『愛しいキミに優しい接吻を』
「今夜はいい月夜だな」
「そうね、一刀」
雲一つない星空。
そこに浮かぶ金色の満月を見つめる。
「まるで、華琳みたいだ」
ふと、そこから連想した言葉を口に出してみる。
「どういう事かしら?」
まぁ、当然の返答だろうな。
「あの満月を華琳だとするだろ?」
「…ええ」
華琳が月を見上げた。
「雲一つないあの空は、お前の成し遂げた覇道の末に生まれた平和な大陸。そして、満月のまわりに輝く小さな星の1つ1つが、お前のことを大切に思っている人たち。その人たちの思いだ」
「…貴方にしては上手いことを言うのね、一刀」
「まぁな…。思った事を正直に言ってみただけなんだけど、な」
ちらりと華琳の方を見ると、楽しそうな顔の奥に、少しだけ危うげな少女が垣間見えた。
「…ねぇ」
「どうした? そんな顔して」
別に、悪い事を言ったつもりはなかったんだが…
「私が月ならば、貴方は何なのかしら?」
「ふむ…」
まだ不安なんだろうか。華琳の前から姿を消して?約1年も放ったらかしにしてしまった俺もアレだが。
「きっと、俺は、月兎なんじゃないかな?」
「…え?」
そう言って、華琳を正面からそっと抱き締めた。
「あ、一刀…」
「言っただろ? 俺はいつだって、お前の傍に居てやる。お前が辛いときは隣で支えてやる」
ちゅっと軽く触れる程度に唇を重ねた。
「もう消えたりしないよ。仮に、また俺が姿を消したとしても…絶対にもう一度帰ってくる。いや、何度だって帰ってきてやる」
「…一刀」
「それに、俺の死地はお前の隣だってもう決めたからな?」
もう一度、唇を重ねた。今度はより深く、それでいて先程よりも優しい口付け。
「今の言葉、信じていいのよね?」
「勿論、というか寧ろ信じてくれないと俺が困る」
思わず苦笑した。華琳は本当に可愛い。
「絶対に、約束だからね?」
ほんのりと赤く染まった頬にそっと右手を当てる。
「大丈夫だよ。俺の大事な華琳……ずっと愛しているから」
最後にもう一度、口付けを交わした。
後書き
短編になりますが、なんかしっくりこない...
というか、妄想駄々漏れな上にちょっと短すぎ感が...
こんな駄文でよろしければ、どうぞ(笑)
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短編のSSになります。
時系列的には、一章終章後の魏になります。
乱世に舞う乙女を読んでからのほうが分かりやすいかもです。
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