「フォン様のお怒りはごもっともです。私は騎士としてあるまじき行為をしました。深くお詫び申し上げます」
「ゲイザー様、記憶が戻ったのですか?」
ゲイザーが以前のような顔付きに戻り、フラウが喜んだのも束の間、フォンは更なる追い討ちをかけます。
「謝って済む問題ではないぞ?お前がわしに嘘をついたと言う事実は消せない」
「私はフラウを愛しておりましたが、フラウがフォン様の求愛を受けている事を知り、身を引く決意を固めておりました」
「フラウはわしが以前から目をかけておった」
「ええ、ですから私は別の恋人を探しました。しかし恋人は見つからず、一ヶ月が経ってしまい、ナターシャが私の恋人のフリをしました」
「ふむ、わしを騙していた事を認めるのだな?」
「私がナターシャを愛しているのは嘘偽りございません!ただナターシャはまだ子供なので、性的な感情を持てないだけです」
「うぬぬ、ああ言えば、こう言う…。二枚舌の大嘘つきめ!お前のようなペテン師、信用できぬわ?」
「ですが、私は覚悟を決めました!どうせ殺されるならば、あえて言わせてもらいます」
「うむ、最後に何か言い残すと申すか?」
「私はフラウを誰よりも愛しています!例えフォン様であろうと譲る気はございません。どうかフラウを私にください!」
「ならん!お前などにフラウはくれてやらん」
「では、あなたに一騎討ちを申し込みます!私が勝てばフラウをもらいます。負ければフラウはあなたの妻になるよう説得致します!」
「なんじゃと!それは誠か?わしがお前に勝てばフラウはわしの妻になると約束すると言うのだな?」
フラウはこの提案を聞いて、迷わずに返事をしました。
「はい、フォン様。ゲイザー様の言われた通りに致します」
「わかった!その決闘受けて立とうぞ?」
マルヴェールの闘技場に案内されました。ナタが手を振りながら、応援席で声援を送っています。
「おじさーん!頑張ってねー?」
「この試合…絶対に負けるわけには行かない」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第34話です。