従者の一人がヴェールを取るとツインテールドリルがバネのように飛び出しました。巨大な翼を持った魔物を召喚すると、アラヴェスタから去って行きます。それを見ていた傭兵が慌ててアラヴェスタ城へ帰還しました。
「国王様にご報告があります!謁見の間にお通し願いたい」
謁見の間で玉座に踏ん反り返る、ブヨブヨに太った国王がワイングラスを片手に言いました。
「其の方…。一体、余に何の用があると言うのだ?余は忙しいのだがな…」
「最近、怪しい女がスラム街に頻繁に現れるようになって、マルヴェールへの移住を薦めているようなのです」
「マルヴェール?どこの国の名前だ…。余は聞いた事もないぞ」
「それが…。マルヴェールは獣人の国だと言うのです」
「何!獣人の国だと…。マルヴェールは一体どこにあるのだ?」
「どこにあるかまではわかりません。その怪しい女はどうやら魔女のようでして、グリフォンをカードから召喚して飛び去りましたので、跡をつける事が出来なかったのです…」
「其の方、良い情報を持って参ったな。褒美はいかほどが良いか?好きなだけくれてやろう」
「有り難き幸せにございます!マルヴェールの場所はわかりませんが、怪しい女は毎週同じ日に現れますので、捕らえる事は可能ではないかと」
「よし、わかった!その女を捕らえよ?褒美はいくらでも出す。お前に指揮官の地位を与えるから、騎士団の指揮を取るが良いぞ」
「ははーっ!必ずやその女を捕らえて見せましょう…」
マルヴェールに移住者を連れて来たフラウとナタは移住者にマルヴェールを案内してあげました。
「豊かで住み心地の良さそうな良い国だなぁ」
「気に入ってもらえましたか?」
「おじさんもマルヴェールはアラヴェスタより良い国だって言ってたよー」
「ここなら住んでも良さそうだ」
「あっ、そうだ!おじさんもそろそろ出してあげなきゃ…」
ナタは剣士のカードを取り出すとゲイザーを召喚しました。
「ナターシャ、何も危ない事はなかったか?」
「うん、大丈夫!パンを配ったり、コンコン咳してる女の子にお薬あげたりしたの」
「そうか、ナターシャもちゃんと従者の仕事をしていたんだな。偉いぞ?」
ゲイザーはナタの頭をくしゃくしゃと撫でてやりました。ナタはゲイザーに頭を撫でられるとご機嫌で、ニコニコしています。
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第53話です。