その日の晩にゲイザーはフラウの首筋に噛み付いて血の契約を完了させました。
「これで完全な獣人になったのでしょうか?パッと見、何も変わらない気がしますが…」
「自分の意思で獣人化出来るはずです。満月の夜でも精神力で人間のままでいる事も出来ますよ」
「なるほど、便利ですね。しかし獣人化のやり方がよくわかりません」
「そのうちわかりますよ。私はハーフの頃でも獣人化の仕方はわかっていました。満月の夜は気を抜くとすぐ獣人化してしまいましたが…」
「しかし血の契約が子孫を残す唯一の手段だとするならば、フラウはフォン様の娘に当たるから、フォン様は私の祖父という事になるのだろうか…」
「フォン様が私の父だと言うのは、別に構いませんが、私がゲイザー様のお母様だと言われるのは、ちょっと困ります…」
「すみません、なぜかフラウから母性愛を感じてしまって…。血の契約のせいだと思うのですが、血縁者に感じる愛情をあなたに持っています」
「ゲイザー様は私を愛しておられないのですか?」
「いえ、世界で一番、あなたを愛しています」
「血縁者には性的な感情は持たないでしょう?だから私を抱きたくならないのですよ…」
「ナターシャに対しても同じ感情なのです。ただナターシャが大人の女性に変身した際に私はナターシャの裸を見てしまいまして、その際に性的な感情を抱いてしまいました…」
「えっ!それは本当ですか?」
「私の事を軽蔑しましたか?情けないですが、男とはそう言うものです。ナターシャには言わないでください…」
「いえ、ゲイザー様は女性に興味がないのかと思っていましたので、安心しました」
「そんなわけがないでしょう?フォン様が娘のように可愛がってるあなたを嫁にしたくなる気持ちもわかるのですよ」
「それは私にはわかりません。フォン様の妻になりたいと思った事は、一度もありませんでしたから」
「ナターシャがいつか私の前に恋人を連れて来たら、私はその恋人に嫉妬するでしょうね…」
「ふふ、ゲイザー様の気持ちは少しだけ理解出来ます」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第51話です。