No.90780

真・恋姫無双~魏・外史伝33

 こんばんわ、アンドレカンドレです。
今回は第14.5章の2日目です。最後辺りはきわどかった・・・。危うく18禁になる所だったwww。
 1日目と二日目を見てみるとあまり平穏でも無かったり
します・・・。でも、それが恋姫ワールド!頑張れ、一刀君!
 そんなわけで、真・恋姫無双~魏・外史伝~第十四・五章

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2009-08-21 02:03:14 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4826   閲覧ユーザー数:3875

第十四・五章~一刀の洛陽での平穏な三日間~

 

 

 

  2日目・・・、

  

  午前・・・、俺は自分の部屋で警備隊の過去の資料を読み漁っていた。

 約2年分の警羅報告やら何やらで、机の上だけでなく、床にも竹簡の山が出来ていた。

 俺が帰って来た時に備え、凪が一生懸命書いてくれたおかげで竹簡には細かい文字が

 びっちりと並んでおり、いつになったら全てを読み終えるのやら・・・。

  コンコンッ。

  と、そこに部屋の戸を叩く音が聞こえる。

  「北郷、いるか?」

  秋蘭の声だ。俺に何か用があるのだろうか?

  「秋蘭?鍵はかかっていないから、どうぞ。」

  俺の声を確認した秋蘭は戸を開けると、当然というか・・・目の前の光景に唖然と

 していた。

  「・・・北郷、これはまた随分と。」

  「約2年分だから。で、秋蘭は俺に何か用?」

  「うむ・・・、実は探し物を・・・な。」

  「探し物?どんなやつを探しているの?」

  「巻物だ。紙で出来た。」

  「紙で出来た巻物か・・・、それはまた随分と贅沢だなぁ。」

  この頃、紙はすでに存在していたけどそれでもまだ大量生産がなっていないから

 かなり高価な代物なはず・・・。まして巻物ならなおさらだ。

  秋蘭はその巻物についてさらに詳細を教えてくれた。

 何でも、その巻物は以前、五胡が襲撃して来た際に向こうが落としていったものだ

 そうだ。中身は改めたけど、そこに書かれていた文字がどうも特殊で漢文とはまた

 違う文法が使われていたようで、秋蘭では読めなかったらしい・・・。

  「桂花にも見せたのだが、あやつもさっぱしだそうだ・・・。」

  「桂花でも読めないって・・・、一体何だよそれ?・・・じゃあ、秋蘭がここに

  来たのって?」

  「ここでお前が警備隊の資料を読み漁っていると聞いたのでな。もしやその中に

  混ざり込んでいるのかと思ってな。」

  確かにこれだけの量なら、そういうものが混ざっていてもおかしくは無いだろうけど

 ・・・。ここからそれを探すのは楽じゃなさそうだな。

  「そうか・・・。ちなみに、巻物を失くしたのはいつなんだ?」

  「巻物が無いのに気付いたのは一昨日の夜だ。」

  「一昨日って・・・、洛陽が連中に襲われていた時じゃないか!」

  「ああ、そうだ。その前の日までは確かに私の執務室で保管していたのだが・・・。」

  五胡の謎の巻物が、謎の武装集団の襲撃があった日に紛失する。春蘭ならともかく

 秋蘭がそんな間抜けな事をするとは思えないが・・・。単なる偶然なのか、それ?

  「華琳はその事を・・・。」

  「華琳様にはまだ巻物の事は報告していない。知っているのは私と桂花・・・、

  それとお前だけだ。本当なら、お前にも見せたかったのだが・・・。」

  「桂花でも読めない様な物を俺が読める訳が無いと思うんだが・・・。」

  「天の国からやって来たお前ならもしかしたら、と思ったのだが・・・な。」

  「過大評価だよ、それ。言語系は得意じゃないんだぜ、俺。まぁ、肝心の巻物が

  無いんじゃ元も子もないけど・・・ん?」

  俺はふと、戸の方を見る。  

  「どうした?」

  「ん、いや何でもない。・・・。」

  一瞬、妙な気配を感じたんだけど・・・、秋蘭が気付いていないのだから、

 まぁ俺の気のせいだろう。

  「でも事情はよく分かったよ。もしそれを見つけたらすぐ教えるよ。」

  「うむ、そうしてくれると助かる。」

  と秋蘭と一通り話が終わったと思った時だった。

  「北郷!北郷はいるか!」

  俺の部屋の戸を乱暴に叩きながら、俺が居るか確認する春蘭の声が戸越し

 に聞こえてきた。

  「春蘭!聞こえているよ!鍵掛かっていないから!」

  と俺が言うと先に、春蘭が戸を力一杯に開ける。その勢いよく開けられた戸の

 衝撃で近くに積まれていた竹簡の山の頂上から竹簡1個が山から転がり落ちた。

  「おお、何だ。秋蘭もいたのか?お前も北郷に・・・。」

  秋蘭に気が付いた春蘭はそのまま俺達の方に歩みよろうとする。しかし、

 その進行方向には先程の竹簡1個が・・・。そして春蘭はそれに気が付く事も無く、

 竹簡の上に右足を・・・。

  「春蘭!足もとに気をつけ・・・!!」

  忠告しようとしたが既に手遅れであった・・・。

  「う、うわわわああああーーー!?!?」

  春蘭の右足は踏みつけた竹簡に体のバランスを奪われ、そのまま竹簡の山に向かって

 勢いよく倒れてしまった。

  ドガァァアアンッ!!!

  竹簡の山は崩れ去り、春蘭は大量の竹簡の下敷きとなってしまった。

  

  「いたたた・・・。」

  今だに頬と口の中がひりひりと痛む。

  「大丈夫か、北郷?」

  そんな俺の身を案じてくれる秋蘭。

  「・・・姉者ももう少し加減すればいいものを。」

  秋蘭はそのまま隣の春蘭に視線を移す。春蘭はばつが悪そうな顔をしていた。

  「だ、だから悪かったと言っておろうに・・・。」

  春蘭は顔を赤らめながら、俺から視線を逸らしながら俺に謝罪した。

  

  数分ほど前、俺は自分の部屋で春蘭に顔を殴られた・・・、しかもグーで。

 竹簡の山に埋もれてしまった春蘭を見兼ねた俺は彼女の傍に駆け寄り、手を貸そう

 としたら、問答無用でいきなり・・・。

  「貴様ぁ、秋蘭の前で私にこんな恥し目を・・・!!私に何か恨みでもあると言うか!!」

  顔赤面涙目にして怒鳴り散らしてきた・・・、でも別に俺のせいではないだろうに。

 とばっちりもいい所だ、理不尽だ!・・・そういう所が春蘭らしいと言えばらしいが。

 

  俺は痛む頬に冷水で冷やした手拭いを当てながら、自分の椅子に座り肘を机に乗せていた。

 頬の皮膚に冷えた手拭の感触がじんわりと染み込んでくる。ちなみに部屋の中は春蘭が暴れた

 せいで綺麗に積まれていた竹簡の山達が崩れ、床に散らばっていた。それ見て、溜息を一つ。

  「まぁ、いいよ・・・。そっちの誤解も解けたようだし、それより俺に何の用だ?」

  俺は完全に脱線してしまった話を戻す。春蘭がここに来たのは俺に用があっての事だ。

  「う・・・うむ~、限定の菓子を買うのを手伝ってもらおうと、だな。」

  「また限定の菓子か・・・。」

  ぼそっと、呟く。

  「何か言ったか?」

  「いや別に。」

  「だが姉者、限定の菓子は明日買いに行くのではなかったのか?」

  そこに秋蘭が割って入って来る。

  「ああ、だが撫子がな・・・。急に予定が変更になって明日に帰ってしまうのだそうだ。」

  「・・・それはまた、ずいぶんと急だな。」

  「撫子・・・って、確か曹洪の事・・・だよな?」

  俺は二人の会話に割って入って撫子という人物について確認する。

  「北郷は確か一昨日の夜の宴会で一回顔合わせをしていたな。」

  「うん、言葉通り顔合わせ程度だったけど・・・。」

  その時の彼女の第一印象は、物静かなおっとりとしたお姉さんタイプ。保健室の先生

 にいそうな・・・。魏の皆とはまた別の雰囲気を醸し出していたなぁ~と受け止めていた。

  曹洪こと撫子についての詳細は後で紹介するとしてここでは省くとしよう・・・。

  「彼女・・・、何処かに行くのか?」

  「奴はお前と違って多忙の身だからな。止む得ん事だ。」

  「ちょっと待ってくれよ!それじゃまるで俺が何もしていないプー太郎

  って言っているのか!?」

  「実際そうであろうが!」

  「ひどっ!!」

  言い切ったよ、この人。確かにそうだけど、そんな直球ストレートで言う事は

 無いでしょうに・・・!

  「朝廷とこの国の橋渡しをしながら、国中を歩いて回っているかならな・・・。」

  「そうだ。だから北郷!早く支度しろ!限定の菓子が無くなってしまうだろう!」

  と言って、春蘭は俺を急かしてくる。

  「まぁ待て、姉者。北郷は見ての通り怪我を負った身、北郷に代わって私が付いて

  行くさ。」

  「う、うぅむ~・・・。そ、そうか?秋蘭がそう言うなら・・・。」

  結論に至るまで妙な間があったが、渋々という感じで秋蘭の提案に乗ろうとする春蘭。

 その時、秋蘭が春蘭に気付かれない程度に俺に視線を配って来た。俺の怪我を心配しての

 目配せでは無く、何かを期待する目だった。彼女は俺に何を期待していのだ?俺は春蘭の

 方に目をやる。時折春蘭の視線と俺の視線が重なるが、すぐにそらし、また重ねてくる春蘭。

 い、いかん!このままでは俺は・・・根拠は無いが、何か空気が読めない男になってしまう、

 そんな気がしてならない!そもそも春蘭は俺を誘いに来たんだ、秋蘭ではなくて。

 だから・・・、多分そうなんだろうな、きっと。

  「・・・待ってくれ、秋蘭。俺が行くよ。」

  「ふえ?北郷・・・?」

  俺の突然の言葉にポカンとする春蘭。

  「いいのか?しかし、その頬はまだ痛むのではないか?」

  「もう痛みは引いたから、問題無い。俺も少し気分転換したかったしな。」

  本当はまだ痛かったけど・・・、そこは顔に出さず。

  「そうか・・・、なら姉者の事を頼むぞ、北郷。」

  「よ、よしそれなら北郷!早く支度しろ!」

  途端に嬉しそうな顔をする春蘭。俺は秋蘭の方に視線を配る。

  「ふふっ・・・。」

  その表情から思うに、どうやら俺の選択は正しかったようで・・・。

 俺は財布を尻ポケットに入れて、春蘭と共に街へと行った。

 俺が部屋を出て行く時、秋蘭が少し寂しそうな顔をしていたような気がした・・・。

  

  街のとある一角・・・、比較的被害が無かった地区の通り。

 そこに一列の長い行列が出来ていた。その列の中腹に俺と春蘭は並んでいた・・・。

  「所で春蘭・・・、今日の限定の菓子ってどんなのなんだ?」

  並んでいる間、暇な訳で・・・俺は春蘭に菓子について聞いてみた。

  「うむ、確か・・・卵で作ったぷるんとした変わった生地の上に黒い蜜をかけた

  全く新しい菓子でなぁ。」

  ・・・プリンみたいな感じの奴か?この時代にしては中々に高度そうな菓子だな。

  「しかも、驚くのはまだ早いぞ。何せその菓子を作ったのはあの流琉なのだぞ!」

  そう言って、春蘭はまるで自分の事の様にえっへんと胸を張って自慢する。

  「へー、あの流琉が監修したお菓子なのか。」

  料理上手だからな、流琉のやつ。とうとう自分の料理を店に並べるようになったか。

  ん、待てよ・・・?流琉が作った菓子だって言うのなら・・・。

  「なぁ、春蘭。」

  「何だ、北郷?」

  「その菓子・・・、流琉に頼んで作ってもらうってわけにはいかなかったのか?」

  「・・・・・・・・・。」

  「・・・・・・・・・。」

  「・・・ふぇ?」

  しばらくの間をおいて、目を丸くする春蘭。ああ、これはきっとそこまで考えて

 いなかったようだな。

  「考えていなかったのか・・・?」

  「な、なななっ!何を言うか!?私は・・・えっと、その・・・ああ、そうだ!

  流琉は今、忙しいからな!私一人のわがままで困らせる訳にはいかんからな!」

  何か取ってつけたような言葉を最もらしく聞こえる様に並べているけど・・・。

 まぁ、確かに今日だって季衣と流琉は街の復旧作業の炊き出しに出ているからな。

 春蘭の言っている事もあながち間違ってはいないけどな・・・。

  「そうか、春蘭もちゃんと考えているんだな。すごいすごい。」

  「何だか、小馬鹿されているような感じがするが・・・。」

  「気のせい、気のせい。」

  ぷぷっと笑いそうになる所を堪えて話を逸らす。

  「まぁ、そんな事はいい。・・・北郷。」

  と、春蘭は態度を改める。すると今度は照れ臭そうにもじもじする。

  「え、えぇっと・・・だな。その・・・、色々とごたごたしておったからな。

  言うのを忘れていたのだが・・・。」

  「う、うん・・・。何だ・・?」

  「その・・・だな。あの時、秋蘭を助けてくれただろ?」

  ああ・・・、あの時の事か。今思い出しても随分と無茶な事をしたもんだと

 自分でも思っている・・・。何せあの時は無我夢中だったからな。

  最もあれだって、あの力が働いてくれたおかげなんだが・・・、今だにあれが

 何なのか、さっぱしだ。皆、俺を気遣ってか、どうでもいいのか、その事については

 あまり追及してこない・・・。前に一回、華琳に個人的に追及されたけど・・・。

 春蘭が言いたい事はそっちでは無いようだ。

  「実の所・・・、もう駄目だと思った。秋蘭は死ぬんだ、私の目の前で・・・

  そう思うとすごく、悔しくて・・・。」

  春蘭の肩が震えていた・・・。あの時の気持ちがぶり返しているのだろうか。

  「立つことすらできない自分が・・・、何もできない自分が歯がゆくて・・・。」

  「春蘭・・・。」

  「だが・・・、お前は来てくれた。秋蘭をまた助けてくれた・・・!お前が

  いたからこそ・・・、秋蘭は死なずに済んだ。」

  まぁ、その後問答無用で斬りつけられたわけだが・・・。それは俺の心の中に

 とどめておこう。

  「だから・・・、えっと、その・・・。あ、ありがとう、北郷。秋蘭を助けてくれて。」

  「お、応・・・・・・。」

  いや、そんな面等向かって言われると、物凄い照れるんだけど・・・。周りの人達は

 一体どんな風に見えているのだろう、俺達のやり取り。俺と春蘭は照れ臭さに互いに

 視線を逸らした・・・。

  「・・・?」

  逸らした俺の視線があるものを捉える。が、通り過ぎる人達に紛れて良く見えない・・・。

  「お、列が動いたぞ、北郷!」

  目を凝らしてよく見る・・・。そこまでこだわる理由は無いはずなのに、俺はしていた。

  「ん、どうしたのだ。北郷?」

  そして行列の横を通り過ぎる人々の合間から見えたそれに、俺は全身に衝撃が走った。

  「北郷!北郷!聞いているのか!」

  「えっ・・・!?な、何!?」

  耳元で大声を出され、驚いて視線を春蘭に戻す。

  「何!?では無い!どうした、ぼんやりとしおって・・・!」

  「別にぼんやりとは・・・。」

  俺は再びその白装束を人ごみの中で探すが、すでに姿は無かった。

  「気のせい・・・だったのか?」

  「何をごちゃごちゃと言っておるのだ?ほら、北郷行くぞ!」

  そう言って、俺の腕をぐいぐいと引っ張る春蘭。まぁいいか・・・、今は買い物に

 集中しよう。

  それから30分くらい過ぎて、ようやくお目当ての菓子を手に入れた。想像していた

 よりもプリンらしくて、正直これを作った流琉の腕に感服してしまった。

  「良し!では今度は華琳様の服を・・・!」

  それで今度はいきなり華琳の服(と言っても実際は、等身大華琳様人形用の・・・)

 を買いに行くぞ、なんて言い出すから困ったものだ。菓子はどうするんだと聞いたら

 少し考えた後で、城に一旦帰ってまた買いに行くという事に・・・。前にあったよな、

 こんな展開?

  その後、秋蘭も一緒に3人で夜遅くまで買い物をする事となった。

 俺はすっかり白装束の事を忘れていた・・・。

 

 

 別談・・・1日目の夜。

 

  それは・・・、夜遅くの事だ。俺の部屋に一人の侍女がやって来た。

 華琳が呼んでいるのと聞いたから、急いで華琳の部屋の前にやって来た。

 ここに来るまでの間、俺が少しばかし桃色な妄想をしていたのはここでは省かせて頂こう。

  俺は戸を叩く。

  「華琳、俺だけど・・・。」

  「一刀、入ってきなさい。」

  「失礼します・・・。」

  そう言いながら俺は戸を開けた。

 部屋の中には華琳一人だけだった。

 寝る前だったのか、両側の髪留めは外され、特徴的なクルクル(いわゆるツインドリル)

 はとかされ、髪はストレートに伸ばされていた。ちょっと大人びた雰囲気になって

 思わずどきっとしてしまった。

  「・・・どうしたの、一刀?早くこちらに来なさい。」

  と言って、華琳は手を俺をこっちに来るよう誘う。はっと我に返った俺は急いで華琳の

 前の椅子に座る。いつもと違う雰囲気の華琳を前にしてどぎまぎしている俺。

  「で、でさ・・・、こんな時間に俺呼んでどうかした?」

  俺は誤魔化すように華琳に要件を聞く。

  「ええ、寝る前にあなたに聞いておこうと思って・・・。」

  「聞くって、何を・・・?」

  どうやら真面目な方の用だったようだ。べ、別に残念なんて思っていないからな!

  「陳留・洛陽で見せたあの常人の域を超えた身体能力・・・。私が知る北郷一刀は

  そんな能力を持っていたという記憶は一切無いわ。」

  「・・・・・・。」

  華琳が言おうとしている事が分かった俺は顔を引き締める。

 当然と言えば、当然の反応だろう・・・。チート級の動きを見せられれば、誰だって

 そう思うさ。

  「一刀、それは・・・天の国の技術か何かなのかしら?」

  「少なくとも・・・、それは違う。俺がもといた世界に戻ってからこの世界に戻って

  来た時にはあんな力は俺には無かった・・・。」

  「・・・なら、あの力はいつ身につけたの?」

  「良く分からない・・・。ただ、呉の建業で保護されて、その後にはすでに。」

  「その後・・・、あの建業での暴動事件の事ね?確かあなたが解決したって

  ・・・聞いているわ。」

  「う~ん・・・まぁ、暴れていた奴を倒したっていうのなら。ただその時の記憶って

  結構あいまいなんだ・・・。気が付いたら、何故か魏の青州の海岸沿いの所にいたし。」

  「じゃあ、あなたは青州から洛陽まで歩いて来たっていうの?それにしては随分と

  時間がかかり過ぎではないかしら?」

  「色々とあったからなぁ、色々と・・・。山だ森だと道に迷って、熊の家族に

  襲われたり、他人の面倒事に巻き込まれたりって・・・露仁と。」

  半笑い気味にその道中の事を思い返していると、気付いた時には露仁の名前を口にした。

 俺は思わず口を止めてしまった。

  「露仁・・・?」

  聞きなれない名前を聞いて華琳は聞いてきた。

  「え・・・っと、露仁て言うのは青州で俺があった武器商人のお爺さんの名前。」

  「そう・・・、つまりその露仁という御老人と一緒に商売の手伝いがてらに洛陽に

  向かっていたの・・・。その途中でもその力は・・・?」

  「・・・2回くらい、使ったと思う。」

  「では、その露仁殿には大変を迷惑を二回もかけたと言う事になるわね?

  一刀、その方は今何処にいるの?陳留では見かけなかったけど・・・。」

  「・・・死んだよ。」

  「えっ・・・?」

  突然、低い声で喋ったせいか、死という単語を耳にしたせいか、華琳は言葉を失くした。

  「旅の途中で・・・さ、何の目的かは知らないけど・・・、俺の命を狙って来た奴が

  いてさ。そいつに・・・。」

  ふとあの時の露仁と伏義の光景が鮮明に呼び起される。ボロボロとなった露仁が大量の

 血を吐きだしなら崩れ去る姿、そしてそれを楽しそうににやにやと笑っている伏義の姿。

 ふつふつと腹の底から湧き出してくる何かが俺の頭を支配する。そして、奴の笑顔が何度

 も・・・何度も、何度も脳裏で再生される。

  「一刀・・・?」

  「・・・伏義ッ!!!」

  「一刀!」

  「・・・ッ!!!」

  華琳の声に、はっと我に返る俺。目の前には、心配そうに俺を見ている華琳の顔が

 あった。気が付くと、全身が汗でびっしょりとなって、掌は爪の跡が血がにじむ程に

 残っていた・・・。

  「大丈夫、一刀?」

  「・・・うん、助かったよ。」

  「何の話?」

  「多分、華琳の声が無かったら・・・きっと力が暴走する所だった。」

  「そう・・・良かった。そんな事をされたら、城が大変な事になってしまうものね。」

  「春蘭達も・・・傷つけていたかも。」

  「そんな事になったら、あなたの首が飛ぶわね。」

  「・・・全くで。」

  そして、二人でくすくすと笑う。そして華琳は再び椅子へと座り直すと・・・。

  「つまりあなたは・・・、その力を良く分かりもせず、使いこなせている訳でもなく

  使っている、そう言う事?」

  「はい・・・、情けない事に。でも・・・。」

  「でも・・・?」

  「それも心次第・・・なんだと思う。」

  「心次第・・・ねぇ。ひどく抽象的な言葉だ事・・・。心一つでどうにかなるもの

  なのかしら?」

  「うん。それは間違いないと思う・・・、だからの俺の心次第。」

  そう言って、俺は自分の胸に手を当てる。

  「ふふふ・・・。」

  「か、華琳・・・?」

  「あっははははははははははは・・・っ!!」

  急に笑い出す華琳・・・。そんなに変な事を言ったつもりは無いんだけどなぁ。

  「な、何も笑う事は無いだろう!」

  「ふふふ・・・、ごめんなさい。柄にもなく格好付けているからつい・・・。」

  そしてまた笑い出す華琳・・・。

  「悪かったなぁ~、柄にもない事を言って・・・!」

  不意打ちに突然、華琳が俺の唇を奪う。そして数秒間・・・。

 物足りない感じを残しながら、華琳の唇が糸を引きながら離れていく。

  「でも・・・、そんなあなたも嫌いでは無いわ・・・。」

  「か、華琳・・・。」

  妖艶な笑みをこぼしながら、華琳は文字通り、上から目線で俺に囁くように言った。

 そして俺の上に覆いかぶさるような体勢をとると、今度は着ていた服をはだけさせていく。

  「久し振りなのだから・・・、今宵は存分に楽しませて頂戴な・・・。」

  「・・・勿論。」

  その後、朝まで俺は華琳の部屋で過ごした・・・。

 その間に何があったかは・・・、そちらの想像にお任せしよう!!


 
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