「いや、ちょっと妙な光景ですな」
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マイ「艦これ」「みほちん」
:37話(改1.5)<将校上陸>
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美保鎮守府の南埠頭。視界は回復してきたが未だに硝煙の香りが漂っている。
戦闘の余韻が残る中、多くの美保の艦娘たちが整列していた。呉と神戸の作戦参謀も彼女たちの前に立つ。そして最前列には私と秘書艦である祥高さん。
二式大挺は大山を横切るようにして、ゆっくりと美保湾に着水した。同時に美保湾の蒼い水面(みなも)は左右に白く大きな壁を開いて舞い上がる。初夏の太陽を受けた水しぶきがキラキラと反射している。
『着水完了』
大挺の操縦士だろうか。艦娘の誰かの受信機から音声が聞こえてくる。
「どんな人が来たかなあ」
これは島風。
情報局の作戦参謀(将校)と舞鶴の作戦参謀が乗っているはずだ。
「ちょっと気難しいって言う噂ですよ」
これは青葉だ。さすが情報通。
水蒸気が舞う中で二式大挺は片翼のエンジンを軽く逆回転させ先端を埠頭側に向けた。再び両翼のエンジンを響かせながら機体が海面を滑るようにして徐々に近づく。艦娘たちが見守る中で機体は鎮守府の埠頭へと接岸する。
「ほいさ、ほいさ」
妙な掛け声をかけながら利根たち重巡姉妹がタラップを持ってきて機体に接続。埠頭の艦娘たちは興味津々と言った表情だ。それは我々も同じだが。
きっと中の乗員たちも同じ気持ちで小窓から見ていることだろう。鎮守府に艦娘、つまり女子ばかり並んでいる光景は、この戦時下には異様だ。
その雰囲気を察したのか呉が言う。
「いや、ちょっと妙な光景ですな」
「ははは」
神戸も乾燥した笑いを浮かべた。
二人とも艦娘がいる鎮守府から来ているとはいえ、どちらも通常の艦隊と併用されている。美保のような艦娘だけで、しかも小さな鎮守府は初めてだろう。
もっとも艦娘と共に、しばらく深海棲艦と闘い続けると、その違和感も麻痺していく。
それが果たして良いのか悪いのか? 未だ私自身、結論は出ていないが。
接岸後の二式大挺は徐々に発動機の回転数を落とす。開いた扉から軍令部の作戦参謀が現れた。
『ホウ』
そんな声があちこちから上がった。
やや長身で細面。噂以上に若い、まさに青年将校だ。黒髪に銀縁メガネで頭髪を油で固めている。パッと見て神経質だ。直ぐに艦娘たちからヒソヒソ話。
『おいこら、止めろ』
私は心の中で慌てた。相手は軍令部の将校だぞ。冷や汗が出そうだ。
「オホン、ゴホン」
ワザとらしく咳払いしてみる。
そんな私を尻目に青年将校は埠頭に降り立った。彼は艦娘たちをチラッと見た後、直ぐに私の元へ近寄ってきた。
緊張して私は敬礼をした。
「美保鎮守府司令であります。お待ち申し上げておりました」
「お前が美保か」
軽く敬礼をした彼は、なぜか暫く私の顔をマジマジと見詰める。
(何か不味いことでもしたかな?)
私は眼光鋭い将校の眼差しに焦る。彼とは初対面のはずだが。
(だが不思議な懐かしさを感じるのは何故だろうか?)
それは一瞬の間だったが妙に長く感じた。
直ぐに将校は『全員、直れ』と指示する。
「今は戦闘直後だ。堅苦しい挨拶や歓迎は抜きだ。すぐに会議の出来る部屋へ通してくれ。今朝の戦闘の概要を聞きたい」
少し早口で命ぜられた。若いからだろう、声は高い。凛とした彼の雰囲気に参加者からは感心した空気が流れた。
将校の後ろから降りてきた舞鶴の参謀は、私も見たことのある顔だった。その疲れた表情と凛とした将校の対比が興味深い。人間の『差』が出る。
「では参謀閣下、ご案内致します」
鳳翔さんが丁寧に挨拶をする。いつもの緩い雰囲気ではなく意外にピシッと決まっていた。
「ああ」
彼女に鞄を預けた将校は、きびきびと歩き出した。制服も似合って本当に絵に描いたような姿だった。
二式大挺が発動機を止めると辺りは急に静かになる。埠頭は波の音とカモメの声だけになった。
「では、皆さんも解散して下さい」
祥高さんの指示で各班ごとに敬礼し分かれて行く。一部埠頭では艦娘たちの井戸端会議が始まっていた(苦笑)
私は他の参謀たちと目配せをして会議室へ向かう。美保鎮守府の長い一日は始まったばかりだ。
以下魔除け
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府:第一部」の略称です。
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美保湾の戦闘が終結し軍令部の将校が鎮守府に到着。彼は意外に若い青年だった。