『私たちも頼られる時代になるんですね!』
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第61話(改1.5)<海行かば艦娘>
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トラックは幹線道路を走る。傾いた陽で街は赤く染まっていた。
「夕日がきれいだな」
するとブルネイ提督が切り出す。
「10分も走らないうちに渡船場に付くから手短に話す。今日これから行くところは義兄の親戚が経営する食堂だ。ただし船上なので、その旨は含んでおいてくれ」
私は目を丸くした。
「渡船……あれか? ブルネイの水上集落」
提督は頷いた。ブルネイは初めてなので見たことは無いが噂は聞いたことがる。東南アジアによくみられる水上集落だ。
彼は続ける。
「知ってるだろうが艦娘は世界の軍や公安、治安関係者には注目されている」
「あぁ」
「だが我々はレシピも含め基本的な艦娘建造のノウハウは公開できない」
「そうだな」
彼は一呼吸置いた。
「だが例えば、ここブルネイのように鎮守府のある泊地では深海棲艦との戦いの合間に現地の治安維持活動への協力も検討され始めている」
「……」
あまりにも突然すぎる話だ。提督は腕を組んだ。
「特にブルネイは、わが国の皇室とも縁が深い。治安維持協力の第一号として政府内でも検討されている」
「……」
困惑した表情の私を見た彼は笑った。
「とりあえず状況だけは理解してくれ」
私はその表情を見て、ようやく口を開いた。
「水上……だよな?」
彼は頷く。
「そうだ。敢えて船上で、しかも関係者だけ。ブルネイの政府や王立軍、警察関係者がやってくる。そこに美保の艦娘たちも同室願うつもりだ」
「えっ?」
整理がつかない上に意外な提案に私は驚く。
彼は続ける。
「急で悪いが、ブルネイ側も切羽詰まっているんだ。それに伊勢や日向、龍田あたりは接近戦にも強いだろう。万が一には先方のSPの支援をする可能性もあるから、それは伝えておいてくれ」
もう私は脳内がぶっ飛ぶ寸前だったが取り敢えずインカムを取り出すと理解できた範囲で艦娘たちに伝えた。
『了解デス 』
いつもの金剛に続けて意外な反応が続く。
『いよいよ、私たちも頼られる時代になるんですね!』
『まぁ王立軍が来るの?』
『護衛、承知。伊勢も大丈夫だ』
彼女たちが偉いと思うのは、こういうぶっ飛びそうな内容でも、しっかり受け止めてくれることだ。特に今回の遠征メンバーは実戦経験も豊富なだけに腹が据わっているのだろう。そういう点は安心できる。
やがてトラックは大河に面した桟橋に到着した。
「ハイでは皆さン降ります」
運転手さんは手際よく降車の準備をする。
日本では派手にしか見えない艦娘たちも、ここブルネイの熱帯地方では意外に街の雰囲気に溶け込んでいた。彼女たちの端正な顔立ちと相まって、まるで民族衣装をまとった団体に見えるから不思議だ。
そんな彼女たちを見ていて、ふと感じた。
(もともと艦艇である彼女たちは海を越える存在だ。日本というちっぽけな国だけに留まっては、いけないのだろう)
だが、このイスラムの国ブルネイでは、さすがにこの出で立ちでは難しい場所も多いだろうが。
運転手さんは携帯で何処かに連絡を取っている。パッと見は人の良いオジサンにしか見えないが電話をしているときの目つきは鋭い。恐らく諜報員だろうと察した。
(人は見かけによらないものだな)
曲がりなりにも海軍の提督ともなれば中将以上が多い。だから、きっとブルネイ提督の奥さんも、それなりの身分の人で、相応の場で提督と出会う縁があったのだろう。
やがて2隻の渡船ボートが桟橋に横付けする。
それを見た運転手さんは、急にもとの明るい笑顔に戻る。
「サァ、皆さん。遠慮なく乗って下サイ!」
艦娘たちも、まさか自分たちが改めて船に乗るとは思っていなかったようで口々に感嘆の声を上げた。
「Woo! カワイイネ」
「きゃあ! お姉さま押さないでっ!」
「あらぁ、優雅ねえ」
「……勝った」
最後の日向のセリフが、いったい何を意味するのか謎だが。
私たちは二手に分かれて乗船した。ブルネイ提督は慣れているのだろう。その義兄の親族らしき人と何度も目配せをしている。当然、敵ではないが妙な雰囲気だな、こういうのって。
「では皆さン、出しますヨ!」
あの運転手さんが声をかけると船は、ゆっくり桟橋を出発した。大きな川には無数の船が行き来している。
「ああ、ここは水の都なんだな」
私は実感した。
以下魔除け
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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「美保鎮守府:第三部」の略称です。
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トラックに乗り込んだ美保司令とブルネイ提督。そこで司令は意外な話を聞くのだった。