霞と風刻は、最早誰にも捉えきれない速度の戦闘にまで激化した
『制限解除』で窮地に追い込まれる霞だが、背水の陣で『限界突破』を会得し
見頃、風刻を撃破したのだった
十節 ~部隊長対決
愛紗VS絡繰人間2号 闇霊~
いよいよ、『大陸五虎将』VS『龍天五獄隊』最後の戦いを見てみよう
愛紗の相手となるのは『龍天五獄隊』の隊長であり、凶悪な闇の能力を操る絡繰人間・闇霊(おんれい)である
愛紗「闇霊………我々も始めるとするか」
愛紗は『青龍偃月刀』の刃先を闇霊に向ける
闇霊「よかろう………
だが、関羽…………貴様はこの闇霊の相手になる程の力量があるのか?」
闇霊は無表情で愛紗を煽る
愛紗「貴様を倒す事ができる実力くらいは持ち合わせている」
愛紗は斜め上の返答をした
闇霊「大きく出たものだな……
これだけは言っておく、貴様にこの闇霊は倒せぬ」
愛紗「口では何とでも言えよう、闇霊っ!!!」
愛紗は『青龍偃月刀』を構え、勢いよく走り出した
闇霊「口では何とでも言える……か」
闇霊は目を閉じ、小さく息を吐く
闇霊「……手を下す必要がないからだ」
愛紗「はああぁぁぁぁっ!!!」
フォンッ!!!
愛紗は『青龍偃月刀』をクロス状に振り回し、真っ正面から闇霊に攻撃を仕掛けた
だが
ズズズズズズズズッ!!!
愛紗「っ!!?」
愛紗の攻撃の方向に黒い楕円状の物が現れる
攻撃は空を切り、闇霊に攻撃は届かなかった
鈴々「なんなのだ?あれ」
璃々(未来)「あれこそ、闇霊の能力……あらゆる攻撃を無効化する闇の能力ですっ!!!」
未来の璃々が冷や汗を流して呟く
璃々(未来)「闇霊の闇の能力により、どんな強大な攻撃も全てが零にされてしまいます……
今のも愛紗さんの攻撃を無効化したのです……」
愛紗「無効化か………」
愛紗は一度、後ろへ退き体勢を立て直す
闇霊「『暗闇(くらやみ)』の恐ろしさが理解できたか?
『暗闇』は貴様の全てを飲み込む漆黒の闇………全てが無駄だ」
闇霊は腕を組み、愛紗を見る
闇霊「この闇霊が手を下す必要がない理由がこういうことだ
勝負は既に付いている………だからこそ、貴様がこの闇霊の相手をするには役者不足なのだ」
愛紗「……勝手に決めつけないでもらおうか……」
愛紗は闇霊の言葉を一蹴する
愛紗「そのような決め付けこそ、口でいくらでも言える事………
事実はやらねば分からぬのではないか?」
闇霊「いや、必要ない………闇の力に全ては無力だ
だが、貴様には言っても分からぬのであろう………
不本意だが、この闇霊が引導を渡してくれるわ」
ズズズズズズズズッ!!!
闇霊は周囲に黒い玉を無数に作り出す
闇霊「『闇雲(やみくも)』………いけ」
闇霊は闇の力を凝縮した『気弾』、『闇雲』を愛紗目掛けて放つ
スピードこそ、そこまで速くはない
愛紗「(恐らく、攻撃しても無駄だろう………
ならば、回避のみだ)」
愛紗は『闇雲』を躱していく
そして
愛紗「はああぁぁぁぁっ!!!」
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
斬撃を闇霊へ放つ
闇霊「懲りない奴だ…………」
ズズズズズズズズッ!!!
闇霊は溜め息をつき、『暗闇』を発動させ、斬撃を飲み込ませた
闇霊「何度やろうと無駄だ」
愛紗はそれでもなお、斬撃を放ちつつ闇霊へ接近していく
愛紗「たあぁぁぁぁぁっ!!!」
闇霊「見苦しいぞ、関羽………『闇黒(あんこく)』」
ズズズズズズズズッ!!!
愛紗が至近距離にまで近づいた時、闇霊は愛紗に巨大な闇を覆い被せた
愛紗「っ!!?」
愛紗は瞬く間に『闇黒』に飲み込まれた
闇霊「『闇黒』の闇に堕ちろ………」
闇霊は右手を強く握り締める
ドォォォンッ!!!
『闇黒』から強烈な衝撃波が生まれる
そして、『闇黒』が消え去ると
愛紗「ぐ……く………」
満身創痍の愛紗が立っていた
星「………何があったのだ…?」
翠「愛紗、ボロボロじゃないかっ!!!」
全員が愛紗の様子を見て騒ぎ出す
闇霊「『闇黒』は敵からの攻撃を無効化するだけではなく、一撃のみ強大な衝撃波を発生させる事ができる
云わば攻撃と防御を同時に発動する技だ………」
闇霊は感情のない瞳で愛紗を見る
闇霊「一撃とは言えど、かなり効くであろう?」
愛紗「くっ………!!!」
愛紗は苦痛の表情をしながら『青龍偃月刀』を構え直す
切っ先は真っ直ぐ、闇霊へ向けられる
その切っ先は微動だにしない
闇霊「………呆れてものも言えぬな」
闇霊は溜め息をつく
闇霊「『闇雲』、いけ」
闇霊は再び『闇雲』を放ち出した
愛紗「…………っ」
愛紗は『闇雲』を躱しつつ、走り出す
愛紗「(闇霊に対して、真っ正面からの攻撃では無意味だ………
ならば、裏をかけば…………!!!)」
愛紗は突然、クイックターンをして切り返し、闇霊との距離を詰める
闇霊は構わず『闇雲』を放ち続ける
愛紗「たあぁぁぁぁぁっ!!!」
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
愛紗は走りながら斬撃を放つ
闇霊「………くどい」
ズズズズズズズズッ!!!
闇霊は『暗闇』を出現させ、斬撃を無効化する
その間、愛紗と闇霊との距離は縮まり
愛紗「はああぁぁぁぁっ!!!」
愛紗は『青龍偃月刀』を構える
闇霊「……貴様には『学習』の二文字はないのか?」
ズズズズズズズズッ!!!
闇霊は愛紗に再び『闇黒』を覆わせる
翠「まずいっ!!!また喰らっちまうぞっ!!!」
闇霊「散れ」
闇霊は右手に力を込める
ドォォォンッ!!!
『闇黒』の衝撃波が再び発生する
だが
闇霊「…………関羽がいない?」
『闇黒』から一向に愛紗が出てこないのだ
それもそうだろう
なぜなら
愛紗「…………後ろだっ!!!」
愛紗は闇霊の背後に移動していたのだから
闇霊「っ」
闇霊も反応が一瞬、遅れ
フォンッ!!!
ザシュッ!!!
闇霊「っ」
愛紗の斬撃を諸に受けた
闇霊は一度、後ろに飛び愛紗から離れる
闇霊「貴様は『闇黒』で捕らえた筈………
回避したのか?」
闇霊は右肩から流れ出る血を気にすることなく、愛紗に問う
愛紗「そうだ………
貴様の『闇黒』は確かに強力な技だが、発動時には僅かな隙が生まれる
それを利用して背後に回り込んだのだ」
愛紗は『青龍偃月刀』を握り締めて闇霊を睨み付ける
機器音声「損傷率:1割1分1厘」
闇霊「………貴様を少し舐めていたようだ
この闇霊、誕生して『損傷率』が1割を上回った事はない……初めての経験だ」
左慈「体力が90%を下回った事がないってことか?
ただのプチ自慢じゃねーか、反吐が出らぁ」
左慈は腕を組んで唾を吐く
闇霊「貴様にはそれほどの実力があるということか…………
成る程、面白い………」
闇霊は表情を一切変えず、左手を愛紗に向けて突き出す
愛紗「っ!!!」
愛紗は闇霊の行動を警戒する
闇霊「……構えたところで無駄だ」
ズズズズズズズズッ!!!
一刀「っ!!?」
貂蝉「ちょっとぉっ!!!あれってんっ!!?」
愛紗「っ!!?まさかっ!!?」
フォンッ!!!
バキッ!!!
愛紗「がぁっ!!?」
闇霊「距離を無効化するのだからな、『闇行』は…………」
闇霊は左手の先に管理者達が移動手段に利用する『闇行』を作り出し、一方を愛紗の目の前に作り出し、その『闇行』の中に自らの右手を入れ込み、愛紗を殴り付けたのだ
一刀(未来)「馬鹿なっ!!!あれは『闇行』、そして俺の『闇拳』っ!!?」
卑弥呼「『闇行』は我ら管理者のみにしか使えぬ術……何故、絡繰人間がっ!!?」
廻りが騒ぎ出すなか、于吉は一人考察していた
于吉「(絡繰人間が使える代物ではない………
例え、闇の能力を操れたとしても、『闇行』はまた別の異質な術故に管理者のみ使用が可能………
となれば、少なくとも………)」
于吉は闇霊を見て呟く
于吉「管理者が関わっている事が絶対条件……
そして、現在………最も怪しい人物はたった一人…………」
今度は、闇霊の遥か後方に控える人物を見る
于吉「…………………絡繰人間1号、『闇の副大将』斬魔……
一体、何者………?」
于吉は一人、斬魔の存在を考えるのだった
愛紗「ぐっ………まさか、『闇行』を使うとは………」
闇霊「驚きだろう?果たして、貴様に躱せられるか?」
ズズズズズズズズッ!!!
愛紗の周囲に4つの『闇行』が出現する
愛紗「っ!!!」
闇霊「…………袋叩きだ」
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
『闇行』から闇霊の拳が愛紗に雨のように降りかかる
愛紗「くっ、ぐっ、っ、ぬっ!!!」
何とか愛紗は躱したり、『青龍偃月刀』で受け止めるが、全て紙一重
一歩間違えれば全弾直撃してしまう
だが、愛紗はそれを逆手に利用する
愛紗「(『闇行』は確かに、距離を無効化する…………
だが、逆に言えば、それは此方の距離も無効化できる………!!!)」
愛紗は『闇行』から出てくる拳を見極める
そして
フォンッ!!!
4つの内、1つから出てきた拳を躱し
愛紗「そこだぁっ!!!」
フォンッ!!!
その拳を伝うように斬撃を『闇行』目掛けて放つ
斬撃は『闇行』に吸い込まれるように入り込み
闇霊「っ」
ザシュッ!!!
通々になっている闇霊側の『闇行』から斬撃が現れ、闇霊の体を掠める
闇霊「………逆手に取られたか」
闇霊は拳を引っ込め、『闇行』を消し去る
その隙を逃さなかった愛紗は
愛紗「今だっ!!!」
ゴオォォォォッ!!!
『龍走』をして距離を縮め、闇霊に斬りかかった
闇霊「っ、『暗闇』」
闇霊は咄嗟に愛紗の攻撃の無効化を図る為、『暗闇』を発動させた
だが
愛紗「そう来ると思っていたぞっ!!!闇霊っ!!!」
愛紗は『暗闇』の目の前で『龍走』と自らの攻撃を急停止させ
シュンッ!!!
『空走』をして闇霊の背後に回り込んだ
闇霊「っ、しまった」
ここで、初めて闇霊は表情を僅かに崩し、後ろを振り向きながら苦虫を噛み潰した表情となる
鈴々「いけーーーー愛紗ーーーーっ!!!」
桃香「愛紗ちゃーーーんっ!!!」
愛紗「はああぁぁぁぁっ!!!」
愛紗は渾身の力を込めた攻撃を闇霊に向けた
しかし
フォンッ!!!
ザシュッ!!!
愛紗「っ!!?がぁっ!!!」
闇霊の首筋に攻撃が当たるか当たらないかのところで、愛紗のうめき声と共に、攻撃が止まってしまった
その理由は、愛紗の右肩に鋭利な刃が深々と突き刺さっていたのだ
その刃は、闇霊の足元にある掌程の小さな『闇行』から直線上に愛紗に突き刺さっていた
闇霊「………『闇刃・村正(おんば・むらまさ)』……闇の力を凝縮した剣だ」
『闇刃・村正』に愛紗の血が流れ、滴り落ちる
闇霊「流石のこの闇霊も肝が冷えたぞ………」
愛紗「くっ…………おのれ…!!!」
闇霊「残念だったな、関羽」
愛紗「(ここで、散る訳にはいかぬ……………!!!
私は、こやつを斬ると………約束したのだっ!!!)」
愛紗は再び、『青龍偃月刀』に力を込める
愛紗「はああぁぁぁぁっ!!!」
闇霊「無駄だ、『暗闇』」
闇霊は今度は落ち着いて、愛紗の矛先に『暗闇』を発動させる
これで愛紗の攻撃は無効化される
筈だった
フォンッ!!!
ザシュッ!!!
闇霊「っ!!!なに?」
流石の闇霊も目を見開く
『暗闇』は真っ二つに裂かれ、闇霊に攻撃が当たっていたのだ
愛紗「…………………これは…!!?」
愛紗は自らの異変に気づく
大量に放出される気
右頬に浮き上がる蜀と十がが重なった刺青
瞳の色が愛紗の通常の色は黄色に近い色だが、それが青紫となっている
髪が伸びたうえ、結んでいたものが解けている
肌が露出しているところに刺青ができ服が淡く輝いてる
愛紗「そうか………これが……」
愛紗「『限界突破』かっ!!!」
ここは『とある空間』………
??G「………う~ん、もう無理だぁ~~……限界だぁ~~…」
そこで嘆いているのは『ある人物』
??G「よーし、もう考えても分かんないやっ!!!とっとと出るぞぉ~っ!!!」
その人物は両腕をぐるぐると回す
??G「正直、使いたくないけど、やむを得ないしね…………」
苦笑いをしたその人物は、静かに構えるのだった
??G「あ、やべ
得物は『アイツ』に渡しちゃったんだった」
一人芝居をし、別の構えに構え直したこの人物は一体………?
……終……
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『制限解除』をした風刻との戦闘は、正に目にも止まらぬ速度の戦闘となった
神速の如くの攻撃に苦戦を虐げられる霞だったが
戦闘の最中で成長を遂げ、『限界突破』を為し遂げ
風刻を倒したのだった