No.963255

Under Of World ZERO 第7話-課せられる試練-

matuさん

訓練を終えた新人たちに大きな試練が与えられます。
果たして3人は課題を越えることが出来るのか?

ゼロ目線でお送りします。

2018-08-11 01:02:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:366   閲覧ユーザー数:366

 俺とレンジとハングの三人で、機体に乗ったキングさんを倒す? 確かにセルと戦う為に、自分よりも巨大な敵への対応策は叩き込まれたけど、セルをも凌駕するキングさんに渡り合うなんて想像もつかない

「まあまあ、三人ともそう硬くならずに」

「続けて概要だが、設定はこうだ。お前達は地下都市周辺の市街地にて探索任務中に敵を発見。別動していた俺達が到着するまでの四十分間足止めをすればいい。勿論無力化しても構わない。以上だ」

「了解っす」

「分かりました……」

「えっと、ひとつ質問なんだけど。装備とか場所はどうなるの?」

「それについては地上探索任務中を想定しているから、探索装備を用意するよ。具体的にはワイヤーとか工作用のバイオ燃料爆弾とかマチェテとかそんなのだね。場所は実際に地上の市街地で行う」

「地上で、ですか」

「私も一応機体を着て警戒はするし、ヘルメット型のガスマスクも用意があるから心配いらないよ」

「よし。それじゃあ、搬入口横の部屋が装備品室になっている。お前らは装備の確認と準備を整えてリフトに集合しろ」

「各々の名前が書かれたボックスに装備を用意しといたから、それを使ってね」

 それだけ言うとお二人はこちらも準備があるからとネストを出て行った。俺達は足早に装備品室に向かう。部屋に入ると棚や壁に掛けられた様々な道具や装備品が目についた。

「凄い部屋ね……」

「何に使うのかよく分かんねぇ物もいっぱいあるぜ?」

「えっと、それでボックスは……これかな」

 軽い金属で作られた少し大きめの箱が三つ並んでいて、それぞれに俺達の名前が刻んである。

「これだろ、名前書いてあるし。開けてみるか」

 レンジに続き俺達も箱を開けると中には一式の装備が入っていた。慣れないながらも、そそくさと箱の中身を身に着けると俺達はリフトへと向かった。リフトに着くとトラックに乗ったジャックさんが待っていた。トラックの隣にはバイクが三台止めてある。

「おやおや、みんな様になってるね。悪いけどこのトラックには機体を積んでいるから三人はバイクで追走してくれるかな」

「わかったわ」

「結構走るんですか?」

「三十分程度だからすぐだよ」

「そういえばキングの兄貴はどちらにいるんすか?」

「先に行って一応周辺を偵察しているよ。そろそろ私たちも出ようか」

 俺達はいよいよ地上へと繰り出した。辿り着いた市街地は集合住宅群の様で、酷似した飾り気のない三、四階建て程の建物が並んでいる。その周辺には幾つか小さなビルがあり、それを含めた市街地は途中から木々に飲まれ、俺達の背後は森と化していた。

「最終確認だけど君たちは四十分間、この市街地からキングを出さなければ良い。いいかい?」

「はい、問題ありません」

 俺が返事をするとレンジとハングも覚悟を決めたのか静かに頷いた。

「私はあの鉄塔の上で周囲の警戒と君たちの動きを見させて貰うから、配置に着いたらスタートの合図をするね」

機体に換装したジャックさんが鉄塔へと向かう。そして、開始の合図、照明弾が鉄塔から打ちあがった。

「始まったな」

「取り敢えず無線の確認をしましょう」

「そうだね。俺は大丈夫かな。二人の声はちゃんと聞こえてる」

「俺もだ」

「OK」

「まずは兄貴の居場所を知らなきゃな」

「なら散会して各自身を隠しながら索敵しよう」

「発見次第集合ね。いいわ」

「よし、行くか」

俺達は三手に分かれ、建物や茂みに身を隠しながら行動を開始した。

「こちらレンジ。敵影視認したぜ、場所は三号棟だ」

 三号棟。俺から見て東側の棟だ。ハングは西側にいるから少し遠いか。

「了解。俺も向かう」

「私は少し掛かるわ。見張ってて」

「任せろ」

 再び身を隠しながらできる限り最短のルートで三号棟に向かう。途中で屋根の上を飛び移っていたハングと合流した。

「ハング?」

「追いつけたみたいね」

「何だ今の」

「特技のひとつよ。パルクールっていう古い軍隊式の移動術」

「聞いたことないな」

「要護隊の隠れた十八番だから」

「なるほどな。それがあれば地下都市なら最速で移動できそうだ」

「着いたわ」

 俺達が三号棟を目の前にしたその時だった。大きな音と共にキングさんの怒号が鳴り響く。

「ルーキーども、掛かって来い! 隠れてやり過ごせると思うなよ!」

「やべぇぞ、建物を端からぶっ壊し始めた。ここまで来るのも時間の問題だぜ」

「今三号棟に着いた。もう少し監視しててくれないか」

「何か策を立てないと不味いわね。一帯を平地にされたんじゃ歯が立たない」

 どうする……ワイヤーで動きを止めるのが基本だけどあの状態じゃ近づけてもそんな隙は無いだろう。セルの外殻を使ったあの装甲相手では工作用の爆弾も通用しない。考えている内にも建物を破壊する音が徐々に近づいている。

「そろそろ退くぞ!目の前のビルが崩された!」

「ビルまで壊せるの? この集合住宅棟が壊されるかもしれないわ。私たちも一旦距離をとった方がいいんじゃない?」

 桁外れのパワーだ。ビルをも簡単に……ちょっと待てよ、これならもしかしたら。

「二人とも聞いてくれ。一か八かだけど案がある」

「マジか! 教えてくれ!」

「どうするの?」

 俺は手短に思いついた作戦を二人に伝えた。成功する確率は高くないかもしれない。でも現状考えうる中で最も可能性がある。

「俺は乗ったぜ。すぐ合流する」

「ただ、一瞬目を逸らすか視界を奪う必要があるんだ」

「それなら任せて、何とかするわ。少しだけ時間を稼いでくれる?」

「よし、なら最初はレンジと俺で陽動をしよう」

「一号棟付近の路地をポイントにしてそこまで誘導だな。一丁やってやろうぜ!」

「行くぞ、行動開始だ!」


 
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