No.954919

英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

soranoさん

第40話

2018-06-03 21:28:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1424   閲覧ユーザー数:1303

演習地に到着するとRF(ラインフォルトグループ)の整備車両がデアフリンガー号とドッキングし、整備車両から現れた作業員たちが演習地に物品を置き始めていた。

 

~演習地~

 

「ホ、ホントーですか!?整備車両が来るっていう話は聞いていましたけど……!」

「ええ、以前から連絡していた”例の装備”も持ってきたわ。あなたがティータさんね?ふふっ、会えて嬉しいわ。」

自分達の説明を聞いて無邪気に喜んでいるティータの言葉に頷いたアリサは微笑んだ。

「こ、こちらこそ……!アリサさんのことは前々からグエンさんやレンちゃんから聞いていました!」

「ええっ、そうだったの?」

「ふふっ、大旦那様とラッセル博士は旧知の仲でいらっしゃいますから。年に一度、大陸各地を回る時にリベールに行かれていたようですね。ちなみにティータ様はレン皇女殿下にとって数少ない親友の関係でして。以前オリヴァルト皇子殿下の話にあったレン皇女殿下がリベールの王都で起こした事件―――”お茶会事件”で知り合われたようですわ。」

「そ、そうだったんだ………それじゃあ同じ孫同士、私達も仲良くしましょうか?」

ティータと自分の知り合い達との意外な関係をシャロンから聞かされたアリサは驚いた後ティータに微笑み

「はいっ……!」

アリサに微笑まれたティータも笑顔を浮かべて頷いた。

「あ、孫で思い出したけどシュリさんに導力技術を教えたのはティータさんだったのね。」

「ふえ?シュリさんって、セリカさんのメイドさんの一人であるシュリさんの事ですよね?どうしてアリサさんがシュリさんの事を………」

アリサの口から出た意外な人物の名前を知ったティータは不思議そうな表情でアリサを見つめ

「フフ、実はヴァイスハイト陛下の要請によって”嵐の剣神”セリカ・シルフィル様御一行が本日クロスベルを訪れ、しばらくの間クロスベルに滞在されるとの事ですが………セリカ様達がヴァイスハイト陛下にご挨拶をなさっている時に私とお嬢様がヴァイスハイト陛下に依頼されていた物品を届ける為に偶然知り合ったのですわ。」

「わああ……っ!それじゃあ今セリカさん達もクロスベルにいるんですね……っ!」

シャロンの説明を聞いたティータは明るい表情をした。

「あら、ティータったらセリカお兄さん達がクロスベルにいるからって、どうしてそんなに嬉しそうな顔をするのかしら?もしかしてアガットからセリカお兄さんに乗り換えるつもり?」

「レ、レンちゃん!?そ、そういう事じゃなくてセリカさん達と会うのは”影の国”以来になるから、嬉しくってつい……ティオちゃんと実際にこうしてまた会えたのもセリカさん達と同じ”影の国”以来だし……」

するとそこにレンが近づいて小悪魔な笑みを浮かべてティータに話しかけ、話しかけられたティータは驚いた後苦笑しながらランディと話している様子のティオに視線を向けた。

 

「ティオすけ。お疲れさんだったな。5ヵ月ぶりか。俺達も熱い抱擁といくか?」

「ふふ、ランディさんも元気そうで何よりです。ミレイユさんに悪いのでハグは遠慮しておきますね。」

「いや、あいつとはそこまでの関係じゃ………って、ははっ。」

ティオの返しに対して気まずそうな表情をしたランディだったがすぐに笑い

「ふふっ……」

対するティオは微笑んだ後ランディとハイタッチをした。

「そちらの状況はあまり良くなさそうですが……第Ⅱ分校やⅦ組というのは悪い方々ではなさそうですね。」

「……ああ、信じていいだろう。幻獣の出現、”三帝国交流会”、そしてロイド達の出張の”理由”――――キナ臭い空気が漂い始めてやがる。何とかこの状況を打開する”きっかけ”になってくれると助かるんだが……」

ティオの言葉に頷いたランディはリィン達に視線を向けた。

 

~デアフリンガー号・ブリーフィングルーム~

 

「うーん、それにしても綺麗になったねぇ、アリサちゃん!」

「ふふっ、トワ会長も本当にお久しぶりです。リィン達もそうですけど……頑張ってらっしゃるみたいですね。」

「ふふ、旧Ⅶ組のみんなと同じくらいなんじゃないかな?――――でも結局、マキアス君とも連絡してクロスベルに来たんだよね?」

「ええ、そうみたいです。」

アリサとの再会の挨拶を交わしたトワに視線を向けられたリィンは頷き

「べ、別に驚かせるためだけで伝えなかったわけじゃないのよ?元々、第Ⅱ分校に新装備を届ける予定もあったけど……今回、私が立ち会ったのは財団との仕事もあったからで。」

「ふふっ、その割には何とかスケジュールを調整しようと頑張ってらっしゃいましたけど。」

「やけに具体的な日時を提案してきましたよね。おかげでRFビルに伝言を残してジオフロントに行けたんですが。」

「ちょ、二人とも……!」

アリサは落ち着いた様子で説明していたがシャロンとティオにある事を指摘すると慌て始めた。

 

「フフ……それにしてもアリサさん、本当にお綺麗になられましたわよね……スタイルも更に成長なさっていますし………同じリィンさんを慕う女性の一人として、アリサさんの急成長ぶりに危機感を抱いてしまいますわ。ただでさえ、わたくしは以前レン皇女殿下も仰ったようにリィンさんを慕う他の女性達との”キャラ属性”が被っていますし………」

「クスクス、そう言えばそんな事も言っていたわね♪アルフィン夫人の属性は軽く言って”妹”、”姫”、”ブロンド美女”だけど、”妹”はエリゼお姉さんとセレーネ、”姫”はセレーネとメサイアお姉さん、そして”ブロンド美女”はアリサお姉さんと被っているものね♪」

「………そうですね。しかもアリサさんは私だけだと思っていた”幼馴染属性”までありますしね。」

「う”っ………」

「ア、アハハ………」

羨ましそうにアリサを見つめて呟いたアルフィンの言葉に小悪魔な笑みを浮かべたレンが同意している中エリゼはジト目でリィンを見つめ、見つめられたリィンが唸り声を上げている様子をセレーネが苦笑しながら見守っている中その場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。

「そ、そんな……皇女殿下にまでそんな風に思われるなんて恐れ多いですよ……!エリゼもそうだけど、皇女殿下の方こそ、1年半前と比べると見違えるように凄く素敵な女性になっていて、最初に会った時は二人の成長ぶりに本当に驚きましたよ………」

「ふふ、アリサさんにそんな風に言って貰えるなんて嬉しいですわ。アリサさんを含めてリィンさんと将来共になる女性達はどの方もそれぞれ誰もが敵わないような様々な魅力がありますし、多くの女性の心を虜にするリィンさんですから、これからも更に増えるかもしれませんから、後から増える女性達に負けない為にもわたくし自身、女性としてもっと精進する必要がありますもの♪」

「………そうね。兄様のその”悪い癖”についてはどれだけ警戒していても、正直ほとんど意味がないから、アルフィンの言っている事にも一理あるわね。」

「いや、だから何度も言っているようにこれ以上増やすつもりはないって言っているだろう!?」

謙遜している様子のアリサの言葉に微笑んだアルフィンはリィンに視線を向けてウインクをし、エリゼはジト目でリィンを見つめ、二人に見つめられたリィンは疲れた表情で答え

「……教官自身がそう思っていても、ゲルドさんの”予知能力”では未来のリィン教官は今以上に女性を増やして結婚したとの事ですから、教官自身がそう思っていた所で、ほとんど無意味なのでは?実際、内戦時にアルフィン様以外にも増やしましたし。」

「うふふ、リィン様を強く想っていたお嬢様とステラ様の努力の賜物でもありますが、一番の理由は多くの女性を虜にするリィン様の女性との出会いに恵まれた運ではないかと♪」

「う”っ………」

「ご、ごめんなさい、お兄様………今までの事を考えると、全く反論が思いつきませんわ……」

ジト目のアルティナとからかいの表情をしているシャロンの指摘に反論できないリィンが唸り声を上げている中、セレーネは疲れた表情で答え、その様子を見守っていたトワたちは再び冷や汗をかいて脱力した。

 

「ったく、わかってはいた事だがそっち方面で恵まれすぎだろ。」

「それもただのレディじゃなくて、それぞれ様々な立場のあるレディばかりを落として行っているから、ランディお兄さんの言う通りまさに”兄貴族”よね♪」

「クク、あのヴァイスハイトと同じまさに”英雄色を好む”をその身で示しているな!」

「あ、あはは………(確かにその通りかも………)」

ランディとレン、ランドロスの指摘にトワは苦笑しながら若干呆れた様子で3人の指摘に同意し

(予想はしていたけど、アリサさんも同じ女性のあたし達でも羨むような素敵な女性よね……)

(うん………ちなみにアルティナもアルフィン達みたいにリィンの傍にずっといる女の子だけど、アルティナだけリィン教官の婚約者じゃないのよね?)

(………ええ。まあ、”好色家”のリィン教官が将来私を妾や側室にする為にメンフィル帝国から引き取った疑いはまだはれていませんから、将来はどうなるかわかりませんが……)

ジト目になって小声で呟いたユウナの言葉に頷いたゲルドに視線を向けられたアルティナは静かな表情で答えた。

 

「(自分の事なのに、君は何でそんな冷静に応えられるんだ……?)コホン。それはそれとして―――先程の”魔煌兵”ですが。」

アルティナの答えに戸惑っていたクルトだったがすぐに気を取り直して話を戻した。

「そうだ――――その話だった。」

「話が逸れた気もするけど……確かにそうね。」

「どうしてあんな存在(もの)が出現したのか……ですか。」

「その、幻獣というのはクロスベルにも出現したことはあったみたいですけど………”魔煌兵”みたいな存在が出現したことは無いんですよね?」

「ああ、少なくとも支援課の時に出くわしたことは一度もねぇ。多分、ギルドの連中も同じ筈だ。」

「クロスベル元警備隊や警察の連中も、出くわした事はねぇぜ。第一もしそんなのがいたら、とっ捕まえた後その”魔煌兵”って奴を”再利用”する方法を考えていたと思うぜ?」

トワの質問にランディと共に答えたランドロスはとんでもない事を発言し、ランドロスのとんでもない発言にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「ったく、アンタだと本当にやりかねないから、洒落になっていないっつーの。」

「うふふ、しかも”工匠”のセティ達もいるから、もし”魔煌兵”を捕まえる事ができたらランドロスおじさんの言う通り様々な再利用(リサイクル)の仕方があったでしょうね♪」

我に返ったランディは呆れた表情で、レンは小悪魔な笑みを浮かべてそれぞれ指摘した。

 

「アハハ………それにしても気になりますね。エレボニア由来の化物がこの地に………」

「わたくしたちもまさかあのような現場に遭遇するとは思っていませんでしたし。」

「”魔煌兵”の出現については既に各方面へ連絡を?」

「うん………クロスベル帝国政府とクロスベル帝国軍、それにクロスベル軍警察と遊撃士協会には連絡したよ。でも、”三帝国交流会”でクロスベルを訪れるエレボニアとメンフィルのVIP達の訪問でそれ所じゃないみたいだね。」

「エレボニアとメンフィルのVIP………午後には来るんですよね?」

「ああ、ミハイルの旦那がひっきりなしに連絡してるな。」

「そうですか………――――こうなってくると”幻獣”も心配になってきましたわね。」

「………はい。」

「あんな化物が唐突に現れるくらいですしね。」

「……被害が出る前に未然に喰い止めないとね。」

「要請書にあった2箇所を確認しに行くべきかと。」

セレーネがふと呟いた言葉にユウナ達新Ⅶ組の生徒達はそれぞれ頷いた。

 

「エルム湖の岸辺と東の街道外れの沼地だったか。2年前、亀みたいな幻獣と食虫植物みたいな幻獣が出たな。」

「そう言えばそうだったな……確かあの時は沼地の方は俺とセレーネ、セティ達が退治したな。」

「ええ、そうなのですが………一つ気になる情報が。先日、遊撃士達が倒した幻獣についてですが。どうやら”巨大なカバ”のような幻獣だったそうです。」

「なんだと……?2年前、俺達が戦ったのはケバい色の”竜”じゃなかったか?」

「それって………」

「………まさか………」

ティオの口から出た幻獣が以前と異なる事にランディが眉を顰めている中、どんな幻獣なのか察しがついたアリサとリィンは表情を引き締めた。

「そう言えばリィン君達の報告にもあった………」

「?……何か情報が?」

「そう言えば内戦の時にもそのような形態の”幻獣”と交戦しましたね。」

「そうね……確か出現した場所は壊滅したガレリア要塞の跡地だったわね。」

「ティオさんの話にあったようにまさしく”巨大なカバ”としか言いようがないタイプでしたね。」

かつての出来事を思い出したアルティナの言葉にレンとエリゼはそれぞれ頷いて説明をした。

 

「なるほど、わたくしが艦を降りた後ですか………」

「………同じタイプかわからんが妙に引っかかりやがるな。」

「ええ……こちらももう少し情報を集めておきたい所です。」

「クク……分校長殿の言う通り、まさしく”何が起こるかわからねぇ状況”じゃねぇか。」

「教官……!こうしちゃいられませんよ!」

「そろそろ郊外の調査に出発するべきでしょう。」

「まずは間道の先ですね。」

「わかった、そうしよう。―――トワ先輩。いざとなったらヴァリマールを動かすかもしれません。」

「了解。ミハイル教官にはわたしの方から言っておくね。」

「幻獣は現れた際、その場が上位三属性も働くようになりますから、”魔女”であるゲルドさんは使う魔術に特に気をつけてくださいね。」

「ええ……もし、どの属性もあまり効果が無かったら援護や回復に専念した方がよさそうね。」

リィン達が今後の事について話し合っているとシャロンとアイコンタクトを交わしたアリサはある申し出をした。

 

「ねえ、リィンにセレーネ、Ⅶ組のみんな。二つほど提案があるんだけど。」

「え………」

「提案……ですか?」

「ええ――――まず一つは貴方達に使って欲しいと思って持ってきたものがあるの。整備車両に積んであるから出発前に付き合って欲しくて。」

その後アリサの申し出を受けたリィン達は他の用事ができたアルフィン達と分かれて、外に出て整備車両に向かうとアリサとシャロンは整備車両から数台の導力バイクを出した。

 

~演習地~

 

「こ、これって………」

「鉄の馬――――いや……」

「察するに導力駆動の小型特殊車両でしょうか。」

「ああ……サイドカーユニット付きの”導力バイク”だな。」

「”導力バイク”…………」

「フフ、これを見るのは内戦以来ですわね。」

導力バイクをⅦ組の面々が興味ありげな表情で見ている中セレーネはかつての出来事を思い返していた。

「アリサちゃん……量産化ができたんだね?」

「ええ、先輩方が実用化を目指していた新たな乗物………アンゼリカさんに頼まれて春、ようやく量産化できました。エレボニア・クロスベルの両帝国の交通法もクリアして既に多くの受注も入っています。」

「そうなんだ……えへへ、ありがとう!」

「アリサ――――本当にありがとう。遠慮なく使わせてもらうよ。」

「ふふっ、そうしてちょうだい。ただ、できれば私としてはセティさん達――――”工匠”の協力によってできた特注の導力バイクを貴方達にも使って欲しかったのだけど……生憎、セティさん達も多忙だったから特注の導力バイクは注文分しか作れなかったのよ。」

トワと共に感謝の言葉を述べたリィンに微笑んだアリサはある事を思い出して若干残念そうな表情をした。

 

「まあ……」

「ハハ、まさかセティ嬢ちゃん達もこれに関わっていたとはな。」

「ですが”特注”との話ですが………一体、誰に頼まれてセティさん達に協力してもらってその”特注”の”導力バイク”とやらを開発したのですか?」

アリサの口から出たある人物達の名前を聞いたセレーネは目を丸くし、ランディは苦笑し、ティオは興味ありげな表情でアリサに訊ねた。

「直接注文して頂いた方はヴァイスハイト陛下ですが、実際に特注の導力バイクをお渡ししたのはヴァイスハイト陛下の依頼によってはるばる異世界の”レウィニア神権国”という大国からクロスベルを訪れた”レウィニア神権国”の客将御一行ですわ。」

「へ……ヴァイスハイト陛下の依頼で……しかも”レウィニア神権国の客将”ですか?」

「あ、あの方々がクロスベルを訪れる可能性はセシリア様から伺っていましたが、まさか本当にクロスベルに来るなんて……」

「おいおい………”レウィニア神権国の客将”って事はまさかとは思うが……」

「ええ……間違いなく”あの人達”の事でしょうね。いずれ”あの人達”が再びクロスベルに訪れる事は知っていましたが……まさかこんなにも早く訪れるなんて。」

シャロンの説明を聞いたリィンは目を丸くし、セレーネと共に驚きの表情を浮かべているランディに視線を向けられたティオは疲れた表情で答えた。

「教官達はシャロンさんが言っていた人達の事について知っているの?」

「ああ…………簡単に説明するとシャロンさんが言っていた人物――――セリカ殿は異世界にある”レウィニア神権国”という国の”客将”を務めている人物で、アイドスにとっては”兄”に当たる人物なんだ。」

(ふふ、正確に言えば義兄だけどね。)

ゲルドの質問にリィンが答えている中アイドスは苦笑していた。

 

「へ………ア、アイドスさんの……?――――って、ちょっと待ってください!女神様のアイドスさんのお兄さんって事はその人も神様なんですか!?」

「まあ、”神”ではありませんがアイドス様同様非常識過ぎる存在ではありますね。」

「ア、アルティナさん。」

「”セリカ”………そう言えば兄上やオリヴァルト殿下が巻き込まれた”影の国事件”で兄上から、”剣皇”とも称えられているリウイ陛下をも超える剣の使い手にして、剣士としての腕前も”双界最強”と言っても過言ではない剣士の名前が”セリカ”であると伺っていますが………まさかその人物の事ですか?」

リィンの説明を聞いて一瞬呆けた後すぐに我に返って驚きの表情を浮かべたユウナの疑問に静かな表情で答えたアルティナの答えを聞いたセレーネは冷や汗をかき、クルトは考え込みながら呟いた後リィン達に確認した。

「ええ、クルトさんの推測通りの人物です。ちなみにアイドスさんを知っているのでしたらセリカさんと会ったら驚くでしょうね。――――多分、実際にセリカさんと会った事があるアリサさんも驚いたでしょう?」

「ええ………リィンから話には聞いていましたけど、まさかあそこまで容姿が瓜二つとは思いませんでしたよ……」

クルトの推測に頷いたティオに視線を向けられたアリサは疲れた表情で答えた。

 

「アイドスさんの容姿に瓜二つという事はもしかしてアイドスさんとそのセリカさんという人達は”双子”………?」

「ハハ、厳密には違うが似たようなものさ。――――それよりも話を戻しますが、もう一つの提案は驚きました。」

「ええ――――そちらの方に調査を手伝っていただけるとか。」

ゲルドの推測に苦笑しながら答えたリィンはシャロンに視線を向け、リィンの言葉に頷いたクルトは仲間達と共にシャロンを見つめた。

「――――改めまして。ラインフォルト家に仕えるメイドのシャロン・クルーガーと申します。お嬢様が新装備の引き渡しをするまでの間で恐縮ですが……新Ⅶ組の皆さんに誠心誠意、ご奉仕させて頂きますわ♪」

「えっと……」

「……先程拝見した実力は十二分すぎるほどですが……」

「まあ、幻獣を相手にするならこの上ないか戦力かと。」

「それにしてもこっちの世界のメイドさんは私達の世界と違ってみんな戦えるのね……シャロンさんと同じメイドさんのエリゼとアルフィンも戦えるし……」

「え、えっと、ゲルドさん?シャロンさんやエリゼお姉様達はメイドとしては特殊な部類になりますから、シャロンさん達を基準にはしない方がいいですわよ?」

シャロンの自己紹介に冷や汗をかいて脱力したユウナとクルトが戸惑っている中アルティナは冷静な様子で呟き、ゲルドの推測を聞いたセレーネは冷や汗をかいて苦笑しながら指摘した。

「――――折角の申し出だ。ありがたくお言葉に甘えよう。シャロンさん、どうかよろしくお願いします。」

「ふふっ、こちらこそ。」

こうしてシャロンを加えたリィン達は幻獣の調査の為に導力バイクを使って、ウルスラ間道の調査場所へと向かった―――――

 

 


 
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