No.91989

真・恋姫無双after~蜀の日常・その19~

最近は女装した主人公が女学院に潜入して詠・蓮華・小蓮・秋蘭役の声優さんが声をあてるヒロインを護衛するゲームにハマっている作者です。今回は蘭ルートですがまずはお知らせをどうぞ!

2009-08-28 01:35:42 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:6624   閲覧ユーザー数:5447

お知らせです!

ありがたい事に今作品で46作品目となりました!(afterのアンケート結果発表・新キャラ紹介・葵✝無双の登場人物紹介は除く。全体では今作品で49作目)

そこで節目となる50作品目になにを皆様がお望みなのか後日アンケートを取りたいと思います。

今回はお知らせだけですが、アンケートを投稿した際にはどしどしご意見をよろしくお願いいたします!三好八人衆でした~!

酒について。

劉永はふと思う事がある。

彼の父・一刀は、酒は妻との晩酌程度には飲み、酒に対しては普通くらいの強さである。それに酒癖は悪いわけではない。母・桃香は酒にはあまり強くないくせにガバガバ飲み、抱きつき癖を発揮してその事を覚えていないのだから始末が悪い。姉・劉禅は母に似て酒に弱く、お猪口に6割くらい満たしたぐらいの酒ですぐに真っ赤になってこちらはキス魔になる。

この様に劉一家の女性はそろって酒に弱いのだが、劉永は誰の血を継いだのか異母兄弟姉妹の中でも超がつくほどの酒豪だった。父に言わせると劉永の曽祖父、つまり父の祖父が酒に強く、隔世遺伝ではないか、と語っていたがその辺は劉永にはよく解らない。

つまり何が言いたいかと言うと―――

劉永は酒に強い自分をちょっとだけ後悔していた、という事だ。

「聞いておるのかぁ~?劉永殿~?」

「う、うん。聞いてるよ、蘭さん」

劉永は冷や汗をかきながらジト目で睨んでくる蘭に返答した。

「冥琳殿はぁ~グチグチとうるさいのだ!わしがちょっと手違いで帝に献上する酒を全部飲んでしまったからと言ってあの陰険な口調でネチネチネチネチとお小言をいうのじゃぞ!ひどいと思わぬか!ええっ、劉永殿!?」

「そ、そうだね。ひどいと思うな」

実はこのやりとり、すでに5回目なのだが劉永は頬を引き攣らせた笑顔で最初と同じことを言った。

(なんでこんな事になったんだっけ?)

劉永は朝からの自分の行動を思い返してみる。太陽が真上に上るちょっと前に彼は建業城の冥琳を訪れていた。目的は1週間後に迫った独立式典の打ち合わせの為である。正使である劉禅が体調不良を訴え、大事をとって打ち合わせを弟に代わってもらったのであった。

打ち合わせが一区切りついたところで冥琳が「帝に献上する酒選びを手伝ってほしい」といいだして、2人で酒蔵に向かったところ―――

酒が入っていた(とおもわれる)高級そうな壺を転がして眠っている蘭の姿があったのだった。

冥琳は蘭を叩き起こしてお小言を開始。蘭は献上する候補に挙がっていた酒をすべて飲んでしまったので、結局献上する酒は別の物を用意すると冥琳は言ったのだが、蘭は打ち合わせが終わった劉永を捕まえてやけ酒に付き合わせて―――

今に至るという訳だ。

「・・・しかしなぜかのぅ」

蘭は沈みゆく夕日をぼんやりと見ながら呟く。

「冥琳殿に怒られる、ネチネチとお小言を食らうとわかっていてもわしは酒の盗み飲みや警邏のサボりがやめられぬ。なんでじゃろうか?」

小首をかしげる蘭。劉永はその疑問には確信を持って答えた。

「それはやっぱり、蘭さんが冥琳さんの事を好きだからだよ」

「そうか?」

訝しげに劉永の顔を見つめる蘭。

「そうだよ。だってさ、お小言を聞いてた蘭さんの顔、なんだか嬉しそうだったし、冥琳さんも言葉は怒ってたかもしれないけど、顔は怒って無かった―――っていうより楽しそうだったもん。あんな表情、好きな相手以外には見せないって。蘭さんは冥琳さんが好き。冥琳さんも蘭さんの事が好きだよ、絶対」

目をつぶって蘭は「う~ん」と考え込み、ポン、と手を打った。

「う~ん・・・なるほどのぅ。好きだから、か。劉永殿はうまい事を言う」

コテン、と劉永の膝にもたれかかる蘭。劉永は思わず焦った声をあげる。

「ちょ、ちょっと蘭さん!?」

「ふふふ、わしも劉永殿が好きだからこうしておるのかな?」

劉永は何も言えぬまま、結局蘭に寝場所を提供してしまう事になった。

そのまま蘭は熟睡してしまうが、彼女の目を覚ましたのはやはりというか冥琳の一喝だった。そのまま警邏をさぼっていた事と恐れ多くも蜀の皇子にもたれかかって眠るという非礼について彼女は説教されてしまうが、劉永は説教をする方もされる方もなんとなく嬉しげに見えて仕方なかった。


 
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