No.952996

ビーストテイマー・ナタ41

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第41話です。

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2018-05-19 06:12:32 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:93   閲覧ユーザー数:93

フラウは覚悟を決めたような険しい表情で言いました。

 

「私が女王に即位して、この国を変えます!」

 

「急にどうしたんです?あんなに女王になるのを嫌がっていたと言うのに…」

 

「女王になれば掟も変えられるでしょう?私が良いと判断すれば、ナターシャちゃんを人間のまま、マルヴェールに住まわせる事も出来るはずです」

 

「それは…確かに可能でしょうが、二人っきりでデートが出来なくなりますね」

 

「従者も女王の命令には逆らえないはず。デートに付いて来ないように言えば済むだけの事」

 

「しかし女王の身にもしもの事があったら困ります。護衛は付けた方がよろしいかと…」

 

「護衛ならあなたがいるじゃありませんか?私の勇者様が私を守ってくださいます」

 

「私一人で守りきれる自信はありませんが…」

 

「ふふ、私がなぜ時期女王に選ばれたかわかりますか?女性の獣人のみで開かれたマルヴェール武術大会で優勝しているのです。護衛など必要ありません!」

 

「やれやれ、とんでもないお転婆の女王様になりそうですね…」

 

「だから言ったでしょう?私には女王になれる素質はありません。ワガママばかり言って困らせる事になると思いますが、私が間違っていたらゲイザー様が叱ってください」

 

「かしこまりました。女王様…」

 

ゲイザーは跪いてフラウの手を取ると、騎士が姫君に忠誠を誓う儀式のように、手の甲に口付けをしました。数日後、戴冠式が厳かに執り行われ、フォンから王冠がフラウに授与されました。

 

「皆さん、今日は私の為にお集まりいただき感謝致します」

 

「フラウ様、バンザーイ!」

 

獣人たちは拍手喝采、会場はスタンディングオベーションが巻き起こります。

 

「私が女王に即位するに当たって、掟を二つ改正致します。一つは男女同権。結婚は女性の方にも相手を選ぶ権利を与えます」

 

会場がシーンと静まり返りました。まばらにパチパチと拍手する者もいます。女性の獣人が拍手をしているようです。

 

「そして、もう一つはマルヴェールへ移住を望む人間がいた場合、私の判断で許可致します。もちろん信頼出来る人間に限りますが…」

 

会場がどよめき始めました。フォンも表情を曇らせています。にわかに雲行きが怪しくなったまま、戴冠式は幕を閉じました。

 

…つづく


 
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