様々な次元世界で暗躍する犯罪組織。現在、その多くが壊滅させられようとしていた。
それも、たった1人の女によって。
「はぁ、はぁ……い、嫌だ…誰か助けてくれ…!!」
「ち、畜生、何で俺達がこんな目に…!!」
地球、某国のとある無人島―――
「ッ!?」
「な、何だ!? 空が…」
島から逃げ出そうとしていた組織の人間が2人、突然周囲が真っ暗になった事で足を止める。日の光すら遮られたこの状況下、焦っていた2人は何故こんな状況に至ったのか、まともに考えていられる余裕は無かった。何故なら2人の背後からは…
「断ち切れ、
「「…ッ!?」」
紫色の禍々しい刀身による斬撃が、すぐそこまで迫っていたからだ。
「し、しまっ―――」
気付いた時には手遅れだった。2人は胴体から血飛沫が舞い、同時に地面に倒れ伏した。その数秒後、2人が倒れているすぐ近くに、迷彩柄の軍服を身に纏い、黒いフルフェイス型の仮面を被った人物が、無音で地面に着地してから紫色に輝く1本の刀を鞘に納め、倒れている2人の傍へと歩みよって2人の顔を覗き込む。
「がはっ……テ、テメェ……何者、だ…ッ…!!」
「…あなた、息があるの?」
片方は既に息絶えていたが、もう片方の男性はまだ息があった。それに気付いた仮面の人物は懐からある物を取り出す。
「質問に、答え…ろ……テメェ、は一体…」
「…じゃあ連れ帰る」
「がっ!? ぁ、お…」
仮面の人物が取り出した物は催眠スプレーだった。顔面に思いきり催眠ガスを噴きかけられた男がすぐに深い眠りへと落ちていった後、その人物は被っていた仮面を取り外す。仮面の下から露わになったのは、二つ結びにしたセミロングの金髪と褐色肌が特徴的な、寡黙な雰囲気を醸し出している女性の素顔だった。
「…連行して」
「「了解」」
女性が指示を下し、それに応じるようにフルフェイスの仮面を被った黒服の男性が2人、こちらも無音で彼女の背後に姿を現し、眠りについた男を2人がかりで連行していく。それを確認した女性は念話を送り込む。
≪…博士、また1人送ったよ≫
≪ご苦労様です。一度研究所に戻って来て下さい。あなたにもそろそろ、休む時間が必要でしょう?≫
≪!! …分かった、すぐに戻る≫
女性の脳内にテレパシーで返事が返って来た。その返事の内容を聞いた女性は無表情だったのが明るそうな表情へと変わり、嬉しそうに笑みを浮かべながら念話を切った。
「…博士、会いたい」
女性が歓喜の感情を露わにすると共に、彼女が鞘に納めている刀―――
(博士に会いたい……今すぐ会いたい……博士に会いたい…会いたいよ博士…博士に会いたい、博士に会いたい、博士に会いたい博士に会いたい博士に会いたい博士に会いたい博士に会いたい博士に会いたい博士に会いたい博士に会いたい博士に会いたい博士に会いたい博士に会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい合いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博土博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士…………会いたいよ、博士…!)
女性の名前はフレデリカ・ヒダルゴ。
かつて違法研究施設から助け出された後、成長して大人になった彼女は今、OTAKU旅団No.12―――竜神丸が率いる部下の1人として、今日も元気に犯罪者達を狩りまくっていたのである。
「よく戻りましたね、フレデリカさん。お仕事ご苦労様です」
「うん、博士…♪」
某次元世界の巨大地下研究所。竜神丸が数多く所有する研究所の中で唯一のダミーじゃないこの研究所で、竜神丸に出迎えて貰ったフレデリカは彼に頭を撫でて貰い、その嬉しそうな表情はまるで飼い主に頭を撫でて貰っている飼い犬のようだった。もしも彼女が犬の獣人だったとすれば、間違いなく尻尾を左右に振っていた事だろう。
「あら、フーちゃん。戻って来てたの?」
「あ、イーリスさん! 久しぶり…♪」
「久しぶりね。元気にしてた?」
「うん…♪」
「ん、何だフレデリカちゃんか。久しぶりだな」
その後、イーリスにも出迎えて貰ったフレデリカは彼女の胸元に顔を埋め、イーリスもそんな彼女を拒絶する事なく受け入れて頭を撫でる。こちらも嬉しそうな表情を示すフレデリカだったが、その後に現れた人物の顔を見てすぐに嬉しそうな表情が冷徹な無表情へと切り替わる。
「…誰」
「また忘れられてる!? あぁ~…暁零、コードネームは支配人だ」
「…どうでも良い、今すぐ消えて」
「本当に酷ェなこの子!?」
「はいはい。とにかく捕まえた犯罪者はイーリスさんに預けて、その間にフレデリカさんはシャワーでも浴びてきて下さい」
「ん、分かった…♪」
支配人にひたすら毒を吐き捨てるフレデリカに竜神丸が声をかけた途端、フレデリカの表情はすぐに笑顔へと切り替わり、ルンルン気分でその場を立ち去っていく。支配人は溜め息をつきたくなった。
「はぁぁぁ……おい竜神丸、何なんだあの子。初めて旅団で再会した時よりも酷くなってねぇか?」
「それはまぁ、初対面であなたが私に攻撃して来たからでしょうに。おかげで彼女の頭の中では支配人さんがゴミ虫同然の存在になっております」
「ゴミ虫って何だオイ!? それ本当にあの子が思ってんの!? お前の思い込みとかじゃなく!?」
「ご想像にお任せします。しかし彼女は非常に有能で素晴らしい子です。彼女があちこちの世界から実験に使う犯罪者を確保してきてくれるおかげで、こちらは研究が捗りますよ」
「その結果、テメェは見事にライフを99も手に入れる事になっちまったもんな。命に対する冒涜っぷりがもはや凄まじいなんてレベルじゃねぇよ。命を何だと思って……ッ!?」
支配人が頭を伏せた瞬間、彼の頭上を
「…博士の悪口言った」
「これ悪口の類に入んの!?」
「こらこらフレデリカさん。良いから早くサッパリして来なさい」
「ん、了解」
竜神丸の呼びかけですぐにフレデリカは立ち去って行き、それを確認した竜神丸は壁に刺さっている
「…まぁそういう訳ですので。この場で迂闊な発言をすれば、あなたの命に関わりますよ?」
「モウイヤダアノコ、コワスギル……しかし竜神丸よぉ、これから先はどうする気だ? いくらライフが99もあるとしても、今のお前は残りライフが既に10を下回ってるんだ。仮にバグスター化したとしても、残りライフはそのまま引き継がれるんだぞ?」
「正確には残り9です。まぁ残機を増やす方法があるのでノープロブレム……と言いたいところですが、ここ最近は残機が増える量よりも残機が減る量の方が上回り始めているのも確かなんですよねぇ。ゲムデウスウイルスの抗体を作る為に貴重なライフを大量に消費してしまいましたし」
「ドクターマイティXXガシャットか……確か、お前とokakaは既に抗体を得てるんだっけか?」
「えぇ。プロトディケイドの力を持ってしても、ドクターマイティXXだけは作れなかったようなので、私達2人で頑張って作りました。いやぁ~おかげで何度死にかけた事か♪」
「道理で99もあったライフが1桁にまで下回ってた訳だよ……よく自分を実験台に出来るな」
「いやぁ~それほどでも♪」
「いや褒めて……うん、褒めてるよ? うん」
また先程のようにフレデリカの攻撃が飛んで来るのを恐れたのか、迂闊な突っ込みは回避した支配人。フレデリカがいないか周囲をキョロキョロ確認する支配人を他所に、竜神丸は自身の顔の横にゲーム画面を出現させる。そこに映し出された残りライフは9と表記されている。
「実際、このままでは私の研究内容が闇に埋もれてしまいますし……そろそろ私の研究を引き継がせられる人材を用意した方が良いかもしれませんねぇ」
「お前の後継者って……いや、もう突っ込むまい。一体誰に引き継がせるつもりだ?」
「今のところ、イーリスさんが一番の候補ではありますが……この際、子孫でも残してみようかなぁ~と思ってみたりします」
「ブフォッ!? お、お前が子孫を残すだと…!?」
「えぇ。バグスター化すると生き物としての生殖機能は失われてしまうので、仮に子孫を残す場合は早めに残した方が良いかもしれませんね」
(お前が子孫を残すとか想像できねぇよ!!)
口に出して突っ込む事は出来ない為、支配人は心の中で思いっきり竜神丸に突っ込みを炸裂させる。
なお、そんな彼等の会話は―――
「……ッ…!!」
―――曲がり角に隠れたまま、盗み聞きをしていたフレデリカにもバッチリ聞こえてしまっていた。
(博士が、子孫を残す…?)
(博士が、子孫を…)
(誰と、残す…?)
(誰、と…?)
(……したい)
(…博士と、子孫……残したい…!!)
「…む?」
そんな時、竜神丸が持っていた
(…これはまた、何か嫌な予感がしますねぇ)
深夜0時半。
「さて…」
竜神丸は完成目前のデータの作成をイーリス率いる部下達に任せ、自身は仮眠を取るべく自室に戻り、脱いだ白衣とスーツの上着をハンガーにかけてからベッドに倒れ込む。眼鏡を外した彼は枕元に置いてあったリモコンで部屋の電気を消した後、暗い部屋の中で瞼を閉じ、静かに深い眠りへと付いていく。
(…寝た…?)
その瞬間を待ち侘びていた者がいた。こっそり部屋に侵入していたフレデリカだ。
「スゥ……スゥ……」
(…よし)
ベッドの下に隠れていたフレデリカはニュッと顔を出し、竜神丸が眠りについたのを確認してからゆっくりと静かに姿を現し、ベッドの上で眠っている竜神丸の寝顔を覗き込む。
(博士の寝顔……可愛い)
フレデリカはゴクリと喉を鳴らし、竜神丸の身体の上に乗りかかってから、自身の顔を竜神丸の顔に少しずつ近付けていく。
(したい……博士と、したい…!)
フレデリカのピンク色で可愛らしい唇が、竜神丸の唇へと迫る。そして唇と唇が合わさ―――
「やれやれ、寝たフリをして正解でしたよ」
―――りかけたところで、起きた竜神丸によって蹴り飛ばされたフレデリカは壁に直撃し、思いきり壁に減り込む羽目になった。起き上がった竜神丸は眼鏡をかけてから電気を点け、壁に減り込んでいるフレデリカに呆れたような表情を浮かべつつ、近くに置いてあった刀・闇刃(ヤミキリ)を手に取りながら問いかける。
「キュウゥゥゥゥ…!」
「
「…ごめんなさい」
「あなたにも言った筈でしょう? 余程の事が無い限り、私の仮眠の邪魔はするなと。なのにそれを破ってまで私の部屋に潜り込むとは、一体何を考えているんですかねぇあなたは?」
「…重要な話があるから」
「ほぉ? それはぜひ聞かせて貰いたいですねぇ。言ってみなさい」
一体どういうつもりなのか。フレデリカの口から直接聞いてやろうと考えた竜神丸は、彼女が次の言葉を発するのを待つ……が、そんな彼の表情はすぐに崩れる事となった。
「…後継者がいるんでしょ…?」
「…はい?」
竜神丸は思わず唖然とするも、すぐに表情を戻す。
「…もう一度聞きましょう。今、何て言いました?」
「…だって博士……後継者が必要なんでしょう…?」
「…それで何故、私の部屋に入り込んで来る事になったんですか」
「子孫を残すって、言ってたから…」
「…え、まさかそんな理由で?」
「そんな理由じゃない! 博士にとって、凄く大事な事だから…!!」
「いや、言いたい事は何となく分かりましたが、何故よりによってあなたが…」
「嫌なの…?」
「はい?」
「子孫、残したくないの…? 後継者、作りたくないの? これまでの研究データ、残したいんじゃないの!?」
「いや、そもそも研究データに関してはイーリスさんにでも託し…」
「嫌なの!? 私じゃ駄目なの!? 私なんかじゃ博士の役には立てないの!?」
「いや、だから…」
「そっか……私、全然役に立てないんだ……博士の役に、立ちたかったのに……駄目なんだ…役立たずなんだ……う、ぐすん…ッ…うぇぇぇん…!!」
「……」
(あれ、こんな面倒臭い性格でしたっけこの子…?)
遂には泣き始めたフレデリカを見て、竜神丸が真っ先に思ったのがそれである。
(…これまた、
フレデリカが戦闘に使用していた
(まさか闘争本能が増幅した影響で、大人しかった彼女がここまで積極性のある性格に変貌するとは……全く、一体誰がこれを彼女に授けたのやら…)
(…あ、私の所為か)
冷静に考えてみれば、この妖刀をフレデリカに授けたのは他でもない竜神丸だ。つまり今のこの状況は、全て自分が招いてしまった結果という事だ。
「う、ひぐ…ぐす……ごめんなざい……役に立でなくで、ごめんなざ…い…ぐす……ッ!!」
(…あぁ、朱音さんに言われていた通りの光景だなぁこれは…)
『竜神丸さん、良い? 女の子は男が思っている以上に繊細で複雑なの。本気の想いをぶつけられた時は無視するんじゃなく、返事の内容問わずちゃんとそれに応えてあげる事! ただでさえ姉のキーラさんとも一悶着やらかしてるんだから、適当に聞き流すような事は絶対にしちゃ駄目よ! 分かった?』
(…確かに、女の心情は複雑で分かりにくい物ですねぇ)
ここに来て女の心情に悩まされる羽目になるとは想定していなかった竜神丸。そもそも彼からすれば、何故彼女がここまでするのか理由が分からない。
「まぁ、それはひとまず置いておいて……フレデリカさん。それ以上泣かれるとシーツが濡れに濡れるんで、一旦その辺で」
「ひっく、くすん…」
ひとまずは泣き止ませる事に成功。ようやく落ち着いて話す時間が出来た。
「…取り敢えず言っておきますがフレデリカさん。あなたが何故そこまでするのか理由は分かりませんが、正直に言いましょう。あなたがそこまで感謝する必要は無いんですよ」
「…どうして?」
「私があなたを施設から連れ出したのは、あなたの身体に適合したTベロニカウイルスのサンプルが欲しかったからです。要するに自分の為であって、あなたの為に助けた訳じゃない」
「関係ない…!」
「!」
フレデリカが竜神丸の両肩を掴みながら言い放つ。
「あなたの目的とか、私の事をどう思っているかとか、そんな事はどうだって良い…! 私は、あなたが来てくれただけで凄く嬉しかった!
「フレデリカさん…」
「私の事を実験台にしてくれたって構わない…! 化け物にされたって構わない…! 生きれるのなら、私はあなたの傍にい続けたい、あなたの役に立ち続けたい…!」
「…しかし、あなたは今でも充分に役立っているでしょう。今日だって実験用の犯罪者を確保して―――」
(…あれ、待てよ?)
ここで、竜神丸は気付いた。
(今、彼女の肉体はTベロニカウイルスに適合している状態……そして私の肉体はTウイルスに適合している状態な訳だから…)
(仮に彼女との間に子孫を残したとして……つまりTウイルスとTベロニカウイルス、両方のウイルスに順応した強靭な肉体の子供が産まれるという事…!?)
(肉体は頑丈な上に傷の再生速度も速いだろうから、ちょっとやそっとの鍛錬でも死ぬような事は無い!! おまけにそれだけ頑丈な肉体であれば、魔力もしくはPSIで強度を高める事が出来るから、ゲムデウスウイルスの抗体を作る事だって決して不可能ではない!? しかも私よりもっと早い段階でゲムデウスウイルスの抗体が出来てしまう可能性だってある!? そうなればバグスターウイルスの研究がより捗る事になる!?)
(あれ、これ思ってたより優秀な後継者が産まれるんじゃないか!?)
…流石は竜神丸。女性の心情よりも産まれる子供の有能さの方を重視してしまう辺り、やはり残念な思考回路の持ち主である。
「…ふむ」
しかし、そこからの竜神丸の行動は早かった。
「フレデリカさん」
「ふぇ…?」
「あなたの気持ちは理解しました。そこまで言うのなら、ぜひとも私の為に役立って欲しい……しかし先に言っておきましょう。私は元々、研究内容はイーリスさんに託すつもりでいました。そこに子孫を残したいなんて言い出して来たのは他でもないあなたです、フレデリカさん」
「あ、えっ…!?」
竜神丸はフレデリカの背後に回り、彼女の顎を右手で優しく触れる。
「あなたがそこまで積極的になってしまったのには、確かに私にも責任があります。故に加減はしません。やると決めたからには、あなたにも存分に手伝って貰いますよ」
「あ…!」
竜神丸の左手が、フレデリカの下腹部を優しく撫で回す。それだけでフレデリカは思わず全身がビクンと反応してしまう。
「ん、ぁ…!」
「やめるなら今の内ですよ。さぁ、どうしますか? ここで引き返しますか? それとも始めますか? もしこのまま始めたいというのであれば、覚悟を決めて下さい。私の手で、あなたを存分に可愛がってあげましょう。あなたの身体に私という存在を刻み込んであげましょう。あなたの全てを私が奪って差し上げましょう」
他に何かされている訳でもないのに、後ろから耳元で呟かれるだけで頬が赤く染まっていくフレデリカ。もはや彼女の脳内には選択の余地などありはしなかった。
その結果…
「はい…♡ あなたの望みを……私のこの身体で、叶えさせて下さい…♡」
フレデリカは、そんな返事を返す事しか出来なかった。
「決まりですね」
「あ、え……んむぅ!」
竜神丸はフレデリカの顔を自身の方に向けさせ、心の準備をさせる間も無く互いの唇が合わさった。突然の接吻で戸惑うフレデリカだったが、その表情もすぐに歓喜の表情へと変わる。互いの唇が合わさった状態のまま、竜神丸の舌がフレデリカの口内へと侵入し、唾液にまみれた2人の舌が淫らに絡み合っていく。
「ん、ちゅ……ぷは!? は、博士…!」
「勝手に離れないで下さい」
「ん、うぅぅぅぅ…!!」
いざ始めてみると思った以上に恥ずかしかったのか、一度離れようとするフレデリカだったが、竜神丸がそれをさせない。すぐにまた唇がくっ付き、互いの舌で舐めて唾液を交換し合う。たったそれだけの行為で、既にフレデリカは全身をビクビクと震わせ始めていた。それに対して竜神丸はいつも通りの平然とした表情をしており、まるで肉食動物が獲物を捕食しているようにも見える光景だった。
「ぷは……おや、これだけで参って貰っては困りますよ」
「んぁ!?」
舌と舌が離れて唾液の糸が出来た後、フレデリカの身体がベッドに押し倒され、その上に竜神丸が乗りかかり彼女が逃げられないような体勢になる。こうなってしまえば、もはやフレデリカに逃げ道は無い。
「今更後悔しても遅いですからね。さぁ…」
「あ…」
無理やり蹂躙されようとしているのに、フレデリカは嫌がる素振りは一切見せない。それどころか恩人の役に立てる事を喜び、彼女の身体は彼に支配される事を望んでいた。
「うん……来て、博士♡」
なお、これはあくまで後継者を誕生させる為だけの行為であり、竜神丸自身は恋愛という物に関しては全く理解していない。それ故、彼はフレデリカを使って
フレデリカもその事は理解していた。理解した上で、自身の身体が彼に蹂躙される事を自ら望んだ。彼の役に立てる事が一番の喜びだった。
2人の感性は何処かが狂ってしまっている。そうである以上、そこにはまともな恋愛感情など、到底ありはしないのだ。
それから、しばらく先の未来…
「ん~…やっぱり駄目ですか」
とある研究室。部屋全体にB.O.W.の写真やバグスター、果てにはロックシードなど大量の写真が壁全体に張られているその研究室では、赤いメッシュ入りの長い金髪を一つ結びにした白衣の少女が、パソコンのキーボードを素早いタイピングで操作しながら頭を抱えている姿があった。
「これじゃ駄目なんです。
「ユプシー、ご飯よ~」
「あ、はーいお母様!」
母親と思われる女性の声に反応し、白衣の少女は仕方なく作業を中断し、母親の作ったご飯を味わうべく研究室を飛び出していく。
「見ていなさいアルファ・リバインズ……あなたはこのユプシー・リバインズの手で、絶対にゲームオーバーにしてみせます!! 首を洗って待っていなさい…!!」
ユプシー・リバインズ。
アルファ・リバインズの後継者として誕生したこの少女が、未来の物語にどのような影響をもたらすのか。
それを知る者は、まだ誰もいない…
THE END…?
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後半は『ア~ン♡』な描写があるので苦手な人は注意!
(※直接の描写は避けています)