僕とママは血が繋がっていない。
それは、僕がこの家に養子として来たからだ。
ママとパパは結婚して5年経っても子供が出来なくて、それで僕を養子に迎えたらしい。
「ねぇ、あなた。この子に、この子が養子だという事を教えるのはやめましょう。可哀想ですし…」
「ああ、そうだな」
ママのその意見にパパも同意だった。
可哀想…。
何が可哀想かっていうと、ほら、やっぱり両親が自分の両親じゃないって分かっちゃうと色々不自由じゃないか。
だから、だろう。
ママもパパもとても優しい人だった。
でも、そうやって同意した次の瞬間、
「おい小僧、お前、養子だからな」
と、さっきママが言った事ちゃんと聞いてなかっただろこの野郎とでも言いたくなりそうなくらい次の瞬間だった。
ママがその時驚いた顔をしていたのを覚えてる。
しかし、2歳の子供が養子なんて言われても意味が通じないだろう、とママが安心する。
現に僕は首を傾げて、その言葉を理解していないような表情をパパに向けていたから。
それを理解したパパが口を開いて。
「お前は、俺らの、子供じゃ、ないから、なー」
……。
あー、とママが溜息をついたのが分かる。
そしてその言葉の意味だって理解できちゃうんだから子供っていうのは怖い。
ていうか2歳の子供にそういう残酷が現実を突きつける事の出来るパパも怖い。
…なんでも、パパも養子だったらしい。
それでパパは両親から自分が養子だって事を知らされないまま過ごしていて、沢山両親に迷惑を掛けた事があったらしい。
それで、大人になったある日、とある事情で自分が養子だと知ってしまって。
それで凄く哀しかったから、…ってパパが教えてくれた。
それで、時間が経って僕は15歳。
パパは12歳の時にふぐにあたって亡くなってしまい、今はママと二人で過ごしてる。
ママなんか、顔も性格も良いんだからすぐに他の人と結婚するものだと思っていたら、そうでもなかった。
いつまで経っても付き合ってる人とかもいなさそうだし…。
いつか、聞いた事がある。
「ねぇ、どうしてママは再婚しないの?」
「そうね…だって、私が再婚してしまったらあの人が可哀想だし、貴方も、知らない人がお父さんになるのは嫌でしょ?」
…。
知らない人という時点で、幼い頃の僕にとってはパパもママも知らない人だけど。
でも、ママが他の人と結婚するのは嫌だ。
だって、なんだか僕からも離れてしまいそうで怖いから。
だから、ママが一人で僕の面倒を見てくれるのは知っているけど、でも嬉しかった。
僕の事をちゃんと子供としてみてくれるから、とても嬉しい。
でも、ちょっと複雑。
だって僕は…。
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貴方は自分のお母さん好きですか?
私は大好きです。
そんな私が書いた、母さんが大好きなお話です。