城の前で座り込みをしているファンの中にフラウとナタがいました。
「ダーク様はご無事なのでしょうか?心配で心配で…」
「シスターもロックバンドとか興味あるんですか?意外ですね」
「ダーク様以外には興味はありませんけどね」
「シスター、ダーク様ファンだなんて気が合いそうですね!よかったら、このハチマキをどうぞ」
「あっ、どうも…。付けさせてもらいますね」
フラウは『ダーク・ラヴ』と書いてあるハチマキを付けました。
「おじさんとアーク、殺されちゃったりしないかな?」
「あなたは確かアーク様の妹さん?でもダーク様の事おじさんって呼んでるよね…」
「しっ!それは言っちゃダメ…。きっと複雑な家庭環境なのよ?こんな小さな子に聞いたら可哀想でしょ」
「ああ、歌詞聴いててもなんか病んでる感じするもん。親が離婚して再婚した親の連れ子がこの子とか?」
「だから言っちゃダメって言ってるでしょ?」
「違うよー?ナタは捨て子なのー。おじさんは勇者で、アークは天使だよー!」
「捨て子だったんだ…。勇者と天使って、まるでおとぎ話みたいねー」
「確かにメサイアのキャラ設定ってそれっぽいよねー。おとぎ話から出て来たって感じ」
「おじさんとアークの髪型はナタが魔法で変身させたのー」
「あのヘアスタイル、今アラヴェスタで超流行ってるんだよ?」
「うちの彼氏も真似してたけど、全然似合ってなかったわ」
「ふーん、そんなに流行ってるんだー?」
「メサイアのファッションも超人気で同じ服を買おうとして、友達の働いてるブティックに男子が詰めかけて、売り切れ続出なんだって!」
「すごい人気なんですね。なんだかダーク様が遠い存在に感じます…」
「でも路上ライブの後とか気さくに話してくれて、ファンを大事にする姿がまた好感持てるんだよね」
「ダーク様も冷たそうに見えて、実はレディーファースト精神があるお方なんです」
「確かにダーク様はフェミニストですから、女性にお優しいですね!」
フラウはダークファンの地味な女性とすっかり意気投合してしまいました。
「あなたとならダーク様の魅力について、一晩中、語り合えそうです。今度、一緒にどこかでお茶でもしませんか?」
「女友達がいなかったので嬉しいです。ダーク様のお話たくさん聞かせてください」
「私も初めて友達が出来ましたー。性格が根暗だから友達が出来なくて…」
「ダーク様をお好きな人に悪い人はおられないと思います」
ファンたちは座り込みしながら親睦を深めていました。
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第128話です。