでは至っていなかったようだ。
そこにパルテナの爆炎が炸裂し、ゾンビは戦闘不能になった。
「ハンマー!」
「ショート電撃!」
「スーパージャンプパンチ!」
カービィのハンマーがゾンビを吹っ飛ばした後、ピカチュウがショート電撃を食らわせてゾンビを倒し、
残り一体のゾンビをマリオがスーパージャンプパンチで倒した事によりゾンビは全滅したのだった。
「所詮は数だけのキング・オブ・ザコでしたね」
「キング・オブ・ザコって……。それよりも、お前達の居場所が分かった理由をまだ話してなかったな。
まずは東に向かってテレポートをしろ」
「えっ、東ですか? 分かりましたよ、テレポート!」
パルテナのテレポートにより、六人はラストホープに移動した。
「ここがアスティマって奴が治めるラストホープだ」
「ラストホープ……最後の希望、という意味ですね」
「ああ」
この荒廃した世界で人々がまともに住む事ができる数少ない場所……
だから“最後の希望”と呼ばれているのだろう。
「ところで、アスティマってどういう人なの?」
「ああ、今から呼んでくる。アスティマー!」
「はい!」
マリオがアスティマの名を呼ぶと、六人の目の前に金髪碧眼の女性が現れた。
「この人が……アスティマっていうんですか?」
「ええ。よろしくね、ピットさま、パルテナさま」
アスティマはぺこりとピットとパルテナにお辞儀した。
「それで、どうして僕達の居場所が分かったんですか? それに、魔物と戦っていたという事も……」
「あなた達の居場所が分かったのは、私があなた達の声を聴いたからです」
「それで俺達がお前らを助けた、って事だ」
「皆様をこんな事に巻き込んでしまって、本当に申し訳ないと思っています」
「気にしないでください。
僕だって、貴方とマリオ達の助けがなければ、あのゾンビにやられてましたから……」
「こういう時はヤラレチャッタ、って言うのが流儀じゃないかしら?」
「って勝手に僕を殺すなー!!」
アスティマ、ピット、パルテナの漫才を聞いて笑う一同。
その光景は、とても荒廃した世界で行われているものとは思えなかった。
「……それで、アスティマ。私達はこれからどうすればいいのです?」
「あなた達はここで待っていてください。希望を集めるために、そこの四人に活動させますから」
そう言ってアスティマはスマブラ四天王を指差す。
「つまり僕達はここで留守番してろという事ですか? 僕だって、戦えるんですよ!」
しかし、ピットは留守番をさせられると間接的に知ったため腹を立てた。
パルテナはピットを宥めようとする。
「まぁまぁ、ちょっと待ってください。
アスティマ、二人だけで散らばった仲間を探してもよろしいですか?」
「ダメです、二人だけでは危険です。できれば三人以上でなければ……」
「そんなの嫌です!」
「ピット。あのゾンビは私とピットの二人だけで全滅させられましたか?」
「……いえ」
自分達は確かに大量のゾンビを全滅させたのだが、それはスマブラ四天王がいたからだった。
もし自分達だけだったら、ゾンビを全滅できなかったかもしれない。
つまり、二人だけでこのラストホープを出て危険な世界に出たら……。
「今はマリオ達を信じて待ちましょう。そして新たな仲間が来たら、彼らと同行するのです」
「……分かりました」
ピットはパルテナに諭され、渋々ラストホープで待つ事にしたのだった。
「で、次の仲間はどこにいるんだ?」
「……」
リンクがアスティマにそう問うと、彼女は目を閉じて精神を集中させた。
アスティマの頭の中に、声が聴こえてくる。
―なんで、こんな化け物がいるの……!?
―僕達の世界に、こんなのはいないからだね。
―しっかり相手の動きを見るんだ。
―ゆ、勇気を出さなきゃ、いけないよね?
―そうでなくちゃ、この敵は倒せないよ。
「……少年が三人です」
「どこにいるんだ?」
「南東から声が聴こえてきました」
「よし、そこか。じゃあ、行ってくるぞ。待ってろよ、みんな。必ず、生きて帰ってくるからな」
「では、お気をつけて……」
スマブラ四天王はピットとパルテナに留守を任せ、次の仲間を探すのであった。
「パルテナ様……」
「大丈夫です、彼らは絶対に死にませんよ?」
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ピットとパルテナ様の登場回。
この物語では、パルテナ様はちゃんと戦いますよ。