古の町、カンナギタウン
カンナギタウンに到着したクウヤは、早速ミクリの頼まれごとを果たすために、古代のお守りを届ける相手の居場所を探していた。
「うんーと、兄ちゃんがいっていたのは・・・ここか」
クウヤがたどり着いた、大きい家の表札にはしっかりとスメラギと書いてあった。
「スメラギさん、間違いないな」
目的の家についたので、その家のドアをこんこんとノックする。
返事がないのでドアノブを少しだけ回してみるが、しっかり鍵もかかっている。
「留守か?」
おーい、と家に呼びかけてみるが、返事もない。
これにより留守が確定しうなだれてるクウヤだが、そこですぐ立ち直るのが彼の長所だ。
「ま、しゃーねーか!
今日一日は待ってみよう、一応メモ残しておいて・・・」
そういってクウヤは早速適当な紙切れを取り出すとそこに自分がここに来たことを書き記し、郵便受けにそれをいれる。
「古代のお守りは・・・もう少しおれが持っていた方がいいよな。
ここに置いといて変なやつにもってかれたら大変なことになりそうだし。」
クウヤは古代のお守りが入ったリュックサックを軽くたたいて、よし、と立ち上がる。
「こうなったら、この辺で次のポケモンジムに備えてポケモンを鍛えるとすっかな!」
「あ、クウヤ!」
「ん?」
名前を呼ばれそっちをむいたら、赤いハンチング帽の少年がいた。
その少年のことを知っているクウヤはあ、と声を出すとその少年に駆け寄る。
「コウキじゃん、久しぶり!」
「ああ、トバリシティ以来だね!」
コウキとクウヤは笑いあって、再会を喜ぶ。
クウヤがコウキにここにいる理由を聞くと、ちょっと修行の寄り道だと彼は答える。
「そういうクウヤは、どうしてここに?」
「ああ・・・ちょっと兄ちゃんに頼まれごとされててさ、それでこのスメラギさんって人をたずねたんだけど、どーも留守みたいなんだよな」
「へぇ・・・そうだったんだ・・・」
クウヤに言われて、コウキもその家を見上げる。
「にしてもこの家、大きいね・・・。
カンナギタウンにはこういう古い家がたくさんあるし、一軒一軒そこそこ大きいなとは思ってたんだけど、この家は最も大きいのかもしれない」
「ああ・・・」
二人でその家を見上げながらそんな話をして、コウキはふとクウヤの顔を見て提案した。
「そうだ、クウヤさっきなんか、近くでポケモンを鍛えるかとかいっていなかった?」
「ああ、言ったぜ」
「だったら、せっかくだし、ボクとポケモンバトルしないかい?」
「バトル!?」
ポケモンバトルと聞いて、クウヤはぱっと目を輝かせる。
「いいぜいいぜ、やろうぜバトル!」
「・・・決まりだね」
二人は一度スメラギ宅を離れ、自由にバトルするために町の中に設置されているバトルフィールドにきた。
「使用ポケモンは2体ずつ、一体ずつ入れ替えでどうだ!」
「いいぜ、受けて立つ!」
「じゃ、スタート!」
そういうと、コウキもクウヤもモンスターボールを手に持ちそれをバトルフィールドに投げ入れる。
「いけ、ヘラクロス!」
「おまえの出番だ、ズーバ!」
コウキのヘラクロスと同時に現れたのはクウヤのズーバだった。
「ゴルバット・・・相性では不利・・・だけど相性の一つ二つを覆せないでチャンピオンになれるもんか!」
「よし、やろうぜ!」
「もちろん!」
試合開始、といわんばかりに2匹はまず、メガホーンとはがねのつばさでぶつかりあう。
「ヘラクロス、つのでつく攻撃!」
「かわせ!」
一度距離を置かれてからのつのでつく攻撃は空を飛んで回避され、反撃でエアスラッシュが飛んできたがヘラクロスはそれをかわしてみだれづきで攻撃しズーバにヒットさせる。
「つばさでうつだ!」
「メガホーンでむかえうて!」
反撃のつばさでうつと、飛び出してきたメガホーンが激しくぶつかる。
本来なら相性で有利なはずだが、メガホーンという技自体の攻撃力もあるが何よりヘラクロスの攻撃力が高かったためにつばさでうつがまともに通じなかったのだ。
そんなヘラクロスの攻撃力にクウヤも感心するしかない。
「強いな、そのヘラクロス!」
「僕だって、ポケモンをしっかり育ててる・・・彼らに愛情を注いでるし信頼だってしてるんだ、その思いは君たちにだって負けないよ!
このバトルだって、勝ちは譲らない!
ヘラクロス、みだれづきだ!」
「おれだって負けないぜ!
ズーバ、はがねのつばさ!」
みだれづきにはがねのつばさで対抗し、うちかえすズーバ。
「エアスラッシュ!」
クウヤはさらにエアスラッシュを指示し、ヘラクロスにダメージを与える。
その威力は相性故に大きくなったが、ヘラクロスはそれに耐えてきしかいせいを放ちズーバに反撃し、さらにつのでつく攻撃をぶつけてくる。
「どうだ!」
「まだいけるぜ、ズーバ、もう一度エアスラッシュ!」
彼の指示にあわせてズーバは至近距離からエアスラッシュをヘラクロスに放ち、さらにおいうちのごとくつばさでうつをヘラクロスにヒットさせた。
「ヘラクロスッ!」
「ヘラ・・・ァ・・・」
一度は立ち上がったヘラクロスだったが、連続でひこうタイプの技がヒットしていた影響でダメージがたまっていたその体が持ちこたえられるはずもなく、そのまま倒れた。
「ヘラクロス!」
「一試合目は、おれの勝ちだな!」
「・・・しょうがないね、クウヤは本当に強いから・・・。
でもありがとうヘラクロス、相性が悪い相手にあそこまでがんばってくれて。
さ、あとはゆっくり休んでくれ」
コウキはヘラクロスにいたわりの言葉をかけると、ヘラクロスをボールに戻した。
「よくやったぜズーバお疲れさん!
さ、戻って休んでくれ!」
「ゴルバッ!」
クウヤも、ズーバをボールに戻した。
2試合目。
「次は勝つぞ!
いけ、ドダイトス!」
次にコウキが出したのは、背に大きな木が生え、山のような大きい岩がついている亀の姿をした4つ足の大型のポケモン。
それはナエトルの最終進化系、たいりくポケモンのドダイトスだった。
「うわ、なんだそいつ、でっか!!」
クウヤは初めてみるそのポケモン、ドダイトスに驚きつつもポケモン図鑑を取り出しそれがどんなポケモンかを知る。
「ドダイトス・・・ナエトルの最終進化系・・・!
おまえ、あのときのナエトルをここまで進化させたのか!
つーかあいつってこんなでっかくなるのか!」
「まぁ、こつこつ育てたからね」
「・・・わくわくするぜ、負けてられねぇ!
ここはおまえで行くぜ、ヒーコ!」
クウヤは胸の高鳴りを感じつつ、ヒーコをそこにだした。
バトルに出されたヒーコはドダイトスに対しおびえたり逃げ腰になるどころか闘争心をむき出しにしてしっぽの炎をさらに強く燃やす。
「へへ、やる気満々なんだな!」
「ヒコォォーッ!」
「ポケモンはトレーナーに似るって本当なんだね。
しかし、また相性は不利・・・でもこっちは最終進化系だ、能力の差は大きくある!
ドダイトス、パワーで押すぞ!」
「こっちはスピードで行くぜ、ヒーコ、マッハパンチ!」
早速ヒーコは動きだし、ドダイトスに一撃をかます。
だがドダイトスはびくともせず、コウキの指示にあわせて動く。
「ドダイトス、はっぱカッター!」
「かえんぐるま!」
はっぱカッターをかえんぐるまで焼き尽くし、その攻撃を無効にさせたクウヤはそのまま別の技を指示した。
「さらにほのおのうず!」
かえんぐるまの火力を持ったほのおのうずはドダイトスを囲い、さらにかえんぐるま状態が続いているヒーコの攻撃を連続で受ける。
「やるね・・・」
「ヒーコ、もう一度いけ!」
「だけど、それじゃあドダイトスには勝てないよ!」
コウキはそういうとドダイトスに、次に飛んできたかえんぐるまをまもるで防御し、さらに技を指示した。
「やどりぎのたね!」
その一撃はヒーコにささった。
「ヒーコ!」
「ヒコォォォ!」
やどりぎのタネはヒーコの動きを封じ、さらに体力を奪う。
「ドダイトス、のろいをつかえ!」
「ドォォォ」
ほのおの技で焼き切ろうとしている隙に、ドダイトスはのろいの技をつかって自分の能力を上げていった。
「かえんぐるま!」
「まもる!」
かえんぐるまをまもるで防御したドダイトスははっぱカッターでヒーコに攻撃した。
「相性は有利なのに、相手の方が攻撃が強い!?」
「のろいの効果で、スピードと引き替えに攻撃力と防御力をあげたんだ!
さぁ、これは受けられるかな・・・!
ドダイトス、ストーンエッジ!」
「・・・マッハパンチ!」
ストーンエッジをかわしつつマッハパンチを決めるヒーコだが、ドダイトスはびくともしていなかった。
それどころか、大きい攻撃力を持ったストーンエッジが襲いかかり、それをヒーコはまともに受けてしまった。
「ヒーコッ!」
地面に落ちたヒーコはそのまま起きあがらず、それによって戦闘不能が確定した。
あのストーンエッジが、見事に決まったのだ。
「あちゃあ・・・」
「僕の勝ち、だね」
「・・・だな・・・」
この勝負は、コウキのドダイトスの勝ちだ。
「ありがとう、ドダイトス」
「ドォダァー」
「さんきゅな、ヒーコ」
「もぉう」
ポケモンバトルが終わり、クウヤとコウキはカンナギタウンのポケモンセンターでポケモンを回復させていた。
そのついでに、彼らは昼食をとり話を弾ませる。
「にしてもさ、コウキすっげー強くなったじゃん!」
「いや、きみもずいぶん強くなったでしょ」
コウキはクウヤのジムバッジをみてそう言った。
コウキは今はバッジ4個だという。
これからヨスガシティへ向かい、そこでヨスガジムのジムリーダー、メリッサに挑むつもりだという。
「それに、あのちっちゃいナエトルもあんなでかいドダイトスにしちまうんだもんな」
「はは、そりゃあ大事に育てたからね。
あそこまでに育てるの、すごく苦労したんだから」
「ああ、苦労でもしなきゃあんなに強くなんないって」
この勝負でわかったのは、ポケモンが強くなったと知ったときの喜び。
進化も、ポケモンが強くなった証拠のひとつである。
自分とポケモンとの絆が証明され、努力が形になったという実感が、強さとなって現れる。
「おれのヒーコも、早く最終進化系にさせたいぜ!」
「うん、僕もみるのが楽しみだよ」
クウヤのヒーコも、まだ最終進化を迎えていない。
だからこそ、これからそうなることが楽しみである。
それが今の彼を、さらなる高みへ上らせようとしていた。
「さて、そろそろポケモンの回復が終わった頃かな?」
「ああ、おれも結構食べたし・・・いくか」
「ってそりゃあハンバーグとオムライスとからあげとフライドポテトとサラダを一気に食べればおなかいっぱいになるよ。
というよりよくそんなに食べれたね」
昼食を取り終わり、回復がすんだポケモンたちをジョーイさんから受け取ると彼らはポケモンセンターをでる。
「それで・・・!」
「どうした、コウキ?」
ある一方をみたコウキははっと目を見開き表情を厳しくさせた。
「あれ・・・」
「あれは・・・ギンガ団?!」
コウキが指さした先には、確かにギンガ団がいた。
なにか企んでいるかもしれないとコウキは言い、こっそりついていこうと提案した。
クウヤもコウキに同意しうなずくと、彼とともにギンガ団を追いかける。
音を立てないようにしながら。
「ここって・・・遺跡か?」
「し、なにか話し声が聞こえる・・・」
ギンガ団を追ってたどり着いたのは、遺跡だった。
それはクウヤもコウキも、この町に着いたときにみていたので、その存在を知っていた。
だが、ギンガ団がここにきた目的までは流石にわからなかった。
「了解しました、ボス!」
「ボスだって・・・?!」
ギンガ団のボスが、ここにいるのかと二人は思った。
そこを去ろうとする下っ端を追いかけている途中、クウヤとコウキは下っ端を追いかけるのに夢中で別の人間の存在に気づかなかった。
そのせいで、その人物とコウキはぶつかってしまった。
「わ、す、すみません!」
「いや、かまわない・・・む、君は・・・」
「あっ!?」
遺跡の途中で会ったのは、以前クウヤがテンガン山で遭遇した男・・・アカギだった。
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