フラウの話を聞いていたら、気が付くと朝になっていました。少しだけ眠っていたようです。
「昨夜はいつの間にか眠ってしまっていたようです。話の途中ですみません…」
「きっと疲れておられたんですよ。私は気にしていませんので、お気になさらず…」
「ところで獣人になる為の血の契約と言うのは、どのような手順で行うのでしょうか?」
「相手の首筋に犬歯で噛み付くのです。相手の血を啜ります。その後、自分の血を傷口から流し込むのですが、半獣人にするなら一滴で構いません」
「では、完全な獣人になる方法を教えてもらえませんか?」
「相手に自分の首筋を噛み付かせます。そして傷口から同じように相手の血を一滴、流し込むのです」
「それをあなたにしても構わないでしょうか?私は完全な獣人にならなければならない」
「私はまだハーフの獣人なのです。私が完全な獣人にならなければ、ゲイザー様も完全な獣人にはなれません」
「クォーターのままだと不安定なので、ハーフならクォーターより安定しそうなのですが…」
「私が完全な獣人になる為にはフォン様の首筋に私が噛み付かないといけません…」
フラウはフォンの邸へ向かいました。
「わしになんの用かね?フラウ」
「血の契約を完了させたいのです。完全な獣人になる為に」
「完全な獣人になりたくないと言っていたではないか?どう言う風の吹き回しだ…」
「気が変わったのです」
「あの男が来てからお前は本当に変わったな」
「ゲイザー様が望むなら、私はなんだって致します。例えこの手を汚さなくてはならなくなったとしても手段はいといません」
「好きにするが良い。元々わしはそのつもりであった」
「では、フォン様。ちょっと失礼して…」
フラウはフォンの首筋に小さな牙で噛み付きました。フォンは左目に眼帯をしていて、右目だけカッと見開きました。
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第50話です。