No.929055

マイ「艦これ」「みほ3ん」EX回:第16話(改2)<諜報活動>

しろっこさん

提督が料理を振舞ってくれる陰で美保司令は技術参謀たちが諜報活動をしていることを知った。そして……

2017-11-07 21:11:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:365   閲覧ユーザー数:365

 

(私が軍人で無ければ、こんなことは)

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第16話(改2)<諜報活動>

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 Bar Admiralでは秘書艦の祥高さんがキッチンに入り込んで提督から、いろいろなレシピを教授されていた。

 

彼女も『食いつきの良いタイプ』だからな。ここぞとばかりに質問してメモを取っている。

 

 そういえば美保鎮守府の食堂は海が見えオープンデッキもある。そこだけを切り取れば普通の食堂だ。だが質素な雰囲気だから軍隊の施設感は拭い切れない。

 

 ブルネイも構内だけを見れば一般的な鎮守府の雰囲気だが、このBar Admiralに入ると全くの別世界が広がっていた。アダルトなムード満点で大人向け。そこは提督の人柄が反映しているのだろう。

 

 しかしBarでは落ち着いた雰囲気とは裏腹に艦娘たちが飲んだり食べたりしている。口も手も動かして会話に夢中だ。特に金剛と比叡が、よく喋る。

 

(ホントお前ら、底なし胃袋か?)

そういえば艦娘の武装は小さいのに威力は標準以上だ。だから彼女たちの胃袋も、きっと実際の船に準拠しているに違いない。

 

 だからこそ……だ。私は店内をチラッと見回した。

(青葉や参謀……ここに居ない連中を探索するのにも好都合だ)

 

 室内の賑やかな雰囲気から少し浮いて静かにしている日向と寛代。その横が空席になっていた。ちょうど良い按配(あんばい)だ。

 

グラスを片手に私は、さりげなく二人の側へ席を移動した。日向は軽く会釈をしたが寛代は石仏のようにボーっとしている。相変わらずだな。

 

私は周りを気にしながら寛代に小声で話しかけた。

「あの技術参謀と青葉さんたちが今どこに居るか……極秘の通信回線か何かで分かるか?」

 

寛代は黙って頷くと窓辺のほうを向いて聞き耳を立てるような仕草をした。日向は少し腰を浮かせて若干ブルネイメンバーたちの視界を遮った。

彼女は意図的に私と視線を逸らせているが、その口元は少し笑っていた。

 

(何て察しが良いんだ)

私はその機転に感心した。やはり戦艦になると気が利くな。

 

その傍らで寛代はブツブツと独り言のような会話を始めていた。誰かとつながっているらしい。

 

 提督は祥高さんにレシピを教えたり他の料理を作るのに夢中になっている。時折こちらをチラチラ見ているから私たちの挙動に若干、疑念を抱いている感もある。

しかし彼も料理に意識を集中しているから、それどころではないだろう。

 

(因果なものだ)

 私たち美保鎮守府メンバーが別の時代から来ているとすれば怪しい以上の立場だ。まだ何処と無く腹の探り合いをしている段階だ。

 

彼も私も互いに帝国海軍の軍人である以上、状況分析は不可欠だ。たとえ、それが友軍であっても……だ。

 

実は会話など相手から得られた情報に、あまり価値はない。自らの兵隊を使って調べてこそ本物なのだ。

 

 だが私も友軍に危害を加えるつもりは全く無い。そこは「大人」の対応だ。お互い本音は言わずとも適度に腹の探りあいをして上手く済ませたいものだ。

 

それはきっと相手(ブルネイ)も同じだろう。だから彼は祥高さんを厨房に招き入れてレシピを教えながらイロイロ聞き出そうとしているのだ。

 

だが祥高さんもホンワカしているようで案外ガードは固い。そう簡単に必要以上の情報は漏らさないだろう。

 

(私が軍人で無ければ、こんなことはしなかったな)

いつの間にか私自身も軍隊の指揮官としての行動パターンが染み付いてしまったようだ。

 

「ん?」

 ふと視線を感じた。日向か。

 

「それは避けられません」

彼女は意外なことを言う。まるで私の心を覗いているようだ。

 

思わず彼女の顔を見ると日向は言う。

「司令、この距離だと感情の動きが分かってしまうよ」

「そうだな」

 

さすがに戦艦になると感情面でも、かなり洞察の幅が広くなる。

「失礼ながら敢えて司令の欠点を挙げるとしたら、その優しさだね」

 

彼女の言葉に私は苦笑した。

「ああ、気を付けるよ」

 

そうだ、ここも最前線なのだ。私は感情を出さないように改めて注意した。

 

 やがて寛代は通信を終わった。それを見た日向は再び椅子に深く腰をかけた。今のところ、この部屋に居る他の者には気付かれていないようだ。

 

私は聞いた。

「あいつら今どこに居るんだ?」

 

「……」

寛代は無表情でボーっとしている。この艦娘は相変わらず直ぐに反応しないよなあ。

 

私が軽いため息をついてグラスを傾けると彼女はボソッと言った。

「工廠」

 

「えぇっ、まさか」

思わず大声を出してしまった。日向も少しビクッとしている。申し訳ない。

 

 私は慌てて提督を見たが……彼はレシピを教えるのに夢中で大丈夫そうだった。

 

そのカウンターの脇では提督の目を盗むように、うちの赤城さんが炊飯釜を抱えて直接食べていた。

 

(そうか君は最初からそれを狙っていたんだな)

いつの間に釜を「確保」したんだよ……ったく。

 

 彼女を筆頭に店内は、かなり無礼講の様相を呈してきた。そんな状況で周りが大丈夫そうなのを見た私は改めて小声で寛代に聞いた。

「工廠に居るのはウチの誰だ?」

 

「技術参謀と青葉、夕立」

今度の寛代はボソボソと即答した。

 

「なんだ全員揃って……ってか、参謀は何を出歩いているんだよ?」

『病人』のくせに。私は呆れて頭をかいた。

 

(ま、仕方ないか)

情報収集のためだ。どうせ彼女は出歩くだろうとは思っていたが。

 

(でも、よりによって相手(ブルネイ)の工廠に入り込むなんて)

そりゃ大胆過ぎる。友軍といえども、それはチョッと拙いだろう。

 

(まさか技術将校でありながら本当に諜報活動しているのか?)

「……ったく、何考えているんだ? あの参謀」

 

思わず寛代に向かって呟いてしまった。当然、彼女は無表情のまま。だからボヤくには都合が良かったのだが。

 

 日向には私の呟きに突っ込まれるかと思った。だが、だいぶ場慣れした美保の艦娘たちが大声で話したり出歩いたりしているのでBarは、とても騒がしくなっていた。これなら、そこそこ機密事項を話しても分からないだろう。

 

 カウンターを見ると提督は、うちの夕立の「提督さん、お肉食べたい」という自分勝手なリクエストにも丁寧に応えているようだ。申し訳ないな。

 

「しかし」

私は腕を組んだ。

 

「参謀たち、まさかヤマシイことは、していないよな?」

また黙っている寛代にボヤいた。

 

すると意外にも彼女がボソッと応えた。

「大丈夫、してない」

 

「え! ……あぁ、そうなのか?」

私は驚くと同時に苦笑した。

 

「はは……ま、そうだよな」

曲りなりにも帝国海軍だ。

 

私はグラスの残りを飲み干すと、まだこちらをジッと見ている寛代に言い訳のように応えた。

「軍令部付きの参謀だ。人の道に外れるようなことはしないだろう」

 

すると急に何度も頷く彼女……変な奴。

 

 しかし、こんなに歓迎されている陰で私たちは一体、何やってンだろう? 良心が痛む。

 

「参謀は何しているのか知らないが、大丈夫なのか?」

思わず、また寛代に呟いた。

 

「悪いことをしていなくても他所の鎮守府で下手に彷徨(うろつ)いたら疑われるぞ」

「……」

今度の彼女は無言。

 

私は続ける。

「せっかく提督と良い関係が築けているのに……最悪、ぶち壊しだ」

 

「そうだね」

また前向きな反応をする寛代。この子の反応にちょっと驚く。

 

(へぇ寛代って意外にシッカリしているかも知れないな)

まさかとは思うが……ふっと祥高さんに似たものを感じた。

 

 しかし何か間違いでもあって未来の地で憲兵さんに捕まるのは勘弁して欲しい。私は不安を紛らわせるように目の前のグラスを一気に飲み干した。

 

「司令」

思い出したように今度は日向が口を開いた。

 

「どうした?」

私が顔を向けると彼女は少し周りを気にするように声のトーンを下げて言った。

 

「この場で寛代ちゃんに通信をさせたのは拙かったかも知れない」

「え? でも……」

私は少し焦った。その言葉に寛代も不安そうな顔をしていた。

 

それを見た日向は私たちを安心させるように微笑んだ。

「いや、通信が傍受されても友軍だから多少は大丈夫。ただ不慣れな外地で電波の発信は控えるべきかと」

「でも」

 

意外に寛代が食い下がってきた。

「寛代のはステルスモードだから」

 

「ステルス?」

何だ? そりゃ。

 

(極秘通信の種類だということは分かるが)

初めて聞く言葉だった。

 

すると日向はニコニコして返す。

「分かるよ寛代ちゃん。それを持っているのは美保では貴女と祥高さんくらいだ……あとは大和型の艦娘だけだね」

 

(私の気持を悟ったような説明調の台詞だな)

私をチラッと見た彼女は一呼吸置いた。

 

「まだこのブルネイに、どんな艦娘がいるか分からない。だから特殊無線でも油断は出来ない」

(さすがだ日向。お前の沈着冷静ぶりが心強い)

 

 彼女は少し視線を落として自分の腕を軽く撫でて言った。

「言って貰えば私の瑞雲という手もあったけど」

 

「あ……」

思わず妖精の『ハル』を思い出した。正直、あの妖精とは、あまり相性は良くないが能力は高い。

 

そこまで聞いて私は頭を下げた。

「そうだな、ちょっと早まった」

 

「……」

物静かな彼女だが『もっと私を認めてくれ』と言う主張を感じた。

 

 言い訳になるが駆逐艦娘は割と使いやすい。しかし重巡さらに戦艦級になるとホイホイと使う気になれない。いろんな意味で抵抗感が出てくるんだ。

 

 そうは言っても私は指揮官だ。

(複雑な感情を持つ艦娘でも一人ひとりの能力を十分に活用せねば責務怠慢だな)

 

 つくづく反省した。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

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PS:「みほ3ん」とは

「美保鎮守府:第三部」の略称です。

 

 


 
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