ウリムーとクウヤ
次に挑戦するべきジムがあるキッサキシティを目指して雪の道をひたすら進むクウヤ。
「うぉっ?」
その途中で彼は、ポケモンの群を発見し、そのポケモンに対し図鑑を向けた。
「へぇ、ウリムーっていうのか、あのポケモン。
そして一緒にいるのがその進化系のイノムーかぁ」
群をなして移動しているそのポケモンたちをクウヤはしばらく見ていたが、すぐにキッサキシティへ行くという本来の目的を思い出したので、彼らのことはそっとしておくことにし、そこを立ち去ろうとした。
「ムーッ!」
「へっ?」
そのとき、急にウリムーとイノムーは一斉に鳴き出し、別の方向へ走って行ってしまった。
「なんだあいつら、急に走っていきやがって・・・!?」
ポケモン達が一斉に、予想だにしていなかった行動をとったので驚くクウヤ。
だがウリムー達が去っていった直後に、クウヤはその原因を知る。
「雪崩ーっ!?」
なんとさっきまでウリムー達がいた場所の近くで、雪崩が発生したのだ。
その雪崩はさっきまでウリムー達がいた場所まで流れていき、クウヤの方にもすごいスピードで迫ってきた。
「くっ!」
「ルカリオ、きあいだま!」
自分もその雪崩に巻き込まれる、と思った瞬間、別の方向から強力なエレルギー球が飛んできてその雪崩を打ち砕く。
危機一髪だった、とクウヤはさっきまで雪崩が流れていた場所を見て思った。
「ひぇー・・・びっくりしたー!」
「大丈夫ですか!?」
「あ、ああ・・・大丈夫・・・って!」
クウヤは自分を助けたその人物に見覚えがあり、驚く。
「お前、スモモ!?」
「はい、お久しぶりですね、クウヤさん!」
トバリシティのトバリジムのジムリーダー、スモモだった。
スモモとまさかの再会を果たしたクウヤは、途中で見つけた休憩所で彼女と話をする。
「でも、スモモなんでこんなところに?」
「実はあたし、キッサキジムのスズナさんとは交流があって、今日は彼女に修行に付き合ってもらう約束があるんです。
だから、ここまできたんですよ」
「へぇ、キッサキジムのジムリーダーはスズナって人なんだ」
「ええ、氷タイプのポケモンを華麗に使いこなす、とても強くて明るくてすてきな人なんですよ!」
ジムリーダーのスズナは、氷タイプの使い手。
それを聞いたクウヤは負けられないな、と気合いを入れていた。
「つーかスモモ、そんな薄着でこんな雪の中、寒くねぇの?」
「平気です、これくらいのこと、修行だと思えばへっちゃらですよ」
「へ、へぇ・・・そうなのか」
流石かくとうポケモンを使いこなすジムリーダーで、自身も格闘家なだけはある。
ニコニコと笑顔でそう語るスモモを見て、クウヤはそう思ったとか。
「・・・さて、雪も少しは和らいだそうですし、キッサキシティへ行きましょう!
あたし、道を知ってますから案内しますよ!」
「ああ、さんきゅースモモ。
じゃあ、いこうぜ」
「はい!」
休憩を終え、二人はキッサキシティまで一緒に行くことになり、ともに休憩所を出て行った。
少し進んだところでクウヤは、一匹のウリムーを発見する。
「リィムー」
「あれ、さっきのウリムーだな。」
「え、わかるんですか?」
「ああ、なんとなくな」
そのウリムーは人懐っこいらしい、クウヤが近寄っても怖がる素振りを見せず大人しくしていた。
クウヤが触れて撫でても、ウリムーは怖がったり警戒するどころかふつうに気持ちよさそうにしている。
「でも、さっきの群のウリムーがなんで一匹だけここにいるんでしょうか?」
「うーん、はぐれたのかもな。
こいつの仲間を捜してみるしかねぇか・・・ついてくるし」
確かに、クウヤが少し歩いたあとをウリムーはついてきている。
その様子がどこか可笑しいなと思ったらしいスモモはくすっと笑った。
そのとき、遠くから大きな音が響いた。
「何の音だ?」
「いってみるしかないですね」
クウヤとスモモは大きな音がした場所に向かう。
するとそこでは何人ものギンガ団と、多くの檻があり、さらにその檻にはたくさんのポケモンが捕らえられていた。
「ギンガ団!」
「檻に入っているのは・・・ウリムーやイノムー、そしてユキカブリでしょうか!?」
ひょっとしたらこのウリムーの仲間も、あの檻にいるのではないかと二人は思った。
そこに、ギンガ団の会話が耳に入ってくる。
「しかし、さっきの爆弾・・・すごい破壊力だったな。
俺達が近くにいたらどうなってたか・・・ぞっとするぜ」
「そうだな・・・ってさっきのはお前が不注意に扱ったから誤爆を起こしたんじゃねーか!」
「あ、悪い」
「爆弾の誤爆!?」
「もしかして、さっきの雪崩ってあいつらの仕業なのか!?」
「うりぃぃぃ!」
自分の仲間を捕らえたギンガ団に怒ってるらしい、ウリムーはクウヤの腕を飛び出してギンガ団の方へつっこんでいった。
「あ、こら、危ないって!」
ウリムーはクウヤの声を聞かずそのままギンガ団の方へ走っていった。
爆弾に、ポケモンの大量捕獲を知ったクウヤはふと、以前会ったギンガ団のボスのことを思い出した。
「これも、アカギの計画から目をそらさせるための作戦なのかよ・・・!?」
「え?」
「っとと、そんなことはどうでもいいんだったぜ!
早くポケモン達を助けなくちゃ!
スモモ、お前も手伝ってくれねぇか!」
「はい、もちろんです!」
「むーっ!」
「ん?」
ギンガ団はウリムーに気づきそっちをみる。
「なんだ、このウリムー?」
「あの群の仲間じゃね、せっかくだしそいつも捕まえちまうか」
「そうだな!」
ウリムーを捕まえようとしたギンガ団だったが、すぐにウリムーはこごえるかぜを放って彼らを攻撃した。
それにキレたギンガ団はスカンプーをだして、あくのはどうでウリムーを攻撃しようとしたそのときだった。
「いけ、リーン、ひかりのかべ!」
クウヤのだしたリーンがひかりのかべを使い、敵の攻撃からウリムーを守った。
それによりギンガ団はクウヤの存在に気づく。
「おい、あのガキ、黒髪に緑の目だぜ!
ギンガ団のブラックリストに載ってるあのガキじゃねーのか!?」
「なに、んじゃああいつを倒せば俺達出世できるんじゃねぇのか!」
「よーし、やってやろうぜ!」
クウヤを倒そうと、ほかのギンガ団がはりきりだすと彼らは一斉にポケモンを出しそれをクウヤとリーンにむけた。
「お願いします、ルカリオ!」
そこに、スモモも参戦しルカリオを前線にだすとギンガ団と戦い始めた。
スモモとルカリオがギンガ団を相手に戦っているスキに、クウヤはリーンのサイコキネシスで檻を破壊しようとしたが、スカンプーが割り込んできた。
それをみたクウヤは、やっぱりまずはギンガ団の下っ端連中を倒さないとだめかと思って、戦うことを決めた。
「スカンプーにはエスパー技は効かないぜ!」
「だからなんだよ、戦えない訳じゃないぜ!
リーン、10まんボルト!」
「あくのはどう!」
10まんボルトが炸裂した後でスカンプーはあくのはどうで反撃にでる。
だが、そのあくのはどうは効果抜群ではあるもののリーンのひかりのかべによって軽減されたので大きなダメージにはならなかった。
あくのはどうに耐えたリーンはアイアンテールでスカンプーを攻撃し弾き飛ばす。
そこでクウヤはさらに別の技をリーンに指示した。
「シャドーボール!」
「そんな技、スカンプーにはきかねぇよ!」
「バーカ、誰がスカンプーねらうって言ったんだよ!
リーン、さらにそのシャドーボールをサイコキネシスで操れ!」
檻を破壊し、そこに閉じこめられていたポケモン達を逃がしていった。
「やったぜ!」
「なにぃ!」
「最後はあそこだけだ!」
檻を破壊され、下っ端は舌打ちして他の仲間に呼びかける。
「作戦は失敗だ、ずらかるぞー!」
「まだ一個残ってるぞっ!?」
「ほっとけ、どうせあそこには爆弾がある、誰も近寄れねぇよ」
「爆弾!?」
「お前達も命が惜しけりゃ近寄らないことだな。
あの檻は頑丈だからポケモンもちょっと怖がるくらいで済むから安心しろ。
爆破がやんでてめぇらがいなくなってから一気にそいつ等は回収して、俺達が世界を征服した瞬間に戦力にするんだからな!」
それだけを言い残し、ギンガ団はそこを去っていった。
最後に残された檻を見ると、確かにそこには何個か小型の機械が置かれていた。
「あいつら・・・!」
「うりぃ!」
「あ、おいお前っ!」
ウリムーは爆弾を止めようと最後に一個だけ残った檻にとっしんしていき、最後の檻を破壊し、仲間を逃がした。
だが、同時に爆弾が起動して一つずつ爆発していきその余波がウリムーにも襲いかかろうとしていた。
「あぶねぇ!」
クウヤは咄嗟の判断でボールをウリムーに向かって投げ、ウリムーをボールに入れることで爆破から守った。
爆破がやむと、そこには誰もいなかった。
ギンガ団も、檻にとらわれたポケモンも。
「ギンガ団のポケモン乱獲を阻止できて、よかったですね」
「ああ」
ギンガ団が去り、檻に入れられたポケモン達が逃げていく中で、クウヤは咄嗟に投げたボールに入ったポケモンのことを思い出した。
モンスターボールの中にいるから無事だとは思うが、それでも心配になる。
「あそうだ、ウリムー・・・」
リーンがウリムーのボールを加えて持ってきた。
「キリリッ」
「サンキュー、リーン。
よし、出てこい!」
クウヤはボールからウリムーを出した。
「うりぃー」
「大丈夫か、怪我はないよな?」
そう言いクウヤはウリムーを持ち上げて怪我とかないかを確認する。
外傷がないことを確認したクウヤは群がどこかにいないかを探すが、そこにはすでにウリムーやイノムーの群どころか、ユキカブリの群すらもいなくなってしまった。
ギンガ団から解放された瞬間に全員逃げていってしまったらしい。
「群、またどっかいっちゃったな・・・お前のこと、置いてちゃったのかな?」
「うりぃーうりぃー」
「え、なんだよ?」
ウリムーは群と離ればなれになったことを悲しむことはせず、クウヤの周りをうろついた。
「バウゥ」
「え?」
そこでルカリオはウリムーの言葉を波導を通してスモモに伝えた。
「どうした、スモモ?」
「ルカリオがいうには、そのウリムーはあなたと一緒にいたくて自分から群を離れてクウヤさんのところにきたそうです」
「えっ!?」
「遠くから見て一目で気に入っちゃったみたいです。
なにか熱いものを感じたって言ってますよ・・・そうとう熱血な性格をしているんですね、その子」
「・・・」
なんだそりゃ、というのが正直にクウヤが思ったことだった。
だが、とっさの判断とはいえモンスターボールに一度入れたことや、ウリムー自身が自分のことを気に入っているということから、クウヤはウリムーを自分の仲間にすることを決めた。
「そこまでいうなら、お前、おれと一緒にくるか?」
「うっりぃ!」
「はは、よろしくな、リーム」
クウヤとウリムーは笑いあう。
そうしてリームと名付けられたウリムーは再び、彼のモンスターボールに入った。
「新しいポケモンが手持ちに加わって、よかったですね」
「ああ!」
これで、クウヤの手持ちは6匹そろった。
二人はキッサキシティをめざし再び歩き出す。
「でも、なんでキッサキにギンガ団がいるんだよ・・・?」
その理由は、後少しで明らかになるだろう。
だが、明らかになったときは、キッサキシティのみならずシンオウ全土を脅かす程に膨らむ戦いのはじまりのときであった。
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この話でクウヤの手持ちはフルメンバーになります。