No.953483

ビーストテイマー・ナタ47

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第47話です。

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2018-05-23 06:22:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:105   閲覧ユーザー数:105

フラウはシスターとして教会で働く事になりました。シスターの仕事は、身寄りのない子供たちに勉強を教えたり、食事を与えたりします。

 

「フラウが来てくれて本当に助かっています」

 

「いえ、神父様は覚えていらっしゃらないかもしれませんが、私は十年前にこの教会にお世話になっていた事があるのです…」

 

「はて?十年前ですか…。今までここで預かった身寄りのない子供は何百…いや、何千人もおりましたし、養子にもらわれて行った子供の名前を全て把握してはおらず、申し訳ございません」

 

「そうですか…。病気だった子供もいたと思うのですが、その子はどうなりましたか?」

 

「病気の子供も大勢おりましたが、亡くなってしまったのではないでしょうか…。医者にかかるにしても費用がかかりますし」

 

「私と仲良くしていた子供がいたのです。亡くなってしまったのですね…」

 

「教会の運営資金は貴族からの寄付金で賄われていますが、年々、寄付金の額も減っていますからね。こんなご時世ですし、仕方のない事ですが…」

 

フラウは教会の台所でポトフを作りました。野菜をスパイスで煮込んだシンプルな料理です。

 

「シスター!おかわり」

 

「人数分しかないの。私の分を食べても良いです」

 

「フラウ、それはいけません!」

 

「神父様、なぜです?」

 

「あなたの分はあなたが食べてください」

 

「でも、あの子はお腹を空かせています」

 

「あの子にあげたら、他の子も欲しがります。他の子が欲しがったら、どうするんですか?」

 

「はっ!そうですね…。私の考えが浅はかでした。申し訳ありません、神父様」

 

午後からは子供たちに勉強を教える時間です。

 

「今日は騎士道精神についてお話します。騎士とは弱きを助け、強きを挫くものです。貧しい者を保護して、女性や子供にも優しくします」

 

「シスター!騎士から酷い目に遭った貧乏人や友達がたくさんいるよー?」

 

「確かに、そう言う騎士が多いですね…」

 

「それに騎士は弱い者いじめばかりして、強い奴にはヘコヘコしてるよー」

 

「そうね、でも私は本当に立派な騎士様にお逢いした事があるの」

 

「そんな人いるのー?会ったことないよー!」

 

…つづく


 
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