No.948557

マイ「艦これ」「みほ3ん」EX回:第52話<空しい勝利>

しろっこさん

初陣の艦隊相手に手加減をした美保鎮守府。だが相手は素人同然で、ほぼ圧勝で終わるのだった。

2018-04-12 21:06:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:477   閲覧ユーザー数:477

 

「ウチは死にとうないっ!」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第52話(改2)<空しい勝利>

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 私は腕を組んだまま呟いた。

「私たちの旗艦は今回も赤城さんだな」

 

「……」

秘書艦の祥高さんは軽く頷いている。

 

青葉さんもカメラを微調整しながら呟く。

「金剛さんも昨日の演習で、ちょっと懲りた面もあるようですから」

 

「あぁ、まぁ適任だろう」

私は自分に言い聞かせるように言った。

 

それから視線を海の上に転じた。

「ただ問題は相手側だ……」

 

 とりあえずこちらも比叡と夕立以外は微妙な相手であっても、うまくやってくれそうな面子だが。

 

(初陣とはいえバランスや錬度から言って、こちらも本気を出し難い)

 

 最初はお互いが様子見的に、間合いを縮めている。

 

まずはブルネイ側の比叡が相次いで砲撃を開始する。砲撃音が響き海上に水柱が立ち上がる。

 

 だがこちらの艦隊は直ぐに回避した。

「狙いは正確だな」

 

「そうですね……でも、やはり機械的な戦闘パターン感は否めませんが」

撮影を始めつつ青葉さんが呼応する。

 

こちらの日向と赤城さんは、余裕すら感じられる。

 

 次いで相手の龍驤と伊勢が航空機を発艦させた。脇の無線機からは若干の雑音に混じって、相手の交信音声が入る。

「空母機動艦隊、出撃するでー!」

 

「さあ、迎撃するわよ」

 

「あれ?」

こちらの赤城さんや日向は相手をチラッと見ただけで特に動かない……と思ったら、いつの間にか上空に航空機を待機させていていた。

 

上空を確認し、出遅れたことに気づき慌てふためく龍驤。

「ふぇえ……これはマズいでぇ!」

 

だが自分の航空機が発艦中で急に身動きが取れないようだ。

 

「ちょっとまずったな……どうしよう」

まだ艦載機の少ない伊勢は直ぐに発艦を停止して回避にかかる。

 

 それを見ていた赤城さんはまず龍驤への急降下爆撃を実施する。

 

「あっかーん! ちょっちピンチすぎやー!」

自分が狙われていることを悟って焦りまくる龍驤。

 

しかし、この艦娘……。

(美保にはまだ居ない子だが、うるさい奴だな)

 

美保鎮守府に来ないことを祈りたくなった。

 

 相手のダブル比叡は龍驤に気を取られていた。その隙に美保の龍田さんと夕立は高速で外側から大きく回り込んで雷撃を開始した。

 

「あ!」

……と、向こうの比叡が気づいた時には遅かった。大きな水柱が立った。

 

「演習とはいえ魚雷直撃か」

思わず声が出た。

 

 見ていて心が痛む。

 

 なぜか私は、あの武蔵様を思い出した。彼女は何本も魚雷を受けてもビクともしないだろう。

 

 だが比叡級では魚雷一発でもダメージは大きい。

何処と無く、全てが隙だらけだ……まぁ初陣では仕方ないが。

 

(油断しすぎだぞ)

 

「ひええええ~~~!」

幾重もの水柱に包まれる比叡。

 

 水蒸気が晴れると、ボロボロになった比叡が立ちすくんでいた。

一隻が大破か?

 

 さらに、こちらの金剛と比叡が相手の残りの比叡へ向けて砲撃を開始する。逃げ惑う別の比叡。

 

思わず美保の金剛が叫ぶ。

「No! あまり動いちゃダメねぇ」

 

「演習だからっ! お願い!」

同じく、こちら側の比叡の声。

 

しかし相手を諭(さと)しながら砲撃する構図というのも妙だ。

 

 美保の艦娘たちは既に未来のブルネイで模擬戦は経験済みだ。

その為か、意外に手練なのだ。

 

もちろん砲撃の外し方も、絶妙ではあるが、いかんせん相手が素人過ぎる。もはやブルネイの、もう一人の比叡は恐怖にかられて逃げることしか頭にない。

 

 一方、また別の声が無線に入る。

「いや、ちょっと……ごめんなさい」

 

「伊勢っ、逃げるな! そんな……大丈夫だから……」

この声は日向か? 逃げ惑う伊勢にだろう、必死に叫んでいる。

 

(そうか、初顔合わせで量産型とはいえ、いちおう姉妹だよな)

伊勢型は、そうだ……私はそんなことを考えた。

 

 一方の龍驤も逃げ回っている。

「ウチは死にとうないっ、死にとうないんや!」

 

もはや半狂乱だ。

 

「だ、誰もそこまでは……演習だし」

さすがの赤城さんも戸惑っていた。だが急に攻撃も止められない。逃げる龍驤の周りには、いくつも水柱と火柱が立ち上る。

 

「嫌や~!」

声が通るだけに、余計に悲壮感が強調された。

 

 弱い者いじめ……というより、もはや拷問に近い。

相手が深海棲艦ならまだしも同じ艦娘で、この反応は攻撃するほうが辛くなってくる。

 

海上は水柱と砲撃の煙で視界が悪くなっていた。

 

 埠頭で見ていた吹雪も、ただオロオロしている。もはや彼女も、どう対処して良いのか分からない状態だ。一方の五月雨は両手で顔を覆っていた。

 

(いったい何なんだ? これは)

 

これほど見ていて辛い演習があったか?

 

 ブルネイや技師、それに技術参謀までが苦虫を潰したような表情だ。

既に誰もが無言になっている。

 

 やがて渋い顔のブルネイが技師にささやいた。彼は頷くと無線担当に指示していた。

 

 直ぐにブルネイは私たちを振り返った。

「美保の艦娘たちが我々の旗艦を撃沈した。既に勝負はあった……演習はこれまでだ」

 

 あっけない……いや、空しい勝利だ。

私は、胃が痛くなってきた。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

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PS:「みほ3ん」とは

「美保鎮守府:第三部」の略称です。

 

 


 
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