No.96165

真・恋姫無双紅竜王伝⑨~幕間~

第9弾です。今回は幕間ということで超短めです。次の⑩はいよいよお待ちかね(?)の・・・

2009-09-19 12:18:09 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:7262   閲覧ユーザー数:6057

舞人が大将軍に就任してから、鎮圧軍は各地で黄巾党との戦いを優位に進めていた。荊州では左中郎将皇甫嵩率いる軍に従軍する袁術軍の配下である孫策軍の活躍で荊州黄巾党軍を撃破。廬植を総大将として派遣した冀州方面軍は本隊と見られていた冀州黄巾党軍を撃破。しかし首謀者たる張三姉妹を捕らえることは出来なかった。しかしその三姉妹を捕らえたのは陳留の主・曹操だった。

「ふーん、さすがは曹操殿・・・」

首魁を捕らえた彼女に対して朝廷は何らかの官位を与えようとしたが、舞人はそれに反対した。

「彼女は朝廷の官位なんぞより領地を欲しがってるよ」

十常侍を処分して得ていた彼らの旧領のうち許昌を中心とする大領の所有権を彼女に与えた。さらに公孫賛配下の義勇軍を率いて活躍していた劉備軍にも平原の相の職を与え、さらに荊州方面で活躍した孫策にも彼女の母・孫堅が有していた荊州は長沙の太守の職に任命した。

『黄巾の乱』はひとまず終了し、天下に再び平穏が訪れた―――

「おー」

舞人は洛陽を守る虎牢関に馬を進めていた。堅牢を誇る虎牢関には人足たちが木の足場を組み、虎牢関の石壁に取り付いていた。

「詠、工事ははかどってるか?」

この工事の責任者は詠。彼女は見取り図を手に人足たちに指示を出していた。

「ま、ね。でもあんたも就任早々すごい建策をしたものねー。『汜水関を解体し、その石材を虎牢関及び洛陽の補強と改修に当てる』なんてさ」

舞人は月と自分が高官に就任する事で、何らかの軍事的反応が来る事を予感していた。そうなると敵は単独では攻め込んでは来ないはず。まがりなりにもこちらは帝を擁しているので下手をすればあちらが逆賊として周囲の諸侯に追討されかねないからだ。

「大軍の不利なところは食糧確保に苦労することだ。こちらは向こうさんの食料が切れるまで亀みたいに籠ってりゃ勝てるんだ」

そう唱えた舞人は汜水・虎牢の2つの砦に兵力を分散するよりも、1つの砦に兵力を集中させていた方が勝てると踏んだのだ。

左右の崖に汜水関の石材を使用して矢を射かけるための壁を作り、矢倉を組んで敵からの攻撃を防げるようにした。

「壁を登る敵から見れば上からだけじゃなく、横からも攻撃が来るってわけね。さらに空堀で敵の侵入を阻む・・・それにしてもあんた人足を使うのにも長けてるわよね」

詠が呆れたように虎牢関を見やる。関や崖の石壁作り、矢倉作りを担当する人足たちは競うように作業をしている。これは舞人の提案によるものだった。

「人足を大体同じ人数に何班かに分け、一番早く出来た班の班員には最初に提示した褒美の10倍出す。速さに関係なく綺麗に出来ていた班にもいくらか上乗せする」

今でいう『ニンジン作戦』を実行し、人足たちのモチベーションを上げたのだ。王朝の命ではただ働きが当たり前だった人足たちは目の色を変えて作業をしている。

「素早く、なおかつ綺麗に仕上げれば莫大な褒美がもらえる」

この言葉に人足たちは酔ったのだ。さらに作業を開始する前に自分たちに払われるだろう莫大な銭を見せられてはやる気を出すなという方が無理だった。

「そういった意味では十常侍様々だったわけだな」

この財源は一掃した十常侍達の財産を使ったものなので、実のところ国庫はそんなに傷まないのだ。

「あんたも結構あくどいわよね・・・」

「そーか?計画的と言ってほしい」

虎牢関及び洛陽の補強・修築が終わった頃、彼らのもとに一報が入る。

即ち、袁紹を総大将とした『反董卓・織田連合軍』結成の報が―――

 


 
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