恋VS氷柱による第3戦が幕を挙げた
氷柱の氷の技に苦戦する恋だが
天下無双の実力と野生の勘を駆使し
氷柱を追い込んだが
氷柱は『制限解除』を発動したのだった
七節 ~氷柱の進化と覚醒~
氷柱「フフフ、痛いかしら?呂布……」
恋の右肩からは血が止まることなく流れ落ちる
水滴はまるで弾丸のような威力で、恋にダメージを与えていたようだ
恋「………これくらい平気……」
恋は右肩をチラっと見てから言う
氷柱「あ、そ
じゃあ、まだ喰らっても大丈夫よね~?」
氷柱は『氷の礫・雹』を作り出す
だが
音々音「………っ!!?礫が………?」
詠「溶けてく…………?」
『氷の礫・雹』はみるみる溶けていき、やがて水滴となった
恋「…………」
恋は氷柱の攻撃を待たず、速攻で走り出す
氷柱はノーモーションでその水滴を放つ
恋はあり得ない動きで水滴を躱していく
そして、あっという間に氷柱の所へたどり着いた
その時
氷柱「掛かったわね♪それっ!!!」
ボワンッ!!!
氷柱が両手を大きく広げた瞬間、氷柱を中心に白い霧が発生した
恋「っ」
その霧は瞬く間に恋を覆ってしまう
華雄「また『白銀世界』かっ!!!」
華雄は歯軋りをするが、于吉は
于吉「いえ、あれは吹雪ではありませんね………
先程と比較して風がありません、寧ろ無風です」
貂蝉は首を傾げながら呟く
貂蝉「あのモヤモヤしたものってぇ……もしかしてぇ?」
そして、貂蝉の言葉に紫苑が口を開いた
紫苑「…湯気………かしら?」
桔梗「しかし、あやつは氷の絡繰人間であろう?
湯気といえば、熱いものしか想像がつかん………
冷たい氷とは正反対ではないか?」
桔梗も同様に口を開きつつ、首を傾げる
一刀「…水滴………湯気……」
一刀は腕を組んで考え出す
華琳「一刀?」
目を瞑って考え込む一刀を見て、華琳は首を傾げる
一刀「水滴は水………湯気は蒸気………
そして、氷柱は氷の絡繰人間…………」
ブツブツと独り言を言う一刀
そして
一刀「…………っ!!!そうかっ!!!」
一際、大きな声を出す一刀に周囲は驚く
月「へぅ……ご、ご主人様……何ですか、大声で?」
詠「吃驚するじゃないのっ!!!」
音々音「へっぽこ主、何なのですかっ!!!」
だが、一刀はそれらをスルーし、恋へ呼び掛ける
一刀「恋っ!!!気を付けろっ!!!
氷柱は『ただの』氷の絡繰人間じゃないっ!!!」
左慈「どういうことだ、北郷」
一刀「左慈、氷柱は…………!!!」
一刀が呼び掛ける数分前、恋は
恋「…………暑い、氷柱、見失った」
氷柱が放った大量の湯気により、『白銀世界』同様氷柱を見失ってしまっていた
しかも、今度は寒いではなく暑いという両極端な環境
恋は湯気による湿気と籠った暑さにより汗だくになる
恋「氷柱、何処…………?」
恋は『白銀世界』の時と同様に匂いなどで探し出す
だが、湯気による暑さで鼻があまり機能しない
恋「………見失った」
恋は辺りを一通り見渡すと、『方天画戟』を構え
恋「…………『大裂空』…!!!」
フォンッ!!!
回転しながら『大裂空』を放つ
通常、半月状の『大裂空』は円形となり、放たれる
だが、手応えがない
すると
氷柱「ばーかっ!!!」
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
ザシュッ!!!
ザシュッ!!!
ザシュッ!!!
恋「っ」
頭上から『氷の礫・雹』と水滴が正に雨の如く、降りかかる
数発喰らった恋の身体からは血が吹き出る
だが、直ぐ様立て直し、『方天画戟』で弾きながら大量の湯気から脱出を図る
氷柱「逃げ切れるかしらっ!!?」
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
氷柱は攻撃を手を緩めず、連続で攻撃をする
だが、恋は何とか大量の湯気から脱出に成功する
華雄「恋……無事だったか……」
華雄は安堵の息をつく
貂蝉「けどぉ、傷の数が増えちゃってるわよん」
と、湯気の中から
氷柱「防戦一方ね、呂布」
氷柱が満足気な表情で現れる
恋「……………」
恋が息を整えた時、一刀が叫んだ
一刀「恋っ!!!気を付けろっ!!!
氷柱は『ただの』氷の絡繰人間じゃないっ!!!」
左慈「どういうことだ、北郷」
一刀「左慈、氷柱は…………」
一刀は左慈の顔を見てこう言った
一刀「『状態変化を操る絡繰人間』だ」
音々音「状態変化?」
聞きなれない言葉に首を傾げる音々音
音々音以外も首を傾げる
一刀「物質は固体・液体・気体の3つに別れて存在しているんだ
自分達が飲んでいる水は液体と云われる
その水を鍋とかで熱して沸騰させ、湯気……蒸気にさせる、これが気体
逆に水を冷やして凍らせれば氷となり、固体となるんだ」
于吉「これらの1つの状態から、他の一つの状態に移行することを『状態変化』と呼ぶのです」
次々と『状態変化』についての補足情報が入り込む
卑弥呼「固体から液体への変化を『融解』、液体から固体への変化を『凝固』又は『固化』という
液体から気体への変化を『蒸発』ないしは『気化』、 気体から液体への変化を『凝縮』『液化』『凝結』『結露』という」
左慈「因みにだが、固体から直接気体へ変化することを『昇華』っつーんだ
気体から直接固体になることも同様に『昇華』だ」
季衣「うぇ~……何言ってるか全く分かんない~…」
鈴々「にゃぁ~…鈴々もなのだぁ………」
決して頭のよくない面々は頭から黒煙を吹いたり、口から泡を出して目を回して混乱したりしている
音々音「………ようは氷柱は氷の絡繰人間ではないという事ですか?」
音々音は話を戻す
一刀「元は氷を操る絡繰人間なんだろうが、『龍天五獄隊』っていうこともあって改造されたんだ
ただし、その力は『制限解除』をしたのみ解放できるという仕様だろう」
左慈「成る程…………
あの水滴の攻撃も元は『氷の礫』を熱で溶かしたもの
そして、あの大量の湯気………水蒸気は空気中の水分を操り、一気に蒸発させて作り出した霧って訳か……」
一刀と左慈は仮説を話しつつ、氷柱を見る
氷柱「ふーん…………流石はあの『天の御遣い』ね」
氷柱は口角を上げて頷く
氷柱「今、説明にもあった通り、アタシは水・氷・蒸気を自在に操る絡繰人間
氷はあくまでも主体に使ってるだけ
本来の力は『制限解除』でのみ解放が出来るわ」
氷柱は言葉を繋げる
氷柱「この水蒸気もアタシの技、『蒸気の霧・沸点蒸発(じょうきのきり・ふってんじょうはつ)』よ
これも説明通り、空気中の水分を一気に蒸発させることで霧状の水蒸気を発生させることができる
空気には水分を含んでいる以上、この世界はアタシの掌の上よっ!!!」
パキパキパキッ!!!
氷柱は右手に『氷の礫・雹』を、左手には水の塊を作り出す
水の塊は人の顔を完全に覆いきってしまう位の大きさがある
氷柱「呂布、空よりも高い宇宙の気分を味わいたくない?そーれっ!!!」
氷柱は徐にその2つを同時に投げつけた
左慈「宇宙?どういう意味だ?」
左慈は氷柱の言葉に眉を顰める
恋「……………」
フォンッ!!!
ガキンッ!!!
恋はまず、『氷の礫・雹』を砕き落とす
水の塊は素早く躱す
だが
氷柱「それっ!!!」
恋「っ!!!」
氷柱は水の塊を操り、恋の顔を命中させた
しかも、その水の塊は形を崩さず恋の顔に付着したままとなっていた
恋「………………!!!」
恋は顔を動かし、振り払おうとするも水の塊は離れない
何とか必死に呼吸を止める
左慈「やべぇぞ、あのままじゃ溺死だっ!!!」
于吉「成る程、だから宇宙という事ですか………
宇宙は無重力のため液体は水滴のように丸みを帯びた形で浮き続け、接触した物体に纏わりつくと聞いたことがあります
宇宙飛行士でも、危険の為、十分に注意を払うとか………」
氷柱「『窒息泡(ちっそくあわ)』の味はどうかしら?
アタシが手を下さなくとも時間で死ぬわよ?」
氷柱は腕を組んで、傍観していた
ところが
恋「…………………!!!」
恋は大きく目を見開くと
恋「………ゴクゴクゴク」
あろうことか、『窒息泡』を飲み込み始めた
氷柱「……………は?」
氷柱も思わぬ事態に目が点となる
『窒息泡』はみるみる小さくなり、恋の鼻からの呼吸が可能となった
飲み込む速度は更に速まり、遂には全てを飲み干した
恋「………ご馳走さま」
氷柱「…………開いた口が閉じないわよ、予想外過ぎるわ」
一刀「まぁ………結果オーライ?」
一刀も思わず苦笑い
氷柱「もーいーわよっ!!!あったまきたわっ!!!」
氷柱は蒸気と氷を同時に出現させる
氷柱「これで終わりにしてやるわ」
氷柱は恋目掛けて猛スピードで走り出した
恋「………」
恋は『方天画戟』を真横に振る体勢を作る
氷柱「喰らえっ!!!」
氷柱は蒸気と氷を同時に投げつけた
恋は氷柱の動向を見つつ、素早く仰ぐ
だが、仰いだ瞬間
ボゥンッ!!!
恋「……霧?」
大量の霧が出現した
氷柱「かかったわねっ!!!」
氷柱は恋の後方に移動し、距離をおく
音々音「また『沸点蒸気』ですか?」
詠「いや、それより薄いわ
姿を隠せる程、濃くない
現に、ボク達の右斜め前にいるじゃない」
詠は恋の立つ位置から右斜め前の方向を指差す
恋「…………氷柱、いる」
恋の目の前には氷柱が立っている方向を見る
詠「って……あれ?恋は何処を向いてるの?」
詠が指差す方向と恋が見る方向は全く別の方向だった
恋「…………『大裂空』っ!!!」
フォンッ!!!
恋は目の前にいる氷柱に向かって『大裂空』を放つ
ところが
氷柱「ふっふーん♪効かないわ♪」
『大裂空』は氷柱に直撃したかに見えたが、氷柱の身体をそのまま通過していった
音々音「れ、恋殿?ど、何処に放っているのですかぁ?」
華雄「恋、そこには『何もいないぞ』っ!!?」
恋「……………?」
華雄達の言葉に恋は首を傾げる
華雄「氷柱はお前から見て右斜め前……って…え?」
華雄はその先にいる氷柱を見て目を見開く
何故なら、氷柱は10体存在していたからだ
しかも、その殆どは『空立』していた
華雄「またあの『氷雪像』とかいう人形かっ!!!」
左慈「いや、どうも実体がねぇ……」
一刀「……………さっき、氷柱が投げた2つの塊が気になるな……」
一刀の言葉に于吉は手を叩く
于吉「…………成る程
恋さん、本物は1体しかいません
恐らく他のは幻……『蜃気楼(しんきろう)』でしょう」
卑弥呼「密度の異なる大気の中で光が屈折し、地上や水上の物体が浮き上がって見えたり、逆さまに見えたりする現象じゃな」
貂蝉「高温の蒸気とぉ、低温の氷を混ぜることでぇ、一気に温度の違う空気が出来上がるってことねぇ」
恋「……………………」
氷柱「ネタバラシするの、ホント嫌になるわ……」
氷柱は眉間に皺を寄せて一刀達を睨む
貂蝉「図星のようねぇ………」
一刀「にしても、化学を糧に戦うとはな……」
氷柱「悪いかしら?アタシは補助するのが目的の絡繰人間よ
使えるものは何でも利用するわ」
恋「……………」
氷柱「さてと…………まだ戦う気かしら?
戦力差は明らかでしょう?」
恋「………氷柱の言う通り…
今の恋、氷柱に勝つの…難しい」
氷柱「あら、意外と素直ね」
恋の言葉に氷柱は驚く
恋「だから、恋…………『限界を越える』」
氷柱「限界を越える?」
恋「……………」コク
恋は大きく頷くと
ギュオォォォォォッ!!!
気を高め始めた
恋を中心に激しい風が巻き起こる
氷柱「急激な気の上昇……!!?何をする気……」
氷柱はあまりの風に顔を腕で覆う
恋「恋……まだまだ、強くなれる
ご主人様、そう言ってた…………」
恋の表情は真剣なものから口角を上げた笑みへと変わる
恋「だから、恋……もっと強くなる………
強くなって…ご主人様に追い付く」
恋の気の高まりは一層、高くなる
そして
恋「その為に………恋、限界を越える……………」
一際、恋の気が大きくなった瞬間
ドォォォォンッ!!!
激しい爆発が巻き起こった
氷柱「っ!!?」
氷柱は目を見開いて砂煙の上がるなか、立ち尽くす恋を見る
目を閉じていた恋はゆっくりと目を開く
恋「…………………」
音々音「れ、恋殿?」
華雄「まさか?」
貂蝉「そのまさか、みたいよん♪」
貂蝉は親指を立てて、はにかむ
一刀「…………『真の天下無双』…だな」
恋「……恋、『限界突破』、した」
氷柱「『限界突破』?呼んで字の如くって感じね
まぁ、強くなった事は認めるけど、それでアタシの力をどうにかできるとでも思ってんの?」
氷柱は『万能眼鏡』で恋を覗きながら言う
恋「恋…………氷柱に、勝つ」
氷柱「はいはい、妄言は聞き飽きたわ
さっさと、死んで♪」
氷柱が右手を突き出すと、恋の足元に冷気が走る
恋はそれを感じ取っていたが、気にすることなく歩き出す
氷柱「??避ける気なし……
じゃあ、死ね……『氷剣山』っ!!!」
氷柱は恋の足元から『氷剣山』を出現させた
『制限解除』をしているため、倍以上の大きさだった
が、
氷柱「え………?」
『氷剣山』は恋に直撃する間もなく、粉々に砕け散った
恋「………………邪魔」
何故なら、恋が『方天画戟』で凪ぎ払ったからである
氷柱「う、嘘……嘘でしょ?
『制限解除』をしたアタシの『氷剣山』よっ!!?
何で人間如きにっ!!?」
氷柱はあまりの出来事に動揺する
恋「…………もう、氷柱…勝てない」
恋の言葉に氷柱は、頭に血を昇らせる
氷柱「何を知ったような事をっ!!!
『雪華・彼岸花(ゆきのはな・ひがんばな)』っ!!!アンタの墓に添えてやるわよっ!!!」
氷柱は恋の足元に氷で出来た花を無数に咲かせる
月「綺麗な花………」
氷柱「触れただけで、氷や蒸気で出来た刃物がアンタを襲うわっ!!!
さしずめ、氷の地雷よっ!!!」
恋「………………」
恋は構うことなく、歩き続け
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
フォンッ!!!
足に触れた『雪華・彼岸花』は次々と弾け、恋に襲いかかる
ところが、恋はそれを全て躱したり、『方天画戟』を仰いだ
氷柱「なっ!!?」
恋「恋……言った………
もう、氷柱………勝てない」
恋は『方天画戟』を構える
氷柱「ない……ないないないっ!!!あり得ないっ!!!
アタシは絡繰人間っ!!!『水氷軍』を率いる氷柱よっ!!!
アタシが負ける筈なんてないのよっ!!!」
パキパキパキッ!!!
氷柱は半狂乱になりながら、周囲に冷気を撒き散らす
みるみる周囲が凍りついていく
氷柱「アタシの究極奥義で永遠に凍結させてやるわっ!!!
『絶対零度(ぜったいれいど)』で死んじまえっ!!!」
氷柱がそう言い放った瞬間だった
フォンッ!!!
ザシュッ!!!
氷柱「………あ゛っ!!?」
恋「……………遅い、終わり」
恋が放った惨殺の一撃は、氷柱を右肩から左腰までを真っ二つにした
氷柱「が……あが…………っ!!?」
切断された身体からは鮮血が激しく吹き出る
吹き出た鮮血は自らが発した冷気により、一瞬で血色の霧となる
そして、切断された身体もまた、一瞬で凍りついた
恋「……………奥義『天守・弦断殺(てんしゅ・げんだんさつ)』………」
恋はボソッと呟き、そのまま一刀の元へ歩み続けた
恋「恋に勝てない………
お前、ご主人様にも勝てない………」
絡繰人間4号『元名』氷柱:現在状況…死亡
死亡原因:過去の呂布との戦闘により身体を切断され絶命。
切断した傷口に自らの発した冷気により内部全てが凍結し、凍死。
……終……
Tweet |
|
|
2
|
0
|
追加するフォルダを選択
恋と氷柱の戦闘は互いに一歩も譲らない攻防戦を繰り広げていた
氷柱のサポート兼攻撃は恋を足止めしつつ攻撃するが、恋は何とか対応していく
そこで氷柱は『制限解除』をするが、通常の『制限解除』と何か違う…………?