No.956190

英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

soranoさん

第44話

2018-06-12 21:43:23 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1284   閲覧ユーザー数:1153

 

~ボート小屋~

 

「そ、それじゃあエマさんも”魔女”なんですか……!?」

「ええ―――正確には”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”の一人ですね。この子はセリーヌ。私の眷属で、家族でもあります。」

「ま、使い魔といった方が通りがいいかもしれないわね。とりあえずヨロシク。まあ、ヨロシクしないでもいいけど。―――それと先に言っておくけど、幾ら使い魔だからといってアンタ達の担任の滅茶苦茶な存在の使い魔連中と一緒にしないでよ。一般的に使い魔っていうのはアタシみたいなのが”常識”でリィンの使い魔連中はハッキリ言って”使い魔である事自体が非常識過ぎる存在”ばかりなんだからね。」

「ハハ……」

「アハハ………」

自分の事を知って驚いているユウナに説明を補足したエマはセリーヌを紹介し、紹介されたセリーヌは答えた後ジト目になり、セリーヌの答えを聞いたリィンとセレーネは苦笑していた。

「…………」

「……どれだけなんですか。旧Ⅶ組のメンバーというのは。」

「正直、わたしも同感です。」

「ふふ………」

一方ユウナは口をパクパクさせてセリーヌを見つめ、疲れた表情で呟いたクルトの言葉にアルティナは頷き、その様子を見守っていたゲルドは微笑んでいた。

 

「ですがよかったのですか?”魔女”の事を明かしても。」

「ま、そっちの黒兎にはもう知られちゃってるし、そっちには”異世界の魔女”までいるんだから隠す必要なんてないでしょ。」

「ふふ、それに皆さんにも知ってもらいたかったんです。……同じ”Ⅶ組”として、ただ隠して遠ざけるのではなく。この世に”裏の世界”が実在し、時に問題を引き起こすことも。」

セレーネの問いかけに答えたセリーヌはゲルドを見つめ、エマは微笑んだ後静かな表情で答えた。

「あ……」

「幻獣に魔煌兵……例の花のような存在ですね。」

「まあ、エレボニアでは”煌魔城”がクロスベルでは”碧の大樹”が現れたくらいですし。」

「ああ―――そして系統も違うが”結社”も”裏の世界”の存在だ。」

「そうだ、さっきの……!」

「……子供みたいな声だったけど、その人も先月の特別演習で教官達が戦った”結社”の人なのかしら?」

リィンの話を聞いて血相を変えたユウナは声を上げ、ゲルドは静かな表情で訊ねた。

 

「ええ。――――結社でも有名な存在の”執行者”の一人かと。」

「そうか……地下の霊脈を操作していたみたいだが。やっぱり彼らが、幻獣や魔煌兵を出現させているのか?」

「……可能性はあります。ただ、エレボニア由来の魔煌兵や幻獣が現れている理由はわからなくて。想像したくはありませんが………”姉さん”が関与している可能性はあるかもしれません。」

「………”蒼の深淵”ですか。この前来た定期報告の際にクロスベルに来てはいる話は聞いていましたが。やはり”使徒”である彼女が執行者達に何らかの指示を?」

エマの推測を聞いたアルティナは考えた後自身の推測を口にした。

「うーん、あのアマのことだから十分ありそうなんだけど………ここ半年、追いかけた限りじゃちょっと様子がおかしいというか。」

「そうなのか……?」

「ええ、確証はないのですが足跡を追ってみると違和感が……」

「それよりもエマ。せっかく噂の魔女の眷属(アタシ達)とは違う”魔女”とも会えたんだから、何か聞いたらどうかしら?」

「セ、セリーヌ。」

セリーヌの指摘にエマは気まずそうな表情でゲルドに視線を向け

「……………………」

「えっと……やはりエマさんは”魔女”として違う世界の”魔女”であるゲルドさんの事が気になっていたんですか?」

視線を向けられたゲルドは静かな表情で黙り込み、セレーネはエマに訊ねた。

「ええ、まあ………その、ゲルドさんと仰いましたよね?いくつか聞きたい事があるのですが………」

「……何を聞きたいのかしら?」

「プリネ皇女殿下達の話によりますとゲルドさんは”予知能力”―――”未来を視る事ができる異能”をお持ちで、その異能によって視えた未来の為に新Ⅶ組に編入したとの事ですが………ゲルドさんはどうしてその未来の為に新Ⅶ組に編入したのでしょうか?」

「そうね………いくつか理由はあるけど一番の理由はいずれ起きるエレボニア―――ううん、この世界の”運命”を左右する出来事を未然に防ぐ為に私は第Ⅱ分校に編入したの。この世界の”運命”を左右する出来事を未然に防ぐ為には私がその場にいる必要もあるから………」

「ゲルドさん………」

「……………」

エマに訊ねられて答えたゲルドの話を聞いたセレーネは心配そうな表情をし、リィンは真剣な表情でゲルドを見つめた。

 

「エレボニアどころかゼムリア大陸の”運命”を左右する出来事ですか………」

「……いきなり滅茶苦茶気になる話が出て来たけど……何でアンタは自分にとって何の関係もないこの世界の為に動いているのかしら?」

「関係なくなんてないわ。今私がこうしてこの世界で生きている…………私にとっても十分関係があるでしょう?」

自分の話を聞いたエマが真剣な表情で考え込んでいる中セリーヌの問いかけに対して静かに首を横に振って答えたゲルドは優し気な微笑みを浮かべ

「………………なるほどね。アタシ達やあのアマのように何らかの意図があるかと思っていたけど、ただ単にアンタが信じられない程”お人よし”なだけだからこの世界の為に動いているのね……あのアマにアンタの爪を煎じて飲ませてあげたいくらいだわ。」

「もう、セリーヌ。ゲルドさんに失礼でしょう?………えっと、ゲルドさん。そのゼムリア大陸の”運命”を左右する出来事を未然に防ぐ為にはゲルドさんがその場にいる必要があるとの事ですが、他に必要な事はないのでしょうか?」

「…………どんな呪いや罪も浄化する”女神の焔”……その”焔”を使える男性の協力が必要よ。」

自分の答えに呆けた後呆れた表情でため息を吐いたセリーヌに指摘したエマに訊ねられたゲルドは静かな表情で答えた。

「呪いや罪を浄化する”女神の焔”の使い手―――それも男性ですか………」

「念の為に聞くけど”慈悲の大女神(アイドス)”はそんな”焔”は使えるのかしら?」

「そうだな………一応アイドスが扱える神聖魔術で”贖罪の聖光焔”という光の炎を発生させる魔術があるが、”女神の焔”という言葉からして恐らくその焔は”神術”の類だと思うからゲルドが言っている人物はアイドスの事ではないと思う。」

「そもそもゲルドさんの話ですとその”女神の焔”の使い手は男性との事ですから、わたくし達の知り合いの神は皆さん、”女神”ですから男性ではありませんものね……」

「それ以前に”神”と知り合いである事自体が非常識過ぎるのですが。」

(呪いや罪を浄化する”女神の焔”…………まさか”聖なる裁きの炎”の事かしら?……そして”男性”という事はゲルドが言っている人物は恐らく――――)

ゲルドの話を聞いたリィン達がそれぞれ考えたり話し合ってりしている中心当たりがあるアイドスはある人物の顔を思い浮かべて真剣な表情をした。

(クルト君……ついていける?)

(いや……だがある程度は掴んでおく必要がありそうだな。)

一方その様子を見守っていたユウナは小声でクルトに訊ね、訊ねられたクルトは静かな表情で答えた。

 

「――――現在、午後4時。とりあえず本日の活動は終了だ。お疲れだったな、4人とも。」

「フフ、”任意”の要請も全て終えましたから完璧でしたわ。」

「そ、そう言えば……!」

「クロスベル帝国政府から出ていた幻獣の調査も完了か……」

「後は演習地に戻るだけですね。」

「それと演習地に戻ったら、レポートを書く必要があるのよね。」

リィンとセレーネに労われた生徒達は我に返り、特務活動を完了していた事に気づいた。

「ああ、いったんバイクでクロスベル市に戻ろう。エマとセリーヌも付き合うよな?」

「はい、バイクに余裕があるのでしたら。」

「それじゃあ行きましょ。」

その後リィン達はケネスに別れを告げた後バイクでクロスベルへと向かっていたが、クロスベルの付近に近づくと気になる光景が見えた。

 

~東クロスベル街道~

 

「……な………」

「教官?」

「どうしたんですか―――」

ある光景を見て血相を変えたリィンの様子が気になったユウナやエマも仲間達と共にリィンが見つめている方向に視線を向けるとそれぞれ血相を変えた。

「あれは………」

「な、なによアレ!?」

我に返ったアルティナは真剣な表情をし、セリーヌは驚きの表情で声を上げた。リィン達が見た驚きの光景―――――それはRF社製・戦略兵器”ドラグノフ級列車砲”が特別列車に引かれて移送されている光景だった。

「……………………」

「大砲の………列車…………」

「あ、あの巨大な砲台は………」

「”新型列車砲”………定期報告の際に存在だけは教えてもらえましたが。」

その様子を見ていたユウナとゲルドは呆け、クルトは驚き、アルティナは真剣な表情で呟いた。

 

「……かつてガレリア要塞に格納されていた戦略兵器………クロスベルのような巨大都市でも半日で壊滅できるという………」

「……サイズやデザインも違うし、その”後継機”といった所か。しかもこの進路は――――旧カルバード方面に向かっているのか?」

「旧カルバード方面にも当然クロスベル帝国の領土はありますが、一体何の為に列車砲の”後継機”を旧カルバード方面に………」

「何にしても正気の沙汰じゃないわね。いったいこの地で何が起ころうとしているワケ……?」

驚愕の光景を見たリィン達はそれぞれ重々しい雰囲気を纏ってクロスベルに到着した。

 

午後5:00――――

 

~帝都クロスベル・東通り~

 

「……送ってもらってありがとうございました。」

「世話になったわね。」

「気にしないでくれ。――――しかしここがエマ達の滞在先か。」

リィンはエマ達の滞在先である東方風の宿酒場―――”龍老飯店”に視線を向けた。

「”龍老飯店”………東方風の宿酒場ですか。」

「料理も美味でしたし良い宿なのではないかと。」

「………………」

「ユウナ?どうしたの?」

クルトとアルティナがエマ達の滞在先についてそれぞれ答えている中真剣な表情で黙り込んでいるユウナが気になったゲルドは不思議そうな表情で声をかけた。

「あ、えっと……期待してもいいと思いますよ!チャンホイさんの料理は絶品ですし、部屋も結構落ち着けるみたいで……」

「そうですか……ふふっ、楽しみです。ARCUSⅡも繋がりますから何かあれば連絡してください。こちらも何かわかったら皆さんに連絡しますから。」

「わかりましたわ、よろしくお願いしますね。」

「それじゃあね。無理しない程度に頑張りなさい。」

そしてエマとセリーヌは宿酒場へと向かった。

 

「……さて、俺達も演習地に戻るか。」

「そうですね……さすがに疲れました。」

「……体力的にもそうですが精神的にも、かもしれません。」

「…………うん…………」

アルティナの言葉に頷いた後呆けているユウナが気になったリィン達はそれぞれ心配そうな表情でユウナを見つめた。

「って、だからそんな顔をしないでってば!そりゃあ、あの列車砲も含めて気になることが山積みだけど……」

「……クロスベル出身じゃないが深刻さを感じているのは同じだ。」

「帰ったらレポートを纏めがてら気になった所の整理をしましょう。」

「そうね……ユウナの故郷の事なんだから、頑張らないと。」

「クルト君、アル、ゲルド……」

仲間達の心遣いに感謝しているユウナの様子をリィンとセレーネが微笑ましそうに見守っていたその時

「――――お前達もクロスベルを訪れている事は知ってはいたが、まさかクロスベルに来た早々顔を合わせる事になるとはな。」

街道方面からサイドカーにロカを乗せてバイクを運転しているセリカがリィン達の前で停車した。

 

「貴方方は…………」

「!!」

「…………綺麗………」

「っ!?(力を隠してはいるが、二人からは尋常ではない気配を感じるぞ……!)」

セリカ達の登場にアルティナは目を丸くし、ゲルドは目を見開いてセリカを見つめ、セリカとロカの整った容姿を見たユウナは呆け、二人から感じられる強さの一端を感じ取ったクルトは驚いた後真剣な表情で二人を見つめた。

「セリカ殿!?それにロカさんまで……!セリカ殿がクロスベルに来ている事はアリサ達からの話で知っていましたが、まさかロカさんまで来ていたなんて……!」

「お二人とも、お久しぶりですわ。」

リィンは驚きの表情でセリカ達を見つめ、セレーネは微笑みながら二人に挨拶をした。

「フフ、3人とも久しぶりね。教官服に学生服……どれも似合っているわよ。」

「………1年半ぶりになるか。お前達のトールズ第Ⅱとやらの派遣された理由はリウイ達から聞いているが………―――幾ら主君(リウイ達)からの指示とはいえ、戦争をしていた国の士官学院の関係者になる等エステルのように随分とお人好しな事をしたものだな、お前達も。」

ロカはリィン達に微笑み、セリカは静かな表情でリィン達を見つめて呟いた。

 

「ハハ………エレボニアは内戦の件で絆を結んだ俺達の大切な仲間達―――旧Ⅶ組が深く関わっている国でもありますから、内戦で協力してもらった礼を返す意味でも引き受けたんです。――――それに”お人好し”という意味ではセリカ殿達も同じではないでしょうか?セリカ殿程の方が”知り合い”ではあっても、エステルさんと違って”恩人”ではないヴァイスハイト陛下の要請に応じてこうしてクロスベルを訪れたのですから。」

「フフ、セリカは元々お人好しな性格よ?」

(クク、確かに何だかんだ、様々な立場の者達や時には敵対した者達まで助けたから、お人好しといえばお人好しな性格だの。)

セリカの言葉にリィンは苦笑しながら答え、リィンの言葉にロカは微笑みながら、ハイシェラは口元に笑みを浮かべてそれぞれ答えた。

「………リィン達に下らん事を吹き込むな。そろそろ行くぞ――――」

ロカとハイシェラの答えに呆れたセリカは再びバイクを走らせようとしたが

「―――待って、一つだけ聞きたい事があるわ。」

「ゲ、ゲルドさん………?」

ゲルドがセリカを呼び止め、その様子を見たセレーネは戸惑った。

 

「………なんだ?」

「”世界”に恐れられ……たくさんの人達から命を狙われ………これからも数多の”戦い”が待ち受けているのに、どうして貴方は悠久の時を生き続ける事ができるの………?」

「!貴方、どうしてセリカの事を………」

セリカに視線を向けられて答えたゲルドの問いかけに驚いたロカは驚きの表情でゲルドを見つめ

「純白の髪の魔女………――――なるほど、お前がリウイ達の話にあったゼムリアともディル=リフィーナとも違う世界から来た”魔女”か。さっきの問いかけからして、大方”予知能力”で俺の事を知ったか俺の未来を視たから知ったのだと思うが…………”約束を果たす為”――――それが俺が生き続ける”理由”だ。」

ゲルドの純白の髪とゲルドの武装である杖を見てゲルドが何者なのかを察したセリカは静かな表情で答えた後再びバイクを走らせてその場から去って行った。

「”約束を果たす為”…………………」

「な、何か意味不明な事を言って去っていったけど………あの人達も教官達の知り合いなんですか?」

セリカ達が去った後ゲルドは呆けた表情で呟き、ジト目で呟いたユウナはリィン達に訊ねた。

「ああ。――――セリカ・シルフィル。演習地でも軽く説明したがセリカ殿は”嵐の剣神”の二つ名を持つディル=リフィーナにある国―――”レウィニア神権国”という国の客将さ。」

「ちなみにセリカ様はアイドス様にとってのお兄様ですわ。」

「ええっ!?あ、あの人が……!?い、言われてみればアイドスさんに滅茶苦茶似ていたかも――――って、あの容姿で”男”なんですか!?しかもよくよく思い返してみたら”嵐の剣神”ってアリオスさんよりも凄腕の剣士って評判だった遊撃士協会の助っ人じゃない!」

「ユウナさんはクロスベル出身ですからセリカさんの事についても当然ご存知だと思っていたのですが………今頃気づいたのですか。」

「あの人が兄上が”双界最強の剣士”と評していた”セリカ・シルフィル”……ちなみに隣にいた女性は何者なのでしょうか?」

リィンとセレーネの説明を聞いて驚いているユウナをアルティナは呆れた表情で見つめ、クルトはセリカ達が去った方向を見つめて呟いた後ロカの事をリィン達に訊ねた。

 

「ロカさんはセリカ様の仲間の一人で異世界の宗教の一つ――――軍神(マーズテリア)教の”神官戦士”ですわ。」

「”神官戦士”……?呼び方から察すると戦闘もできる神官のように聞こえるけど………」

「へえ、ゲルドは中々鋭いな。ゲルドの言う通り”神官戦士”とは戦闘技能を持つ”神官”の事で、戦闘技能がない神官達の護衛もそうだが時には魔獣の大量発生で困っている村や町に出向いて、市民達の代わりに魔獣の退治等を行っているんだ。」

「戦闘技能を持つ宗教の関係者だからワジ先輩みたいな存在だと思っていたけど、話を聞く所全然違うわね……」

セレーネの答えを聞いてある事が気になったゲルドの推測に感心して答えたリィンの説明を聞いたユウナは目を丸くした。

「その口ぶりだとユウナも”星杯騎士”の存在を知っていたのか?」

「へ………そう言うクルト君こそ、”星杯騎士”を知っているの?」

クルトに訊ねられたユウナは驚いた後クルトに問い返した。

「ああ……”星杯騎士”も兄がオリヴァルト殿下と共に”リベールの異変”の際に知り合ったんだ。兄の話だと”星杯騎士”は少数ながらも精鋭揃いとの事ですが………先程のロカさんの宗教―――軍神(マーズテリア)教という所の神官戦士も相当な使い手揃いなのですか?」

「ああ。ディル=リフィーナには多くの宗教があるが………軍神(マーズテリア)教が崇める神は”軍神”という呼び名だけあって、他の宗教の神官戦士達とも比べると実力も高い上規模も大きいが………ロカさんはその中でもトップクラスの使い手なんだ。」

「……まあ、”神格者”になれる程ですから間違いなく非常識な強さかと。」

クルトの質問にリィンが答え、アルティナがリィンの説明を補足した。

 

「”神格者”?なんなのそれ。」

「えっと、”神格者”というのは―――――」

ユウナの疑問を聞いたセレーネは”神格者”の事について説明した。

「……………………」

「”神格者”についても兄から聞いた事がありますが、まさかロカさんもその一人とは………”神”に選ばれる程なのですから、相当な使い手なのは間違いないでしょうね。」

「異世界ではそんな凄い存在がいるのね…………」

「まあ、神が現存している非常識さと比べれば大した事はないかと。」

”神格者”の説明を受けたユウナは驚きのあまり口をパクパクさせ、クルトは信じられない表情をし、呆けた表情で呟いたゲルドの言葉に指摘したアルティナの言葉を聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。するとその時リィンのARCUSⅡから通信の音が聞こえ、リィンは通信を開始した。

 

「―――こちらシュバルツァー。」

「あ、よかった!移動中じゃなかったんだね。今どこかな、リィン君。特務活動の区切りはついた?」

「ええ、ちょうど終わらせて市内に戻って来たところですが………ひょっとして”列車砲”についてですか?」

「そっか……帰る途中で見たんだね?その話もしておきたいけどちょっと大変な事があって。急いで演習地に戻ってこられないかな?」

「そのつもりでしたが………」

「ちょっと失礼します!大変なことって何が……!?」

リィンが通信相手―――トワと通信をしているとユウナが血相を変えて通信に割り込んだ。

「わわっ、ユウナちゃん。あはは、別に悪いことがあったわけじゃないの。さっき突然、クロスベル帝国政府から第Ⅱ分校に要請があってね。」

「へ………」

「分校に要請、ですか?」

トワの答えにユウナは呆け、アルティナは首を傾げた。

「本日夜、オルキスタワーで開かれる晩餐会の警備に参加――――オリヴァルト、リーゼロッテ両殿下にもご挨拶申し上げるようにって……!」

その後、リィン達は演習地に戻りシャワーを浴びて予備の制服に着替えた後――――クロスベル帝国軍に警備を任せる形でクロスベル帝城・オルキスタワーへと向かった――――

 

 

ちょっとした補足ですがセリカ達は西通りの原作碧のクエストで2回ほど関わったカルバードの不良集団が住んでいた家をクロスベルでの拠点としてヴァイスから貰った形になって、そこに住んでいる設定です。さすがに今回はエクリアとエオリアを除いた使徒全員&ロカとナベリウスという大所帯ですからエステル達が住んでいたアパートの部屋じゃ狭すぎますので(苦笑)ちなみに戦女神陣営でほとんど皆勤賞と言っていいほど光と闇の軌跡シリーズのそれぞれの作品に登場していながらも今作ではセリカ達が登場しているのに唯一姿を現していないリタですが……ちゃんと後で登場し、ラストダンジョン突入前後あたりにはリィン達に合流する予定となっています。なお、リタが登場した章では何とリタがゲストキャラとして”とあるダンジョン”攻略開始から終了までリィン達の仲間になる予定です。肝心のリタがゲストキャラとして仲間になるダンジョンがどこかはリタが何者かをわかっている人達なら察しているかもしれませんねww


 
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