No.952967

ビーストテイマー・ナタ40

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第40話です。

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2018-05-19 00:14:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:96   閲覧ユーザー数:96

ゲイザーが戸惑いを隠せずにいるのを、ナタは気にも留めず話し続けます。

 

「勇者の波動を持つ者はね、どんなピンチに陥っても、必ず助けてくれる人が現れるのー。魔力の波動に惹かれて、強い人が集まってくるからだよ」

 

「確かに私は悪運が強くて、何度も死にかけていたが、なぜかいつも助かっているな…」

 

「お姉さんがおじさんを助けたのも、勇者の波動を感じたからだと思う。この人は死なせちゃダメだ!って思うの。ナタもそうだったから。勇者の波動を感じ取れる人は勇者の事、出会った瞬間に好きになっちゃうんだよ?」

 

「私は人に嫌われやすい。足を引っ張られてばかりいたよ?何かの間違いだろう…」

 

「それはその人たちには才能がないからだよ。才能のある人は勇者を見るとすぐ好きになるけど、才能のない人はなぜか才能のある人を見たら、足を引っ張ろうとするのー」

 

すると、それを聞いたアークが頷きながら言いました。

 

「私もナターシャ様を初めてお見かけした時、オズワルド様以上の魔力を感じましたので、反射的にお救いしなければ…と思いました。今思えば、あれは運命だったのかもしれませんね」

 

「アークはなんであの悪い魔術師の仲間にされちゃってたの?アークの方があのお爺さんより強いと思うんだけど…」

 

「オズワルド様は呪いのスペシャリストでしたからね。流石の私もあの呪いの魔法には勝てませんでした。一度ビーストカードに封印されたら、もう逆らう事は出来ませんし…」

 

「あのお爺さん、全然強くなかったし…。スライムのビーストテイマーの方が強かったよ?」

 

「それはオズワルド様の兄上だったようです。私もお会いした事が何度かありますが、兄上の方が魔力は上でしたね」

 

「でもおじさんはそのビーストテイマーに勝っちゃったでしょ?獣人の王様にも勝てたし、おじさんは勇者だから、どんな強い相手にも勝てるのー」

 

「たまたま運が良かっただけだよ。相手の方が私よりも格上だった。私を見くびってくれていたのが、勝因だと思う」

 

ゲイザーが謙遜すると、アークがこう言って諌めます。

 

「運も実力のうちですよ?油断大敵です。獅子は兎を倒すのも全力を出すと言います。相手が格下だからと言って油断して負けるのは、実力があるとは言えません」

 

「わかった…。仮に私が勇者だとして、世界を救う使命があるなら、一体何をすれば良い?」

 

「それはナタにもわかんない…。でもいつかその日が来るから、ナタはおじさんと一緒にいなきゃダメなのー」

 

…つづく


 
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