No.950327

モフモフ物語2

リュートさん

オオカミ姫の羊の姉妹の二次創作ストーリーです。更新が遅れて申し訳ありません。

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2018-04-28 05:21:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:220   閲覧ユーザー数:219

所変わって、マルクト王国の王女、ユーリカ・セフィ・ラ・マルクトの自室。煌びやかな装飾の施された、見事な家具が並んでいます。

 

「姫様の為に最高級の食材を取り寄せて、わたくしの専属パティシエに作らせました。ささ、どうぞお召し上がりになってください!」

 

胸に青いバラのコサージュを付けた、ブロンドの身なりの良い青年が、宝石箱のようなスイーツの盛り合わせを、差し出しました。

 

「いらないわ…。わたしにはロジェの持って来たスイーツは口に合わないの!」

 

「そんな!世界一の食材を集め、世界一のパティシエを雇って作らせたのに…」

 

「どこが世界一なのよ…。団長!世界で一番おいしい『アレ』を買って来てちょうだい」

 

「はっ!『アレ』でございますか?承知しました」

 

冴えない顔をした中年の騎士が、城門から出て行きました。ロジェは城門の脇から覗いています。

 

「姫様の言う世界で一番おいしい『アレ』とは一体何だろう?団長殿の跡をつけてみよう…」

 

再びネツァクの山奥にあるシープル宅。台所でシープルがエプロン姿に着替えています。

 

「メリル、夕飯の支度をするから街までお買い物に行ってきてちょうだい」

 

「はーい、おねぇちゃん。ビーグルン、街まで行ってくるねー」

 

「メリルちゃん、ボクも一緒に行くよぉ」

 

街に着くと人混みでメリルとビーグルンは、引き離されてしまいました。知らないおじさんがビーグルンに話しかけてきます。

 

「そこの可愛い子、いい物買ってあげるからついておいで」

 

「ボク、急いでるから…ごめんなさい!」

 

慌ててビーグルンは人混みを掻き分けて、メリルのそばに駆け寄ります。

 

「さっきの人、すごくイヤな匂いがしたよぉ」

 

「悪いこと考えてるピプル族は、匂いですぐわかるよねー」

 

メリルはシープルに頼まれた物を買いました。ビーグルンも荷物を半分、持ちます。

 

「姫となかよしのだんちょーさんは、いい匂いがするのー」

 

「ボクも団長さんの匂いは大好きだよぉ」

 

甘い匂いの漂う店の前に、鎧を着込んだ冴えない顔の騎士が立っていました。

 

「あれー?だんちょーさんがいるー」

 

「本当だぁ!団長さん、こんにちは」

 

「はは!両手に花とはこのことですなぁ」

 

団長の右手にメリル、左手にビーグルンがぶら下がっています。

 

「ビーグルン殿、そんなに鼻を近づけては…汗臭いでしょう?」

 

「ううん!団長さんは大地みたいな、いい匂いがするよぉ」

 

ビーグルンは団長の鎧をクンクンしています。

 

「だんちょーさんは、こんなところで、なにしてるのー?」

 

「姫様におつかいを頼まれましてな。例の『アレ』を買いに行くところですよ」

 

「あー、姫の大好物の『アレ』だねー?」

 

「メリルちゃん、例の『アレ』ってなぁに?」

 

「ふっくらしてて、お口の中いっぱい、甘くておいしいのー!」

 

少し離れた物陰からロジェがこっそり覗いていました。

 

「なるほど、ユーリカ姫の大好物の『アレ』はふっくらしていて、甘いのですね…」

 

…つづく


 
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