うちの暁は意外と凝り性だ。
うちの基地が暇だということもあるのだが、暁自身が一度何かにハマるととことんやり尽くすタイプということでもある。
折り紙に絵、俳句に木彫り、エトセトラエトセトラ……。
気がつけば、いずれもプロ並みの腕前になっている。
「どう?司令官」
「ん?美味いぞ?」
「そう、良かった」
そんな暁が今ハマっているのは『カレー』だった。
「今日はいつものカレーをインド風にしたのよ?」
確かに今食べているカレーは少し香辛料の味が強かった。
「段々レパートリーが増えてきたな」
「まだカレーだけだけどね」
「それでもここに来たばかりの頃を比べると雲泥の差だぞ?」
二人きりの夕食を終えると、前々から気になっていた事を聞いてみる。
「暁」
「ん?」
「なんで他の料理は辛く作れるのに、カレーだけ香辛料が効いていても甘いんだ?」
「えっとねぇ、………秘密」
悪戯っぽく笑った暁の顔は妙に大人びていて、少しドキッとしたのは秘密だ。
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