No.953770

ビーストテイマー・ナタ56

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第56話です。

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2018-05-26 06:56:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:91   閲覧ユーザー数:91

時間は少し前に遡ります。ナタは牢の外に出ると、ピーターとアークを召喚しました。ピーターはナタの肩によじ登り、アークはナタの後ろからついて来ます。地下牢から階段を昇って出入口から覗くと、看守たちがトランプをしているようです。

 

「うーん、逃げられそうにないなぁ」

 

「とりあえず一旦、先ほどの場所に戻りましょう。ゲイザー様に指示を仰ぐのです」

 

「でも、お話の邪魔したら、おじさん怒らないかな?」

 

「少しだけお話を聞いた感じでは、どうやらあの女性はゲイザー様の昔の恋人のようですね」

 

「えっ!あのお姉さん、おじさんの元カノだったの?」

 

「今は再会を喜んでいる場合ではないので、状況を説明して、ここから脱出してから、ゆっくりとお話を続けていただきましょう」

 

ナタとアークが地下に引き返すと、ゲイザーはサラと積もる話をしていました。

 

「ゲイザー様、出入口には見張りが数名おりますので、強行突破するのは難しいかと…」

 

「そうですか…。アーク殿に一つお願いがあるのですが…」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「あなたには我々と別行動してもらいます。私は以前、騎士団にいましたので、この城の事は大体、把握しております。国王の寝室が城の最上階にあるのですが、ここから出たら城の一番上にある窓の前で待機してください」

 

「わかりました。ナターシャ様をお守りするのは、ゲイザー様にお任せします」

 

「私は顔が割れているので、カードに封印してナターシャに持ち歩かせます。何かあったら、すぐ私を召喚するんだよ?」

 

「うん、わかった!でも、連れて行かれた獣人のお姉さんはどうするの?」

 

「それとサラにも一つお願いがあります」

 

「はい、なんなりとお申し付けください」

 

「あなたの侍女服をナターシャに貸してやって欲しいのです。修道服のままでは目立ち過ぎますから」

 

ゲイザーとアークが少し離れた場所に移動した後、サラは牢の中で侍女服を脱いでナタの修道服を着ると、牢の中に残りました。ナタはサラの脱いだ侍女服に着替えて牢から外に出ます。

 

「では、これから私一人で出入口を強行突破致します。あとの事はお任せしました」

 

アークが出入口を飛び出すと、看守たちはトランプをやめて襲いかかりましたが、アークは軽く槍で薙ぎ払い、城の外へと脱出に成功しました。

 

「ゲイザー様、ご武運を祈ります…」

 

看守がアークを追いかけて行った後を、メイド姿のナタが出て来ました。肩にネズミを乗せ、胸の谷間に剣士のカードを差し込んでいます。

 

「お姉さんを探しに行かなくちゃ!」

 

フラウが窓から飛び降りた後、国王は慌てて寝室の前で待っていた指揮官の男を呼びました。

 

「女が身を投げた!あの女はゲイザーの妻だと言っていた」

 

「ゲイザー?あの裏切り者め…」

 

…つづく


 
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