1930年代の初頭。
満州国北西部に落下した飛行物体から出現した、なぞの生命体らしきものは、人類を含めた動物に寄生し(なぜか植物には寄生しない)怪物に変容させる能力を有していた。
また、その生命体らしきものは、寄生された宿主を破壊しない限り、その活動を留める事ができないということ以外、その目的や生態などは一切なぞに包まれており、一種の侵略用生物兵器であると推察された。
1933年
当事国である満州国と関連国のソ連、日本、中国の提案で、関連諸国により該当地域を
「生物汚染地区」に指定。連合防疫部隊を配備し、これに対処した。
しかし、それは各国の旧式兵器の姥捨て山的様相を呈し、生命体の漏洩を完全に防ぐことは不可能であった。
また、生命体を「兵器」としてコントロールしようという「秘密結社」も暗躍をはじめた
そして、1940年。
中国人民国民党連合軍は、気功による攻撃が生命体に対し非常に有効であることを発見しそれを、関係諸国に通知。各国は気功およびサイキックパワーの研究を本格化。
日本は陸軍第十壱技術研究所と海軍第二技術研究所をそれぞれの軍から分離し特別研究機関として、独立させた。
そんなところから、この物語ははじまる・・・
「栗山軍曹、入ります」
イガグリ頭の実直そうな陸軍軍人が、直立の姿勢でドアも前で叫んだ。
「どっちの栗山やねん。松か竹かはっきりいわんかい。それと、その軍隊調もやめにせいゆーて、大佐にいわれたんとちゃうんかい!」
ドアを開けながら、海軍士官が叱責した。
「しかし、華崎大尉。われわれ軍人は・・・」
「やかましいわい。ここは軍の組織であって、そうやない、研究機関やねんぞ。わしも海軍籍のまま、ここに来てるンや。ほんで、わかったんかい、例の件は」
栗山軍曹はあたふたと手にしていたカバンから分厚い資料を取り出した。
「これが、秘密結社が関連しているであろうと推察される盗難事件の捜査資料のすべてです。ただ、憲兵関連のもの、防諜を理由に貸し出しを拒否されまして」
イガグリ頭を面目なさそうに掻く、栗山。
華崎はおおきなため息をついて、デスクの上の電話に手を伸ばした。
ガリガリガリ。
騒がしい音させながら電磁石をまわす。
「あ、交換?東加賀屋大佐を」
今なら、ボタンひとつでつながる内線電話も、1940年代にはその都度、交換台の交換手の手を煩わせていたのである。
「あ、大佐。やはり憲兵隊の方はあかんかったようですね。ま、健二郎がドイツから戻れば状態もかわるでしょう。はい。煌くんをこちらへよこしてください。では。」
華崎は電話を置くと、立ち上がった
「さて、本格的に動き出すことになりそうやな。な、栗山」
「は」
直立不動の姿勢をとった栗山が相槌をうった。
一台の黒塗りの乗用車が、舗装のよくない道を走っていた。
なかには、小柄な陸軍将校と一見少女と見紛うばかりの美形の少年が乗っていた。
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州国北西部で発見された謎の生命体が日本国内に持ちこまれたという事態に対処するために出動した「特殊戦」の面々の活躍を描く。