「司令のバカ!」
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第42話(改2)<それぞれの事情>
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私は艦娘たちに問いかけた。
「聞いての通り私たちは『現代』に戻って来たことは確実である。従って本来の私たちの目的であるブルネイの艦娘との公開演習を行う必要があるだろう」
ちょっと、ざわつく艦娘たち。私は続ける。
「ただ昨日からの出来事もあることだ。技術参謀より、お前たちの体調や気持ちも含めて計画の変更は考慮して頂ける」
この言葉で、ざわつきは止まり艦娘たちは安堵したような顔になる。
改めて全員が私に注目したので私は少しだけ間を置いてから続けた。
「公開といっても昨日のような、一般を巻き込んだ、お祭りではない」
なぜかガッカリしたような表情を見せる一部の艦娘。それは無視。
「……それに、これは演習だから多少の変更も可能だろう」
そこで龍田さんが呟く。
「せっかくブルネイに来たんだしぃ。アタシ水着も持ってきて居るんだぁ」
「なに?」
聞き捨てなら無い台詞……私は咳払いをするような振りをして聞いた。
「ちなみに全員、水着とか持ってきたのか」
一瞬、間があって艦娘たちが反応する。
「yes! 当然ネ!」
「み、南の島ですからっ!」
「泳ぎたいっぽい~」
(以下、省略)
「そうなると……」
私は、わざとらしい口調で言った。
「さっさと演習を消化して泳ぐか!」
機内は大歓声になった。
早速、技術参謀に報告しようと振り向くと既に彼女は、こっちを見て親指を立てている。なるほど『OK』ということだな。
機長が言った。
「当機はあと20分で着陸態勢に入ります。識別コードも、すべて問題ありません」
それを聞いて、ホッとした……まあ、これが当たり前のことなんだ。
「機長、あとは任せる」
「了解」
(やれやれ)
ようやく肩の荷が下りた思いだ。私は自分の座席に戻ると詰襟のボタンを緩めた。
機内は艦娘たちの雑談で急に騒がしくなっていた。この「遊び」の要素が入ると突然、明るくなるのは少女らしい。
(もう既に一回、演習しているから息抜きというエサ(目標)も必要だろう)
私は、そんなことを思いながら窓の外を見ていた。
「あの、司令……」
急に後ろから日向が小声で聞いてきた。
「どうした?」
振り返ると彼女は視線を反らしながらモジモジしている。何かの病気か?
「あの……海水浴は部隊の公式行事になるのでしょうか?」
ナンだ……と思った。こういう杓子定規なところは彼女らしいが。
だが、ちょっと意地悪をしてみたくなった。
「そうだ日向。これは公的な予定だ」
わざと真面目な顔をして答えた。
なぜか固まる日向。
「なんだ? その硬直は。不都合でもあるのか?」
「いえ、その……」
彼女は赤くなっていた。目まぐるしいな。
「水着は、そのぉ……」
私は内心苦笑した。さすがに生真面目な彼女を、これ以上からかうのは可哀想だ。
「ごめん日向」
私は手を左右に振った。
「冗談だよ。海水浴は、あくまでも自由参加。演習後は各自、自由時間にする」
すると硬直していた彼女は急に安堵した表情に変わった。
だが直ぐに膨れっ面になった。
「……もう!」
(あ、日向が怒った)
珍しい。
「司令のバカ!」
とても静かな声で怒られた。それでも真っ赤になって両手で口を覆っている。そんな彼女の「変化」にクラクラ来た。
(まずいぞ!)
正直、自分の感情の揺れに私も焦った。
だが日向は続けた。
「司令、あの……その時間、何かご予定は?」
「いや、別に……」
ちょっと間を置いて私は続けた。
「多分、その頃には、もう司令ではないから」
私は正面を向き直って腕を組むと座席に深く腰かけた。
「……!」
変な殺気を感じて振り返ると驚愕の表情を浮かべた日向が座席から立ち上がっていた。
(あれ? まずかった?)
……でも隠したところで直ぐに分かる事だ。
しかし彼女の反応を見た他の艦娘たちも急にざわついている。
「司令? それは、どういうことですか?」
何かを食べていた赤城さんが聞いてくる。
「おい、口の周り……何か付いてるって」
私が指摘しても彼女は真顔のままだった。思わずため息を吐いた。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。
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ブルネイで彼らが本来すべき演習のことと、その後の自由時間の確認をした司令。だが彼には残された時間が……。