「毒ジャナイヨナ」
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マイ「艦これ」「みほ2ん」
第40話 <海岸道路へ>(改2)
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「司令?」
彼女は後ろの銃座で不思議そうな顔をしていた。
「日向……その」
私は振り返りつつ、澄まし顔を見て、ただ冷や汗を流す。
「どうか、されましたか?」
彼女が改めて聞いて来る。
私もいい加減、妙な思いになる……軍隊の指揮官が何で兵士のスカートの心配をせにゃならんのだ。実に理不尽だ。
いや、しかし出来の悪い指揮官だから、こういうハメになるのかな? ギリギリになって下らない葛藤をする私。
これが平時であれば絶対に言えないことだが今は戦闘中で時間も無い。それに艦娘と一蓮托生だと決意した以上、彼女たちとの間に壁があってはダメだ。
私は意を決した。
「日向……お前の働き振りには感心だ。ただ」
「ただ?」
彼女は怪訝(けげん)な顔をしている。許せ日向。
「お前のスカートが。その……風でピラピラと」
うーむ、これが精一杯。途端に耳がカーッとなった。
「あ……」
ハッとしたような彼女は私以上に真っ赤になった。そして慌てて自分のスカートを押さえた。(別に今はめくれてない)
私は肩をすくめた。ようやく肩の荷が下りた思いだ。
日向はドギマギしながら言った。
「あの……その、失礼しました」
機銃に手を掛けつつ必死に頭を下げている。ホントに全然、気付いていなかったんだな。
ただ先ほどまでの精悍な日向とは、うって変わって女性らしい。
そんな私たちのやり取りを不思議そうな目をして見ている深海棲艦(大井・仮)。この光景は誰が見ても変だよ。説明し難い。
でも日向は顔を上げると改めて私を見詰めながら、ゆっくりと言い聞かせるように言った。
「でも私……司令なら別に構いませんから」
「や……」
そう言われると何て返して良いんだ? 逆に私は言葉を失った。
すると急に私の隣にいる深海棲艦が話しかけてくる。
「オイ」
私はハッとして現実に戻された。サンドイッチを指差した『彼女』は言った。
「毒ジャナイヨナ」
(こいつ戦闘中に食べるつもりか?)
当然、彼女にとっては日向のパ○チラなんか関係ないようだ……まあ当然か。
私は二回ほど頷くと言った。
「毒じゃないぞ」
オウム返し状態の私。これじゃまるで漫才だ。すると助手席でムシャムシャと食べ始める変な奴。
私はそんな彼女を見ながら気を取り直して日向を見た。
「改めて、行くぞ!」
「はい!」
彼女も爽やかに応える。何か……妙なクルーだが。だがホッとしたのか、肝が据わった。
再び走り出した軍用車は直ぐに幹線道路に入る交差点に来た。ここから鎮守府まで幅広い幹線道路になる。
この道路を走ることは即ち敵に発見される可能性が高まる。現に海岸沿いの上空には既に数機の敵機が浮かんでいた。
特に今は空襲警報発令中で他の車は走っていないから、なおさら危険な状態だ。日向のパン○ラのゴタゴタで、まったく無線が耳に入らなかったから状況が把握出来なかった。
だが既に戦端は開かれている。無線機からはノイズに混じって艦娘たちの声が入ってきた。
「よーく狙っ……てーっ」
ガリガリ
「弾幕を……りなさいな!」
ザザザザ
「ひゃあぁ」
ガリッ……
美保湾の上空にも何本も黒煙が立ち上がっている。敵機や艦娘の艦載機が飛び交い混戦状態だ。
直ぐに日向が鎮守府からの無線を受けた。
「秘書艦より大淀艦隊は現在、中破3、大破1で、やや苦戦中です。司令は海岸道路をそのまま鎮守府まで全速力で南下してください!」
「了解!」
私は応えた。
もはやムダに考えて躊躇(ちゅうちょ)している暇は無い。ただ前進あるのみ。私はシフトレバーをチェンジしてアクセルを踏み込んだ。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
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意を決した司令は日向に真実を伝え慌てる日向。しかし彼女は意外な反応を見せる。