『当ててこい! 私はここだ!』
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第35話(改2)<反撃と加勢>
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「どういうことだ?」
私は寛代に聞いた。
「別方向からの着弾あり、敵艦隊の陣形が急速に乱れている」
彼女は淡々と答える。
「どういうことだ?」
すると雑音に混じって、またゴロゴロという雷鳴のような音が聞えてきた。
私と技術参謀は思わず立ち上がり前方の操縦席へ駆け寄った。
「副長、何か分かるか?」
「敵の陣形が大きく崩れているのが分かりますが、原因までは……」
参謀の問い掛けに彼も困惑している。
「フム……現状、美保の艦娘たちは射程距離が足りず苦戦している」
「はい、彼女たちではないでしょう」
私が応えると参謀は振り返る。
「まさか援軍か?」
「いや、しかし、この悪天候でどこから……」
「射程距離にしても遠すぎだろう」
納得のいかない表情の技術参謀は窓の外を外を眺めるが悪天候で視界は悪い。
そのとき私のインカムに雑音に混じって聞き覚えのある声が入ってきた。
『私だ、待たせたな』
「え? まさか……」
「武蔵?」
参謀も反応する。
『お前たちの帰還する道筋は予め想定していたが何分、私の脚が遅くてな。済まない』
この声は間違いない。武蔵様だ。
「え?」
「まさか……」
武蔵様に絞られた青葉さんと夕張さんも機内で慌て始める。乗り込んで来る訳じゃないのにね。
私たちのやり取りを聞いたのだろう。海上の艦娘たちも武蔵様を探し始めている。
『え? どこ?』
『あ、あそこ……はるか後ろ』
美保の艦娘たちも驚くほどの遠方からの長距離射撃だった。
日向が呟く。
『これが噂に聞く46cm砲か』
『そうだ、この主砲の威力、味わうが良い!』
そう言いつつ武蔵様は再び斉射する。
その砲撃の威力は遠方であるにも拘らず上空の機内にまで響くほどだった。
「武蔵の主砲、伊達ではないね」
なぜか嬉々として呟く寛代。
秘書艦の祥高さんも状況を索敵して言った。
「敵の艦隊に着弾、もしくは至近弾が浴びせかけられているようです」
参謀は説明する。
「そうだな。武蔵の砲なら至近距離に着弾すれば駆逐艦程度は転覆するだろう」
「Woo! それは敵も驚くネ」
金剛も嬉しそうだ。
武蔵様の攻撃で美保の艦娘たちへの攻撃も緩んだらしい。
『今よ、反撃!』
赤城さんが叫んでいる。反撃のチャンスだ。
『斉射!』
比叡や日向も加勢する。
『死にたい船は何処かしら?」
龍田さんは、そう言いながら近くに居る敵の駆逐艦の掃討に専念しているようだ。
続けて無線に入る鈍い金属音。それだけ聞いていると怖いな……。
『私も加勢するよ!』
「あれ? この声は……」
『島風!』
下で誰かが叫んだ。
ブルネイの島風が武蔵様に付いて来たきたらしい。
『こいつが、どうしても来るって聞かなくてな。脚の遅い私に……』
武蔵様は恥ずかしそうに言う。
だが島風は気にも留めていないようだ。
『関係ないもん。5連装酸素魚雷! 続けて連装砲ちゃんも行っちゃってぇ』
武蔵様の砲撃と島風の魚雷攻撃で敵の主軸の勢いは、かなり削がれた。
ところが形勢が不利になったと見た敵の駆逐艦が捨て身の魚雷攻撃を赤城さんに仕掛ける。
『赤城お姉さま! 危ない』
比叡が叫ぶと赤城さんも気付いたようだ。しかし至近距離で回避できない。
「……!」
無線を聞いていた機内の艦娘たちにも緊張が走る。
直後、大きな爆破音……だが妙な感じだ。
赤城さんが叫んだ。
『武蔵さんっ!』
どうやら武蔵様が前に出て彼女を庇い魚雷を全身で受け止めたらしい。
『ふふ、大丈夫だ。数本くらいなら平気だ』
無線を聞きながら私は言う。
「いや平気だとは言っても魚雷の直撃だぞ」
参謀も返す。
「あぁ、普通の艦なら一撃で沈んでもおかしくないだろう」
『当ててこい! 私はここだ!』
無線越しに聞こえる啖呵。まさに凄まじい勢いだ。そこまで言いきれるのは武蔵様くらいだろう。
寛代が伝える。
「敵空母、沈没1、大破1。既に相手側の制空権は失われている。戦艦、大破1、中破1。駆逐艦被害多数。数隻は、既に沈没した模様」
あと、もう少し押していけば私たちの勝利だろう。
「艦娘たちも何とか回収できそうだ」
だがその期待は、あっけなく裏切られた。
「あれを見ろ!」
技術参謀が指差す方向に青白い雲……その中に妙な電光が飛び交っている。
「よりによって今、出現か!」
私は呻くように言った。
「司令、チャンスだぞ! このまま直進させろ!」
技術参謀は私に命令するが私は渋った。
「機長! まだ突入するな!」
その言葉に技術参謀は疑いの顔を向ける。
「何を言っている司令! 戻りたくないのか?」
「……」
私はただ無言で、その雲を眺めるだけだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。
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苦戦する美保の艦娘たちの後ろから遠距離射撃で加勢する艦娘が現れた。そして、あの現象が……。