「では、取材を終了とさせていただきます。本日はご協力ありがとうございました。」
と、クリスが取材を切り上げる。
「どうもありがとうございました。」
と、こんとんも続いて礼を述べる。
「もうよろしいのですか? では玄関までお送りします。」
と、イザベルは二人を彼女の家の外まで送り届ける。
「本日は、おもしろいお話をしていただき、誠にありがとうございました。」
と、イザベルは帰る二人を見送ってくれる。
「クリス、今日わかったことがあります。悪い人ほど、堂々としているものだなと。」
「そうですか。」
あえて、クリスには犯人の件については話さない。根拠が無い上に、混乱を招くからだ。
「明日以降はどうしましょう?」
と、こんとんが問う。
「情報屋アニスでゆったりしていましょう。」
と、のんびりした口調でクリスが答える。
情報屋アニスにて、こんとんはメモ帳に取材と事件の内容をまとめていた。
”
結論から書くと、イザベルは失踪事件の犯人である。
事件について、警察の事件簿にはこうまとめられてある。
一年前にシリル失踪。
半月前に妻コンスタンス失踪。
七日前に娘カミラ失踪。
犯人は不明。
次に、取材についてだが、シリルとイザベルは年の離れた友人だった。
イザベルはそのシリルの妻コンスタンスと娘カミラの存在を知っていた。
イザベルによると、彼女の知る限り、シリルに友人と思しき交友は無かった。
少し乱暴だが、全体を把握出来ているのは、後に介入した私、こんとんとクリス・警察を除けば、イザベルしかいない。
よってイザベルが犯人である。
”
”やはり、証拠が全くない。”
と、こんとんは思案する。
イザベルが犯人だとしてもこんとんにはそれを証明する方法が無い。ゆえに、その可能性はとりあえず否定される。
”もう一度、警察へ行くしかない。”
と、こんとんは心の中で決めるのだった。
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殺人ミステリー