No.941595

九番目の熾天使・外伝~マーセナリーズクリード~番外編 エクササイズプログラム

okakaさん

リハビリ企画4回目です

2018-02-15 10:46:55 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:837   閲覧ユーザー数:777

番外編【エクササイズプログラム】閃光のレイヴンズ

 

 

 

―――――――楽園市街地型演習場―――――――

 

 

『ディア、3時方向に敵機接近中だ!』

 

「はい!リエーフ、マスターモード2、接近戦で行くよ!」

 

『YES、ミスター。マスターモード2、BMSA3.0』

 

 

リエーフの復唱と共に操縦系統を接近戦に最適化されたディアの【シャドウ】が腰の日本刀型の【一〇式単分子カッター】を鞘から引き抜く。本来なら刃面の微細チェーンソーが回転し敵を切り刻む武装だが、あいにく今回は演習。オレンジ色の安全カバーが被せられた状態のそれを演習標的である【Rk-92 サベージ】へと振り抜くと、コックピット内で電子音が鳴り響いた。

 

 

『マウリッツ・システムからの信号受信、標的撃破』

 

「よし!・・・だいぶASにも慣れてきたか『ロックオン警報、11時方向、距離200』なっとぉ!?」

 

 

目の前の敵を倒した瞬間の気の緩みを突かれた。慌ててそちらに左手のショットガン【ボクサー】散弾砲を向けようとした瞬間、シャドウが散弾砲を落とし左腕がだらりと垂れ下がった。

 

 

「あれ!?なんで!?」

 

『マウリッツ・システムからの信号受信、左肩部に被弾。左腕部機能停止、スタビライザーに深刻なエラーが発生』

 

「しまった!」

 

 

慌ててその場を離れようとバックジャンプを試みようとするが、機体がふらつき制御が効かない。体制を立て直そうと刀を杖にしてバランスを取った瞬間。機体のモニターがブラックアウトした。

 

 

『マウリッツ・システムからの信号受信。胸部に被弾。撃破されました』

 

「あー・・・これは怒られそうだなぁ・・・」

 

 

コックピット内でディアがうなだれる。演習の標的機である第2世代は自分の使う第3世代よりも遥かに格下の相手だ。しかも無人のAI制御に負けたとあってはかなりの精神的なダメージだろう。この後の説教を覚悟しながらディアは演習終了の合図を待った―――――――

 

 

 

 

―――――――『さて格下相手に負けた死体共、お前らの悪かった点を言ってみろ』

 

 

演習終了と同時に再起動した機体を操作し、後片付けを行いながら演習責任者であるokakaの演習評価判定を聞いていたディア達は自己分析報告を上げるよう迫られた。

 

 

「・・・標的の撃破時に一瞬気を抜いたことですかねぇ」

 

『それと回避よりも反撃を優先したことと、周囲への警戒を人任せにしたことだな。いくら支配人が指揮官役だったとは言え、索敵は全機体のデータリンクを介してそれぞれ個人でも行うように』

 

「はい・・・あの場合、どうすれば良かったんですか?」

 

『周囲の建造物を遮蔽物にして一旦離脱。一時的な安全を確保してそこから反撃に転じるべきだったな。まぁ、お前の射撃で当たるとは思ってないから、この場合支配人かこなたと合流して反撃するのが最適解だな』

 

「うっ・・・」

 

 

微妙に毒を含んだコーチングにディアが渋面を作る。しかし、実際自分の射撃の腕は頼れるかと言われれば無理がある。拳銃程度ならまだ当たるが、ライフルのような武装を火器管制システムに頼った発砲しかしていなかったディアはジャミング下における直接照準での射撃能力が恐ろしく低い。だからこそ、単純に【それ】と指し示すだけで当てられる散弾砲を自身の武器に選んでいたのだが。その散弾砲にしても有効射程は短い。敵の懐に飛び込んで超至近距離から放つ【ケンカ・ショット】くらいにしか使えないだろうとはokakaの弁だ。

 

 

『まぁ、そのこなた達もお前がやられた瞬間に動きを乱してすぐにやられたがな』

 

『・・・だっていきなりウルがやられたなんて聞けばさぁ・・・』

 

『そうよ、動揺しちゃうじゃない』

 

『つまりお前の撃破がチームの足を乱した事になるな』

 

「・・・ごめんね、こなた、アキさん」

 

 

自分を大切に想ってくれている二人に謝罪をしながら落とした散弾砲を拾い上げていると、戦術画面に一瞬だけ何かが反応した。

 

 

「?今何か反応が・・・回収し忘れた標的機体かな?リエーフ、アクティブセンサーを作動して」

 

『YES、ミスター』

 

 

リエーフの返答と同時に機体のアクティブセンサーが拾い上げた情報が画面に反映される。その情報はデータリンクを行っている全機体に反映され、写し出された。

 

 

『?・・・妙だな・・・標的機よりも反応が一つ多い。okaka、そっちで解るか?』

 

「ちょっと待ってろ・・・このIFFは!」

 

『どうした?一体何が『俺だよ』!?』

 

 

唐突に通信に割って入った聞き慣れた声。反応があった方向に全員が目を向けると、そこには都市迷彩用のグレーに膝下部をダークブルーに染めた細身のASが大型のガトリングキャノンを持ってビルの上に陣取っていた。

 

 

「・・・なんのつもりだガルム、もう演習は終わってるし、お前は出ないって言っただろうが」

 

『え!?あれガルムさんなんですか!?ってかそのAS・・・』

 

『そのつもりだったんだけどよ、内容見てて面白そうでさぁ。やっぱ来ちゃったわけよ。って事で誰か俺とこのM9の相手してくんね?』

 

 

そう言ったガルムは自身の乗機【M9A2 ガーンズバック・エンハンスド】を市街地へと降ろした。

 

 

「悪いがもう演習は終わってる。お前の相手するやつなんて「あら、楽しそうじゃありませんか?」・・・来ちゃったよ相手してくれそうなのが」

 

 

突然の背後からの声に嫌な予想をしながらokakaが振り返ると、まさにその嫌な予想が大当たりする人物が目の前に立っていた。

 

 

「私(わたくし)と桃花さんでお相手いたしましょう。せっかくですので皆様もご一緒に」

 

「・・・桃花、なんで菊乃がここにいる?」

 

「演習見学を希望されたので」

 

 

しれっと答える自身の配下に苛立ちを覚えながらも、どちらもこのまま大人しく引く下がる気はないだろうと判断したokakaは盛大なため息をつくと、通信機のインカムを取った。

 

 

「ってわけだ。お前らどうする?もう一戦やるならガルムを加えた編成でこっちの機体と当たってもらうが」

 

『俺は構わんぞ。指揮官役は誰がやる?』

 

「お前以外いないだろうよ」

 

『私は構わないわ』

 

『私も良いよ』

 

『・・・僕からもお願いします』

 

 

全員が参加を表明、それをきいたokakaは一旦落としたマウリッツ・システムの電源をもう一度入れると、通信機に向かって編成を発表した。

 

 

『じゃあお前ら4機でこいつら2機の相手だ。準備が整い次第開始する』

 

「ちょっと待てokaka!ここは3対3じゃないのか!?」

 

 

通信機から響いてきた編成に支配人が驚く。当然だろう、自分達のほうが大人数の編成。つまり自分達が【格下】扱いの演習内容になるのだ。

 

 

『・・・舐めやがって、上等じゃねぇか。泣くまでしばき倒してやるぜ』

 

 

ガルムの軽い怒気を含んだ声に他の全員が気付く。自分達があの少女より下に見られているということに。

 

 

『ちょっとオカやんは私等馬鹿にしすぎじゃないかなぁ・・・』

 

『誰だか知らないけど、これでも私達だって修羅場くぐり抜けてきたのよ?そう簡単にやられると思ってるのかしら?』

 

(二人だけで?たしかに僕らはまだ未熟だけど・・・)

 

 

苛立つ二人とは対象的に先程ミスをしたディアは冷静だった。自分一人がやられただけで足並みを崩した事を鑑みても、この編成には何か別の意図があるのかもしれない。そんな事を考えながらディアはシャドウを開始位置へと移動させた――――――――――――――

 

 

 

 

 

―――――――――――『改めまして、三条菊乃と申します。今は一城さんの下でASを操縦する仕事をさせていただいております。どうぞよろしくお願いしますわ』

 

「あ、どうも。ウルティムス・F・L・マクダウェルです」

 

『ちょっとウル!デレデレしないの!』

 

「してないよ!?」

 

『うふふ、仲がよろしいのですね』

 

『自己紹介は後でも良いだろ。始めるぞ』

 

 

okakaが通信機のインカムを外し、信号弾を空中に撃ち上げる。その破裂と同時に演習が始まった。

 

 

(・・・念のために用意だけしておくか)

 

「A子、後は頼む」

 

「はい」

 

 

okakaがその場を離れた事に気付く間もなく、AS達が一斉に駆け出した。

 

 

「さて、一体何処に・・・『接近警報、1時方向距離20』いきなりかよ!」

 

機体のAI【フォルク】の警告にガルムはすかさず回避コマンドを入力した。A2最大の特徴、それは特殊な【テイマー・システム】による操縦だ。このシステムは通常のASのように手足の動きをトレースするのではなく、スロットルとレバー、ペダル操作でコマンドを入力することで適切な距離に応じた動作をAIが行うという格闘ゲームを複雑にしたような、MSとよく似た操縦システムだ。しかもモーションデータは熟練者の操縦から取られたもの、つまりこの機体を使えばたとえ素人同然でも瞬間的には熟練者に匹敵できるのだ。

テイマー・システムはガルムのコマンド通りに緊急回避を行おうと左横に跳躍、次の瞬間、その場所に二つ目のアイセンサーを持ったマゼンタのASが二本の一〇式単分子カッターを持って突っ込んできていた。

 

 

『あら、そちらのエンハンスド、もしかして・・・』

 

「へっ、不用意に突っ込んで来やがって!くらえ!」

 

 

声から察するに搭乗者はおそらく菊乃だ。随分とマッシブでごつい機体だと思いながらガルムは腰部にマウントしていたアサルトライフル【エリコンGEC-B 40mmライフル】を抜き放ち、下部にマウントされた対戦車グレネード弾(模擬弾)を発射した。何だ大したことはない、一発で終わりじゃねぇか。そんなことを思ったガルムはマウリッツ・システムが次に下した判定に耳を疑った。

 

 

『マウリッツ・システムより受信、目標に命中せず、演習続行』

 

「はぁ!?どういうことだ!?今のは完全に直撃だろうが!」

 

『あらあらまぁまぁ、グレネードが私に【届く】と思ったのでしょうか?』

 

 

まるで挑発するような物言いがガルムの癇に障った。

 

 

「てめぇ・・・インチキ野郎が偉そうな事抜かしてんじゃねぇ!」

 

 

もう一発グレネードを装填し、撃ち込む。確実に仕留めるはずの砲弾は再び謎のASの肩部分が動作すると同時に無効判定を受けた。

 

 

「どうなってやがる!故障か!?」

 

『いいえ、正常動作です』

 

 

そう言った菊乃が両手の刀を構え、再び突っ込む。見るからに重量に勝る突進とまともに受ければただではすまない。ならば、と更に距離を取るためにガルムはバックジャンプで後退しようとした瞬間、更に菊乃のASが加速して迫ってきた。

 

 

『なぜなら』

 

 

最初の斬撃をAIの反応がかろうじて回避。すかさず腰の武装ポーチから【アライアント・テックシステムズ M1097対AS用手榴弾】を取り出して投擲、そこでガルムの目がようやく手品の仕掛けを捉えた。

 

 

『この機体、【AS-1イージス・レイヴン】の役割は盾ですので』

 

 

菊乃言葉と同時に両肩の武装【NEC 一二式近接戦闘システム】がミリ秒で反応。リボルバーカノン方式のシリンダーが回転した。

 

 

『マウリッツ・システムより受信、目標に命中せず、演習続行』

 

『さぁ、踊りましょう?機体を【飼い慣らす】オペレーターさん』

 

「アクティブ防御か!?」

 

 

ガルムが驚く中、もう片方の刃が迫る。避けられないととっさに判断したフォルクが緊急防御のために腰にマウントされていた【GRAW-6単分子カッター】を抜き、刀を受け止めた。

 

 

「クソッ・・・たしかに強え・・・」

 

『ガルムさん!』

 

 

唐突に横合いからもう一本、刀が飛び出してきた。菊乃がその刀をもう片方の刀で受けると、その隙を突いて鍔迫り合いからガルムが脱出した。

 

 

「ディアか、助かった。気をつけろ、あいつ強えぞ」

 

『ええ知ってます。あのAS、レイヴンタイプは前に見たことがあるんです。okakaさんが誰かに任せる気はないって言ってたくらいに大事にしてる機体。それに乗ってるって事は・・・』

 

「たしかに格上ってことか。合わせろディア、俺がコイツで援護する」

 

 

そう言ってガルムが左手に装着していた大型の【ジェネラル・ダイナミクスGAU-22/S 25mmガトリングガン】を構え、射撃姿勢を取る。

 

 

「はい、接近して散弾砲を至近距離から撃てれば勝てるはずです。・・・行きます!」

 

 

ガルムの弾幕射撃に合わせるように一〇式を両手で構えたディアがシャドウを走らせて一気に距離を詰めようとする。

 

 

「ならばお受けいたしましょう!」

 

 

菊乃はそれに答えるように両手の刀を構え、ガルムの弾幕を巧みにかわしながらディアのシャドウに相対した。

 

 

「たぁぁぁぁぁっ!」

 

 

上段に構えた刀が機体の瞬発力と重量を持って振り下ろされる。菊乃がその刀を両手の刀でガッチリと受け止めた瞬間、完全に両手が無防備になった。

 

 

「今だ!」

 

『そこだぁ!』

 

 

すかさずディアが左手だけを離し、背中に隠していたボクサーを抜き放ち突きつける。同時にガルムもエンハンスドの運動性をフルに利用してイージスの右側面に回り込む。ガトリングを構え、二人同時にトリガーを引こうとした瞬間、マウリッツ・システムの判定がコックピット内に響いた。

 

 

『マウリッツ・システムより受信、GAU-22/S大破、左腕部損傷クラスB、照準動作に深刻な誤差が発生』

 

「はぁ!?」

 

 

同時に機体の左腕がだらりと垂れ下がり、照準動作が解除される。一体今度は何が起きたのかと思った瞬間、ガルムは目を見張った。

 

 

「おいおいおい冗談きついぜ・・・」

 

『隠し腕・・・!?』

 

 

二人が見たもの、それはイージス・レイヴンの両腰から伸びたアームがディア機の散弾砲を跳ね上げ、ガルム機にガトリング砲を向けているという信じられない光景だった。

 

 

『あらあら、散弾砲に刀、それに射撃機体との連携だなんて・・・うふふ、なんて素敵なんでしょう、まるで【あの二人】、私の愛するあの方と彼女じゃないですか!ああたまりません!もっと!もっと私を燃え上がらせてくださいませ!』

 

 

声に何処か官能的なものが混じり始めた菊乃は両手の刀でディアのシャドウをふっとばすと、もぎ取った散弾砲を放り捨て、背中のコンテナにサブアームを突っ込むともう一つ【GE製 GAU-8/S 30mmガトリングガン】を取り出し、構える。

 

 

「「げぇっ!」」

 

『さぁ踊りましょう!楽しみましょう!ここからは本気でお相手致します!』

 

 

そう叫びながら菊乃はガトリングガンを両方の機体へと発射した―――――――――――

 

 

 

 

―――――――――――「・・・やべぇ、あっちの奴らの援護に行けそうにない」

 

『それよりさぁ!こっちなんとかしよ!?このままじゃなぶり殺しだよ!』

 

『そうよ!なにあのAS!一体いくつ銃持ってるのよ!』

 

「まさか火力で負けるとはなぁ・・・頭上げたらやられるな」

 

 

そう言いながら支配人は一瞬だけちらりと見えた桃花の機体へとセプターのライフルだけを遮蔽物から出して発砲を試みるが、次の瞬間、マウリッツ・システムの判定音が鳴り、慌てて銃を投げ捨てた。

 

 

『マウリッツ・システムから受信、BK-545銃身部に被弾。機体損傷無し』

 

「あっぶね!あと少しで弾薬に引火判定だ」

 

 

言いながら残っていた最後の武装、カデューカの大型ガトリングアタッチメントを右腕に取り付けながら支配人は戦術画面に目を向けた。

 

 

(反応が消えた!?ECSか!マズい!)

 

「リグーシュカ!ECCS作動!全力で探知しろ!」

 

『ラジャー、ECCS作動、最大出力』

 

 

レーダーから反応が消えたのを電磁迷彩システムECSを使用したと判断した支配人は機体AI【リグーシュカ】に素早く複合アクティブセンサーによる逆探知システムECCSを作動させ、桃花を補足しようと試みる。アクティブセンサーは自身の位置も知られてしまう諸刃の剣だが、この場合すでに位置を知られているため関係ない。セプターのセンサー類が桃花の機体を補足その場所はアキとこなたのシャドウが隠れるビル影のすぐ近くだ。

 

 

「後ろだ二人共!」

 

 

支配人がその方向にガトリングを向け発砲。凄まじい轟音と共に訓練用空砲の空薬莢が舞い辺りに散らばった。

 

 

『マウリッツ・システムから受信、命中なし』

 

「わかってる!」

 

 

支配人の射撃はあくまで牽制射だ。当たれば御の字くらいの攻撃だが二人が逃げる隙くらいは作れたはず、そう思った矢先、マウリッツ・システムの判定音が全機に響き渡った。

 

 

『マウリッツ・システムより受信、シャドウM2番機大破、戦死判定につき機能停止』

 

「くそっ!遅かったか・・・」

 

『ちょっと!まだ何にもできてないよ!?もう終わり!?』

 

『なによこれぇ!』

 

 

自分達も何をされたのかわからないまま撃破判定をされたのが納得いかないのだろう。コックピットで盛大なブーイングの嵐だ。

 

 

「隠密性と騙し合い、勝負は一瞬で。これが本当のASの戦闘か・・・」

 

 

改めてそれまで旅団ナンバーズの戦闘によくある【有視界領域での殴り合うような攻撃の応酬】とは違う、現代戦の戦術を強く認識させられた支配人は自機のECSを作動させると、素早く機体を別の遮蔽物へと移動させる。

 

 

「今まで狩る側にいたつもりだったが、これはさすがに価値観変わるなぁ・・・」

 

 

頼みの綱は取り回しの悪いガトリングと小型のナイフのみ。担いでいたミサイルは先刻の訓練で投棄したままだった。いや、たとえミサイルがあってもあの凄まじい弾幕に迎撃されるのがオチだろう。だとすればチャンスは接近戦、しかも奇襲をかけることが絶対条件だ。

 

 

「ECMによるジャミング・・・いや無理だ。セプターにそんなもんないし、いったいどうすれば・・・『支配人様、一つ忠告が』!?」

 

 

入ってきた通信に慌てて支配人が周囲を見渡すが、何処にもASの影はない。いったいどこから・・・そう考える支配人、そのセプターの背中に何か固いものが当たる音がコックピットに響き渡った。

 

 

『強く操縦桿を握ると付け根にある外部スピーカーのスイッチまで握り込んでしまう癖があるようですので、早めに治した方がよろしいかと』

 

「・・・・・・ご忠告、感謝する」

 

 

いつの間にか真後ろに忍び寄っていた桃花の【AS-1ブラスト・レイヴン】の持っていた【H&KハーネルSG8 35mmライフル】がセプターに撃破判定をもたらしたのはこの直後だった―――――――――――

 

 

 

――――――――その頃、ガルム達は―――――――――――

 

 

「おいやべぇぞ、支配人まで落ちたって事は・・・」

 

『ええ、桃花さんもこっちに来ますね。早いところあの機体をなんとかしないと』

 

 

そうは言うが彼等の相対しているイージス・レイヴンは刀を構え、ガトリングを撃ちながらこちらへと突っ込んできている。二人共回避機動で精一杯だ。

 

 

『ボクサーを取られたのが痛かったですね。あの散弾なら当たれば終わってたのに』

 

「今は俺のライフル一本しか有効な射撃武器がねぇ。しかもこっちは照準に誤差が発生してるおまけ付きだ。・・・お前撃ったら当てられる自信あるか?」

 

『知ってます?僕直接照準の射撃が下手くそだからボクサー持ってたんですよ』

 

 

既に一方的に追い立てられている状況、どうあがいても逆転は不可能に近い。ならばいっそ特攻でもして潔く玉砕してやろうかとも思ってしまう状況に二人共大分参ってきている。なんとか反撃の糸口を見つけたい所だがあの4本腕が非常に厄介だ。本来、体の動きを拡大する操縦法のASでは体に存在しない器官を動かすことが不可能のはず。しかし菊乃はそれを自在に使いこなし、ガルムに照準を安定させない為の射撃とディアを仕留めようとする斬撃を同時に行っているのだ。

 

 

「あの腕、随分いい動きするけどほんとにAI操作か?実は二人乗り、なんてことねぇよな」

 

『多分違います。背中の装甲が膨らんでるようには見えませんし』

 

「だよなぁ・・・ディア、お前武器あと何残ってる?」

 

『ええっと・・・刀しかないです』

 

「こっちはライフル1マガジン分と手榴弾1個、あとはナイフだけ。有効な手段にはなりそうにないけど左腕にワイヤーガンと右手の12.7mmガトリングくらいか・・・」

 

『え?ワイヤーガンあるんですか?その機体。良いなぁ・・・あ、そうだ!』

 

 

ガルムの持つ装備を聞いたディアは何かアイデアを閃いたらしい。このまますり潰されるように負けるよりは良いだろうとガルムはディアのアイデアに耳を傾けた。

 

 

 

――――――――――『あら?観念なさったのかしら?』

 

 

菊乃の前に一人で立ちふさがったディアのシャドウ。その腰にはガルムから借りたGRAW-6の鞘が付けられており、刀を右手で構えている。

 

 

「二段構えの抜き打ち、といった所でしょうかではこちらも」

 

 

その構えに応えるようにイージスも両手の刀を構えた。

 

 

(チャンスは一度、一瞬だけ・・・)

 

「行きますよ、ガルムさん!」

 

『おうよ!』

 

 

ガルムの返答と同時にシャドウが駆け出す。チャンスは一瞬。破れかぶれの突撃に見せたシャドウが飛び上がり、刀を上段突きの構えにして飛び込む。イージスがそれを迎撃しようとサブアームのガトリングを向けた瞬間、シャドウが左手に隠していた手榴弾を放り投げた。

 

 

「!?MIKE!」

 

 

すかさずイージスのAI【MIKE(ミケ)】が反応、ミリ秒の速さで迎撃弾を発射し手榴弾を撃ち落とす判定がなされた。

 

 

(ここだ!)

 

「ガルムさん!」

 

 

その一瞬の隙を見逃さなかったディアの声にその真後ろにいたガルムがすかさず飛び出し、エンハンスドの左手からワイヤーガンを発射、左手の損傷判定の影響か、わずかに逸れたものの、イージスの左手の刀を絡め取った。

 

 

「よっしゃ!これで!」

 

「貰ったぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

右手でワイヤーを引き、イージスの自由を奪う。これであとはディアが最初から見えている本命、刀の一撃を叩き込むだけだ。抜き打ちに見せるためのナイフも手榴弾も全てブラフ、これで確実に仕留められる。二人がそう思った次の瞬間だった。

 

 

『お見事ですが・・・』

 

「なっ・・・」

 

 

イージスが右手の刀を一閃した瞬間、ディアのシャドウが構えていた刀が半ばから【叩き折られた】。一瞬何が起こったか解らないディアを援護しようとガルムがワイヤーを巻取り、右手でライフルを構える。が、既にガトリングの砲口がこちらを捉えている。回避をしようとコマンドを入力するが、機体が動かない。

 

 

『もう少し、練った連携でしたら良かったのですが』

 

 

左手の刀を【地面に突き刺し】て逆にエンハンスドの自由を奪ったイージスのガトリングが唸りを上げてエンハンスドを行動不能判定に追い込んだ。

 

 

『もしくはエンハンスドがテイマーでなくマスター・スレイブでしたら勝機はあったかもしれませんね』

 

「クッ!」

 

「このぉ!」

 

 

立ち直ったディアがGRAW-6を突き出すが、今度はその手を掴まれてエンハンスドの方へと投げ飛ばされた。

 

 

「ASで投げ技!?そんなことが・・・」

 

『ええ、可能ですよ。操縦者の腕次第ですが。では、これで終わりですね』

 

 

二人のASに一〇式が振り下ろされる次の瞬間、彼等の間に何かが入り込んだ。

 

 

『そこまでだ菊乃。演習は終わり、全機戦闘不能でお前らの勝ちだ』

 

 

振り下ろされる刀をその手に持った十文字槍で受け止める白いAS。まるで鎧武者のような出で立ちはレイヴンシリーズの系譜だ。同じレイヴンシリーズであるイージスと大きく違うスマートなシルエットのASから聞こえたのは聞き慣れた声だ。

 

 

『okakaさん、ですよね?』

 

「ああそうだ。やりすぎになるかもしれなかったんでな。急いで取ってきたんだよ」

 

 

ディアの声にその白いAS【AS-1グリント・レイヴン】が軽く応えるように左手を上げた。

 

 

『お止めにならないでくださいませ一城さん!久しぶりに(戦闘的な意味で)激しくお相手いただけて私もう少しで(撃破的な意味で)イカせてあげられそうでしたのに!元はと言えば一城さんが私を(機密保持のための行動制限的な意味で)きつく束縛するから!私(暇的な意味で)欲求不満でしたのよ!?』

 

「言い方、やっぱりお前教育に悪いなぁ」

 

 

そう言いながら刀を振り回す菊乃にokakaのレイヴンは操縦者の動きを律儀にトレースしたせいかやれやれといった形で頭を振った。

 

 

「そこまで言うなら俺たちで相手してやる。ディアとガルムは撤収してな。後片付けだけ忘れないように」

 

 

そう言いながらokakaのグリントは十文字槍【EHIドラゴンフライ近接戦闘システム】をもう一本。左手のハードポイントのマウントから取り外すと、二槍で構えた。

 

 

『そうこなくては!』

 

 

菊乃が刀を構えて対峙する。次の瞬間、両機はジャンプしてビル群の向こうへと消えていった。

 

 

「・・・取り敢えず、武器拾って帰るか」

 

「ですね」

 

『できればガトリングの薬莢もお願い致します、演習場保全的にも薬莢の散乱は見過ごせませんので』

 

 

いつの間にか来ていた桃花の通信に二人は取り敢えず自分の武器と薬莢を拾い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

はい、というわけでレイヴンシリーズチラ見せです。正直な所、ディアとガルムはベテラン相手にかなり善戦してるんですよね。そのベテランが化け物なだけで。支配人の癖はこのシリーズ最初の話からなんとなくありそうだなと思って付けたものです。ASの操縦桿は音声認識部分を根元に付けて小指で操作するちょっと変わった操縦桿なので慣れないうちはありそうだなぁと思っています。

 

 

 

 

 

 

おまけ

機体紹介

 

M9A2【ガーンズバック】『エンハンスド』

 

全高:8.4m

 

基本重量:9.9t

 

最大跳躍高:45m

 

最高自走速度:220km/h

 

最大作戦行動時間:160時間

 

動力源:パラジウムリアクター ロス&ハンブルトン APR2800(2800kw)

 

固定武装:GAU19/S 12.7mmガトリングガン×1(右腕)

     M18ワイヤーガン×1(左腕)

 

概要

防御力重視だったM9A系列の設計を従来の第3世代ASのコンセプトへと戻したバリエーションで愛称は【エンハンスド】や【エンハンスド・ガーンズ】。

最大の特徴は従来のセミ・マスター・スレイブとは異なる操縦方式であるテイマー・システム。

レバーを一定のパターンで動かしてコマンド入力するだけでAIが機体を操作し、熟練者の操縦するASと同じ動きをさせることができるシステムで、瞬間的になら凡兵でも熟練者と同じような戦闘機動が可能になる。

しかし、このシステムを【サルでも乗れる】と嫌う熟練操縦者のためにセミ・マスター・スレイブ仕様に換装することもできる。(そうまでして欲しい性能を持っているからこそ)

その他、みぞおちのあたりに火器保持用の小型サブアームが設けられており、腕のフレーム疲労を軽減する工夫も凝らされている。

表向きに知られている第3世代ASとしては最強の地位にあり、伍することができるのはヴォルフのみと言われている。

ガルム機はASに興味を持ったガルムがokakaに依頼して購入してきた物で、資金額や整備性の観点から特にチューンは行われていない。(かなりの高額機であるため)

また、本人の希望で末端をダークブルーに、全体を都市迷彩用のグレーに塗られている。

旅団にはこのガルム仕様の他にokakaが特殊作戦群の初期教育用の教習機としてセミ・マスター・スレイブに換装したものが2機存在しており、特殊作戦群のASチームの初等教育で使われている。

ガルム機のAIコールサインは【フォルク】

 

※余談:このA2の頭部、武装、電子機器、駆動用の形状記憶プラスチック製人工筋肉【マッスルパッケージ】、パラジウムリアクター、装甲を特注品に交換し、非常に精密な精度で組み上げられたのがA2SOPことシグマ・エリートである。

シグマ・エリートはテイマー・システムを持たないコックピットへと換装されている。(最初から超上級者以外の搭乗を想定していないため、テイマー・システムでは真価を発揮できない)

 

 

AS-1イージス・レイヴン

 

全高:8.6m

 

重量:9.8t(乾燥重量)

   14.2t(基本装備時)

 

最大作戦行動時間:85時間

 

最高自走速度:160km/h(通常) 190km/h以上(瞬間)

 

最高跳躍高:40m

 

動力源:パラジウムリアクター 日立製作所 PRH-281(3400kW)

 

固定武装:NEC 一二式 近接戦闘システム

     加藤製作所 KC-1500 多目的クロー

 

基本携帯火器:東芝 一〇式単分子カッター

       エリコン GEF-B 40㎜ライフル

       GE GAU-8/S 30㎜ガトリング砲

 

概要

日本初の純国産「第三世代型AS」を目指し、防衛省技術研究本部とEHI(恵比寿重工)他が共同開発したAS、【一一式主従機士】こと【レイヴン】の試作4号機仕様。

機体構造は通常の「第3世代」の設計を踏襲しているが、とある【換装ユニット】によって、世界的な基準でどのASにも当てはまらないコンセプトの機体となっている。

また、換装する事で本体はそのままに機体性能がガラリと変わり、多目的に使用する事が出来る特殊な仕様となっているレイヴンシリーズの防御特化仕様。

本体は固定武装を搭載しないスリムな機体で、高出力のパラジウムリアクターとコンデンサを搭載し、異常なまでに高いフレーム剛性も備えている。

それと引き換えに本体の重量と運動性は他の第3世代ASと比べて微妙であり、換装ユニット無しの状態で見ると、運動性ではZy-99Mシャドウに劣り、装甲防御力では第2世代の96式改の方が優れているというかなりチグハグな設計。

ただ、この機体構造に関しては、頑丈なフレームと高出力のジェネレータ、余裕のあるペイロード容量により、自衛隊の世界的に見て特殊な【国産兵器を導入してから数十年使用する】というライフサイクルを見据えたもので、【改良を施しながら末永く運用する為の冗長性】を確保しており、高い拡張性から日本のお家芸【魔改造】の余地がある言ってみれば【魔改造前提の機体】。

頭部に立体視認を重視したデュアル式光学センサ、また頭部と胸部にフェーズドアレイレーダーを搭載するため、索敵能力が非常に高い。

イージスはレイヴンの余裕あるペイロードを全て防御特化に振り向けた換装ユニットで、ASサイズのアクティブ防御システムと追加装甲により盾の名に相応しい防御性能を発揮する機体。

肩と腰の装甲のボリュームアップにより、他のレイヴンシリーズより一回りも二回りも太い外観に仕上がっている。

歩兵による不意打ち対処を重視したM9アーマードと違って対AS戦も考慮された機体で、マッスルパッケージとコンデンサを全て入れ替えてあるため瞬間的に大きな瞬発力を出せる仕様。

このため、スペック上は第二世代ASよりマシといった程度の機動性だが、瞬間的には第三世代ASクラスの動きが可能で、戦場でこれらのASを相手にしても同等以上に戦える。

アクティブ防御システムはハードキル型で、飛翔する砲弾やミサイルに対して両肩のリボルバー型発射機から散弾を搭載した飛翔体を射出して迎撃するタイプ。

背中のコンテナに様々な兵装を収納でき、両腰のスカート状装甲内部に装備された2本の副腕を用いることで自在に兵装を切り替えることが可能。この副腕は単なる補助システムではなく、そのまま腕としても使用できる。

重装甲と高出力リアクターによる瞬発力に加えて、副腕使用による兵装の換装といった点はRk-02セプターに性質が似ている。(いわばセプターの上位互換)

菊乃が愛用している兵装は一〇式単分子カッター・大口径ガトリング砲・機関砲内蔵の格闘用クローで、副腕含めた腕4本にそれぞれを装備した戦闘形態で戦う。

この副腕操作には【とあるブラックテクノロジー】が使用されており、十全に能力を発揮するにはそのテクノロジーへの適正と扱いに慣れたオペレーターが必要となる。

菊乃は高い適性を持っているため、この副腕を自在に制御可能。

菊乃の機体はマゼンタに塗られている。

AIのコールサインは【MIKE(ミケ)】

 

余談:旅団仕様のレイヴンには全て最新鋭の不可視型ECSが搭載されている他、okakaの企業で蓄積されたサイバネティクス技術によりマッスルパッケージを更に高性能なものへと改良されているため、通常よりも速度や運動性が向上している(A2SOPも同様)

余談その2:旅団仕様のレイヴンは全てokakaが開発を推進していた議員と自衛官、開発していた技術者へのコネと交渉の上でライセンス生産にこぎつけたもの。そのため、通常の市場に出回ることも無く、旅団員による自力調達が不可能な機体でもある。(しかもokakaはこのレイヴンを旅団員に任せる気は一切無いため、事実上の独占状態になっている)

 

AS-1グリント・レイヴン

重量:10.0t(乾燥重量)12.7t(基本装備時)

 

最大作戦行動時間:40時間

 

最高自走速度:190km/h 400km/h以上(????時)

 

最高跳躍高:45m 480m以上(????時)

 

固定武装:AM11 12.7mmチェーンガン×2、M18ワイヤーガン×2、テイザー×2ブレードランチャー×2

 

特殊装備:???・????

     ?????・????

 

 

概要

一号機改仕様と五号機をベースに作られたokaka専用のレイヴン。

全身の白いカラーリングと浅葱色のラインマーキングが特徴。

両腕に対戦車ダガー(投げナイフ型形成炸薬弾)を装備可能なブレードランチャーを搭載、okakaの得意とするアサシンブレードと同様に飛び出して刃物として使用する事が可能になっている。

その他の仕様やスペックは現在秘匿中

 

 

 

武装紹介

GE GAU-8/S 30㎜ガトリング砲

イージスが持っている大型ガトリングガン。

みんな大好きA-10神のアヴェンジャーを手持ち式にしたもの。

 

東芝 一〇式単分子カッター

6mという機体と比べて細長い刃と僅かに反りを持たせた刀身、柄元には鍔という拵えで、日本刀と似た外見を持つ単分子カッター。

AS-1用の装備だが、それ以外の機体でも運用できるため、刀を欲したディアもこれを使用している。

 

恵比寿重工(EHI) ドラゴンフライ近接戦闘システム

全長10mの十文字槍型の武器。

AS-1専用と言うわけではなく、必要なソフトウェアとモーションデータが入力できれば大抵の機体が使用可能。

三又の単分子カッターが備えられており、突く・斬る・払う・叩くなど様々な戦法に対応できる。

穂先に推進力補助のための小型スラスターが内蔵されており、イレギュラーな機動を行うことが出来る。

穂先はワイヤー経由で射出できるようになっており、これで敵機体を貫いたり、ワイヤーで敵を絡めとって拘束することも可能。

穂先の根本部分にはオプションとして短砲身の火器がマウント可能な固定用フックをもち、okakaは試作品の時からあったAS用の57mm散弾砲を装備することがある。

非常に優秀な武器だが、恐ろしくクセの強い兵装である事は間違いないため、他の操縦者からの評価は芳しくない。

okaka曰く【ディアが知ったら真っ先に飛びつきそうな武装】(槍型のスラッシュハーケンとして使えるため)

名前の由来は日本の武将である本多忠勝が用いた名槍・蜻蛉切から(ドラゴンフライ=トンボの英訳)。

 

 

 

用語紹介

マウリッツ・システム

とある民間軍事企業が開発した最新鋭の演習用システム。

ASにレーザー受光器を取り付け、武装にレーザー発信機を取り付けることで物理演算を駆使した限りなく実戦に近い演習を行うことができるシステムで、被弾時の状況や損傷レベルに応じて機体の不調まで再現可能。

要はAS用のバトラーシステムの一種。

 

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択