No.909825

英雄伝説~光と闇の軌跡~エレボニアカオスルート

soranoさん

第33話

2017-06-12 01:57:19 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3135   閲覧ユーザー数:2629

~パンダグリュエル・パーティーホール~

 

「何だ、この滅茶苦茶な内容の条約は!?確かに全面的にエレボニア帝国に非があるとはいえ、幾ら何でも理不尽すぎるぞ!?」

「滅茶苦茶搾り取ろうとしているね、この内容だと。」

「というか、これだと隷属も同然の扱いだよね~。」

「この条約を全て実行したらエレボニア帝国にまた混乱が起きるだろうな……」

「うん………エレボニアの多くの領土が失われる事に加えて”帝国の至宝”と称えられているアルフィン皇女殿下が和解の為に他国に嫁ぐ事をエレボニアの人達が知ったら、みんな凄いショックを受けるよ………」

条約を読み終えたトヴァルは怒りの表情で声を上げると共に机を叩き、フィーはジト目になり、ミリアムは真剣な表情でレン達を見つめ、ジョルジュとトワはそれぞれ辛そうな表情をし

「皇女殿下やエレボニアの多くの領土をメンフィルに差し出した挙句”ハーメルの惨劇”まで公表してしまったら………!」

「………恐らく民達による暴動が起き、エレボニアは今以上の混乱に陥ってしまう事になるだろうな。」

「そ、そんな…………」

「そ、それに……メンフィルに贈与するエレボニアの領土の中でノルティア州の一部もあるみたいだけど、もしかして”ルーレ”も……!」

「間違いなく入っているかと。加えてザクセン鉄鉱山の所有権までメンフィルに贈与されてしまった場合、”ラインフォルトグループ”にも確実に影響が出てしまいますわ……」

表情を青褪めさせているクレア大尉と重々しい様子を纏っているアルゼイド子爵の会話を聞いたマキアスは表情を青褪めさせ、血相を変えたアリサの言葉に続くようにシャロンは真剣な表情で呟いてレンを見つめた。

 

「レン皇女殿下……どうして両帝国の戦争の和解の為にヴィータ姉さんはメンフィル帝国に引き渡されなければならないのですか……!?」

「うふふ、”蒼の深淵”が所属している結社”身喰らう蛇”は”リベールの異変”を起こした主犯にして今回の内戦やメンフィルとの戦争にも加担している”国際犯罪組織の最高幹部”なんだから、”戦犯かつ国際犯罪者”は処罰されて当然の対象でしょう?」

表情を青褪めさせているエマの質問に対してレンは不敵な笑みを浮かべて答えた

「そ、その……メンフィル帝国は引き渡されたカイエン公とクロチルダさんをどうするつもりなんですか……?」

「カイエン公は”処刑”。”蒼の深淵”も基本”処刑”だけどレーヴェみたいにメンフィルに忠誠を誓ってメンフィルに寝返るのだったら、命は助けて、ある程度の自由は許す所存よ?”蒼の深淵”が持つ能力だったら、様々な方法でメンフィルの”利”を生み出す事ができるでしょうし。」

「……………そ、そんな…………」

「プライドが高いヴィータが負けた相手に命欲しさに自分を負かした相手に命乞いをして結社にとっての敵勢力に寝返るなんて、どう考えてもありえないわね。」

不安そうな表情をしているエリオットの質問に答えたレンの答えを聞いたエマは悲痛そうな表情をし、セリーヌは複雑そうな表情で呟いた。

 

「…………………レン君、先程この”和解条約の調印も既に終えている”と言っていたが、それは一体どういう意味だい?父上達が幽閉された状況で一体どうやってエレボニア帝国の代表者が調印を……」

「あら、その条約書のコピーの下の方にちゃんと和解条約書に調印した”エレボニア帝国の代表者”も記しているでしょう?」

「何だって………?………………な――――」

「”エレボニア帝国代表、エレボニア帝国皇帝ユーゲント・ライゼ・アルノールⅢ世名代エレボニア帝国皇女アルフィン・ライゼ・アルノール”………ええっ!?」

「何故貴族連合軍に幽閉されているアルフィン皇女殿下が調印しているんだ……?」

「やっぱり、”パンダグリュエル制圧作戦”かそれ以降に行った作戦で貴族連合軍によって幽閉されていた皇女殿下を拉致して、この和解条約に調印させたのね!?」

自分の質問に対して答えたレンの答えを聞いて眉を顰めたオリヴァルト皇子はもう一度条約内容が書かれている紙を見直して調印した人物の中にアルフィン皇女の名前を見つけると絶句し、エリオットは驚き、ガイウスは不思議そうな表情で考え込み、サラ教官は厳しい表情でレンを睨んで問いかけた。

 

「うふふ、実は”パンダグリュエル制圧作戦”を行った時にこの”パンダグリュエル”にアルフィン皇女が”偶然にも”幽閉されていてね。その結果、”パンダグリュエル制圧作戦”は”パンダグリュエル”の占領や”総参謀”の殺害に加えてアルフィン皇女の捕縛という”予想外の戦果”をあげる事ができたのよ♪」

「皇女殿下がこの”パンダグリュエル”に………と言う事は今皇女殿下は貴族連合軍ではなくメンフィル帝国の下におられるのですか……」

「よくアルフィン皇女が”パンダグリュエル”に幽閉されていた事が”偶然”とかアルフィン皇女を捕縛した事を”予想外の戦果”って言えるよね~。」

「レグラムの時にメンフィルはエレボニア皇族が幽閉されている場所は全員把握している事も言っていたんだから、あまりにも白々しい嘘だね。」

レンの説明を聞いたアルゼイド子爵は真剣な表情でレンを見つめ、ミリアムとフィーはそれぞれ呆れた表情で呟いた。

「くっ……レン皇女殿下!無礼を承知で申し上げますが、貴国が捕縛し、幽閉し続けているアルフィン皇女殿下に貴国が用意した和解条約に調印させるなんて、余りにも非道な行為ではありませんか!?」

「大方捕縛した皇女殿下に脅迫等をしてこの和解条約に無理矢理調印させたんだろう!?――――遊撃士協会に所属する遊撃士として、あくまで中立の立場で今回両帝国が調印した和解条約について介入させてもらう!」

クレア大尉は唇を噛みしめて厳しい表情でレンを見つめて反論し、怒りの表情で声を上げたトヴァルは宣言をした。

「へえ?それで遊撃士協会は、”中立の立場”としてこの状況でどうするつもりなのかしら?」

トヴァルの宣言を聞いたレンは不敵な笑みを浮かべてトヴァルに問いかけた。

 

「今回両帝国の間で起こった戦争を終結させる為に両帝国が調印した和解条約書はエレボニア帝国側は余りにも不公平な立場で調印したと思われる。よって『支える籠手』の紋章に賭けて、この和解条約書の調印のやり直し並びに公平な和解交渉、そして和解調印の実行が必要である事を宣言する!」

「トヴァル殿………」

トヴァルのレンに対する反論を聞いたラウラが明るい表情でトヴァルを見つめたその時

「クスクス……フフ…………―――――アハハハハハハハハッ!」

笑いを噛み殺していたレンが突然大声で笑い始めた。

「何がおかしいのよ!?」

突然大声で笑い始めたレンの意図が理解できないサラ教官は厳しい表情でレンに問いかけ

「うふふ、だってレン達メンフィル帝国がそんな”余りにも簡単な予想される問題が浮上する事”も予想できないと本気で思っている遊撃士協会―――いえ、トヴァルお兄さんのお気楽な考えが余りにもおかしくてつい大声で笑っちゃったのよ。まさかメンフィル帝国がトヴァルお兄さんが口にした問題点に気づかずに対策も取っていないと本気で思っていたのかしら?」

「え………」

「………どうやらその口ぶりですと、メンフィル帝国はトヴァル様が口にした問題点についての対策も既にされていたようですわね?」

不敵な笑みを浮かべたレンの問いかけを聞いたトヴァルが呆けている中シャロンは真剣な表情でレンに訊ねた。

「クスクス、その様子だとどうやらみんな和解条約書に調印したエレボニア帝国の代表者ばかりに気を取られて、アルフィン皇女以外に調印した人達の事については気づいていないようね?」

「皇女殿下以外に調印した人達って後はメンフィル帝国の代表者しかいないと思うんですけど…………ええっ!?ちょ、調印者の中に”リベール王国代表、リベール王国女王アリシア・フォン・アウスレーゼⅡ世”の名前もあるからリベール王国の女王様もこの和解条約書に調印しているよ……!」

レンの指摘を聞いたトワが困惑の表情で再び和解条約書に記されている調印者達の名前を確認すると驚きの声を上げ

「ええっ!?リ、リベール王国の女王陛下が!?」

「い、一体どうなっているの!?」

「!?リベールどころか遊撃士協会も調印しているわ……!それも”本部長”の”名代”としてグランセル支部の受付をしているエルナンが……!」

「しかも七耀教会も調印しているな……」

「ええ……それも七耀教会のトップである”教皇”の”名代”として調印しているから、リベール、遊撃士協会、七耀教会もこの和解条約書の内容を認めて調印したって事になるわね。」

トワの言葉を聞いたその場にいる全員が血相を変えて和解条約書を読み直している中エマとアリサは信じられない表情で声を上げ、調印者達の中からエルナンの名前を見つけたサラ教官は目を見開き、静かな表情で呟いたガイウスの言葉に頷いたセリーヌは目を細めてレンを見つめた。

 

「……一体この和解条約書はどこで調印されたんだい?」

「リベール王国の王城――――”グランセル城”よ。」

「グ、グランセル城――――リベール王国で和解調印がされただって!?」

「ど、どうしてリベール王国のお城で和解調印が……」

オリヴァルト皇子の質問に答えたレンの答えを聞いたマキアスは驚き、エリオットは不安そうな表情で呟いた。

「うふふ、リィンお兄さんが望んだ”褒美”の一つである今回の戦争を”和解”という形で終結させる事をメンフィル帝国が正式に決定した後、パパ――――リウイ・マーシルン大使がリィンお兄さん達を表彰したその日の夜にグランセル城にいるアリシア女王とクローディア王太女―――クローゼお姉さんを緊急訪問をしたのよ。――――今回の戦争に関して”中立の立場”であり、”不戦条約”を提唱したリベール王国で和解交渉並びに和解調印の場を行う事と、アリシア女王もしくはクローゼお姉さんが”中立の立場として”和解交渉や調印の場に立ち会う依頼をする為にね。」

「!!」

レンの説明を聞いたオリヴァルト皇子は目を見開き

「で、その依頼をした際にリベールには七耀教会の代表者が和解調印の場に立ち会ってもらう為の交渉を任せて、レンはメンフィルを代表してレマン自治州にある遊撃士協会の本部を訊ねて本部長を含めた遊撃士協会の上層部達と交渉して遊撃士協会にも今回の和解調印に参加してもらったのよ♪」

「何だとっ!?」

「つまりは遊撃士協会の本部が不公平な形でエレボニアが調印したこの和解条約を認めてエルナンに調印させるように命じさせたのもあんたによる暗躍が原因だったのね……!」

説明を続けていたレンの話を聞いたトヴァルは信じられない表情で声を上げ、サラ教官は怒りの表情でレンを睨みつけた。

 

「”暗躍”とは人聞きが悪いわね~。レンは遊撃士協会の上層部達にメンフィルはエレボニアに対する怒りを鎮める為に必要な”謝罪金並びに賠償金代わり”としてエレボニアの領地の一部を要求する事を教えた後、和解調印で得る事になる”元エレボニアの領地”である新しいメンフィル帝国領にも新たな遊撃士協会の支部の設立を依頼しただけよ?」

「そ、それって………!」

「エレボニアによって撤退させられた支部の一部の復活を条件にこの和解条約を認めさせたのね!?」

「クソッ!本部の連中は何を考えているんだ!?支部の復活の為だけにこんな不公平な形で調印された和解条約を認めるなんて……!」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの説明を聞いてある事を察したトワは不安そうな表情で声を上げ、サラ教官とトヴァルはそれぞれ怒りの表情で声を上げた。

「うふふ、他の遊撃士達の感情はともかく、少なくてもトヴァルお兄さんが遊撃士協会本部の判断を責める”権利”はないと思うわよ?」

「それはどういう事だ!?」

「レンがメンフィルが和解の為にエレボニアの領地の贈与を請求する話をした際、本部長を含めた人達はレンの前でこう言っていたわよ?――――『今回の両帝国間の戦争勃発は僅かとはいえ、アルフィン皇女を護衛していた遊撃士にも責任がある事は明白。よって、本来ならば遊撃士協会はメンフィル帝国がエレボニア帝国に謝罪金並びに賠償金代わりに要求すると思われるエレボニアの領地の領有権の贈与について口出しする権利はない』ってね♪」

「!!」

「それは……………」

「………つまりは遊撃士協会本部がそのような判断を下した原因の一端はトヴァル様も担っているという事ですか。」

「シャロンッ!」

トヴァルの疑問に対して不敵な笑みを浮かべて答えたレンの答えを聞いたトヴァルは目を見開き、オリヴァルト皇子は複雑そうな表情をし、静かな表情で呟いたシャロンをアリサは声を上げて睨んだ。

 

「結局今回の件の一番の原因はメンフィルとの戦争の件同様あんたって事じゃない、トヴァルっ!!」

「ガッ!?」

するとその時サラ教官は怒りの表情で自分の隣に座っていたトヴァルの胸倉を掴んだ後殴り飛ばし

「きょ、教官!?」

「大丈夫ですか、トヴァルさん!?今、傷を治療します……!」

サラ教官の行動にエリオットが驚いている中エマはトヴァルに駆け寄って治癒の魔術をかけはじめた。

「そんな奴をわざわざ治療してやる必要はないわよ、エマ!―――いえ、いっそむしろここで息の根を止めた方が―――って、離しなさい!」

「冷静になってください、サラさん!今は味方同士で争っている場合ではありません!」

一方サラ教官はトヴァルの傷を治療する事は不要である事をエマに指摘した後席を立ちあがってトヴァルに近づいて追撃しようとしたが、サラ教官の行動に気づいたクレア大尉がサラ教官を背後から抑えつけて指摘した。

 

「うふふ、クレアお姉さんも言っているように冷静になって落ち着いたら?第一わざわざサラお姉さんがトヴァルお兄さんを処罰しなくても、既に本部の人達もトヴァルお兄さんを処罰する事を決めたし。」

「え…………」

「”処罰”って………遊撃士協会の本部の人達はトヴァルさんに一体どのような処罰を下す事にしたのですか……?」

トヴァル達の様子を面白そうに見守っていたレンの指摘を聞いたトヴァルは呆け、ジョルジュは不安そうな表情でレンに訊ねた。

「『B級正遊撃士トヴァル・ランドナーはエレボニア帝国の事情を優先してユミルの領主にユミルの領主がアルフィン皇女を匿っている件をメンフィル帝国に報告する事を止める要請―――つまりは”国家権力に不干渉”を規約の一つとして掲げている遊撃士でありながら国家権力に干渉した為、結果的に今回の戦争が起こってしまった。よって規約違反並びに戦争勃発の原因に間接的に関わっていた処罰として2階級降格処分並びに内戦終結後オレド自治州にある支部―――”オレド支部”に異動』―――との事よ。ご愁傷様、トヴァルお兄さん♪」

「に、2階級降格処分に加えて”異動”って…………!」

「それ程までに遊撃士協会は今回の戦争についての責任を重く受け止めているのか………」

「というかむしろ”その程度”で済ませる方が驚き。普通に考えたら解雇(クビ)になっておかしくないし。」

「ま~、遊撃士協会は常に人手不足だからね~。そんな状況なんだから幾ら失態を犯したと言っても、さすがに高ランク正遊撃士を解雇(クビ)にする事はできなかったんだと思うよ~?」

「いい加減君達は遠回しな言い方を覚えるべきだぞ……」

レンは説明をした後小悪魔な笑みを浮かべてトヴァルに視線を向け、エリオットは信じられない表情をし、ガイウスは重々しい様子を纏って呟き、フィーの疑問を聞いたミリアムは自身の推測を口にし、マキアスは呆れた表情でフィーとミリアムに指摘した。

 

「ハハ……ある意味解雇(クビ)にされるよりも、キツイ処罰だな………内戦が終結してもメンフィルとの和解条約の件も含めてエレボニアの混乱は続く可能性が非常に高いのに、遊撃士として少しでもその混乱を鎮める為の活動すらもさせてもらえないんだからな………」

「トヴァル殿………」

「―――すまない、トヴァル君。私が君にアルフィンの護衛を依頼しなければ、君が遊撃士協会に処罰される事もなかった……」

「殿下………」

疲れた表情で肩を落とした様子のトヴァルをラウラは心配そうな表情で見つめ、トヴァルに謝罪するオリヴァルト皇子の様子をアルゼイド子爵は辛そうな表情で見守っていた。

「殿下が謝罪する必要はありませんよ。本部の言う通り、遊撃士の癖に国家間の関係を気にして、シュバルツァー男爵閣下にアルフィン皇女殿下を匿っている件をメンフィル帝国政府に報告しないように要請したそこのバカの自業自得ですから。」

「返す言葉もねえ………こんな事なら、国家間の関係なんて一切気にせずシュバルツァー男爵閣下を通じてメンフィル帝国政府にアルフィン皇女殿下の保護か亡命の受け入れを要請した方がよっぽどマシだったな………」

「―――それについてはレンも同意見ね。今回の戦争の件が無かったら遊撃士協会自身も責任を取る事も無かったもの。」

一方冷静さを取り戻して落ち着いて席についたサラ教官はオリヴァルト皇子に指摘した後トヴァルを睨みつけ、睨まれたトヴァルは疲れた表情で答えた後席に戻り、レンはトヴァルが呟いた言葉に小悪魔な笑みを浮かべて指摘した。

「ゆ、”遊撃士協会自身”も責任を取るって………」

「………遊撃士協会自身は一体どのような責任の取り方をする事にしたのでしょうか?」

レンが呟いた言葉を聞いたアリサが不安そうな表情をしている中シャロンは真剣な表情でレンに訊ねた。

 

「うふふ、遊撃士協会本部の人達はエルナンお兄さんに『僅かとはいえ、遊撃士協会の関係者が今回の戦争勃発の責任の一端を担ってしまった為、遊撃士協会は両帝国に対する責任を取る為にエレボニア帝国にまだ残存している支部を全て撤退。並びに今回の戦争でメンフィル帝国が得る事になる元エレボニア帝国の領地に新たな支部を設立し、その支部に残存しているエレボニア帝国の支部から撤退した受付や遊撃士達を配属させる』って伝えたそうよ?」

「な――――」

「何ですって!?」

「そ、それって……!」

「……メンフィルに対する”汚名返上”をする事でメンフィルとの関係の修復を重視して、エレボニアとの関係は完全に”切り捨てる”って事だね。」

レンの答えを聞いたトヴァルは絶句し、サラ教官は驚きの声を上げ、ある事を察したトワは信じられない表情をし、フィーは真剣な表情で呟いた。

「ハハ………まさか遊撃士協会がそんな思い切った決断をするなんてね…………これも遊撃士協会に圧力をかけたエレボニアの自業自得だろうね………」

「殿下………―――レン皇女殿下、エレボニアは内戦が終結してもメンフィルが要求した和解条約実行後確実に今以上の混乱に陥る事が予測されます。そしてその混乱を鎮める為には遊撃士協会の協力も必須です。アルフィン皇女殿下が貴国の英雄――――リィン・シュバルツァー殿に嫁ぐ事に免じてどうかエレボニアとの関係を切り捨てようとする遊撃士協会本部の方達の判断の撤回の為のご協力をお願いします。その”見返り”に私で応えられる事があれば、可能な限りお応えさせて頂きます。」

「父上………」

オリヴァルト皇子が疲れた表情で肩を落としている様子を心配そうな表情で見つめたアルゼイド子爵はレンを見つめて頭を下げて嘆願し、その様子をラウラは驚きの表情で見つめていた。

「うふふ、”光の剣匠”に”貸し”を作れるんだったら正直な所エレボニアと遊撃士協会の仲裁に入ってあげてもいいけど、オリビエお兄さんが言っていたように最低でも肝心のエレボニア帝国政府やエレボニア帝国の領土を治めている多くの貴族達の遊撃士協会に対する態度を改めさせないと、幾らレンが仲裁しても遊撃士協会はエレボニアと和解してくれないと思うわよ?」

「そ、それって………」

「……遊撃士協会本部がエレボニアとの関係を”切り捨てる”事に決めた原因は”殲滅天使”による交渉だけじゃなく、”鉄血宰相”や”情報局”、”貴族派”による遊撃士協会への圧力も間違いなく関係しているって事でしょうね。」

「セリーヌッ!」

「それは………」

「っ!!」

「うわっ!?と言う事は遊撃士協会はあの件についてまだ根に持っていたんだ!?」

「……そしてそのツケがよりにもよって今になって返ってきたって事だね。」

レンの指摘を聞いてある事を察したエリオットは不安そうな表情でクレア大尉やミリアムを見つめ、呆れた表情で呟いたセリーヌの言葉を聞いたエマは声を上げてセリーヌを睨み、ガイウスは複雑そうな表情をし、クレア大尉は辛そうな表情で唇を噛みしめ、ミリアムは驚き、フィーは真剣な表情で呟いた。

「ねえねえ、鉄血の子供達(アイアンブリード)の人達は今どんな気分?”鉄血宰相”による政策が全て裏目に出て、祖国が大混乱に陥る危機が訪れようとしていて、その混乱を鎮める為に必要な遊撃士協会まで祖国から追い出してしまったこの状況を知って♪」

「返す言葉もございません…………」

「む~……!オジサンのやった事が裏目に出るように仕向けた大半の原因は、メンフィル(そっち)のせいじゃないか~!」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの問いかけに対してクレア大尉は頭を項垂れさせて辛そうな表情で答え、ミリアムは頬を膨らませてレンを睨んだ。

「ま、遊撃士協会と和解したかったら最低でも遊撃士協会の上層部達に”革新派”で”鉄血宰相”に次ぐ有力人物である帝都知事とメンフィルに処刑されるカイエン公と今回の戦争で既に討ち取られたアルバレア公を除いた残りの”四大名門”の当主達が頭を下げて謝る必要があると思うわよ?」

「父さん………」

「ハハ………レーグニッツ知事なら内戦終結後のエレボニアの状況を知れば遊撃士協会の上層部達に謝罪してくれると思うが、”四大名門”の当主達に遊撃士協会の上層部達に頭を下げて謝罪するように説得するなんて、そっちの方が遊撃士協会との和解よりも難しいかもしれないね……」

レンの推測を聞いたマキアスは複雑そうな表情で父の顔を思い浮かべ、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた。

 

 

 

ついに皆さんお待ちかね(?)の閃Ⅱ篇恒例(?)のレンちゃんによる閃陣営アンチorエレボニアいじめが始まりました(ガタガタブルブル)ご存知の通りレンちゃんはルイーネやルファ姉のように論争を無双できるキャラなので、しばらくレンちゃん無双が続きます。なので、閃キャラがいじめられまくるのが嫌な人達はレンちゃん無双が終わるまで読まない方がいいかもしれません(汗)なお、今回のBGMは閃Ⅱの”Phantasmal Blaze”か、空FCorFCEVOの”虚ろなる光の封土”のどれかだと思ってください♪


 
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