No.950870

ノーマネー ノーゲーム2

らんびーさん

もう、関谷は給食のおじさんじゃないです。原作にちょっとつっこみを入れたりもしています(楳図先生、ごめんなさい)基本的に原典側の主人公はガモウ君です。

2018-05-02 16:52:08 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:512   閲覧ユーザー数:512

「ノーマネー ノーゲーム2」

 

翌日、僕たちはバスで林間学校に移動した。5年生と6年生の代表100名くらいだ。

今思うと、1年生とか低学年の生徒たちが全員集まっていたら、未曾有の大惨事になっていたと思う。

みんなは東京って平野だと思うだろう。でも、実際に平野みたいになっているのは、埼玉とかの台地で、東京って実は山なんだ。

今回の林間学校は板橋区の中台というところに研修所があるんだけど、途中はアップダウンのある狭い道路を通ってきたんだ。

 

バスの中で僕とジョーはガモウ君とぷよぷよの連鎖の組み方の話題とかで、盛り上がっていた。数年後に開園するといわれる大テーマパーク「雲取山レジャーランド 天国」の話題で盛り上がっていたグループもあった。

 

ガモウ「そうそう、昨日の『マネーのライオン』見た?」

圭「見た見た!給食のおじさんが出演していたよね!」

 

僕たちが、関谷のことを「給食のおじさん」と呼ぶのはこれが最後だった。

 

ジョー「見事に、ノーマネーでフィニッシュだったけどね」

ガモウ「丸Q社長静かだったよね。説教する価値もなかったということかな?」

圭「いつもは鬼畜だけどね」

ジョー「先月の特許のおばさんの回はかわいそうだったよね」

ガモウ「・・・(不利な条件で働く人間とパートナーになろうとする社長なんているかな?)」

 

特許を武器に母子家庭を支えるべく、新事業に乗り出そうとしていたおばさん。女性に妙に優しい丸の内社長は、後半で「投資してもいいかな?と思っている」とまで発言した。

 

丸の内「特許はあなたのものなんだよね?」

チャレンジャー「はい。発案者は私で、出願者はお友達です」

ガトー社長(ガトーショコラとか洋菓子の大御所の社長)「えっ?あなた、出願者じゃないの?・・・それってまずいでしょ?」

チャレンジャー「出願にもお金が必要なんです!それで、お友達にお願いしたんです」

今井社長「それっておかしいんじゃない?さっきの配当金が売上1個あたりで50円という話も。あなた、お友達に利用されているんじゃないの?」

 

丸の内社長はこの後一切の擁護の発言を封じて、おばさんへの投資を引っ込めてしまったんだ。

 

ガモウ「詳しくはわからないけど、特許は出願してなんぼのものなんだよ。丸の内社長は損を出すことが絶対許せない人みたいだね」

ジョー「シビアっすねー」

ガモウ「だけど、経営者としてはナイスな反応だったと思う。即座に特許が本当におばさんのものかどうか確かめにいったからね。後で虚偽の発言があった、とノーマネーにしたところで、貴重な時間が失われるわけだし」

圭「発案者だとばれるのもダメなの?」

ガモウ「ダメだろうね。まあ、ボーイの社長さんみたいに『この1600万

円がどれだけ重いか、ここへ来て持ってみな』みたいなわけのわからないこと言う人もいるし」

圭「ああ、あの2人目のスパゲティの人ね。無国籍スパゲティーだっけ?今、大林社長の下で修業してるんだっけ?」

ジョー「最低1カ月、長くて3カ月」

ガモウ「今頃『おまえ、ウロウロしてるだけやないか!』とか『死に物狂いで頑張ってこの程度か?!』とかパワハラ指導で罵倒されてるんだろうね。がんばって成功してほしいよ。」

圭「うーん・・・って、ジョー!おまえ、なに任天堂DS学校に持って来てんだよ?!」

ジョー「へへへ。今夜もアミちゃんと一緒だー!」

ガモウ「若原先生に没収されても知らないよ。」

 

以前、6年生担当の若原先生が授業を担当して、ジョーのやつ、ビンタされちゃったんだ。

社会の授業中にアミちゃんのエッチなマンガを描いてたら見つかりやがった。特にエッチなページはストーブで燃やされちゃったんだ(年齢制限でレベル3くらいになりそうな内容)。僕が見てもドキドキものだったよ。後で機会があったら燃やされずにすんだページをアップするね。ちな、事実上の主人公はジョー(アミちゃんとの妄想がテーマだ)ジョーってガモウ君と同じであまりイケメンじゃないんだ(僕も大したことはないけど)

若原先生、アミちゃんのマンガを見て顔を真っ赤にしていたけど、あれは絶対建前上の恥じらいだよね。「マネーのライオン」とか何度も見ていれば、大人の事情とかも子供心にもわかっちゃうからね。

それにしても、ジョーも懲りない奴だ。林間学校だったら、授業とかで若原先生に当たる可能性が高いのに・・・。

 

研修所はいなかの小規模な学校という感じだ。小さいながら体育館もある。1泊2日の学校で、夜はみんなで体育館で寝るらしい。

残念ながら担任の冴子先生は引率に来なかった。僕は冴子先生が大好きだ。胸が大きくて、体育の時間にどさくさにまぎれて揉んじゃったんだ。僕がドスケベになったのも、ジョーのせいだ。でも、ジョーはマンガがそれなりに上手で、器用なやつで、ともだちんこになってしまった。ショタの気があるのか、一回ともだちんこをされてしまった。

 

引率の先生は・・・一見まともそうだけど、暴力教師の若原先生。放送部の大塚先生。無線とかに興味のある朝井先生。優しくて気立てのいい桜先生。所詮腰ぎんちゃく体質で、役職だけの教頭先生(ジョー談。ガモウ君によると、頭が固くて想定外の問題解決能力がないらしい。)他数名だ。あと、いなくてもいい大人の関谷、そして、関谷によって命を落とすことになる給食のおばさん二人だ。

 

この辺まで説明すると、「漂流教室」の原典を知っている人はもう、わざわざ読み進める必要がないかもね。

もう、時間を12時間進めちゃうよ。

 

午後8時。時計だけは律義に正確に時を刻んでいた。4つのクラスに分れた僕たちは、それぞれ明かりの点かない真っ暗な部屋で泣き崩れていた。学校は今、電力系統とは接続されていない環境にあるんだ。

 

関谷「パンを盗んだやつは誰だッ!開けろっ!」

 

(ドーン!)(ビシーっ!)(ギャーーーー!)

 

関谷はついに僕たちの部屋に突入してきた。給食室のパンを持ち去った生徒がいるのにかこつけて、全員に暴力をふるい、持ち込みの食料を没収していた。付属図書館の津川館長というジジイが麻薬と拳銃の密輸をしていたらしく、関谷は拳銃を入手していた。反対の手では包丁を振り回しているし、まさに鬼に金棒の状態だ。

予備知識も心構えもない僕たちは右往左往して泣き叫ぶしかなかった。警察に助けを求めようとしても、携帯電話は通じないし、警察署も交番も恐らくエジプトやサハラ砂漠より遠い所にあるんだろう。とりあえず、東京オリンピックが始まるまでは待機するしかない状態だった。

チョコを隠し持っていた生徒に関谷が包丁で切りつける。

(バスッ!)(ギャッ!)

 

関谷「見ろっ!持ってるじゃないか!」

生徒A「これだけです。許してください・・・」

関谷「黙れ!ウソを付いていたな!」

 

(ドカッ!)(ギャッ!)

 

関谷は包丁を大きく振りかざす。

 

関谷「さあ、ガキども!隠さずに出すんだっ!これが見えんのか?」

 

包丁の軌跡の範囲内には、僕とジョーとガモウ君も入っていた。僕もガモウ君も体力はあまりないし、短足のジョーの蹴りでは足の長い関谷に対抗するのは無理だった。絶体絶命!

ガモウ君が小声でささやきかける。

 

ガモウ「君たち、刃物の半円の軌跡から外れるんだ!そして、切られたみんなと一緒に泣き叫ぶんだ」

圭「なるほど」

 

刃物が当たる子たちはかわいそうだけど、もう極限状態で庇いようがなかったんだ。

 

(ドスッ!ズパッ!)(ギャーーーーー!)(痛いよー!)(おかあさん!)

 

関谷「フン!喚け!喚けっ!・・・おい、おまえ!今日から俺は学校の支配者だ!関谷様と言ってみろッ!」

 

関谷は二の腕から出血している少年の手の指を踏みつける。(ギャッ!)

 

関谷「俺だけは、生き延びるんだ!ワハハハハ!」

 

関谷の高笑いが校舎に響き渡る。のたうちまわる生徒たちを見て笑えるのか?なんて無慈悲なやつなんだ。先日大林社長に見せた誠意はウソだったのかよ?

僕とガモウ君はどさくさにまぎれて部屋を抜け出した。隣の高松君たちのいる部屋に逃げ込んだ。

 

圭「僕たち、5年生のものです!開けてください!」

高松「君たちの部屋が襲われているのか?!」

大友「翔ちゃん、どうしよう?もう、時間の問題だ」

ガモウ「高松さん、ワナを張りましょう」

高松「えっ?」

 

高松君は番長の辰巳君と並ぶ暴れん坊で、5年生はみんな知っていた。

 

ガモウ「僕、麻酔銃を持っています。打ち込んで眠らせましょう」

圭「麻酔銃持ってきてるって?ジョーといい、なんなんだきみたちは。・・・まあ、任天堂DSよりは役に立つかな?」

ガモウ「『傷追い人』という劇画で屈強な主人公が麻酔銃でマフィアに眠らされてしまうんだ。それで、僕も購入してみたんだ。ゴルゴ13でもないかぎり、24時間営業は無理だよ。人間の最大の弱点は睡眠ともいえる。自衛隊のレンジャー訓練も最後は睡魔との闘いと言われているからね。」

 

なるほど。ゴルゴ13なら睡眠中に夜襲をかけられても対応できそうだが、普通の人間にはとうてい無理だ。

女の子たちは部屋の後部に机でバリケードを築いてくれた。男たちはガモウ君を取り囲むようにして、関谷の視界をくらます配置に立った。

結果は僕たちの圧勝だった。崩れ落ちた関谷から拳銃と給食室のカギを没収した。

関谷は砂漠と化した外に非常用の簡易トイレを設置して、カギを外からかけて閉じ込めた。更衣室に監禁するというアイデアもあったけど、通気の悪い屋内におまるを置くというのもイヤだったからね。

 

大友「君たち、職員室に行って先生たちが無事か見てきてくれないかな?」

高松「僕たちは、給食室とかに行ってくるからさ」

咲子「コーヒーカップでアルコールランプを作ったから、持っていくといいよ」

圭「はい」

 

職員室に入ると・・・全員、関谷に殴られて縛られていた。拳銃の威嚇があったとはいえ、先生たちどんだけ弱いんだよ・・・。大の大人が10人以上はいただろうに。

ただ、今回の暴力事件で給食のおばさん二人と6年生の畑くんが亡くなった・・・ついに犠牲者が出てしまった。

 

僕たちはやっと給食にありつくことができた。コッペパンと牛乳って、仙台市の小学校の給食かよ?このマーガリンって昭和仕様のものじゃないか?超まずいんですけど。21世紀の関東地区でこんなしょぼい給食はないでしょ。そして、ついに蛇口をひねっても水が出なくなってきた。

屋上の高架水槽もほぼ空になってしまったようだ。みんな予備知識もなく、水道やトイレを使ったからだ。明日からいったいどうしたらいいんだよ?

ジョーのやつは、この極限状況で任天堂DSのバッテリーが切れてしまったなんてほざいていた。

でも、僕たちは天才少年のガモウ君とともに、悲しみの中にも小賢しく生き抜いてみようと思った。

彼はなくてはならない貴重な戦力だ。さっきの関谷の簡易トイレの件もガモウ君のアイデアだった。この後水道の問題とかでも、ガモウ君の頭脳で少し解決できたんだ。

次回は一体何が林間学校に起こったか詳しく説明するよ。事の起こりは拳銃の密輸の犯人、津川館長が逃亡のためにセットした爆弾だったんだ。

つづく

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択