No.901560

英雄伝説~光と闇の軌跡~エレボニアカオスルート

soranoさん

第25話

2017-04-16 22:47:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2410   閲覧ユーザー数:1997

~モルテニア・ブリーフィングルーム~

 

「二人とも軍人ではないにも関わらずをバリアハート制圧作戦ではリィンとステラを良く補佐しつつ、”想定外の相手”である”有角の若獅子達”とその協力者達を撃退し、更にはパンダグリュエル制圧作戦では”帝国解放戦線”の幹部の一人である”S”をよくぞ討ち取った。……自慢の愛弟子と妹の活躍にお前達もさぞ、鼻が高いだろう?」

「……恐れ入ります。短い間に随分成長したね、セレーネ………」

「ツーヤお姉様………ふふ、今のわたくしがいるのもツーヤお姉様のお陰でもありますわ。」

「フフッ、さすがかつて”姫将軍”と呼ばれていたエクリアお姉様自ら指導しただけあって、僅かな期間でとても有能な女性へと成長しましたね。」

「ふふっ、まさか将来はその娘を自分の後継者――――”姫将軍”として育てるつもりなのかしら?」

リウイの賛辞の言葉に対してツーヤは会釈して答えた後セレーネに微笑み、ツーヤの賛辞の言葉に対して驚いていたセレーネはツーヤに微笑みで返し、イリーナは微笑みながらエリゼを見つめ、ファーミシルスは興味ありげな表情でエクリアに視線を向けて問いかけた。

「お二人ともお願いしますから、私をその二つ名で呼ばないでください………おめでとう、エリゼ。貴女を指導した身として、とても誇らしいわ。」

一方視線を向けられたエクリアは疲れた表情で溜息を吐いた後気を取り直してエリゼに称賛の言葉をかけた。

「今こうして陛下達から称賛の言葉を頂けたのも、エクリア様のご指導の賜物。これからもどうか、ご指導よろしくお願いします、エクリア様。」

「ええ、これからもお互いによろしくね、エリゼ。」

「うふふ、エリゼお姉さんがエクリアお姉さんの教えによって有能になればなる程、ますますエリゼお姉さんに”あらゆる意味”で頭が上がらなくなるわね、リフィアお姉様♪」

「ぬぐっ…………」

エクリアとエリゼが互いに微笑みあっている中、からかいの表情のレンに見つめられたリフィアは疲れた表情で唸り声をあげた。

 

「フッ………―――二人がそれぞれ望む褒美はなんだ?」

仲間達の様子を見て静かな笑みを浮かべたリウイは気を取り直して二人に問いかけた。

「「………………」」

リウイの問いかけに対してエリゼはセレーネと視線を交わして頷いた後リウイを見つめて意外な答えを口にした。

「恐れながら陛下、私達の褒美は兄様に回してください。」

「へ………」

エリゼの答えを聞いたリィンは呆け

「わたくしはリィンお兄様を支える”パートナードラゴン”として……エリゼお姉様はお兄様を支える妹して、それぞれお兄様を支えて来ました。そしてそれはこれからも変わりません。ですからどうかわたくし達への褒美はお兄様に回してください。」

「エリゼ……セレーネ………」

セレーネの説明を聞いたリィンは驚いた。

「うふふ、正しくはリィンお兄さんのハーレムの一員としてじゃないのかしら♪」

そしてからかいの表情で呟いたレンの問いかけにその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力し

「こんな時に茶化すのは止めなさい、レン。」

「フフッ、ですがレン皇女殿下が仰っている事もあながち間違ってもいませんわね。」

「それにここまで献身的な女性も滅多にいないだろうな。」

我に返ったプリネは呆れた表情でレンに指摘し、シグルーンとゼルギウスはそれぞれ苦笑していた。

 

「ふ~む……しかし幾ら本人たちの希望とはいえ、手柄をたてた者達に何の褒美も無しと言う訳にはいくまい。」

「常識で考えれば”昇格”が妥当ですが……セレーネはともかく、エリゼさんに関しては既に侍女の中では最高位の地位である専属侍女長ですから、”昇格”のしようがありませんものね。」

考え込みながら呟いたリフィアの意見に続くようにプリネは困った表情で答えた。

「……あの。二人への褒美について私に提案があるのですが、皆様さえよろしければお答えさせて頂きますが……」

「エクリアお姉様?」

「――――構わん。お前の案を聞かせてくれ。」

その時エクリアが申し出、エクリアの申し出を聞いたイリーナが不思議そうな表情で首を傾げている中リウイはエクリアに内容を話すように促した。

「かしこまりました。まずエリゼについてですが………彼女自身に爵位を与え、将来シュバルツァー家の”分家”を作る礎を築き上げさせてはどうでしょうか?」

「え…………」

「シュバルツァー家の”分家”を……?――――!うふふ、なるほどね。シュバルツァー家の将来を考えれば、分家は幾らあっても困らないものね。」

エクリアの提案を聞いたエリゼが呆けている中少しの間考えて既に察しがついたレンは意味ありげな笑みを浮かべてリィンとエリゼを見つめて呟いた。

 

「”シュバルツァー家の将来”………?あの、それは一体どういう事なのでしょうか?」

レンが呟いたある言葉が気になったリィンはリウイ達を見つめて訊ねた。

「うふふ、リィンお兄さん達にあの件を教えてあげてもいいかしら、パパ?」

「……別に構わんだろう。どうせリィンへの表彰の時に答える話なのだからそれが少し早くなっただけの上エリゼ自身の耳にも入っている話だ。」

レンに問いかけられたリウイは静かな表情で答え、リウイの許可を聞いたレンはリィンとエリゼを見つめてある事を答えた。

「パパの許可もとれたし、シュバルツァー家の将来を教えてあげるわね。まずシュバルツァー家は”男爵”から”公爵”へと昇格させることを決定しているわ。」

「ええっ!?い、一体どうしてそんな事に……!?」

「あら、リィンお兄さんが魔神―――それも”七大罪”の一柱に精霊王女、果ては古神と契約した事でメンフィルは協力関係を結ぶ事が非常に困難な存在と協力関係を結べた上、エリゼお姉さんは次代のメンフィル皇帝であるリフィアお姉様の専属侍女長兼お目付け役という大役をこなしているのだから、そんな優秀な人材を送り出してくれた”シュバルツァー家”を昇格させて当然でしょう?」

「―――加えて先日のバリアハート制圧作戦での活躍もありましたから、それがシュバルツァー家を”公爵”へと昇格させる決定打になったそうです。」

驚愕の事実に驚いているリィンにレンとプリネはそれぞれ説明し

「………………」

「フフ、おめでとうございます、リィンさん。」

「ハハ、お前達の同期の中での一番の出世頭は訓練兵からいきなりリフィア殿下の親衛隊に配属されたステラだったが、その記録を遥かに塗り替えたじゃねぇか、リィン。」

二人の説明を聞いたリィンが口をパクパクしている中、ステラとフォルデはそれぞれリィンを祝福した。

 

「えっと……リウイ陛下の口ぶりからするとエリゼお姉様は既にご存知だったようですが……何故今までお兄様にその件を教えなかったのですか?」

「……兄様にはこの戦争を終わらせる事に集中して欲しかったから、その集中を乱すような情報は教えない方がいいと思って、黙っていたのよ。――――陛下、私達”シュバルツァー家”の昇格の件はリフィアを通して私の耳にも入っておりましたが確か”男爵”から”侯爵”だったと聞いているのですが……?」

セレーネの疑問に疲れた表情で答えたエリゼは気を取り直してリウイに問いかけた。

「バリアハート制圧作戦での活躍で”公爵”に昇格する事をシルヴァンが決めたとの事だ。―――なお、公爵家となったシュバルツァー家には今回の戦争で得る事になる元エレボニアの領土――――クロイツェン州の統括領主を任命するとの事だ。」

「ちなみに現シュバルツァー家の当主であるリィンお兄さんとエリゼお姉さんのパパ―――テオ・シュバルツァー男爵にその話をした際、シュバルツァー家の昇格はリィンお兄さん達自身の手で掴んだものだからシュバルツァー家の昇格はリィンお兄さんがシュバルツァー家の跡を継いだ時にして、自分は男爵のままでいいと言う希望があったからリィンお兄さんがシュバルツァー家の跡を継いだ時に正式にシュバルツァー家が”公爵”に昇格する事になっているわ。」

「勿論今までユミルの領主であったシュバルツァー家が突然広大なクロイツェン州の統括領主を務めるなんて無理がありますから、臨時統括領主を務めてる事になっている私やレン達の元で”統括領主”として色々学んでもらう事になっていますから、その点に関しては安心してください。」

「……メンフィル帝国の寛大なお心遣いに心から感謝致します。ですが確かメンフィル帝国の”公爵家”は皇家である”マーシルン家”の分家の方達のみと記憶していますが……」

リウイとレン、プリネの説明を聞いたエリゼは会釈をした後戸惑いの表情でリウイ達を見つめた。

「別にメンフィル帝国の”公爵家”は”マーシルン家”の分家でなければならないという決まりはないのですが………偶然にもリィンさんの婚約者の中で遠縁とはいえ、メンフィル皇家の一員であるセレーネさんがいらっしゃるのですから、結果的にはシュバルツァー家はマーシルン家と縁を結ぶ事になりますよ。」

「と言うかリィンお兄さんは妾の娘とはいえ、元メルキア皇女に魔神、精霊王女どころか、女神まで娶るのだから、常識で考えればそんな存在と比べたらメンフィル帝国の公爵家の条件の云々なんてどうでもいいでしょう♪」

「そ、それは………」

(フッ、これでアルフィン皇女まで娶る事になったと知れば、更に狼狽える事になるだろうな。)

「ハア………―――エクリア様、私に爵位を与える事でシュバルツァー家の分家を作る礎を築き上げさせる事とどう関係するのでしょうか?」

苦笑しながら呟いたイリーナの答えに続くようにからかいの表情で答えたレンに見つめられたリィンは表情を引き攣らせ、リィンの様子をレーヴェは静かな笑みを浮かべて見つめ、エリゼは疲れた表情で溜息を吐いた後気を取り直してエクリアに問いかけた。

 

「………貴女がシュバルツァー家の分家の当主となる子を産めば、シュバルツァー家の陣容を厚くして、急速に大規模化したシュバルツァー家を安定化させる事ができるでしょう?」

「あ………」

「ですがその場合、リィンさんの正妻になる予定のエリゼさんの子供が”シュバルツァー公爵家”の当主になれないという問題が浮上してしまいますが……」

エクリアの答えを聞いたリィンが呆けている中、ある事に気づいたイリーナが複雑そうな表情でエクリアに指摘した。

「二人の長男か長女を”本家”である”シュバルツァー公爵家”の当主にして、その後に産まれてくる子供達かセレーネさんを含めたリィンさんの他の奥方達が産む子供達を養子にすればいいし、そもそもエリゼのリィンさんへの想いの強さを考えれば二人の子供が一人だけなんて、まずありえないと私は思っているわ。」

「フフ、言われてみればそうですわね。」

「そう言えばリィンへの想いの強さのあまり、ベルフェゴール殿との契約を知った際ペテレーネ神官長の御力を借りた”強硬手段”を取ってまで結ばれたと殿下も仰っていたな。」

「ア、アハハ……そんな事もありましたね。」

「………一体いつ、私の許可も取らずに私のプライベートをゼルギウス様達に教えたのかしら、リフィア?」

ツーヤの指摘に対するエクリアの答えを聞いたシグルーンは微笑みながらエリゼを見つめ、ゼルギウスは苦笑し、ゼルギウスの言葉を聞いてかつてエリゼに頼まれて媚薬や痺れ薬を調合した事を思い出したペテレーネが苦笑している中エリゼは膨大な威圧を纏ってリフィアに微笑み

「ぬおっ!?エ、エリゼよ。滅多にない表彰の機会なのだから、そんな些細な事を気にするでない。」

エリゼに微笑まれたリフィアはのけ反った後顔色を若干悪くしながら指摘し

「それもそうね。だから、その件については後でじっくりと追及させてもらうわ。」

「………………」

エリゼの答えを聞くと表情を青褪めさせて身体を震わせていた。

 

「ア、アハハ……それでエクリアさん。セレーネへの褒美はどんな内容なのですか?」

リフィア達の様子を苦笑しながら見守っていたツーヤは気を取り直してエクリアに問いかけた。

「セレーネさんへの褒美もエリゼ同様、彼女にも爵位を与える事です。そうすれば、将来”シュバルツァー公爵家”の当主となるリィンさんの”パートナードラゴン”としてリィンさんを補佐をする彼女に”箔”をつけてあげさせる事でクロイツェン州の貴族達の煩わしい意見を一蹴させる事が可能な上、エリゼ同様将来リィンさんと結ばれる彼女の子供をシュバルツァー家の分家の当主にする事ができる事によってシュバルツァー家の陣容をさらに厚くできますし、それに………彼女とツーヤさんの世界では彼女達―――”アルフヘイム家”は本来は皇族なのですから、私達の世界でも”アルフヘイム家”は皇族程ではありませんが特権階級を持つ一族となります。」

「あ………」

「……わざわざあたし達”アルフヘイム家”の事を考えて提案して頂き、本当にありがとうございます。」

エクリアの説明を聞いたセレーネが呆けている中、ツーヤは静かな表情でエクリアを見つめて会釈した。

「……確かにその案ならば、シュバルツァー家にとっても我等メンフィルにとっても”益”になる話だな。―――エクリアの案に反対がある者や他に案がある者はいるか?」

「………………」

一方納得した様子で頷いたリウイはイリーナ達を見回して確認し、リウイの確認の言葉に対して反論や他の案がない事を示すかのように誰も答えなかった。

「反対や他の案もないようだし、二人への褒美はエクリアの案とする。また、二人の希望通り、リィン・シュバルツァーが望む褒美を合計3個とする。」

「「はい!メンフィル帝国の寛大なお心遣いに心から感謝致します。」」

リウイの言葉に会釈をして答えた二人はリィン達の後ろへと下がった。

「最後にリィン・シュバルツァー。」

「ハッ!」

そしてリウイに名前を呼ばれたリィンは返事をした後リウイ達の前に出て跪いた。

 


 
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