No.952136

かぐやべや2~姫うどん

初音軍さん

がんばってるうどんげにご褒美を!二人がただイチャイチャしてるだけのお話♪

2018-05-12 11:08:11 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1053   閲覧ユーザー数:1053

かぐやべや 2

 

【鈴仙】

 

「「じゃーんけーん…!」」

 

 最近仕事が忙しくてあまり姫様と過ごす時間が少なくなって寂しいため、せめて

寝る前までの短い時間のお世話くらいはしたいという、師匠と私とてゐの3人で

その権利を得るためのじゃんけんをしていた。

 

「というか、てゐは普段から姫様に可愛がってもらってるじゃない!」

「えー、姫さまのなでなではいつされてもいいものだし、簡単には渡せないよ」

「私だって最近、薬の研究、調合、患者の診察でオーバーワークなのだから

輝夜の癒しをちょうだい!」

 

 余裕がなくて必死になって名前の方を呼ぶ師匠を久しぶりに見てびっくりした。

でも私だって師匠から頼まれた仕事がきつくて耳がしおしおになっちゃったのを

姫様に手入れしてもらいたい…!

 

 そうして3人の中で渦巻く欲望を平等に収めるためにじゃんけんをして勝った者の

権利にするようにした。もちろん自らの能力は封印した上で。

 

「ぽん!」

 

 何回目かの「あいこ」の後でついに私の勝ちが成立した。これまでは例えるなら

10回中1回くらいしか勝てなかったから嬉しい…!

ちなみに師匠は4回、てゐは5回である。

 

「では、私が姫様の様子を見にいきますね!!」

 

 崩れ落ちた二人に背を向けて私は足音を立てないようにしながらも

できるだけ急いで姫様の元へ向かっていった。

 

「し、失礼します!」

 

 静かに戸を開けると書き物をしている姫様と目が合った。

 

「あら、イナバ…。鈴仙、いらっしゃい」

 

 姫様は私の方を見て普段外で呼んでいる名前を私の名前に言い直して

柔らかい笑顔を向けてくれた。

 ちなみに姫様は私たちがこうして「じゃんけん」で争っていることは知らない。

3人の秘密の中でだけ行っていた。

 

「鈴仙、耳のお手入れがなってないわね」

「す、すみません…」

 

「ほらっ、こっちへおいで」

 

 優しい笑みを浮かべて招いてくる姿を見ると胸の辺りが熱くなってくる。

私は姫様の傍まで近づいて膝に頭を乗せた。

 

 あぁ、この感触。言葉にできないような心地よさ。そして姫様の香りを感じる。

まるで天国にでもいるような気持ちだった。

 

「今日あった話をしながらでもいいかしら」

「もちろんです!」

 

 姫様のお話を優しく甘い声で聞かされ、耳も絶妙な優しい手つきで整えてくれて

天に昇るような快感がある。そしてこれまで凝り固まったストレスがほどよく解れて

自分でもわかるほどだらしなく、とろけるようにリラックスしていた。

 

「いつもお仕事お疲れ様ね。感謝しているわ」

「いえ、当たり前のことですから…」

 

 緩んだままの声で姫様の言葉に応えると、ふふっという柔らかく可愛らしい笑い声が

聞こえた後、私の頬にこの世ならざる感覚が襲い掛かってきた。

 

 チュッ

 

「え!?」

 

 その感触に慌てて起き上がった私は姫様の顔を見て、真っ赤になっていくのを感じた。

い、今のはもしかして…き…きしゅ…。

 

「ふふふ、いつもがんばってる鈴仙へのご褒美になるかしら?」

 

 口元を隠して照れながら微笑む姫様。か、可愛すぎる…。

 

「と、とんでもない。ご褒美もご褒美…!お釣りが来るくらいです…!」

 

 ぎゅっ

 

 私の言葉が終わる頃には今度は私に抱きついてくる姫様。何やら様子が少しばかり

おかしいと思えた。

 

「ひ、姫様。何かあったのですか?」

「ん? 最近、忙しいせいか貴女とこうして触れ合える機会が少なかったでしょう。

私寂しかったのよ。だから私にも少し甘えさせて…」

 

 あ、ここは天国か。私の望むままに姫様とこうして触れ合える状況。

本当は私は死んでいて、愛しの姫様とあんなことやこんなことを妄想しながら

あの世に向かっているのかもしれない。

 

 ほぼ絶頂に達している私の考えてることが外に漏れていたのか姫様は面白そうに

笑って私の顔に顔を近づけて見つめてきた。

 

「鈴仙は面白いこと言うのね。これは現実よ」

「は…はひ…」

 

「もうしばらく、私に付き合ってもらっていい?」

「はい、わかりました!よろこんでお付き合いします!」

 

 そうして緊張と幸せが入り混じった時間を二人で過ごした。

終わった頃には半分以上のことを忘れていたけど…。幸せ過ぎた時間を過ごせたのだった。

 

 翌日。

 

「師匠、おはようございます!」

「あら、うどんげ。昨夜は姫とイイコトしていたようで」

 

「あ、あはは…えっと…」

 

 いつものように仕事をしに行くと師匠が少し拗ねたような顔をして私を見ながら

そう言った。肌も耳も髪も艶々だったようで途中で会ったてゐにもそう言われたから。

 

「はい、実はその…昨日は姫様と寝る所までご一緒させていただき…」

「な、なんですって!?そ、そんな…うらやまし…。いえ、なんでもないわ…」

 

 一瞬すごい形相になった師匠もすぐに普段のように冷静になろうと努めていた。

少しの間、悩んでいた師匠もすぐに仕事の話に切り替えていつも通りの姿に戻っていた。

 

 それからしばらくの間、仕事で疲れたら姫様との夜の出来事を、あの言葉を思い出す。

 

『今日は特別ね』

 

 あの日、寝る直前に姫様に言われて布団の中へと誘われたあの時の言葉を…。

それを思い出すとまた元気が出てきて頑張って仕事ができるようになる。

笑顔になれる。

 

 またあの時のように姫様に褒めてもらうために私は仕事に精を出すのだった。

 

お終い。

 


 
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