No.937645

恋姫英雄譚 鎮魂の修羅28

Seigouさん

洛陽拠点

2018-01-15 19:08:57 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1804   閲覧ユーザー数:1141

拠点・空丹、白湯、黄

 

 

 

 

 

一刀「それでですね、需要と供給の均衡を保ちつつ、物価を抑えなければならないんです」

 

空丹「何故?ものは高いほどいいのではないの?」

 

一刀「物の価値というものは高ければいいというものではないんです、値段が高ければ高いほどお金を持っていない人達はそれこそ何も買えなくなってしまいます、それこそ税収は滞ってしまいます、逆もしかりです、物が安すぎればそれでも税収は下がってしまいます」

 

空丹「ふぅむ、難しいわね・・・・・」

 

白湯「それなら簡単なのじゃ、お金を沢山作ってそれを民達に分け与えればいいのじゃ、そうすれば民達の暮らしは豊かになるのじゃ♪」

 

一刀「それは最もやってはならないことです、お金を作り過ぎればその分物価は上がってしまい意味を成しません、最悪の場合、貨幣の価値そのものが無くなってしまうんです」

 

白湯「何故なの?お金の価値など変わらぬであろう」

 

一刀「例えば、ここに一杯の水があるとします、通常ではこれの価値が10銭とします、しかしお金を沢山作った事によって、この水の価値が1万銭になってしまったら、どうなると思いますか?」

 

白湯「それは・・・・・お金を持っていくのが大変なの・・・・・」

 

一刀「その通りです、これが自分が言った貨幣の価値が無くなってしまうと言う意味なんです」

 

かつての第一次大戦直後のドイツのように、貨幣の過剰供給によるハイパーインフレーションにより、パン一つが一兆マルクになってしまい、100兆マルク札も発行される有様になってしまえば、その貨幣の価値など無いも同然である

 

と、何故にこの三人がこんなやり取りをしているのかと言うと、空丹と白湯が一刀に政について教えて欲しいと言って来たのである

 

一刀としては嬉しい限りであるが、いきなり素人が政治を学ぶのは無理があるので、まずは簡単な経済の仕組みから教えている

 

しかし予想していた通り、金銭感覚が無いも同然のこの二人に経済学を教えるのはなかなかに骨が折れる

 

これまで生活の全ては宦官達に任せきりで、金銭や政に殆ど触れてこなかったのではそうなってしまうのも頷けよう

 

しかし、空丹はともかく白湯はまだ救いがある

 

もともと政に興味があったため、知識で足りない部分は想像力で補ってくる

 

言った事の意味を考え物事の本質を理解する、この吸収力は一刀も嬉しくなり、自然と指導にも力が入る

 

黄「空丹様、白湯様、お疲れ様です、間食をお持ちいたしました♪」

 

その時、お盆にお菓子とお茶を乗せ黄が部屋に入って来た

 

白湯「おお、良い所に来てくれたの♪」

 

空丹「慣れない事をするとお腹が減るわね、一刀も一緒に食べましょう♪」

 

一刀「そうですね、区切りもいいですし、一休みしますか」

 

タイミングを見計らったかのような、絶妙なタイミングで登場する黄

 

実を言うと、本当にタイミングを見計らっていたのだ

 

部屋の外から三人の話を伺い、一番来て欲しい時に来てくれて、真一番欲しいものを持って来てくれる

 

この機転の良さに感動を覚える、黄ならきっと誰に仕えてもやっていけるだろう

 

流石は朝廷お抱えの使用人である

 

彼女が持って来たお菓子に舌鼓を打ちつつ、白湯が言葉を発した

 

白湯「・・・・・のう一刀よ、少し疑問に思うのだが」

 

一刀「いかがいたしました、白湯様?」

 

白湯「先ほどの一刀の話の中で、需要と供給の話が出て来たの」

 

一刀「はい、この二つはどちらが大きくなり過ぎてもいけません、両方同時に上昇させて初めて意味があるんです」

 

白湯「思ったのじゃが、それは税に対しても同じ事が言えるのではないのか?」

 

空丹「そうね、民の安寧と税、これは相容れぬと思うわ」

 

一刀「・・・・・そうですね、そこが税収の難しい所でもあります」

 

幽州でも当初は税の徴収には苦労していた、税収が良くなったのは楽市制を導入し、北郷隊という治安維持に特化した部隊を作り出してからである

 

高所得者には課税を、低所得者には免除を、このバランスを保ちつつ低所得者の賃金アップを図り、豪族と庶民の税の量を近しいものにし、不平や不満を無くしていく

 

ここに至るまでには寝る間も惜しむ並々ならぬ努力があった

 

民達に過剰な労働を強いる事は出来ず、かといって怠けさせていてはならない

 

働かざる者食うべからず、硬軟おり交ぜ、脅しと懐柔、飴と鞭

 

政治家は、この相反する二律背反に常に苦しむのである、それは一刀とて例外ではない

 

しかし、人と言うのは働くべき生き物なのである

 

動かなければ人は怠慢になり腐っていく、一度行き過ぎた贅沢やグウタラな生活を知ってしまうとそこから抜け出す事は容易ではない

 

その極みが、今の漢王朝なのだから

 

一刀「人は働かねばなりません、その働く場を作り出し、提供するのが自分達の役目なんです、それを今の宦官にも分からせる必要があります、賄賂や汚職に手を染めている者はそれ相応の処分を申し渡さねばなりません、不労所得で荒稼ぎをしている貴族や豪族も例外ではありません」

 

空丹「そこまで酷いものなの、黄?・・・・・」

 

黄「・・・・・はい」

 

空丹「・・・・・・・・・・」

 

白湯「じゃが、仮に全ての宦官を処分してしまえば、この宮廷は回っていかなくなるのじゃ」

 

一刀「御心配には及びません、彼らを罰した後で法の整備をします、新たな宦官を呼び寄せるまでに宦官制度を見直せば、漢王朝は復興の第一歩を歩めます」

 

黄「そうですね、特に張譲様には厳罰を科さねばなりません」

 

一刀「ええ、十常侍をここまで堕落させた張本人ですからね、流石に・・・・・!」

 

空丹「ど、どうしたの?」

 

白湯「急に怖い顔して・・・・・」

 

いきなり部屋の扉を睨み付ける一刀に二人は戸惑った

 

一刀「お静かに、張譲が来ます」

 

空丹「え!?」

 

白湯「!?」

 

黄「はい、確かにこの気配は、張譲様ですね・・・・・」

 

普段からの付き合いがあるため、十常侍ひとりひとりの気配を黄も感じ別けることが出来た

 

一刀「黄さん、お茶を一杯お願いします」

 

黄「はい」

 

空丹「え、一刀?」

 

白湯「そんな、お茶なんて飲んでる場合じゃ・・・・・」

 

一刀「ご心配なく、空丹様と白湯様も一杯」

 

何事もない自然体を装い、お茶を勧めていく

 

そして、一同がお茶を飲み干して一呼吸後に扉が開いた

 

張譲「御遣いよ、このような所で何をしておる?」

 

一刀「あ、張譲さんじゃないですか、帝とお茶をしています、張譲さんもどうですか?」

 

張譲「結構じゃ、そのような事より御遣いよ、先程帝と何を話しておった?」

 

空丹「!?」

 

白湯「!」

 

いきなり核心を突かれ、動揺する空丹と白湯

 

静けさの中にある威圧感に押されるが、一刀がしっかりカバーした

 

一刀「お二人共、政に興味を示されたようで、僭越ながらご指導を」

 

空丹「そ、そうなの!私達が一刀に頼んだの!」

 

白湯「か、一刀は凄いの!白湯達が知らない色んな事を知ってるの!とても勉強になるの!」

 

張譲「天主様、劉協様、そのような事は我々に任せておけばよいのです・・・・・趙忠よ、貴様が居ながら何故このような事になっておるか!?」

 

黄「私は、主上様が望む事でしたら・・・・・」

 

張譲「我らの御役目は、帝に変わりこの国の政を統べることであるぞ!それを放棄するなど、言語道断なり!・・・・・帝よ、そのような事は我々に任せてくださいませ、帝には帝の仕事があるのです、貴方様はそのような余計な事はせずとも良いのです」

 

空丹「っ!!余計な事じゃないわ!!」

 

張譲「・・・・・帝よ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

普段あまり感情を表に出さない空丹が激昂した事に、一同は唖然としていた

 

空丹「私は、好きで一刀に教えてもらってるのよ、邪魔しないで!!」

 

白湯「そうなの!!それに、帝の仕事とは何なの!!?」

 

張譲「それは・・・・・官、民の模範となり、朝廷の権威を天下に知らしめること・・・・・」

 

白湯「だったらこれは必要な事なの!!」

 

空丹「宦官風情は黙っておれ!!お主達の仕事は、私達の傍仕えじゃ!!口出し無用、下がるのじゃ!!」

 

張譲「・・・・・仰せの通りに」

 

そして、空丹と白湯の迫力に負け、張譲は部屋を退出した

 

空丹「・・・・・言い過ぎたかしら」

 

白湯「一刀、これで良かったの?」

 

一刀「構いません、あれくらいでなければ、威厳を保てませんから」

 

黄「その通りです、主上様はこの国の帝なのです、胸を張っていいのですよ」

 

そもそも皇帝とは、地上(天下)の支配者として天命を受けた者(天子)、と言う解釈の下に作られた位である

 

秦の始皇帝から始まり、自身から始めて二世皇帝、三世皇帝と続かせる意図であったが、その死後は反乱が相次いだため、秦の皇帝は2代で終わった

 

始皇帝から数えて3代目の嬴子嬰は、始皇帝死後の夥しい数の反乱によって中国全土を統治することができなかったため、単に「王」と称した

 

反乱を起こした者達もまた、次々と各地で「王」を称し、中でも、項羽・劉邦などの助けもあり、秦を滅ぼした義帝は、後に各地に並び立った「王」よりも一段上の称号として「帝」の称号を名乗った

 

その後、義帝を殺した項羽は「西楚の覇王」を称し、項羽を倒した劉邦は漢の「皇帝」に即位し、以後、歴代中国支配者は「皇帝」を名乗るようになった

 

さらに劉邦は、一族や功臣を「王」(諸侯王)として各地に封じ、これにより皇帝が王を封じるという図式が成立した

 

その後、「帝」は「皇帝」の略として広く使われるようになった

 

欲を言えば、一刀は中国をこのような極端な中央集権国家にはしたくないのだ

 

選挙制を導入し指導者は民が決める、かつての日本の様な民主法治国家にしたいのである

 

しかし悔しいが、これだけのだだっ広い大陸で、いきなりそのようなデモクラシーを掲げた所で機能しない事は目に見えている

 

帝国主義や中央集権もそうであるが、民主主義の根本的な弱点も知っているので、強引に民主化などできないのである

 

それこそ、無用な諍いの種を自ら生み出すだけの結果となってしまう

 

一刀「もちろん、寛容さも必要です、あまりにも締め付け過ぎれば、かえって反感を買ってしまいますので」

 

空丹「・・・・・やっぱり難しいわね」

 

白湯「でも、それが人の上に立つと言う事なのね・・・・・」

 

黄「その通りです、劉協様は聡いお方です」

 

一刀「・・・・・そろそろ勉強を再開しましょうか」

 

白湯「そうなの、呑気にお茶をしている場合じゃないの!」

 

空丹「ええと、さっきの需要と供給の所をもっと説明してほしいわ!」

 

黄「ああ、なんと献身的なんでしょう、劉協様、主上様♪」

 

その後、時間を忘れて空丹と白湯は勉学に勤しむ

 

その姿を微笑ましくも暖かい目で見守る黄の姿があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

張譲「おのれ御遣いめ、余計な知恵を帝に付けさせおって、ますますやり難くなるではないか・・・・・今に見ておれよ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

廊下を歩いていく張譲は、常人から見ても分かるくらいの邪念を放っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華佗「(野郎・・・・・)」

 

その後ろ姿を、物陰から見る伝承者がいた

 

華佗「(あの邪気、あれはもう救いようのない領域だ・・・・・この国の為にも、なにより一刀の為にも、俺が!)」

 

左手の手甲から鍼を取出し、静かに氣を込め透視体勢に入ろうとするが

 

華佗「(・・・・・だが、本当にそれでいいのか?)」

 

仮にここで張譲の記憶を消し真人間にしたとしても、かえって一刀の邪魔をしてしまうのではないのか

 

その疑念が、華佗の意思を揺らがせる

 

華佗「(・・・・・くそっ)」

 

迷っている間に、張譲は立ち去ってしまった

 

これで良かったのか?と、自問自答に陥りながら、華佗は張譲が立ち去った廊下を睨んでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拠点・傾、瑞姫

 

 

 

 

 

瑞姫「・・・・・姉様」

 

傾「何だ・・・・・」

 

瑞姫「最近、お腹周りが弛んできてない?」

 

傾「・・・・・言うな」

 

瑞姫「それはもうブヨブヨのタプタプに・・・・・」

 

瑞姫「言うな言うな言うな言うな言うなーーーーーー!!!」

 

現在大将軍の自室にて、元肉屋姉妹による姉妹コントが開かれていた

 

瑞姫「そんな風に毎日食っちゃ寝で賄い数えばかりしていたら、肥満街道まっしぐらよ」

 

傾「ぐっ!人が気にしている事を好き放題言ってくれおって・・・・・」

 

瑞姫「どうも姉様は、大将軍になってからというもの慢性的な運動不足ね、肉屋で働いていた頃はそれはもう誰もが見惚れる体型を維持していたのに」

 

傾「むぅ、肉屋か・・・・・確かにあの頃は忙しかったからな・・・・・」

 

そもそも、この二人は宮廷とは縁もゆかりもない街の一肉屋の腹違いの姉妹として生まれ長いことそこで働いていた

 

それが何故、帝の妃や大将軍などと言う大出世を果たしているのか

 

それは街で美人と評判だった瑞姫が突然朝廷に取り立てられ、あげくに帝の妻として召し抱えられ、それに便乗する形で傾も武官として取り立てられ、黄巾の乱に乗じて大将軍となった

 

と、両者ともに実力や能力を買われて出世を果たしたという訳ではない、ただ単に妹が美人だったことと、運が良かっただけである

 

瑞姫「そんな生活を続けていたら、もしもという時にまともに動けなくなってしまうわよ」

 

傾「むぅ、それもまた困るか・・・・・」

 

瑞姫「私は武の心得なんて全く無いし、もしもという時は姉様だけが頼りなのよ」

 

傾「・・・・・具体的に、余に何をしろと?」

 

瑞姫「決まってるわよ、一月以内にその余分な贅肉を綺麗さっぱり取ってもらうわ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞姫「それじゃあ一刀君、姉様の相手をお願いするわ♪」

 

一刀「そういうことなら、喜んでお相手しますよ」

 

傾「な!!?一刀が相手だと!!?いくらなんでもそれは無いだろう、瑞姫!!」

 

瑞姫「何を言ってるのよ?これ以上ない相手じゃない」

 

所変わって、洛陽城内闘技場

 

噂を聞き付け、何人もの将達が集っていた

 

瑞姫「なにも本気で試合をしろと言っているんじゃないの、日頃の運動不足を解消するためなのよ」

 

華佗「うんうん、武術とは、こうあるべきだ♪」

 

梨晏「う~~ん、面白くなって来たね~♪」

 

華雄「して皇甫嵩殿、大将軍の御手前はいかほどのものであるか?私は大将軍が武を振るっている所をこれと言ってみた事が無いのであるが」

 

楼杏「・・・・・あまり褒められたものではありませんね」

 

梨晏「そうなんですか?」

 

楼杏「ええ、あのお方は武術の腕で大将軍になった訳ではありませんので・・・・・」

 

傾「一刀よ、言っておくが大将軍である余を傷付けた時は、相応の覚悟をしてもらうぞ」

 

一刀「瑞姫様も言っていたじゃないですか、本気の試合をする訳じゃないって」

 

傾「それは分かっているが、余とて分かってはいるんだ、余と一刀の武の開きを・・・・・」

 

一刀「・・・・・では、自分は傾様には指一本触れませんので、傾様だけが自分に攻撃を仕掛けて来て下さい」

 

傾「なに!?」

 

瑞姫「一刀君、それでは一方的な苛めになってしまうんじゃ・・・・・まさか一刀君にそんな趣味が!?」

 

一刀「違いますよ・・・・・自分は傾様の攻撃を躱し続けますから、自分に一回でも当てることが出来たら、そこで終了としましょう」

 

傾「良いのであるか一刀よ、余の鞭捌きを見て、まだそのような軽口が叩けるか見物よ♪」

 

腰に付けてあった鞭が解かれ、舞台に転がる

 

ざっと見て5メートルはありそうである

 

一刀「(鞭を相手にするのは初めてだけど、何とかなるだろう)」

 

そして、二人して舞台に上がったところで、いきなり傾が叫ぶ

 

傾「漢帝国大将軍、何遂高、参る!!」

 

一刀「おっと!」

 

いきなり不意打ち気味に鞭が振るわれる

 

石畳に当たるとパァン!!と鞭特有の音が弾ける

 

その音は闘技場全体に木霊し、当たれば相当に痛いであろうことを物語る

 

しかし

 

一刀「よっと、ほっと」

 

どれだけ威力があろうと、当たらなければ意味は無し

 

大した動作も無く、一刀は軽やかに鞭を躱していく

 

傾「えあっ!!はぁっ!!せいっ!!」

 

一回では捉えられないと判断し連続で振るうも

 

傾「くっ!なんという身のこなしだ!」

 

動きの中に多少縮地も混ぜ、鞭を見切っていく

 

元々鞭と言うのは、初期動作が長い上に初速が剣と比べれば遅い

 

唯一勝っている点があるとすれば、その圧倒的なリーチであるが

 

一刀「よっと」

 

傾「うおっ!!?」

 

鞭の軌道を完全に読み、懐に飛び込まれる

 

こうなってしまえば、圧倒的なリーチも邪魔にしかならない

 

傾「ふんっ!!!」

 

咄嗟に腰の短剣を抜き放つが、余裕で躱される

 

しかし、そのおかげで間合いが元に戻る

 

もちろんこれは一刀が意図的に戻したのであるが

 

傾「せあああ!!!!」

 

その後も幾度も鞭を振るうが、掠りもしない

 

鞭と言えば変幻自在なイメージがあるが、手首の返しを使ったとしても軌道を曲げるなどの操作はあくまで鞭の先限定である

 

それはリーチが長ければ長くなるほどコントロールしにくくなるのだ

 

操作できる範囲を見切り、その範囲に入りさえしなければいいのである

 

そもそも北郷流は、たとえ相手がマシンガンであったとしても弾道さえ見切れれば躱せるのだ

 

鞭を見切る事など造作も無い事である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞姫「う~~ん・・・・・なんだか見応えが無いわね」

 

楼杏「そうですね、一刀さんの回避技術は一見の価値がありますが・・・・・」

 

華雄「ただ単に大将軍の攻撃を一方的に躱しているだけだからな」

 

梨晏「一刀だったらこれくらいできて当たり前だし、私は見応えないかな~・・・・・」

 

華佗「おお、一刀の奴、全く腕が落ちてないな、鍛錬は欠かさずしている様だ、感心感心♪」

 

同じ事の繰り返しでは、流石に見飽きてくる一同だった

 

瑞姫「・・・・・そうだわ!二人共、ちょっと待って!」

 

傾「っ!?何だ瑞姫よ!?」

 

一刀「瑞姫様?」

 

いきなり待ったをかけられ、二人は瑞姫に向き直る

 

瑞姫「このままじゃ面白くないもの、ちょっと趣向を変えたいと思うわ」

 

傾「趣向だと?ようやく余も体が熱くなってきたと言うのに・・・・・」

 

瑞姫「ええ、姉様の体が更に燃える様にしたいと思うの♪」

 

傾「?・・・・・何をすると言うのだ?」

 

瑞姫「ええ、こうするのよ♪」

 

訳の分からない問答をしながら、瑞姫は傾の傍に駆け寄る

 

瑞姫「姉様、想像してみて、(こしょこしょ)・・・・・が、(ごにょごにょ)・・・・・を」

 

傾「ふむふむ・・・・・」

 

そして、なにやら耳元で囁き始めた

 

瑞姫「(ひそひそ)・・・・・して、(こそこそ)・・・・・で、・・・・・なのよ♪」

 

どうやら終わった様で、瑞姫は舞台から降りる

 

舞台の上では、一体どういう事なのかと理解不能そうな一刀と宙を見てぼんやりしている傾がいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楼杏「何太后様、大将軍に何と仰ったのですか?」

 

瑞姫「まあまあ、見ていれば分かるわ♪」

 

言われた通り、一同は舞台に向き直る

 

傾「はぁ、はぁ・・・・・////」

 

一刀「え?・・・・・傾、様?」

 

すると、傾の顔が見る見る赤く染まっていき体から湯気が出てくるのではないかと言うくらいに上気する

 

傾「ふはぁ・・・・・あはははははは♪はあぁっ♪////////」

 

一刀「うおっ!!?」

 

いきなり鞭を振るうも、その速さは先ほどのそれとは段違いだった

 

傾「一刀よ、もっと私をいたぶれ、弄べ、嬲れ、辱めろおおおおお♪♪////////」

 

一刀「えええええええええ!!!?」

 

突然ドMな発言をしながら鞭を連続で振るう

 

しかしながら、鞭を振るう度にその技は鋭くなり冴えてくる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨晏「えええええ!!?ちょっと、どうなってるの!!?」

 

華雄「先程とは雲泥の差だぞ!!?」

 

華佗「うお!!?いきなり邪な氣が膨れ上がったぞ!!?」

 

楼杏「何太后様、本当に大将軍に何と仰られたのですか!!?」

 

瑞姫「うふふふ、姉様の事なら、何も知らない事はないわよ♥////」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチィッ、パンパンパン、バシバシバシ、パシーーン!!!

 

一刀「うおおおおお!!?」

 

冴え渡る鞭の技は、最早縮地無しでは躱す事は困難となってくる

 

たった一本の鞭が、一枚の膜を張り結界を作り出し懐に飛び込む事さえ出来なくする

 

傾「さあ一刀よ、余の服を剥ぎ取って大衆の面前に晒して、この体をこの鞭でいたぶるがいい♥♥///////」

 

一刀「ちょっと傾様!!?公衆の面前でそんなはしたない言葉を使うものではありません!!お父さんは許しませんよ!!//////」

 

傾「おおおお、そなたが余の夫となってくれるのか!!?さあ、今すぐ余の(ピーー!)にそなたの(ヒヒーーン!!)を(ワァ~オ♥)して(アッハ~~ン♥♥)を注ぎ込んで、孕ませてくれぇ~~~♥♥♥//////」

 

一刀「そういう意味じゃありませ~~~ん!!!///////」

 

その言動はエスカレートする一方

 

なんとかして止めたいが、鞭が邪魔をし懐に潜り込めない

 

氣を使えばいいと思うが、万が一大将軍である傾に怪我をさせてしまったら、その後色々と厄介な事になるのは明白である

 

しかし

 

傾「ふぅ、ふぅ、はぁっ、はぁっ!//////」

 

流石にこれだけの技の冴えを長時間持続する事は困難である

 

只でさえ運動不足だった為に、いきなりこれだけの運動量を発揮すれば体力が持つ筈がない

 

汗だくになりながら鞭を振るい続ける傾の鞭捌きは、徐々にその勢いを失っていく

 

一刀「はっ!!」

 

ガツンッ!

 

傾「かはぁっ!!?」

 

鞭の勢いが弱まった一瞬の隙を突き、懐に飛び込み首筋に手刀をきめる

 

闘争本能を攻撃のみに集中させていたため、防御を全く考えていなかった傾は簡単に気絶しそのまま一刀にもたれ掛った

 

一刀「ふぅ・・・・・こんな所で良いですか、瑞姫様?」

 

瑞姫「そうね、始めにしては上出来きね♪」

 

当初の目的である日頃の運動不足解消は、この汗だく状態の傾を見ればなんとか達成出来たと言えよう

 

一刀「傾様をどうしますか?」

 

瑞姫「そうね・・・・・姉様の部屋に連れて行って、体を拭いてあげないといけないし」

 

一刀「分かりました・・・・・よっと」

 

そして、一刀は傾をお姫様抱っこで運び出した

 

梨晏「うわお、一刀ってば大胆♥//////」

 

楼杏「私も、殿方にあのように抱いてもらえる日が来るのかなぁ//////」

 

瑞姫「あらあら姉様ったら、羨ましいわ♪//////」

 

華雄「?・・・・・あのように抱えられるのは、そんなに良いものであるのか?」

 

華佗「大した怪我をしている訳でもないし、俺は必要ないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

傾「・・・・・ここは」

 

瑞姫「あら、姉様、気付いたのね」

 

傾「瑞姫・・・・・余は・・・・・そうだ、一刀と鍛錬をしていたはず・・・・・」

 

どうして闘技場に居たはずなのに自分の部屋で寝ているのか

 

頭が混乱して、今の自分が置かれている状況を把握出来ずにいた

 

瑞姫「ええ、鍛錬の途中でお姉様は気を失ってしまったのの、だから一刀君がここに運んでくれたのよ♪」

 

傾「一刀が、だと・・・・・」

 

一刀「お気付きになられましたか、傾様」

 

反対側を見ると、手拭を絞っている一刀がいた

 

一刀「失礼ながら汗を拭かせていただきました」

 

傾「そうか、面倒を掛けたな・・・・・」

 

瑞姫「いいえ、そういう訳でもないわよ♪」

 

傾「?・・・・・どういう事だ?」

 

瑞姫「一刀君に運ばれている時の姉様の幸せそうな表情ときたら♪//////」

 

傾「な!?どの様にして運んだのだ!?」

 

瑞姫「それはもう、まるで姫君の様に・・・・・羨ましかったわぁ♥/////」

 

傾「くぅ、なんたる醜態///////」

 

おそらくその様を、ここの運び込まれる間に、何人もの武官や文官達に目撃されてしまっているだろう

 

穴があったら入りたい気分である

 

一刀「しかし、瑞姫様が傾様に何か仰った時に、傾様のご様子が大分変りましたが、あれは一体どういうことですか?」

 

瑞姫「ああ、あれはね、姉様は普段壮大な態度なんだけど、心の内では強い殿方に組み伏せられたいと言う願望を抱いているのよ♪」

 

傾「ん?おい、瑞姫なんのことだ?」

 

瑞姫「支配されて征服されて屈服されることを望む、そんな雌豚の本性を持ってるの♪」

 

傾「いったい何を言っているんだ?////」

 

瑞姫「そして厄介なことに、その自覚を持っていないのよ」

 

傾「おいおい、あることないこと一刀に吹き込むな!//////」

 

瑞姫「何を言ってるの、前に姉様は言っていたじゃないの、一刀君を余の婿にって♥//////」

 

傾「頼むからそれ以上言わないでくれーーーーーー!!!//////////」

 

一刀「あ、あははぁ・・・・・」

 

どうやら、傾は瑞姫に頭が上がらないようだ

 

自分が今の地位に居られるのは、妹のおかげだと言うのが分かっているのだろう

 

瑞姫「それはそうと姉様、体の具合はどうなの?」

 

傾「どう、とは?」

 

瑞姫「あれだけ一刀君と動き回ったんだから、少しは痩せたんじゃないの?」

 

一刀「瑞姫様、あれくらいで痩せられたら鍛錬なんてこの世にはありませんよ」

 

傾「むぅ、余も相当動いていた自負はあるが、あれしきではいかんか・・・・・」

 

そもそも脂肪を燃やすには、有酸素運動が欠かせない

 

それはウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリング、水泳など、長時間継続して行う運動を指す

 

先程の様な短時間の組手程度では食事一回分のカロリー消費くらいしか望めないのだ

 

一刀「・・・・・では、少し強引ではありますが、自分が傾様を痩せやすくしましょう」

 

傾「なに!?それはまことか!?」

 

瑞姫「そんな事が出来るの?」

 

一刀「まぁ、あくまで少々痩せやすくなる程度です、本当に痩せるには傾様に率先して運動に身を入れてもらう必要がありますが・・・・・」

 

傾「それで構わん!この余分な肉を取りやすく出来るなら!」

 

一刀「分かりました・・・・・では、失礼します」

 

そして、一刀は自身の手を傾の腹部へ持っていく

 

元々お腹を露出している服装なので、一刀の手の平の感触が肌にダイレクトに伝わってくる

 

傾「お、おい、何をするつもりだ?//////」

 

一刀「大丈夫です・・・・・ふっ!!」

 

氣を解放し手の平に集中させる

 

傾「おお!?これは!」

 

するといきなり効果が表れたようだ

 

一刀「ふぅ・・・・・具合はいかがですか?」

 

傾「ああ、確かに違う♪体が軽くなり、腹の奥が熱く、調子が良い♪」

 

瑞姫「一体何をしたの?」

 

一刀「自分の氣で傾様の臓器の体調を整え活性化させました、動き易くなったはずですよ」

 

傾「ああ、自分から体を動かしたくなってくるぞ♪」

 

寝台から飛び出し体を捻り運動をし出す傾は、とても嬉しそうである

 

一刀「代謝が良くなって、体の中の油が燃焼されやすくなったはずです」

 

瑞姫「それなら、最初からそれをすればよかったんじゃないの?」

 

一刀「あの程度の運動位では駄目です、継続的に運動しなくては意味がありません」

 

傾「むぅ、やはり日々の鍛錬がものを言うか・・・・・だが、礼を言わせてもらおう♪」

 

一刀「構いません、これくらいだったらお安いご用です・・・・・では、これにて」

 

そして、一礼し一刀は部屋を退出していった

 

瑞姫「・・・・・なかなかに出来る殿方みたいね♪」

 

傾「ああ、あれほどの男はそうそういるまいて・・・・・瑞姫よ、やはり余は一刀を夫に迎えたいと思う♪」

 

瑞姫「あらあら、姉様も本格的に身を固める決心をしたのね、私も同じ事を考えていたわ♥/////」

 

傾「ん、お前には帝がいるだろう?」

 

瑞姫「何を言ってるの?女同士で子を得る事なんて出来ないわよ」

 

傾「だが、今の法では・・・・・」

 

そう、今の法は帝の妃は子を成す事は許されていない

 

一度妃となったからには、死ぬまで添い遂げる必要があるのだ

 

帝以外の子を成そうものなら、大問題になるのは明白である

 

これは今の帝が女性だからと言う事もある

 

瑞姫「大丈夫よ、一刀君と一緒に今の法を変えてしまえばいいんだから♪」

 

傾「どのように変えるのだ?」

 

瑞姫「決まってるわよ・・・・・一刀君を新たな帝として迎えて、全員貰ってもらえばいいのよ♥//////]

 

傾「何だと!!?お前そんな事を考えていたのか!!?//////」

 

瑞姫「私だって女の幸せを掴みたいという願望はあるわ♥・・・・・それに前から思っていたけど、国の頂点に居る者が女じゃ色々とやり難くて適わないわ、姉様もそう思うでしょ?」

 

傾「それは・・・・・まぁ・・・・・」

 

そう、国のトップが女性では、世襲する際にその女性一人に負担が集中してしまう

 

なにせ世襲候補を何人も作らねばならないため、身がもたないのだ

 

側室と言う制度が存在する理由は、その負担を軽くするためという一面がある

 

今の帝の候補は、空丹と白湯しかいないので、この二人に何かあったら、そこで皇室はストップしてしまうと言う事なのだ

 

傾「だが、それを実現させる為には、あの腹黒十常侍共が余りに目障りだな」

 

瑞姫「そうね、特に張譲は己の私腹を肥やす事しか考えていないもの」

 

傾「余等も似た様なことはしてきたが、あ奴と同等と思われるのは我慢ならんぞ」

 

瑞姫「出来れば今すぐにでも消してしまいたいわね・・・・・でも一刀君は絶対に協力してくれないわ、断固反対するわよ」

 

傾「だな、あの筋金入りの平和主義者が首を立てに振るなどありえん、必ず法で裁くとしか言わんだろう」

 

瑞姫「その法を牛耳っているのが、十常侍だっていうのに・・・・・こうなったら、私達だけで計画を練るわよ、姉様」

 

傾「分かった、余もそろそろ動くべき時だと思っていたからな」

 

そして、二人は密かに十常侍抹殺計画を練るのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拠点・風鈴、楼杏

 

 

 

 

 

 

風鈴「ふぅむ・・・・・これは凄いですね・・・・・」

 

ここは、風鈴の執務室

 

この部屋の主が、ある資料を見ながら唸っていた

 

風鈴「特にこの楽市制というのが実に良いですね・・・・・」

 

そう、それは一刀が各諸侯に配っている資料であった

 

実はこの資料は、一刀がここに来た時から風鈴に渡されていたのだ

 

あの白蓮と桃香の師ということもあり、自分が考えている事を理解できるだろうと思い、真っ先に手渡していた

 

風鈴「白蓮ちゃん・・・・・あなたはとんでもない九鼎を手に入れてしまいましたね・・・・・」

 

楼杏「風鈴、失礼します」

 

その時、部屋の扉が開かれ、楼杏が入室してきた

 

風鈴「あ、楼杏さん、丁度言い所に来て下さいました♪」

 

楼杏「丁度良い所?私も風鈴にお話があって来たんですが・・・・・」

 

風鈴「まあまあ、この資料を読んでみてください♪」

 

楼杏「これはなんですか?」

 

風鈴「これは一刀君が持って来た資料です、幽州で行われている構想が事細かに書かれていてとても興味深いですよ♪」

 

楼杏「・・・・・・・・・・」

 

そして、楼杏は渡された資料を流し読みしていく

 

楼杏「・・・・・幽州の発展ぶりは私も聞き及んでいましたが、まさかここまでとは」

 

流し読みしただけでも理解出来てしまった、ここに書かれている構想の凄まじさを

 

風鈴「ねぇ~、凄いでしょ~♪」

 

楼杏「ええ、これを洛陽でも取り入れれば、凄い事になります・・・・・」

 

風鈴「そうですねぇ・・・・・ですが楼杏さん、それも凄いんですが、私がもっと凄いと思う事があるんです」

 

楼杏「それは・・・・・この構想によって齎される数字ですか?」

 

風鈴「確かにそれも凄まじい物ではありますが、もっと先の事なんですよ」

 

楼杏「先・・・・・それは、この構想を大陸中に広めた後、と言う事ですか?」

 

風鈴「はい、一刀君が目指している理想は、理想そのもの・・・・・悠久、恒久、生生世世の天下泰平なんです」

 

この資料を読み解いていくと、一つの結論に辿り着く

 

一刀が目指しているもの、それは未来永劫に渡る平和だと言う事に

 

しかもそれは、この国に限った事ではない、この地上に存在する国や人々全てである

 

楼杏「しかし風鈴、そのそうな事が可能なんですか?確かにこの構想が凄まじいのは否定しませんが、それはあくまで空理空論でしかないと思います」

 

風鈴「・・・・・そうですね、私もそこが心配ではあります」

 

かつて風鈴は、一刀を桃香以上の逸材と評していたが、そんな程度では済まなかった

 

自分はかつて教え子達に、「理想を語るなかれ、己が身を持って理想となれ」と説いてきた

 

しかし、一刀はこの世界を人々が想い描く理想そのものとしようとしているのだ

 

彼はあの年で、既に自分達をも軽く超越する存在として君臨してしまっている

 

おそらく、彼は止まらないであろう、己が理想を達成するまで

 

楼杏「はっきり言って、それは危険極まりないです、彼のやろうとしている事は、人の理を凌駕する事なんですから!」

 

風鈴「はい、私もこの理想が実現する事は未来永劫無いと思います、おそらく人が人である限りは・・・・・でも、それと同時にこうも思ってしまうんです」

 

楼杏「え?」

 

風鈴「例え100年、人の世全体からしたら一瞬の出来事でしかないかもしれませんが、そういった世の中を、一刀君が思い描く天下を見てみたいと思ってしまうんです、せめて私達が生きている間だけでも・・・・・私のこの思いは、我が儘でしょうか?」

 

楼杏「・・・・・いいえ、我が儘ではありません、形はどうあれ人々は太平の世を求めるものですからね」

 

風鈴「それと、この資料に描かれている事もそうなんですが、私は一刀君自身にも興味が尽きないんです♪」

 

楼杏「一刀さんそのものですか?」

 

風鈴「ええ、一体彼は何者なんでしょう、これだけの斬新かつ画期的な構想なんてこの時代では一朝一夕、いいえ・・・・・たとえ一生をかけても思いつく事など出来はしないはずです♪」

 

楼杏「それは・・・・・彼は、巷で噂されている天の御遣いと言われていますが」

 

風鈴「そこなんです、私が気になるのはまさにそこなんです♪♪彼は何処から来たんですか!!?彼の居た所では、こんなにも制度が進んでいるんですか!!?政はどのようにして推し進められているんですか!!?ああ、私は彼の事を考えるだけで、想像推測が止まらないんです♪♪」

 

楼杏「・・・・・・・・・・」

 

この余りに一刀を熱く熱弁する風鈴に楼杏は若干引き気味だった

 

楼杏「まぁ、彼の素性はともかく、正直私も彼の構想には大いに興味を惹かれます♪」

 

風鈴「ですよね~、ですから私は一刀君を手伝いたいと思うんです♪」

 

楼杏「それも一興ですか・・・・・私も一刀さんなら結婚しても良いかもしれませんね♥///////」

 

風鈴「あ~~!!それ私が先に言おうと思っていたのに~~!!」

 

楼杏「そうはいきません、この年になるまで、色恋の類を殆ど経験できませんでしたし・・・・・あのような殿方には、今後二度とお目に掛かれそうにありませんからね♥//////」

 

そんな三角関係大旋風が吹き荒れる中で

 

一刀「風鈴さん、資料を読んでくれましたか?・・・・・あれ、楼杏さんも居たんですか」

 

この話題の中心人物が来た

 

風鈴「一刀君、私と楼杏さん、どっちが良いですか!!?」

 

楼杏「一刀さん、知的な女性はいかがですか!!?」

 

一刀「ええええ!!?なになになに、どうしてそんな話に!!?」

 

楼杏「ちなみに私は処女です、新品です♥//////」

 

風鈴「あ~~~、体で懐柔するなんて淫売のすることですよ~!!それなら・・・・・一刀君~♥風鈴は一刀君が甘えたい時に甘えさせてあげるし、い~~っぱい尽くしちゃうわよ~♥//////」

 

一刀「え、ちょっ、むぐぅ~~~!!////////」

 

いきなり風鈴は、その豊満な果実を顔に押し付けてくる

 

楼杏「淫売はどっちですか!!?私だって体では負けていませんよ、一刀さん~♥/////]

 

ムギュウウウウウウ

 

一刀「むぐぁ~~~~!!!///////」

 

二つの双丘にサンドイッチにされ、一刀は何がどうなっているのか、どうすればいいのか分からなかった

 

 

その後、三者によるお見合いの場が設けられるが、破断したのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、旅立ちの日がやって来た

 

玉座の間にて洛陽一同が一刀達を見送りに来ていた

 

 

 

空丹「寂しくなるの・・・・・」

 

白湯「一刀、次はいつ来るの?」

 

一刀「ここ一年以内には必ず来ますので、それまで勉学を怠らないで下さいね」

 

白湯「分かったの、頑張るの♪」

 

黄「一刀さん、次に会う時は、あの熱ぅ~いキスを・・・・・♥//////」

 

傾「次に会う時は、更なる鞭捌きを披露してやるぞ♪」

 

瑞姫「このお腹回りをスッキリさせてからね♪」

 

風鈴「皆さん、またお会いできる日を楽しみにしてますね♪」

 

楼杏「華佗さん、疫病の件は本当にお世話になりました」

 

華佗「俺だけの力ではないさ、一刀が居てくれたから出来たまでの事さ」

 

一刀「・・・・・それでは、そろそろお暇させていただきます」

 

梨晏「またお会いしましょう♪」

 

華雄「では、これにて」

 

 

 

 

 

 

 

禁城を出て大通りを進んでいく一同

 

現在は明朝寸前で、出歩いている人は殆ど居ない

 

この洛陽を疫病から救った一刀と華佗が出ていくとなっては、大騒ぎに成りかねないので人がまだ出て来ない時間帯を選んだ

 

 

そして、洛陽の城門を潜り、西に向かおうとしたところで

 

 

 

 

華佗「・・・・・それじゃあ、俺はこの辺りで失礼する」

 

梨晏「あれ、一緒に行かないの?」

 

華佗「一刀のおかげで、全ての関所を無償で通ることが出来るようになったからな、これまで行けなかったところに行ってみる」

 

一刀「今度は、何処に行くんだ?」

 

華佗「そうだな・・・・・交州辺りにでも行ってみるさ」

 

華雄「それはまた遠い所だな」

 

梨晏「だね、この国の最南端だからね」

 

一刀「今度会うのは、だいぶ先になりそうだな」

 

華佗「そうだな・・・・・その時にはこの国を今よりもっとましにしてくれよ、一刀」

 

一刀「当たり前だ、約束したろ、次に会う時は平和な世の中でって」

 

華佗「そうだったな・・・・・太史慈も華雄も元気でな」

 

梨晏「なんだか寂しくなるね」

 

華雄「共に行けないのが残念だ」

 

華佗「俺もだ・・・・・それじゃあ一刀、達者でな♪」

 

一刀「ああ、精々多くの患者を救って来い♪」

 

華佗「応♪」

 

ガシィッ!!

 

そして、それが当たり前の様に、二人はガッチリと手を掴み合った

 

華佗は馬を南へ向かわせ、それを見送った三人は、一路西を目指すのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一刀達が旅立って数日後

 

 

空丹「・・・・・黄、黄は居る?」

 

黄「はい、ここにいますよ、主上様」

 

空丹「大事な話があるわ、こっちに来て」

 

禁中に戻って来た空丹と黄は秘密の対話をしていた

 

空丹「私は、近い内に白湯に帝位を譲るわ」

 

黄「え!?それは何故!?」

 

空丹「私は、この年になるまで何もしてこなかったわ、何も積み上げて来たものが無いの・・・・・」

 

黄「・・・・・・・・・・」

 

これは、自分達のせいでもある

 

自分達宦官が空丹を政から遠ざけ、贅沢を強いてきたことがこの様な有様となっているのだから

 

空丹「白湯は、私と違って政に深い興味を持っているわ、だから白湯の方がきっと私より立派な帝になってくれると思うの・・・・・だから黄、私の事はこれまで通り食事を作ってくれるだけで構わないわ、これからは私ではなく白湯に仕えて欲しいの、これからのこの国の為にも」

 

黄「・・・・・承りました、主上様の御心のままに」

 

帝の心からの気持ちを受け止めた黄は、恭しく深々と頭を下げ臣下の礼を取るのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

張譲「ふむ、そろそろ頃合いか・・・・・まずは邪魔な肉屋の小娘共を消さねばならんな、何処かに体のいい駒は無いかのう・・・・・」

 

自室にて、張譲はなにやら画策していた

 

張譲「そうじゃ、あの劉協に好かれておる小娘がおったのう、あ奴も目障りであったし、一緒に消えてもらおうか・・・・・見ておれよ御遣いめ、貴様が悶え苦しむ様を楽しんでやるわ♪」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも皆さん、明けましておめでとうございます、Seigouです

 

およそ半年ぶりの投稿ですみません

 

なぜにこんな短い文にこんなに時間が掛かったかと言いますと、以前の後書きにて皆様に応援文書をコメントなり応援メッセージなりにて書いていただけないかとお願い申し上げたのですが、全くと言っていいくらい何の反応もありませんでしたのです

 

只でさえここのところ書くテンションが右肩下がりだったので皆様にお力添えを頂きたかったのですが、皆様これと言って自分の戯曲を楽しみにしていないのかなと、ションボリしていました

 

本当なら風鈴と楼杏の個別の拠点を書きたかったのですが、書く気力が湧いてこないのと、まだ彼女達が一刀と関わりを持つシーンが販売されていなく、具体的な性格が分からないのでここが限界でした

 

おそらくですが、前の話にて応援コメントが10ほどあったなら、この数か月間で3,4話ほど進んでいたかもしれません

 

と、なんだか自分のテンションが低いのと執筆スピードがグダグダなのが読者の皆様のせいみたいに言ってますね

 

もちろんこれは自分の自己責任なので皆様のせいでは決してありません・・・・・ごめんなさい

 

しかし、もちろん書きますよ、自分だって作者の立場ですし中途半端な所で終わらせたくありませんし、完全なる完結に導きたいと思っています

 

牛歩戦術並みの遅さになってしまって、年が明けてからの投稿となってしまいましたが、次回予告といきましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             次回、阿修羅伝!!   ついにこの外史の一刀の、北郷一族の秘密が明らかに!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    物語は佳境へ        待て!!!次回!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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