No.95377

真・恋姫†無双 暁の飛鳥  拠点ルート1−1

チャルさん


拠点ルートです。


お気軽にどうぞ。

2009-09-14 12:06:57 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:2208   閲覧ユーザー数:1779

 

<前回までの暁の飛鳥>※ジャック・バウワーの声でどうぞ

 

 

慰魂祭の夜を終え、無事、啄県の県令となった飛鳥。

 

 

桃香達や、麋家の人に支えられなんとか県令としての職務をこなしていく。

 

祭りの夜をきっかけに、街の人々は気丈に振る舞い、皆で良い街にしていこうと努力し、県令である飛鳥にも協力してくれるようになった。

 

 

こうして、啄県はつかの間の平和に包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

真・恋姫†無双 暁の飛鳥  拠点ルート1−1

 

 

 

 

 

<人物表>

 

 

 

 

飛鳥 この物語の主人公。バカップルの片割れ。チートマン。運命に翻弄され続けた男。啄県の県令。身内に甘く、父性がつよく面倒見が良い。前の世界での、家族を思い出すので子供や、保護欲をそそられる者に実はめっぽう弱い。その反面、家族のためなら冷酷な判断も辞さないシビアな面もある。

 

 

 

 

桃香 劉備。この物語のメインヒロイン。バカップルの片割れ。おっぱいと優しさと私。恋人である飛鳥が自分たちの為に無茶をするのを気に掛けており、今のところは飛鳥の側室については容認する方向である。

しかし、やはり一番は自分であってほしいと思う部分もあり、焼き餅をやくこともある。

膨らんだほっぺたを飛鳥に突かれて、怒るそぶりを見せるが内心喜んでいるという、他人からみたらしゃらくさいことこの上ないバカップルである。

 

 

 

 

朱夏 麋竺のこと。なにかと黄巾党に狙われて男性恐怖症に。そのくせ、武将として馬術と弓に長ける武闘派。隠れおっぱい純情派。こうみえて妹の葉月よりも頑固で行動派。怒らせると一番厄介なタイプ。飛鳥の事が好きで、桃香と共に飛鳥が無茶しないように見張っている。

 

 

 

 

葉月 糜芳のこと。姉をサポートする名脇役。姉ほどの武勇は無いが、頭の回転が速く、どちらかというと文官に長けている。スレンダーで快活。後ろで纏めた三つ編みが隠し兵器というのは都市伝説。姉がマリオ

なら、妹はルイージ。永遠の二番手。姉とセットで初めて能力を生かせる。

 

 

 

 

慈元 麋竺と糜芳の父。糜角の事。実際には糜角なんていません。大剣を使うが、実は弩弓の名手。お気に入りの兜でないと命中率は半減。豪商。平民でありながら一万人の小作人を持つ麋家の家長。来世では三代目大泥棒の相方として活躍する予定。若い頃はぶいぶい言わせていた。裏世界では一時有名だった。

 

 

 

 

以上、前回までのおさらい。

 

 

 

 

それでは本編へどうぞ。

 

 

 

 

<慈元の提案と、桃香の器>

 

 

俺が街の県令になって一週間が過ぎようとしていた。

 

 

あの慰魂祭の日から、この街は変わった。

 

 

皆が、切に街の平和を願い、協力しあうようになったのだ。

 

 

 

共に戦い、街を守りきったということが街の人々に大きな絆をつくることになった。

 

 

そして、共に大きな傷を負ったことも、その絆を作ることに追い風と成った。

 

 

 

街の人々は、笑顔で明日を生きるために努力している。

 

 

 

その努力に報いるためにもこの町を良い者にしていかなければ成らないと俺たちは胸に誓うのだった。

 

 

 

 

 

慈元「特務将軍、ですか?」

 

 

今、謁見の間にて慈元と麋姉妹を招いてお話中である。

 

 

本当で在れば県令と、謁見する者が二人きりで会うことなどないのだが、愛紗も、桃香も、鈴々も、みんなそれぞれに仕事がいそがしく、相手が慈元ということもあって信頼できると二人で話している。

 

 

 

飛鳥「ああ、そうだ。慈元は普段は商人として忙しいだろう?ただな、今回のことのように黄巾党が攻めてきたり、俺たちがなにがしかの事で留守になった場合、また、動けない場合など、有事の際に限り将軍としてこの街を守って欲しいんだ」

 

 

 

慈元「なるほど、そう言うことでしたか」

 

 

 

飛鳥「ああ、あと慈元にはこのまま、街の人々のまとめ役となって貰いたい。これから、この街はもっと発展していくそうなればいろいろと手の届かぬ場所も出てくるだろう。だから、街の人々の意見や、商売人たちの中での意見などを基本は月に一度、集会を開き意見をまとめ、それを報告してくれれば良い」

 

 

 

慈元「そうですな。月に一度程度したら、あとは今までやっていたことと変わらないでしょう。両方とも、確かにお引き受けします」

 

 

 

 

飛鳥「本当か!?ありがとう、慈元。助かるよ」

 

 

 

慈元「ただし、お願いがあります」

 

 

 

飛鳥「なんだ、俺に出来ることならやるぞ?言ってくれ」

 

 

 

 

慈元「朱夏と、葉月を飛鳥殿の幕僚に入れてくだされ」

 

 

 

 

慈元が、自分が任をうけるかわりに、娘二人を俺の元で働かせろと言い出した。

 

 

 

飛鳥「……それは、人手不足のこちらとしては二人のような有能な将を得られるのは嬉しいが、本当によいのか?」

 

 

 

慈元「良いのですよ。もともと、二人には麋家の家督を譲るには難しいものがありましたゆえ。飛鳥殿との子供ができれば麋家は充分に栄えるでしょう」

 

 

 

飛鳥「ま、まて、つまり幕僚というのは……そういうことなのか?」

 

 

 

 

慈元「左様です。二人を側室に迎えて欲しいのですよ。まだ、桃香殿とも婚儀をすませていないのは分かりますが、いずれ二人も娶って欲しいのです」

 

 

 

 

 

 

 

藤原道長は、己の娘を権力者と結婚させることでその地位を高めていったと言うが、慈元もそうなのであろうか?

 

今まで付き合ってきた感じでは、己の手で這い上がってこそといいそうな気骨ある人物だったと思うが……

 

 

 

飛鳥「慈元、腹を割って話そうか。俺にはどうして慈元が娘を差し出すようなことをするのか理解できなんだが」

 

 

慈元「麋家の家督を継ぐ者としては、一族の繁栄を願うは当然のこと。しかし、それ以上にあの二人の幸せを考えた上での意見です。朱夏はあの通り、先の件により、飛鳥殿以外の男性を受け入れませぬ。葉月も同様に、男性に対しての警戒が強くなっていく一方です。それに、あの二人は父親の私がいうのもなんですが、母親に似て美しく育っております。麋家の財とあの二人の美しさに良からぬ輩が近づくことも多いのですよ」

 

 

 

朱夏の事は何となくだけど予想はついていたが、まさか葉月まで男性に対して思うところがあったとは。

 

普段はあ男勝りな性格で男に舐められないようにしているのだという。

 

たしかに、俺と話すときは普通の少女にみえたのだが。

 

 

 

 

 

飛鳥「なにか、そう言うことが実際にあったのか?」

 

 

 

慈元「朱夏の事ですが、以前、この啄県の県令だったものが朱夏に惚れたらしく、権力を嵩に着て求婚を迫ったのです。なんとか手を尽くし期日を延期していたのですが、豪商と言われる麋家といえども所詮は平民、役人の前にはあらがえず婚儀を結ぶことを承諾させられてしまったのです。しかし、幸ながら黄巾党との戦いの際にそやつは逃亡。婚儀の件も結果的に破棄されました。またいつそのような事になるとも分かりませぬ。ですが、二人が天の御遣いであり、県令である飛鳥殿の元にいるとなれば話は別です」

 

 

 

つまり、あの二人を権力から守って欲しいと、そう言うことらしい。

 

たしかに、二人とも可愛らしいが、まさか麋家の財産まで絡んでそんなことになっていたとは……、びっくりである。

 

 

 

飛鳥「……そう言うことか。つまり、建前上、二人は俺の側室になる予定であると言えるだけの立場において欲しいと。そういうことか?」

 

 

 

 

慈元「左様です。しかし、建前ではなく、私は飛鳥殿であればあの二人を本気で娶って貰ってもかまわないとおもっておりますよ」

 

 

 

飛鳥「ま、まて、いくら何でもそういうことは本人が納得しなければいけないだろう。

俺は誰かに強いられて無理矢理に関係を持つってのは嫌なんだ」

 

 

 

 

慈元「それならば大丈夫でしょう。あの二人は飛鳥殿のことは憎からず思っておる筈ですし、桃香殿も言っていたではありませぬか、天の御遣いであり、県令であるならば側室くらいいるものです。

……それに、飛鳥殿には、朱夏の裸体をみた責任をとって貰わねばいけません。嫁入り前の女性の肌を見たのです。男なら責任をとると言うのが筋というものでは?」

 

 

 

 

 

 

 

な、なにを言い出すんだこの髭親父は。

 

 

 

 

たしかに朱夏の裸をみたのは認めるが、それは事故で片付いたのではなかったのか!?

 

 

 

 

しかし、理由が黄巾党とはいえ、彼女の肌を見たのは事実。

 

 

 

 

正論と言えば正論なんだろうが、俺には桃香がいるしなぁ。

 

 

 

 

でも、桃香もなんか最近、朱夏と異様に仲良くなって、心なしか朱夏を俺の側にいさせようとしているし。

 

 

 

 

はっ!?まさか、既に桃香も慈元達の味方に回っているとか?

 

 

 

いや、まさか、でも、そんな……

 

 

 

 

いろいろと考えることもあるが、とにかくこれだけは俺の一存でどうにかして良いものではない。

 

 

 

 

飛鳥「……分かった、とにかく、すべては朱夏と葉月次第。二人が嫌がれば側室の話も無しだからな?

どちらにしても、建前上はそう言って貰ってかまわないから。これが俺からの最大の譲歩だ。俺には既に桃香がいるし、これで勘弁してくれないか?」

 

 

 

 

 

慈元「それで結構ですよ。それでは私はこれで失礼します」

 

 

 

そう言って慈元は笑いながら部屋を後にした。

 

 

 

 

なんというか、慈元の豪商としての顔を見た気がする。

 

 

 

 

こちらに反論させない感じの話し方とか。

 

 

まぁ、そんな人物が自分をサポートしてくれると言うのだから心強いかぎりなのだが。

 

 

 

 

その後、桃香に、二人を建前でも側室候補として迎えなければならなくなったことを話すと、

 

 

 

 

桃香「あ、そうなんだ。じゃあ、二人もお城に住むんだね。今まで以上に楽しくなりそうだな」

 

 

なんて言いながら笑って迎え居れた。

 

 

 

 

隠し事をするのも嫌なので、二人が俺を受け入れたのであれば正式に側室となると伝える。

 

 

 

 

桃香「ご主人様は二人のことどう思ってるの?好き?」

 

 

飛鳥「そうだな。好きか嫌いかでいえば好きだ」

 

 

桃香「どのくらい?」

 

 

 

飛鳥「桃香や愛紗と同じくらい。二人はもう身内だからな」

 

 

 

 

桃香「なら、私はいいよ。二人の事は私も好きだもの。正室と側室は仲良くなくっちゃね」

 

 

と、滅茶苦茶器のでかい発言をした。

 

 

いつの間にか滅茶苦茶かっこいい桃香さんだった。

 

 

 

桃香らしいといえば、桃香らしいのだが。

 

 

自分の恋人が、公然と愛人をつくると言っているのに、なにも言われないのはそれはそれで悲しいものがある。

 

 

 

まぁ、それでも桃香との関係が険悪にならなくて良かった。

 

 

 

嬉しそうに二人を受け入れる桃香に俺は戸惑いながらも、安堵するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

<姉妹の午後>

 

 

県令になることによって、今までの生活とどれほど変わるかと思っていたが、生活は一変した。

 

 

まず、食い物には困らない。

 

 

 

住居も、前の県令が随分と派手好きだったらしく、此方が居心地が悪くなるほど豪華だった。

 

自分の部屋に至っては嗜好品が多く、あまりにも趣味が悪いのでいらない物は片っ端から街で売って処分した。

 

お陰で、懐には結構なお金が集まった。

 

 

 

部屋は簡素ではあるが、充分住み心地のよいものとなった。

 

 

 

飾ってある者と言えば、棚の上にある篠笛と篳篥(ひちりき)くらいのものだ。

 

 

 

あまりにも処分しすぎて、これでは威厳もなにもないと愛紗や葉月に怒られ、慈元にたのんで派手にならない程度に、部屋を整えて貰った。

 

 

 

さすが、慈元、良い仕事をしている。

 

 

 

まぁ、個人的には贅沢な暮らしではあったが、

 

 

 

一応、県令なんて立場だからこれはよい。

 

 

 

次に、仕事が多い。

 

 

鬼のように多いのだ。

 

 

 

前の県令がかなり仕事をため込んでいたらしく、連日部屋に籠もりっぱなしなのである。

 

 

 

当然のように、漢文を独学でしか学んでいない俺に、すらすらと仕事が出来るはずもなく、桃香に教えて貰いながらやろうとしたら

 

 

 

愛紗「駄目です!!ご主人様と桃香様が一緒にいたらイチャイチャして仕事になりません」

 

 

と愛紗に怒られた。

 

そんなことないのになぁ。

 

 

 

 

 

ならば愛紗に頼もうかと思ったら、愛紗や鈴々は兵の調練や、付近の黄巾党の討伐で忙しいらしく、結果、最近になって城へ住み込んだ麋姉妹を俺の補佐としてつけることになった。

 

 

計らずとも本当に、慈元の言うとおりに俺の幕僚と成ってしまったわけだ。

 

 

 

 

飛鳥「朱夏さんや、ここはこう書けばいいのかね?」

 

 

 

 

 

朱夏「は、はいそうですよ」

 

 

 

 

葉月「ぷっ、なによそれ。おじいさんみたいだよ?」

 

 

 

 

あれから、二人とは随分と親しくなった。

 

 

 

 

口調も大分砕けた感じになって、葉月なんかは友人のように話しかけてくれる。

 

 

 

 

俺としてもその方が気楽でいいから嬉しい限り。

 

 

 

 

真名も、飛鳥と呼び捨てにしていいといったら、さすがにそれは体面上不味いだろうといわれ、名前だけは飛鳥様のままなんだけど。

 

 

 

 

 

 

飛鳥「そりゃ、一ヶ月も部屋に籠もりっぱなしになれば老けるさ。はぁー、これでやっと今日の分は終わりか。最初は県令の仕事はおろか、文字も碌に読めないからどうなることかと思ったが……、二人が協力してくれたお陰だな」

 

 

 

 

葉月「まぁ、それでも一ヶ月でここまで書けるようになる飛鳥様も凄いよ」

 

 

 

 

処理の終わった竹簡を片付けながら葉月が褒めてくれる。

 

 

 

いや、まじでこの二人凄いな。

 

 

 

あの慈元の娘だけあって、商売人としても勉強していたらしく、ものすごく効率よく作業をするので文官としてもかなり使える。

 

 

 

どちらかというと性格的にも此方の方が向いていそうだ。

 

 

 

有事の際は、二人の弩弓部隊は戦力としてはかなり頼りになるし、朱夏の騎馬部隊は近接にも対応出来るが、弩弓がメインという変わり種だ。

 

それが以外にもかなり頼りになる。

 

 

 

戦場で高速で移動しながら遠距離から攻撃できるというのは、作戦の幅を増やしてくれる。

 

 

正直、ふたりを推してくれた慈元には感謝しても足りない。

 

 

 

飛鳥「いや、それでもこうして仕事が終わったのは二人が有能だったからだ。ありがとう。本当に助かるよ」

 

 

 

そう言うと、二人は少し照れくさいのか、朱くなりながらも俺の感謝の言葉を受け取ってくれた。

 

 

 

 

葉月「それにしても、これだけ仕事を貯めておくなんて前の県令がいかに遊んでいたかって事よね。

おまけに私たちから取り立てた税の使い道が殆ど不明ってどういうことよ」

 

 

 

 

 

朱夏「本当、税を徴収するのだって必要以上に取りすぎているもの。計算してみたけれど、この街の管理や、県令として必要な諸々の経費を引いても、有り余るほどよ。今の半分でも充分に余裕ができるわ。

この街はまだ、お父様のお陰で何とかお金が回っているから払えているけれど、かなり、苦しい生活を強いられている人たちも多い筈。他の街や村でなら確実に反乱が起きていても不思議じゃない程ね」

 

 

 

 

 

飛鳥「そうか。では税自体は朱夏の言うとおりにしよう。まだ街に着たばかりの俺よりも、この街で生きてきた二人の意見を見た方がいいだろうしね。ただ、これからも黄巾党の討伐などでお金はいるから、少しだけ余裕をもたしてくれるかな?あとは、今までの貯蓄があるから、それを利用しようと思うんだけど、どうだろう?」

 

 

 

朱夏は、葉月相手だと上手く考えが回るのか、すらすらと答えてくれる。

 

 

この二人はやはり、二人一緒にいるから力が発揮出来るんだな。

 

 

 

 

俺は、その意見にのっかり、意見の是非を聞いてみる。

 

 

朱夏「はい、分かりました。近いうちにそれらを纏めて出すので目を通してください」

 

 

 

 

 

 

葉月「それにしても、ようやく仕事に目処がついたわね」

 

 

 

 

飛鳥「ああ、これでようやく街の方に手がだせるな。目下の所は、今も進めている街の強化と、周辺の地図の作成かな……」

 

 

葉月「街の強化ってのは、街を囲う城壁とかのことよね。確かに黄巾党に攻められた時に、外壁から攻撃出来るのは有利よね」

 

 

朱夏「私たちの部隊にとっても有利だし、弩弓なら初めて触る人でもある程度使えるかいいかも」

 

 

飛鳥「なるべくなら、街を戦場にしたくはないが、この前のようにどうしても籠城する必要が出てくることもあるだろうしな。用心しておくに越したことはない」

 

 

朱夏「さすがに、街全部を覆うのは、今の規模が精一杯ですね。今の状態ですと今後、もっと人口が増えた分の家屋は壁の外になってしまいます」

 

 

飛鳥「そうだな。それに関しては仕方ない。有事の際に非難できる程度の規模は最終的には欲しい物だ」

 

 

朱夏「そう考えると、急務となるでしょうね」

 

 

 

 

葉月「なら、周辺の地図の作成ってのは?」

 

 

 

 

朱夏「それは、作戦とか立てるのに必要なんじゃないかな?」

 

 

 

飛鳥「朱夏の言うとおりだ。この前の黄巾党との戦いでも、慈元の地図があったから策が立てられたわけだしな」

 

 

 

 

葉月「なら、お父様に頼んで、その地図を用意して貰えばいいんじゃないの?」

 

 

 

飛鳥「それでもいいっちゃいいんだけど、出来るだけ詳しく地形を知りたいんだよ。この崖は、下からは姿が見えづらいので、奇襲には最適。朱夏や葉月の部隊に使えるかも。なんていう情報が、地図に書いてあった方がいいだろ?」

 

 

 

朱夏「なるほど、地図を作ること自体がすでに戦いの内なんですね」

 

 

 

飛鳥「ここに住む民であればそう言った事も覚えているんだろうけれど、俺はまだまだこの辺りのことはしらないし。情報戦っていって、いかに自分たちに有利な情報を持っているかで戦いってのは変わってきたりするってのが、俺の居た国での常識だな。……ふぁ、やばい、眠いな」

 

 

 

 

葉月「ああ!!やっぱり徹夜したんじゃないですか!あれほど、辞めてっていったのに」

 

 

 

朱夏「そうですよ。今日の分はもう終わったんだから休まれたらどうですか?」

 

 

 

葉月が怒り、朱夏が休むように進めてくる。

 

 

 

 

葉月はやたらと俺の体調面を気にしてくれる。

 

 

 

本人曰く、見ていていつかぶっ倒れそうとのこと。

 

だって、しかたないじゃないか。

 

 

 

徹夜しなければ終わらないんだから。

 

文字も覚えなければいけないし、この街の人間を守るためにはやるべき事は沢山あるんだ。

 

 

飛鳥「そうか、じゃあお言葉に甘えるよ。おや…すみ」

 

 

そう言って俺は、机に突っ伏して腕を枕に寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

side朱夏

 

 

 

 

朱夏「あ、そんなとこで寝ずに寝台へ……、もう、寝ちゃった。どうしよう、葉月」

 

 

 

葉月「もう、仕方ないから上から毛布でも掛けてあげましょう。いくら春だからってこんな所で寝ていたら体調くずすわよ」

 

 

そうぶつくさ言いながらも、毛布を掛けてあげる葉月

 

 

 

朱夏「ふふ、こうやって寝ているとあの天の御遣い様とは思えないね」

 

 

 

葉月「そうね。みんなの前で喋る時なんか、わざとそう言った口調で喋るものね。寝不足で倒れるなんておもえないわ」

 

 

 

 

そういって、飛鳥様の頬をぷにぷにとつつく葉月。

 

 

 

朱夏「やめなよ葉月。起きちゃうよ」

 

 

 

 

葉月「でも、思ったよりぷにぷにしていて気持ちいいよ、これ。お姉ちゃんもやってみなよ」

 

 

葉月に促されるままに、飛鳥様の頬を触ってみる。

 

 

あっ、なんか気持ちいいかも♪

 

 

 

飛鳥「……うう、……すぅ」

 

 

寝苦しいのか少し魘(うな)されている飛鳥様。

 

 

その声に、申し訳なくなって思わず手を引っ込める。

 

 

 

朱夏「やっぱり駄目。飛鳥様が魘(うな)されちゃったもの」

 

 

葉月「そうね。でも、ここまでされて起きないって、武将としては大丈夫なのかしら?」

 

 

朱夏「飛鳥様は、寝ていても敵の気配は分かるらしいよ。背後に忍び寄る敵とかも分かるらしいし」

 

 

 

 

葉月「じゃあ、これは私たちが敵じゃないから起きないってこと?」

 

 

 

 

朱夏「うーん、桃香ちゃんの話を聞く限り、飛鳥様が気を許すのは、私たちをもう身内、家族の一人として認めているからだって言ってたけど」

 

 

 

家族という言葉に、お父様から伝えられた側室の話を思い出し、思わず朱くなってしまう。

 

 

 

それは葉月も同じようで、飛鳥様を見て固まっている。

 

 

 

朱夏「葉月、側室の話どう思ってる?」

 

 

 

葉月「どうって、お姉ちゃんこそどうなのよ?」

 

 

 

朱夏「私は、正直嬉しいわ。もう、自分から好きな人と結婚出来ないって思ってたもの。桃香ちゃんも、飛鳥様を本当に好きで支えてくれるのなら良いって言ってくれたし」

 

 

 

 

葉月「まぁ、お姉ちゃんはいろいろあったからね。飛鳥様のこと好きなのも何となく分かっていたし」

 

 

 

朱夏「それで、葉月はどうなの?」

 

 

 

葉月「そうね。男の人の中では一番好きね。為政者としても柔軟だし、私たちを女性だからって馬鹿にしないで能力を素直に認めてくれるのもいいわ。きっと、好きなんだと思う。でも、それ以上に気の合うお兄ちゃんって感じで、友人って気もするのよね。だから暫くは妹でもいいんだけれど、もし、私たちが結婚する運命なのなら、きっと付き合っていく内に、どうしようもなく好きになっちゃうんじゃないかな」

 

 

朱夏「つまり?」

 

 

葉月「妹兼友人兼恋人候補でいいわ」

 

 

朱夏「もう、欲張りなのね」

 

 

 

私の言葉に葉月は笑いながら誤魔化す。

 

 

でも、きっと葉月も飛鳥様の事が好きになる。

 

 

私はそう核心めいたものを感じていた。

 

 

飛鳥「……う、みんな……まも、る……」

 

 

葉月の笑い声に反応したのか、飛鳥様が寝言をつぶやく。

 

 

みんな、守ると。

 

きっと、自惚れでなければ私も葉月もそのみんなの中に入っているのだろう。

 

すこし、胸の内が暖かくなる。

 

こんなちょっとのことでこうまで思えるなんて、私は本当に飛鳥様の事が好きなんだと思う。

 

 

 

朱夏「……書類、片付けちゃおうか」

 

 

葉月「……そうね、そうしましょう」

 

 

 

私たちは、ご主人様を起こさないように処理した書類を纏めて片付けていく。

 

 

 

 

私は見逃さなかった。

 

 

 

葉月の頬が朱くなっているのを。

 

 

案外、すぐに恋人候補になっちゃうんじゃないかなと私は一人思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

 

 

みんなが読んでるとも分からない後書きのコーナーですよー。

 

 

今回はついに拠点ルートです。

 

 

最初の選択は麋姉妹ルートです。

 

桃香を押しのけて、最初に出てくるとはねー。

 

 

え?

 

 

その前に慈元がいたじゃないかって?

 

 

 

慈元ルートなんてないっすよ 笑

 

 

 

 

拠点ルートは、なんだか長くなりそうだったので二つに分けました。

 

 

本編が進むのはもう少しさきかな。

 

 

それではまた次回に。

 

 

ps

 

感想とかコメをくださったみなさん、ありがとうございました。

 

 

やっぱ、そういったものが作者のエネルギーになるので嬉しいです。

 

 

感想なども随時募集中ですので、よろしくお願いします。

 

 

 

 


 
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